それではどうぞ!!
メサイア攻防戦から2日が経った……“ストライクフリーダム”が敗北した事はすぐに戦場に知れ渡った。これにより士気の上がったザフト軍はオーブ軍を殲滅。ザフトの勝利で幕を閉じた。
現在、“ミネルバ”は“メサイア”で修理を受けており、医療室ではレイ達がベットで眠るシンを見ていた。アビーが心配そうに手を握る。
「シン……」
「レイ、シンは大丈夫なの?」
「原因は疲労だそうだ、問題はないだろう……シンが起きる前に後始末は俺達が終わらせる」
「そうね、ラクス・クラインを討つ」
敗北を悟ったのか、“ストライクフリーダム”が討たれた時、“エターナル”は最大全力で離脱したのだ。ザフトMS隊が撃墜しようとしたが「砂漠の虎」の異名を持つ、アンドリュー・バルトフェルドが殿として残り妨害、ルナマリアが落とした時には逃げられていたのだ。
今、総力をあげて居場所を探している、間もなく明らかになるだろう。発見しだい“ミネルバ”も出向する。シンは出れないが“レジェンド”も修理が完了しており問題はないだろう。
しかしこの時、誰も考えもしなかっただろうーー
ーー“ストライクフリーダム”など前座に過ぎなかったという事に……
此処はとある廃棄コロニー…だが、その内部は兵器開発に特化した構造となっている。クライン派がラクス・クラインの為に改造したのだ。ファクトリー達は此処で兵器開発を行っていたのだ。
そしてラクス・クラインは目の前の“災厄”を見上げる。
「素晴らしいですわ」
「ありがとうございます、ラクス様。ジャンク屋連合から提供された物資を全て使い、我がファクトリーが総力をあげて完成させたこの“創世神”ならば必ずキラ様を殺した愚かなる“デスティニー”やデュランダルを滅ぼし、ラクス様が創造する世界の象徴となるでしょう!!」
ファクトリーの技術者の言葉を聞きラクス・クラインは微笑む。
「さぁ、平和な世界を創造する為、目覚めなさいーー」
「ーーティアマト」
「急げ、一刻も早くラクス・クラインを見つけ出すのだ!!」
そして現在、至る所にある廃棄コロニーをしらみ潰しに探すザフト軍の偵察部隊が展開されていた。
「!、近くの廃棄コロニーから超高エネルギー反応!!何だこれ…明らかに従来を凌駕しています!!」
オペレーターの声に艦長が反応したその時…廃棄コロニーから放たれた極大のビームが偵察部隊を焼き払った。
「議長!偵察部隊の反応が消失しました!!」
「何だと…!」
偵察部隊の消失は“メサイア”もすぐに確認された。キラ・ヤマトを失った“エターナル”が偵察部隊を一瞬で殲滅できる筈もない。デュランダルは状況を確認するべく指示を出したその時…
『聞こえますか…ザフト軍』
「ラクス・クライン!」
“メサイア”にラクス・クラインの声が響く…発信源を特定しモニターに映した時……彼等は“災厄”を見た。
全長はあの“デストロイ”の倍近くはあり、その容姿は一言で表すなら人獣、あるいは人面竜。 大きく裂けた口を持ち、逞しい四肢で廃棄コロニーを踏みしめる有翼の怪物。 しかしその顔にはラクス・クラインの面影があり、異形の中にどこか美しさを感じさせる。
『これこそは“ティアマト”……平和な世界を生み出す私、ラクス・クラインの機動兵器ですわ』
「ティアマト……創造神とでも言うつもりか…!」
デュランダルですら冷や汗を流しながら睨みつける。
『デュランダル議長…及びにプラント最高評議会に告げます。直ちに現政権を解除しこのラクス・クラインにあけ渡しなさい。私も争いは望みません、賢明な判断を望みます』
ラクス・クラインからの通信が終わり司令室は騒然とする。
「ぎ、議長…!!」
「あけ渡してどうなる、手始めに私や“ミネルバ”の皆を平和の敵と言い、公開処刑し従わない者をあの災厄で踏み潰す。奴の独裁政権が始まるだけだ…!!」
デュランダルは不安げな者達に言う…
「狼狽える気持ちは解るが逆に考えるのだ……確かにあの“ティアマト”は“デストロイ”などとは比べ物にならない化物だ……しかし逆を言えば奴はそれを使わざるをえない程に追い詰められている!」
確かにアレを作る費用など馬鹿にならない…もう、ラクス・クラインには“ティアマト”しかないのだ。
「それに……切り札があるのは我々も同じだ」
“レジェンド”の修理は終わり“最後の希望”も“ミネルバ”にはある。
「全軍発進!これより人類最後の防衛戦を開始する!!これが、最後の戦いだ!!!!」
それからすぐにザフト軍は“ティアマト”撃破の為に出撃し当然“ミネルバ”も先陣をきっていた。レイとルナマリアは搭乗機に向う。
「アビー、お前はシンについてやれ」
「レイ、でも…!」
「起きたらすぐに行くように言っといてね」
「……わかった」
そう言ってレイとルナマリアは医務室を出た。優しく強くアビーはシンの手を握る。
「やはり、抗うのですか…」
“ティアマト”の頭部にある頭脳体「ファム・ファタール」に居るラクス・クラインはこちらに向かって来るザフト軍を確認していた。通信コンソールにクライン派のマーチン・ダコスタが映る。
『ラクス様!』
「えぇ、最後の戦いを始めましょう。「ネガ・ジェネシス」発射用意」
この“ティアマト”はラクス・クラインの他にクライン派の者達が搭乗しており様々な役割を行っている。
「世界の為に戦う私に銃を向けるのならそれは世界の敵と言う事ですわ」
“ティアマト”の口が開き膨大なエネルギーが充填されていく…それを確認したメイリンが叫ぶ。
「艦長、“ティアマト”の口部に膨大なエネルギー…間もなく発射されます!!」
「!、回避!!」
“ミネルバ”が【ヴォワチュール・リュミエール】を展開し回避に移る。他の友軍艦も“ティアマト”の行動を感知し回避に移るが……
「【ネガ・ジェネシス】発射!!」
“ティアマト”の口から放たれた極大のビームはいくつもの友軍艦を消滅させた。余りの威力に“ミネルバ”のブリッジクルーが唖然とする。
「い、今の一撃で我が軍の戦力…60%にダウン」
たった一撃で四割の戦力が沈められた……メイリンの報告にタリアは理解する。アスランやキラ・ヤマトなど唯の前座に過ぎなかったという事に。
「“レジェンド”・“デスティニーインパルスR”、出撃!ここで負けたら全てが終わりよ!!」
タリアの声にクルーはすぐに持ち場に戻り戦闘態勢に入る。
『ヤバイなんてもんじゃないわよ…!』
『だが、やらねばならない……レイ・ザ・バレル、“レジェンド”。発進する!』
『そうね…!ルナマリア・ホーク、“デスティニーインパルスR”。行くわよ!』
左右のMSカタパルトから“レジェンド”と“デスティニーインパルスR”が出撃する。残った友軍艦からも次々とMSが出撃され“ティアマト”に突撃する。
『「バシュム」を展開しろ!敵MSを撃ち落せ!』
ダコスタの司令と共に“ティアマト”の両翼に備わった迎撃用ビーム砲「バシュム」が展開され近づけまいとビームを連射する。
『ラクス様』
「わかっていますわ……“子供達”を出撃させなさい」
ザフト軍のMS部隊は圧倒的な「バシュム」の弾幕になかなか近づけずにいた。戦艦からのミサイルも迎撃されて有効打にならない…その時、“ティアマト”から何かが飛び立ったのが確認された。
『な!?』
『ちょっと…!嘘でしょ!!』
レイとルナマリアが絶句する。何故ならそれはーー
『“フリーダム”だと…!』
十一機の“フリーダム”だったからだ……元々“ストライクフリーダム”はザフトのデータベースにあった量産型“フリーダム”のデータを盗み独自の改良を加えた物なのだ。そのデータを流用して作り出したのだろう。
量産型“フリーダム”が次々と友軍機を撃墜していく……余りの絶望に味方の心が折れかけている。しかし、レイはこの状況を打破してくれる男を知っている。
(シン…!この運命を切り開けるのはお前だけだ!)
「此処は?俺は…確かキラ・ヤマトと戦って…」
何処まで暗い空間…其処にシンは居た。右も左もわからない、その時…声が聞こえた。
『何してんだよ…シン』
「!、ハイネ…!」
後ろから聞こえた声に…思わず振り返れば、死んだ筈の戦友…ハイネが居た。
『皆、まだ必死に戦っているぜ…世界を変える為に』
『そうだよ、シン』
「ッ!ステラ!!」
次に現れたのは……守りたくて…守れなかった少女…ステラだった。
『生きてるんだよ、シン達は……』
ステラとハイネが消えていく…咄嗟に手を伸ばすが完全に消えてしまった。しかし、その代わりに光が集まっていく…やがてそれは、あの時アビーがくれた花に変わっていく。
『だから、死んでしまったステラ達の代わりに……生きて、精一杯…』
最後に聞こえたステラを聞きながらシンは花に手を伸ばす…手が花に触れたその時、眩い光が暗闇を吹き飛ばし全てを照らした。
そして医務室では至る所に涙が無重力で浮かび必死にシンの手を握るアビー…そして、シンの手が握り返してきたことに目を見開く。シンを見れば、目を開けたシンがこちらを見ていた。
「!、シン…!」
目覚めてくれたシンにアビーは思わず抱きついた。
「「トリスタン」撃てぇぇー!!」
“ミネルバ”は「バシュム」や量産型“フリーダム”の攻撃を避けながら主砲「トリスタン」を放つが……
「駄目です!有効打になりません」
“ティアマト”は全身に“ストライクフリーダム”に装備されたビームシールドを備えており…戦艦の主砲すらダメージが入らない。
完全にこちらが押されている状況にタリアですら現実逃避したくなる正にその時、遂に待ちわびた通信がくる。
『艦長』
「シン!」
『アビーから状況は聞いた…俺も出撃します』
「お願いね」
シンから通信が切れる。絶望が差し込んでたブリッジに希望が現れる。シンなら…“ミネルバ”のスーパーエースならこの状況を打破してくれると…皆は信じてる。
「まだ、諦めるには早すぎるわね!!」
「「「「ハイ!!」」」」
「これは……!?」
シンは“デスティニー”の所に向う。しかし、自分の愛機はかなり変わっていた。
頭部と背部ウイングユニットは変わっていないので“デスティニー”だとわかるのだが、右肩には黄金の盾、左肩には銀の剣が備えられており、手には黄金の聖剣を握っている。少し目を離した隙に凄い変わりようである。
「スゲーだろ、大幅改修されて生まれ変わった“デスティニー”だ」
「ヨウラン、ヴィーノ…」
「行ってこい…ヒーロー!」
「あぁ!!」
シンは乗り込み起動のシークエンスを開始していく。コックピット内の各種コンソールが起動して点灯していく。システムの起動と共に中央のディスプレイがポップアップして、OSが起動され最後に…
「ZGMF-X42Gーー“Fate”……それが今のお前の名前なんだな“デスティニー”…」
OSの起動が確認され“Fate”はカタパルトに向け移動が開始され通信コンソールにはブリッジに戻ってきたアビーが映る。
『シン・アスカ、“Fate”発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。針路クリアー。“Fate”、発進どうぞ!!……気をつけてね、シン』
「あぁ…!」
首にかけた貝殻のネックレスを握る。ステラ、ハイネ…倒れていった者達やレイ、アビー…信じてくれる者達の思いを受け止め、シンの【種】が割れる。
「シン・アスカ、“Fate”!行きます!!」
シンのコールと共にカタパルトから“Fate”が射出される。同時に全身のVPS装甲に通電され、“Fate”の色が灰色から変わる。赤が消え、銀が追加された機体配色となり真紅の翼からルビーの様な美しい光が放たれる。
モニターには“ティアマト”が映る。今まで見た事ない圧倒的な存在……それでも、シンには怯えがなかった。
『これがラストミッション!人類の存亡をかけた、最後の戦い!!』
今、人類存亡をかけた最後の戦いが幕を上げた。
END
次回予告
全てを滅ぼす災厄の獣…それに挑むは運命の英雄。真紅の翼を広げ黄金の聖剣で運命を切り開く。
これが最後の戦い!!
次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【運命の英雄】
運命をーー切り開け、Fate!!
“ティアマト”解説
プラントから盗んだ金やジャンク屋連合からの物資を全て使って完成させた、ラクシズの切り札。
頭部にはラクス・クラインが搭乗する本体である「ファム・ファタール」が内蔵されており、胴体部にはダコスタを始めとした、ラクシズメンバーが搭乗し量産型“フリーダム”を十一機揃えているなどと、もはや要塞と言ってもいいだろう。
「ネガ・ジェネシス」
“ティアマト”の口に内蔵された最大兵器…一撃でコロニーを撃滅可能な大出力ビーム砲、(サテライトキャノンのイメージ)
「バシュム」
“ティアマト”の両翼にいくつも装備された撃滅用のビーム砲。
「ウガム」
“ティアマト”の爪に装備されたビーム刃…“デストロイ”のシールドなど簡単に切り裂いてしまう。
「ムシュマッヘ」
頭部にあるラクス・クラインの髪の様なピンクのそれは一つ一つがスレイヤーウィップで死角など存在せず、クライン派メンバーが制御を担当している。
“フリーダム・ラフム”
“ティアマト”に合計十一機備えられている、量産型“フリーダム”。“ティアマト”に予算を費やした為に核動力ではなく持続時間を伸ばすために消費電力は最低限に設定されており、機体配色は黒。
はい、とうとう登場しましたよ!ラスボスの“ティアマト”。元ネタはFGOのビーストⅡのティアマトです。
姿は竜形態をそのままイメージして頂ければ大丈夫です。
次回、いよいよ最終決戦。何とか“Fate”も完成しました。
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