運命の英雄   作:DestinyImpulse

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八話・譲れぬ意思

 “アカツキ”が“デスティニー”に撃墜された事でオーブ軍は総崩れ…逆に“ヘブンズベース”戦で英雄的活躍をした“デスティニー”の登場によりザフトの士気は飛躍的に高まり…レイ達はオーブ首都まで行ったらしい…制圧は目前かと思われたその時、アビーから通信が入る。

 

「シン、緊急事態よ!“フリーダム”に酷似した機体が我が軍を襲っているの!至急向かって!!」

『な!わかった!!』

 

 “フリーダム”…それはあの時、確かに倒した筈だ。シンは認めたくない仮設を考えながら向うが……

 

 ……当たってしまった。急いで友軍の場所に行くとそこには落とされたザフトMSが。全部が全部、綺麗に手足だけもがれてる。激しい戦闘が行われてる先には確かに“フリーダム”の様なMSが居た。関節部は金に輝き胸部には砲口が追加されている。

 

 新しい“フリーダム”だが、パイロットはキラだとシンはすぐにわかった。こんな戦いをするのは奴以外には存在しない。

 

『…生きていたのか……今度は確実に討ち取る!』

 

 “デスティニー”は「アロンダイト」を構えて目の前の敵……“ストライクフリーダム”に突撃する。“ストライクフリーダム”もサーベルを二刀流にして突っ込んでくる。

 

「アロンダイト」と二つサーベルがぶつかり合う。その時、通信回線からキラの声が聞こえてくる。

 

『どうして……どうしてカガリを討ったんだ!』

『決まっている……敵だから…理想の為に国民すら平気で犠牲にする敵だからだ!!』

 

 パワーでは“デスティニー”の方が上だ。そのまま“ストライクフリーダム”を吹き飛ばす。

 

『何故、邪魔をする!ジブリールを放置すればどれだけの悲劇が起こるかわかっているのか!?』

『分かるけど、君の言うことも分かるけど、でもカガリは泣いていたんだ!!』

 

 “ストライクフリーダム”が二丁のライフルを連結させビームを放つ。“デスティニー”は光の翼で防ぎながらライフルを連射する。

 

『こんなことになるのが嫌で泣いていたんだぞ!なぜ君はそれが分からない!なのに、この戦闘も、この犠牲も仕方のないことだって……全てオーブと…カガリのせいだって、そう言って君は撃つのか!?カガリが守ろうとしているものを!』

『アイツが守りたかったのはオーブの理念だろ!その為に国を焼く……そんな奴の気持ちがわかるか!』

 

 「アロンダイト」を構え“ストライクフリーダム”に振り下ろす。しかし…信じがたいものを目にする。「アロンダイト」を真剣白刃取りで挟み込んだのだ。

 

『な!?』

『邪魔をしないでくれ!!』

 

 【SEED】を発動させたキラの神業に流石のシンも唖然とする。そのまま、“ストライクフリーダム”は「クスィフィアス3レール砲」を放つ…吹き飛ばされたシンだが、やられてばかりではない。

 

 吹き飛ばされた衝撃を利用してサマーソルトで“ストライクフリーダム”を蹴り上げる。思わぬ反撃に対応できず蹴り飛ばされてしまう。

 

『邪魔をするなだと……戦いを広げているアンタが言うな!!』

 

 そのまま大型ビームランチャーとライフルを一斉に放つ。“ストライクフリーダム”は辛うじて防ぎ切るが大きくバランスを崩してしまう。

 

(今だ!!)

 

 連射に優れたビームランチャーで狙いトリガーを引こうとしたその時…

 

『ーー辞めろーっ!!』

 

 通信回線から聞き覚えのある声が飛び込む。ハッとしてめぐらせた目に飛来する物体が映る。シールドで弾き飛ばしたそれは何者かが放ったビームブーメランだ。そして特徴のあるリフターを背負った真紅の機体が迫り“デスティニー”を吹き飛ばした。

 

『くっ……!』

 

 状況を見極めようとした目にモニターの中の人物が映る。

 

『アスラン…!?』

 

 それはレイに落とされたと聞いていたアスランが映っていた。

 

『シン!お前…自分が何を討ったのか本当にわかっているのか!……カガリを…何故だ!!』

 

 アスランは激しい声で叫ぶ。かつては共に戦った…しかし、自分達を裏切り今は敵対する側へと行ってしまった。もう、戻れない……カガリは敵だった。世界にとっても自分にとっても……でも、アスランにとっては愛する人だった。それをシンは討ったんだ。

 

『敵だったからだ…ザフトにとっても俺にとっても…オーブは…アスハは倒すべき敵だったからだ』

 

 ジブリールを庇う今のオーブはザフトにとって、倒さなければならない敵だった。それを阻止しようとしたカガリも例外ではない。

 

『そんな理由で…!彼女を殺したのか!!』

『あぁ…俺は殺したよ。それで、民間人の家族に責められるなら俺は何も言わない。言い訳だってしない…お前らみたいに平和のためだったから“仕方がない”なんて言葉で済ませたりはしない!!』

 

 “デスティニー”は先程手放してしまい近くに突き刺さった「アロンダイト」を引き抜く。

 

『俺は選んだんだ、この道を……邪魔すると言うのなら誰であろうとーー』

『なら、俺はお前をーー』

 

 “インフィニットジャスティス”もビームサーベルを構える。

 

『『討つ!!』』

 

 “デスティニー”と“インフィニットジャスティス”がぶつかり合う。パワーは“デスティニー”の方が上だ。徐々に押し負ける。

 

『アスラン!』

 

 “ストライクフリーダム”が腹部に内蔵された大出力ビーム砲を放つ…咄嗟に“デスティニー”は回避するが、すかさず“インフィニットジャスティス”がサーベルを振るう。

 

『クソ!』

 

 高い機動力で回避するが…いくらシンと“デスティニー”でも…キラとアスランのコンビ相手では防戦に入るしかない。

 

 “ストライクフリーダム”がライフル二丁…レール砲二丁…腹部ビーム砲のフルバーストを放ってくる。ビームシールドで受け止めるが…火力が高くなんとか防ぎ切るが発生装置が破壊されてしまう。

 

『これで!』

 

 トドメを刺そうと“インフィニットジャスティス”がサーベルを振りあげるが……

 

『まだだ!!』

 

 ビームサーベルを振り上げる一瞬の隙を突いて“デスティニー”は“インフィニットジャスティス”の顔面に拳を叩き込んだ。思わぬカウンターによろめく“インフィニットジャスティス”、当然このチャンスを見逃すわけもなく“デスティニー”は「アロンダイト」で横に切り払う。

 

 “インフィニットジャスティス”は左腕に装備されているビームシールドを兼ねた実体シールド。「ビームキャリーシールド」で防ごうとする。当たる瞬間、シンはわざと「アロンダイト」のビーム刃を消す。

 

 ビームシールドには共通の弱点として対ビームコーティングされた物体には展開面を透過されてしまう弱点を持つ…「アロンダイト」はラミネート装甲で作られた対艦刀であり…ビームシールドを透過する事ができるのだ。ビーム刃が無くとも高い破壊力を持つ「アロンダイト」の一撃はシールドを破壊し“インフィニットジャスティス”を大きく吹き飛ばす。

 

 立て直そうとしたアスランだが、レイから受けた傷がまだ癒えておらず体に激痛が走り意識を手放した。慌てて“ストライクフリーダム”が“インフィニットジャスティス”を抱える。

 

 

 その時、レイから通信が入る。

 

『シン、国防本部は制圧した!!』

『!、ジブリールは!?』

『本島の第三区に身を隠しシャトルで宇宙に逃げるつもりだったらしい…本当に危なかったが既に確保した』

『そうか…』

 

 その報告にシンは安堵した…“ストライクフリーダム”にもその情報が来たのだろう…動かない“インフィニットジャスティス”を抱えたまま戦う事などできない事を悟り何処かへと去っていく。蘇った強敵の存在を認知しシンは“ミネルバ”へと帰還した。

 

 

 

    

 

 

 戦闘後、“ミネルバ”はオーブ・オノゴロ島にあるモルゲンレーテ社のドックに身を置いていた。

 

 先の戦闘で代表のカガリはシンに落とされ、代理だったセイラン親子を含めた政府関係者も戦闘に巻き込まれ死亡したとの事……大き過ぎる損害を受けてオーブは降伏を宣言した。戦闘介入した“アークエンジェル”やジブリールの件もありザフトの管理下に置かれたのだ。

 

 レクルームにはレイ・ルナマリア・アビー・メイリン・ヴィーノ・ヨウランが集まっていた。  

 

「それにしてもどうしてオノゴロ島に?」

「何でも、これまでの非礼をかねてモルゲンレーテ社が“ミネルバ”の修理と改修をするみたいなの……司令部もオーブの高い技術力を得られるから承認したみたい。勿論、厳重な監視の元でだけど」

 

 ヴィーノの疑問にメイリンが答える、……オーブが降伏宣言を出したとき…多くのアスハ信者であるオーブ軍人やモルゲンレーテ社の社員がオーブを離れ“アークエンジェル”を追いかけて行ったらしい。

 

 だが、それでも残った者も居る…シンとカガリの会話はオープンチャンネルで行われており、カガリの国民より理念を選んだ言葉に国民は激怒し…モルゲンレーテ社の技術主任を筆頭に疑問を持った一部の者達が残り修理と改修を志願したのだ。

 

「なるほどね〜〜それにしてもジブリールを確保できて本当に良かったわ…」

 

 納得したルナマリアは次にジブリールの事で安堵する。レイも同意見だが…深刻そうに口を開いた。

 

「ジブリールは既に厳重な警戒の元、司令部に輸送中だ……だが、新たな問題も現れた。今回の戦闘に“フリーダム”と“ジャスティス”が現れたのは確かな情報なんだなアビー?」

「うん、“フリーダム”のパイロットも健在だってシンが言ってた……そして、“ジャスティス”にはアスランが乗っていたって」

 

 アビーの言葉にレイを除く皆が顔を暗くする。レイはアビーにもう一つの事を聞く。

 

「シンは?」

「泣いていた、オーブの状況に……今は一人にしてあげた方がいいと思うの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、シンは誰も居ないもMSデッキの中で一人佇み…愛機“デスティニー”を見上げていた。

 

 その時だ……

 

「貴方の機体……凄いわね、シン君」

 

 後ろから誰かの声が聞こえた。シンにはその声に聞き覚えがあり……振り返り目を見開いた。

 

「…!、お、おばさん…!」

 

 その人物はエリカ・シモンズ……修理と改修を志願したモルゲンレーテの技術主任だ。シンは彼女と面識があった。シンの父親はモルゲンレーテに技術者として勤めておりエリカとは良き仕事仲間だったのだ。

 

「久しぶり……ですね…」

「えぇ……本当に立派になったわね」

「どうして此処に?おばさんは…」

 

 “アークエンジェル”を追いかけて行ったのはアスハ派の者達で前大戦で“クサナギ”に乗っていたエリカもアスハ派だった筈だ。

 

「……ウズミ様は間違いなく名君だったわ…でも、最後の決断だけは間違っていたと、宇宙から帰って来て思い知ったわ」

 

 モルゲンレーテとマスドライバーを自爆させた事でオーブは最大の資金源を失って失業と貧困が多発し飢えで苦しい時代を送り……理念に拘り民間人の避難を蔑ろにし負けるとわかっていても戦った事でシンの様な家族を失う者を出してしまった。それ以来彼女はアスハに不信感を抱く様になった。

 

 エリカはシンを抱き締めた。彼を一人にしてしまった事が本当に悔やまれる。

 

「今までよく頑張ったわね…我慢しなくていいの……泣きたい時には泣いても良いのよ」

 

 その優しさがシンの心を包み込む。

 

「…俺は…“僕”は…オーブが好きだった!父さんが見せてくれた“アストレイ”は憧れだった!こんな…!理念の為に皆を犠牲にするオーブを……“僕”は見たくなかった!!」

 

 昔、母に抱き締めてもらった記憶を思い出しながらシンはエリカの腕の中で泣く。そんなシンを見つめる“デスティニー”のツインアイが緑色に優しく輝いていた。

 

 

END

 

 




次回予告

 ジブリールを捕らえても終わらない…地球軍は月基地にある「レクイエム」で全てを薙ぎ払おうとする。地球に居るシン達に止める術はないのか?そんな事はない!更なる悲劇を止める為、英雄を乗せた戦女神は星の海へ羽ばたいた。

次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【星の海へ】

 星の海へーー羽ばたけ、ミネルバ!!








ちなみにシンの家族設定はオリジナルでいきます。

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