ダイダロス基地の崩壊…全メディアを通じ全世界へと流れた。プラント最高評議会は和平交渉を提案するが…それを認めない、地球軍月基地のアルザッヘルが核攻撃をしようとプラントに攻撃を仕掛ける。
だが、“ミーティア”を装備した“デスティニー”と“レジェンド”に全ての核ミサイルが落とされ月基地も陥落した。最早、地球軍の戦力は壊滅、“ロゴス”の傀儡であった大西洋連邦大統領は和平に応じ…ようやく永かった戦争が終わりへと向かっていた。
“ミネルバ”はデュランダル議長が居るザフトの宇宙要塞【メサイア】に身を置き補給を受けていた。連戦の疲れを誰もが癒やしている中、アーサーが呟いた。
「それにしてもシンとレイはなんで呼ばれたんですかね…議長直々に…」
シンとレイは議長直々に呼ばれ“ミネルバ”を離れて行ったのだ。一方で“メサイア”の司令室にシン達は居た。其処にはデュランダル議長がおり、シンとレイに期待していた。
「これから、私は全世界に戦争終結のメッセージを流すが……間違いなく“彼女”は動く……頼んだよ二人共」
「勿論です…任せてください」
「必ず、やり遂げてみせます!」
ザフトの敬礼で答えるレイとシンに微笑みデュランダルは準備に取り掛かる。
《皆さん、私はプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです。先の月での戦闘後、大西洋連邦大統領は我々の和平に応じました。ようやく…ようやく、この長く苦しい戦争は終わりを迎えたのです》
画面に映るデュランダルの言葉を聞き人々の目には希望が灯る。ようやく、この戦争が終わったのだと……隣に居たラクス・クラインが前に出る。
《銃を向け合う私達は…やっと互いに手を取り合う事ができました。共に歩みましょう…優しさと光溢れる平和な世界へとーー》
しかしーー
《その方の姿と声に惑わされないでください》
その声が聞こえたと同時に突如画面が乱れ映ったのはーー
《私はラクス・クラインです。私と同じ顔、同じ声、同じ名の方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦では“アークエンジェル”と共に戦いました私は、今もあの時と同じ彼の艦の下におります。彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。私はデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません》
ラクス・クラインが居た……だが、彼女はデュランダルの隣に居る……画面の前の誰もが困惑する二人のラクス…画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。
左右に分割され、ラクス・クラインと、デュランダルが同時に映っている。
《彼女は私ではない“偽物の歌姫”です。どうか、デュランダル議長の言葉の罠にどうか陥らないでください。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を》
誰もが困惑する中、デュランダルが口を開く。
《言葉で惑わしているのは君ではないか?かつて君は先の大戦で、地球連合軍に所属していた者に赤服を着せザフトに侵入させ、そしてフリーダムを与えた。他にも。行方不明になった“エターナル”を秘密裏に所持し補給してきた。更に先のオーブ侵攻の時に戦闘に無断介入し、ジブリール捕獲を妨害した。もしあそこでジブリールを逃しプラントが襲われたらどうするつもりだったのかね》
《っ!えぇ、それは事実です。ですがそれは…》
《それは、何かね?…君達がザフトの技術…そして、国民の税金を強奪し兵器開発をしている事は調べがついている。既に君達に横流ししていた者は拘束済みだ》
《なっ!?》
ラクスは驚愕した、ここまでバレているとは思っていなかったのだろう。
《君達はそうやって身勝手な正義を振りかざし、従わない者を悪と決めつけ傷つける……“破滅の歌姫”だ》
《何を言うのです。あなたの傍にいる方こそが!》
《ええ、それは謝罪しなければならない事だ…彼女の本当の名は【ミーア・キャンベル】……“ラクス・クライン”の偽者だ。けれど君は、“歌姫”の偽者”だと言ったのだよ》
《何を…》
《前大戦で傷ついた者達…戦争で傷ついた者達を癒やしてほしいと私達、プラント最高評議会は彼女に頼んだ。故に、どんなに頑張っても彼女は“ラクス・クライン”ではない…」
《その通ーー》
《だが、今まで傷ついた人々を癒したのは、紛れも無い彼女だ!!》
《!?》
ネットでも既にラクスに対する批判が後をたたない。クライン・アスハ派はコレを止めようとするが…
「コレで全部だな…」
「あぁ、やはりスパイがいたようだ」
シンとレイに叩きのめされていた。デュランダルがシン達を呼んだのは、この放送を妨害しようとスパイが動くと予想し拘束する為だ。シンもミーアの事は聞かされており、プラントの税金を利用し兵器開発をしているテロリストの本物か、プラントの為に歌い続けた偽物……どっちが真実の歌姫か…考えるまでもない。
やがて、プツリと対面するように映されていたラクスの映像はそこで途切れた。これ以上は不味いと無理矢理終わらせたのだろう……いや、尾を巻いて逃げたと言うべきか…
《プラント、地球に住む皆様、お騒がせしたこと、心よりお詫びします。混乱していることをお察しします。2人のラクス・クライン…ですが考えて頂きたい。確かに彼女はラクス・クラインを偽りました。しかし世界のことをひたすらに思い続けた彼女を、我々、プラント最高評議会は偽者という言葉で済ませて欲しくない。そうして理解して頂けたなら、どうか…彼女を受け入れて頂きたい》
デュランダルの言葉を最後に映像は終了した。
「大丈夫かなミーアさん…」
「彼女を支持する声が続々と出ている。何も問題はないだろう」
シンとレイはこれからを思いながら部屋へ戻っていった。部屋にはデュランダルとミーアがシン達を待っていた。
「議長」
「やあ、二人共…スパイは既に牢にぶち込んである。よくやってくれたね」
「はい、どうやらプラントの人々は、彼女を歌姫として選ぶそうです。まあ、当然の結果ですが…」
そうしているとミーアが不安そうに声をかける。精神的に辛かったのだろう。
「あ、あの…」
「あぁ、ミーア…色々あって疲れただろう。部屋を用意しているからゆっくり休みなさい。」
「あ、はい…」
「お疲れ様です、ミーアさん…」
「貴方は歌姫ですよ……本物の」
「………うん。ありがとう…!」
少しは余裕を持てたのだろうミーアの笑顔は何時も皆を照らしてくれた輝かしい笑顔だった。
その後、“ミネルバ”に戻ってきたシンは無重力で浮かびながら“デスティニー”を見ていた。デュランダルの言葉を思い出す。
『コレで彼女達が自分の罪を認めればそれでいいのだか……最悪の場合…彼女達はこの“メサイア”に攻めてくるかもしれない。その時は、頼らせてもらうよ』
シンには予感があった。アイツ等は来ると……戦争を起こすつもりだと。
「絶対に負けはしない…必ず、勝ってみせる…!」
決戦の時は刻一刻と迫って居る事を運命の英雄は感じでいた。
END
次回予告
終わった戦争…だが、その思いを踏みにじる様にラクス・クラインはザフトに戦争を仕掛ける。破滅の歌姫に集う悪魔の騎士団…彼女の言葉に従わない者に躊躇なく銃を向ける彼等に怒りを覚える運命の英雄…その時、友の口からが驚くべき真実を聞く。
次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【願った世界】
真実を語る友にーー何を思う、シン!!