宇宙に上がった“ミネルバ”は光の翼を広げながらダイダロス基地に全速力で向かっている。既にレクイエムのプロテクトは解除されパワーチャージを開始している。ジュール隊等の月艦隊も廃棄コロニーの破壊に向かっている。敵が月艦隊に意識を向けているのなら上手くいけば陽動と奇襲になる。
“ミネルバ”は既に戦闘態勢にはいっており、シン達もパイロットスーツを着ると、ブリーフィングルームでブリーフィングを始める。
「レクイエムが放たれる前に月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれない。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのはそういう奴だ。ジブリールを捕らえられたのは不幸中の幸いだな」
「あぁ……ジブリールを逃したらもうとっくにプラントが討たれてた……」
「そうだな…とにかく続きを説明するぞ。“デスティニー”と“レジェンド”そして“ミネルバ”を囮として戦闘を行う。その混乱した隙に“インパルス”が砲のコントロールルームを落とす」
「Rの調整も無事終わったわ…任せて!」
「よし……行こう!」
シン達がブリーフィングルームを後にしMSに乗り込む。
「やってみせるわ…ルナマリア・ホーク、“デスティニーインパルスR”。行くわよ!!」
赤い“デスティニーインパルス”がクレーターの影に隠れるように大回りしていく。“ミネルバ”もダイダロス基地を目視できる程の位置につき、ダイダロス基地も“ミネルバ”をとらえただろう。
「これより本艦は戦闘を開始する!全砲門開け!何としてもプラントを守り抜く!!」
タリアの号令と共に「タンホイザー」が放たれたが、“ゲルズゲー”が「陽電子リフレクター」を張り、「タンホイザー」を弾く。しかし、予測していたタリアは動じずに指示を出す。
「“デスティニー”、“レジェンド”…発進!」
続けて“デスティニー”と“レジェンド”が発進され…“デスティニー”にはアビーが、“レジェンド”にはメイリンがコンソールに映る。
「シン、“ミーティア”とドッキングするよ!」
「レイも準備いい?」
『あぁ!』
『問題ない』
ミーティア、それは……METEOR (Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcer=モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機)と呼ばれ。前大戦に“エターナル”によって運用された、“ジャスティス”や“フリーダム”といった核エンジン搭載型MS用のアームドモジュールである。
その基本戦術は大火力によって複数敵を一気に殲滅するというものであり、戦艦数隻分の火力を有し、大戦後にモルゲンレーテは開発に着手していた。“ミネルバ”が単機で月基地を攻略するのに必要だと。“ミネルバ”、後方の両脇部にニ機、装備されたのだ。
“ミネルバ”からパージされた二つの“ミーティア”がそれぞれ“デスティニー”と“レジェンド”にドッキングされる。
「ダイダロス基地からMS・MA部隊が出撃!……気をつけてね、シン」
『アビーもな………いくぞ、レイ!!』
『あぁ!!』
シンは“ミーティア”の武装を展開する。両側面に備える「高エネルギー収束火線砲」。火線砲と併設される22連装×2基と、テールスタビライザー上部に備える3連装×3基からなる対艦ミサイル。ウェポンアームに備えられた12連装×2基「エリナケウス 対艦ミサイル」、アーム先端中央に備える「高エネルギー収束火線砲」レイはそれに加えて“レジェンド”の全ドラグーンを展開……数えるのも馬鹿らしい程の火力が一斉に放たれ敵部隊を一掃した。
「凄い…敵MS部隊が次々と全滅していきます!」
「この機を逃すな!一気に攻める!!」
“ミネルバ”も光の翼を広げ敵戦艦の攻撃を躱しながら反撃し敵戦艦を落としていく。“ミネルバ”の進行方向にいる敵は“デスティニー”と“レジェンド”が次々と落としていく。
だが、突如…“レジェンド”の“ミーティア”を機体下方と背後から放たれたビームが貫いた。
『くっ!』
レイは即座に“ミーティア”をパージする。パージされた“ミーティア”はあえなく爆発する。“デスティニー”と“レジェンド”のセンサーが大型のMAをとらえた。
「ザフトのデータベースにありました。アレは“ペルグランデ”です!」
メイリンが声をあげる。それを聞いたシンとレイの表情は曇る。
“ペルグランデ”…ラテン語で「巨大な」という意味の名を持つそれは、ドラグーン・システムが備わっているがパイロット三人の脳を直接つなぐ事で超空間認識能力を得るという非人道的な機体である。
『しかも三機か……』
三機の“ペルグランデ”が“レジェンド”を包囲していた。更に、アビーから通信が入る。
「シン!ダイダロス基地から“デストロイ”が!!」
ダイダロス基地から三機の“デストロイ”がこちらに向かって来ている。
『アイツ等!“ペルグランデ”といい“デストロイ”といい……!命を何だと思ってるんだ!!』
シンが怒りの叫びをあげる中、レイが通信を繋げる。
『シン、“ペルグランデ”は俺に任せてお前は“デストロイ”を…!』
『わかった!!』
シンは“ミーティア”の一斉射撃で周りのMS部隊を一掃した後、“ミーティア”をパージして“デストロイ”に突撃する。
MA形態の“デストロイ”が一斉射撃をするが…“デスティニー”には掠りもしない…一機の懐に飛び込んだ“デスティニー”は「パルマフィオキーナ」でコクピットを破壊する。そして、「ロンゴミニアド」を起動してニ機目を貫いた。
一方、三機の“ペルグランデ”が三基の「ドラグーン」を展開、合計九基の「ドラグーン」が“レジェンド”に襲いかかる。
『「ドラグーン」勝負でこの“レジェンド”に勝てると思うな!!』
“レジェンド”も「GDU-X7 突撃ビーム機動砲 」ニ基、「GDU-X5 突撃ビーム機動砲 」八基、合計十基の「ドラグーン」を展開する。“ペルグランデ”達が一斉に“レジェンド”にビームを放つが……
“レジェンド”は「ドラグーン」のビームを立体的に展開しビームバリアを形成しいとも容易く防いだ。実は、シンが落とした“アカツキ”には宇宙戦闘装備“シラヌイ”が存在し、“シラヌイ”に装備されたドラグーン…「M531R誘導機動ビーム砲塔システム」のデータがモルゲンレーテにあり、それを参考に“レジェンド”を強化したのだ。
『今だ!!』
ビームバリアを解除した“レジェンド”は一斉に「ドラグーン」を飛ばす。“ペルグランデ”達も「ドラグーン」を飛ばすが……空間認識能力はレイの方が圧倒的に高く次々と「ドラグーン」が落とされていき……
『終わりだ!!』
やがて本体を破壊された“ペルグランデ”達は宇宙の塵になった。
シンの方も最後の“デストロイ”との決着をつけようとした。MS形態になった“デストロイ”は陽電子リフレクター「 シュナイドシュッツSX1021」で“デスティニー”の攻撃を防ごうとするが…
『これでぇぇっ!!』
“デスティニー”は「パルマフィオキーナ」と「ビームシールド」をソードモードに切り替え「パルマフィオキーナ・エクスカリバー」を起動する。
振り下ろされた黄金の剣は陽電子リフレクターごと“デストロイ”を切り裂いた。
『ええいっ!!』
その頃、ルナマリアも迫り来る“ザムザザー”等のMAを蹴散らしながらレクイエム内部に辿り着いた。
『これね…いけぇーー!!』
“デスティニーインパルスR”は「デスティニーRシルエット」に装備されている対艦・対要塞ビーム砲塔「ウルフスベイン長射程ビーム砲塔」を放ちレクイエムは破壊される。
“デスティニー”と“レジェンド”がダイダロス基地、司令部を破壊したその時、“ミネルバ”に通信が入る。
「艦長!お姉ちゃんがやりました!!」
「!、そう……守りきれたのね」
メイリンの言葉にタリアは安堵のため息をつき、ブリッジには歓声があがる。やり遂げたのだ彼等はプラントを守りきれたのだ。
『どうやら、終わったみたいだな』
その報告は“デスティニー”と“レジェンド”にも届いていた。シンは貝殻のネックレスを見つめながら頬を緩めた。
『そうだな…父さん、母さん、マユ、ハイネ、ステラ……これでもう、花が吹き飛ばされる事もなくなる』
その後、シン達は“ミネルバ”に帰還しそれぞれの時間を過ごした。皆が喜びを分かち合う中、シンは一人、パイロットアラートからMSデッキにある、愛機“デスティニー”を見ていた。
「シン…こんな所に居たんだね」
「アビー?」
パイロットアラートにアビーが入ってきた。
「ほんと凄いよシン!…やっぱりシンはスーパーエースね!」
「やめてくれよ……そんなの必要ないよ」
互いに笑い合う二人……暫くしてアビーが手をシンの手に重ねシンにもたれかかる。
「これで…この戦争も終わったんだよね…」
「あぁ……終わったんだ」
優しく静かな時が寄り添う二人を包んでいた。
END
次回予告
永かった戦争が終わった。喜び満ちる溢れる世界。だが、それに意義を唱える者が現れた。それはラクス・クライン。だが、彼女は議長の隣に居る。本物を名乗る彼女は議長の隣にいる者を偽物の“歌姫”と言う。
次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【真実の歌姫】
平和と癒しの歌を響かせる歌姫をーー守り抜け、シン!!