プロローグ
ホムンクルスを知っているか。
様々な言い方も名称も多いが、人造人間、文字通り人間が造り出した人間である。魔術師や錬金術師が造る知識を持ったまま産まれる者、曰く、フラスコの中でしか生きられないフラスコベイビー。ラテン語でホムンクルスを「小人」と訳す。人よりその身体は小さいらしい。
強制的に肉体を成長させるのでその寿命は僅か3年余りだとか・・
「つまるところ私は生後1ヶ月どころか産まれたての赤子にも等しく残り僅かな3年の寿命の中で生きていくことになりますね」
艶のある真白の髪、血を彷彿とさせる赤眼、病人の様な白い肌、ビスクドールと問われても可笑しくない程美しい顔、それが今日生まれたホムンクルス第一号、文句無しの成功作であった。淡々としていながらどこか陰のある、しかしそれこそが少女の美しさであるかのようにとにかく彼女は美しかった。
「あぁ、あぁ、我が子よ。我が手から産まれし我が愛しい子よ!!
なんと、あぁ、なんと素晴らしいんだ!その髪、その目、その身体、
神でさえもお前の美しさに感嘆のため息をつくだろう!私の研究を馬鹿にしたゴミ共め、やはり私は間違っていなかった!私が正しい、神が私を認めたのだ!間違っていたのはお前達だ!!!!」
「お父様、どうか落ち着いて。心音が乱れています、軽い興奮状態に陥っています」
「そうだ、その通り、父だ、私がお前の父なのだ。私が造った可愛い我が子よ」
少女は達観した目で男を見ていた。確かに自分を造った人ではあるが、それとこれとは別である。もう少し掘り下げて言うなればここから飛び出し今のこの状況について激しく聞き及びたいのである。
どうやら私、死んで生まれ変わった様です。誰か!このSAN値ピンチ系爺をどうにかしてください!!かの邪神降臨並にSAN値が危ない!!!
最後の記憶はトラックだ。確かあれは仕事の帰り道だった、もしかしたら出勤途中だったかもしれないし遊びに行く予定があったかも、はたまた社会人ではなく学生で自分は女ではなく男だっかもしれない、そのくらい記憶はあやふやで、自分が何者であったかも思い出せない。ともかく最後の記憶はトラックで撥ねられたか、吹き飛ばされたか、車同士の衝突か、もしかしたら自殺かもね。トラック自体錯覚かもしれないが、それでは本末転倒。
けれど何となく、こういう展開はそれこそ死ぬ程見飽きてる気がして瞬間思った「これ転生小説でよくあるパターン」ふと思ったにしては的を得ていた。実際そうだし、転生っていうか生まれ変わってるし、創作小説とか二次小説も馬鹿に出来ないなぁなんて考えたりエトセトラ
「あぁ我が子よ、我が娘よ、身体に不調は無いかね、不快は無いかね、美しい娘、私が造った美しい子よ」
こいつまだ喋ってやがった、いい加減我が子とか美しいとかゲシュタルト崩壊寸前なんですけど。
「えぇお父様、不調はありません、不快はありません。ご心配することなど何もありません」
目が覚めたら真っ赤な液体にしわくちゃのおじいさん、私の第六感が叫んだ。大人しくしていろ、いずれ好機は訪れる。そして3日も経たずに水槽から取り出された、私の感は冴えていた。
「その美しい身体を眺めていたいが風邪を引いたら大変だ、お前に用意していた服を取ってこよう。そこから動かず大人しくしていなさい」
「えぇわかったわ、お父様」
とんでもないロリ発言。やはり近いうちにここから逃げよう。
1度死んでいるのだ、二や三度など今の私には恐るるに足りない!!
待っていろ、新しい世界よ!
すぐに私は後悔する
平々凡々、凡庸にイージーモードに生きてきた1度目に比べ、2度目は些かハードな世界が待ち受けているとは思わずに・・・
というかホムンクルス造ってる時点でここ普通じゃない。