運命の英雄   作:DestinyImpulse

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十二話・願った世界

 

 デュランダルの予想は的中してしまった。ラクス・クラインはアスハ派のオーブ軍残党を率いて“メサイア”に進軍していると情報が入った。“アークエンジェル”や“エターナル”も確認されたと言う。ザフトは防衛線をはり、主力である“ミネルバ”も発進準備をしていた。

 

「クソ、やっぱりこうなるのか…!」

 

 シンは休憩室におり飲み終えた空き缶を握り潰した。ようやく、ようやく戦争が終わったのに…この為にどれだけの血の涙が流れたと思っているんだ!!

 

「シン……少し話したいことがある。大事な話なんだ」

「レイ?なんだ…改まって?」

 

 

 何かを決心した表情の友の言葉は……

 

「……俺にはもうあまり未来がない」

 

 ……シンの想像を遥かに超えたものだった。

 

「なん……だと…!!」

「実は、俺はクローンなんだ……生まれながらにしてテロメアが短くて老化が早いんだ。薬で抑えていても限界がある」

「……ウソだろ…!クローンとかテロメアが短いなんて…!!」

「本当だ…今まで黙っていてすまなかった……」

「馬鹿な…!」

 

 シンにはとても信じられなかった…

 

「おそらく俺は、議長が作る新しい世界を見届ける事は出来ないだろう……この戦いを超えた先にお前が願った世界がある……その未来は…お前が、俺の代わりに守ってくれ」

 

 レイは既に受け入れている、自分の運命を……

 

「ふざけるな…!」

「シン?」

 

「ふざけるな!!」

 

 シンがいきなり胸ぐらを掴んで来た事に流石のレイも驚く。

 

「確かに俺は願ってるよ!!戦いのない世の中を…花が吹き飛ばされない世界を!!だが、それはお前も同じだろ!!だからーー」

 

 

「ーー生きてあがけ!!」

 

 

 少し呆気に取られたレイは次第に笑いだした。

 

 

「………ふっ、そんな風に言われてしまっては…諦める訳にはいかなくなったな…」

「!、レイ…!」

「必ず勝つぞ…シン」

「あぁ!」

 

 

 それから暫くしてシンとレイはデュランダル議長の元に来ていた。

 

「やあ…よく来てくれたね。レイ…シンも」

「議長…」

「……」

「君達のおかげでようやくここまで辿り着けた…本当に感謝しているよ…しかし、アーモリーワンでの強奪に始まってユニウスセブンの落下。そして戦闘からロゴスとの戦いまで、君達には頼ってばかりだ…」

「いいえ、議長。私はただ自分が出来ること、そして望むことをしただけです」

「そう言ってくれると嬉しいよレイ。君達も知っていると思うが、“エターナル”と“アークエンジェル”がオーブ軍を引き連れてこの“メサイア”に向かっている…」

「はい…」

「どうか、もう少しだけ君達の力を貸してほしい…」

「勿論です」

「ありがとう、レイ。シン、君にも苦労をかけるが…どうか頼む」

 

 シンはゆっくりと口を開いた。己の意志を言うために。

 

 

「…俺は二度と戦争が起こらない世界を創りたいです。未来を守りたい…俺のように…親や大切な人を失うような子供がもう二度と生まれないように…だから……俺は戦います。最後まで!!」

 

「そうか…ならば終わらせてくれ。君達の“力”で」

「「はい!!」」

 

 強い意志を胸に秘めながらシンとレイは敬礼をするとこの場を後にしようとしたがシンはデュランダル議長に聞きたい事があり残った。

 

「議長……一つ聞きたい事があるんです…」

「ん?」

「世界を変えて、戦争のない世界を創るためなら俺は戦います。…でもレイの…レイの運命は…?」

「………」

「レイの未来は…どうなるんですか?俺達には未来があるのに…あいつだけ…」

「仕方がない…クローンである以上、テロメアの問題は避けられない」

「………」

 

 やはり、レイには未来はないのか…シンの表情が暗くなる。

 

「だが、可能性はある」

「え?」

「入手した地球軍のエクステンデッドのデータと最先端のプラント医療データを合わせれば、投薬による人並みの延命が可能になるらしい」

「!」

「薬を一生手放せないかもしれないが、それは今と変わらない」

「それは…!!」

 

 見えてきた希望にシンの表情が明るくなっていく。

 

「レイにも明日があるということだ…」

「そうですか…よかった…」

「もうすぐ“ミネルバ”も準備が完了する……行きなさい仲間の元へ…」

「ハイ!!」

 

 

 

 シンが戻ると同時に“ミネルバ”は最前線に向かう、シン達、MSパイロットは搭乗機に待機を命じられレイとルナマリアは既に待機しておりシンも向かっていると……

 

「シン…」

「アビー?」

 

 アビーが待っていた事に疑問を持つシンだが…

 

「これを…」

「花?」

 

 アビーが渡してきたのはカプセルに入れられた花…その花の名は沈丁花(ジンチョウゲ)…外側が桃色で内側が白色の小さな花が塊になって枝先に咲く美しい花だ。

 

 花言葉は「栄光」と「勝利」。

 

「シン、花が好きでしょ……貴方にあげたくて…」

「……ありがとう」

 

 花を受け取るシン、アビーは少し寂しげだった。

 

「ステラって娘が居たんでしょ……怒られるかな…」

「……………ステラは大切な人だった。でも、正直…初恋だったのか…死んだ妹に被せていたのかわからない…」

 

 シンはアビーを優しく撫でる。

 

「でも、俺を導いてくれたステラも…俺をサポートしてくれるアビーも……代わりなんて居ない、俺にとってかけがえのない存在だって事は確かだ」

「シン…」

「“デスティニー”に行くよ…」

 

 シンはMSデッキへと向かう。その後ろ姿を見ながらアビーは言う。

 

「死なないでね、シン!」

「あぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 戦闘は既に始まっており…オーブ軍と言っても所詮は残党、数は圧倒的に少ないが“ミーティア”を装備した“ストライクフリーダム”と“インフィニットジャスティス”がいる以上数は宛にならない……逆を言えばそのニ機を倒せば勝利だ。

 

 “ミネルバ”は既に“アークエンジェル”を捉えていた。タリアの叫びがブリッジに響く。

 

「これより本艦は戦闘を開始する!MS隊全機発進、全砲門開け!目標、“アークエンジェル”!ザフトの誇りにかけて、今日こそあの艦を討つ!!」

 

 

『必ず勝つ…兄さん、俺を導いてくれ……レイ・ザ・バレル、“レジェンド”。発進する!』

 

「お姉ちゃん……無茶しないでね」

『大丈夫よ、絶対に貴方を一人にしないわ……ルナマリア・ホーク、“デスティニーインパルスR”。行くわよ!』

 

 左右のMSカタパルトから“レジェンド”と“デスティニーインパルスR”が出撃する。最後の“デスティニー”はカタパルトに向け移動が開始され通信コンソールに映るアビーが発進シークエンスを開始する。

 

 

「シン・アスカ、“デスティニー”発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。“デスティニー”、発進どうぞ!!」

 

 首にかけた貝殻のネックレスを握り…シンの【種】が割れる。

 

 

『シン・アスカ、“デスティニー”…行きます!!』

 

 “ミネルバ”から“デスティニー”が飛び立ち光の翼を広げて羽ばたく……世界の命運をかけた最後の戦いが始まろうとしていた。

 

END

 

 

 

 




次回予告

遂に始まった、最後の戦争…“フリーダム”は任せろ言ったレイを信じシンはアスランと決着をつける。過去に囚われたまま戦うのはやめろと叫ぶアスランにシンは言う。失った過去を守るのは間違いなのかと…

次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY

【無限の正義を超える時】


 無限の正義をーー超えろ、デスティニー!!







 補足忘れました…レイの延命はオリジナルです。
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