運命の英雄   作:DestinyImpulse

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 セリフの設定

・「」……機体に乗って居ない人物

・『』…機体に乗って居る、通信をしている人物


一話・出会い、そして始まり

 それはとても懐かしい、幼い誓い。

 

 その日は月が綺麗な夜だった。

 

 

『シン、父さんはね、昔ヒーローになりたかったんだ』

 

『なにそれ。成りたかったって、諦めたの?』

 

『うん、ヒーローは期間限定で大人になると名乗るのが難しくなるんだ…………たがら、父さんはヒーローを助ける科学者になったんだ』

 

 

 あの頃は、言葉の半分も理解できていなかっただろう。

 

 

『そっか、それじゃしょうがない』

 

『ああ、そうだね。……本当に、しょうがない』

 

『うん、しょうがないから僕が代わりになる!』

 

『え?』

 

『父さんは歳だから無理でも、僕なら大丈夫でしょ。大丈夫、父さんの夢は僕が叶えてみせるから!』

 

 その言葉に。父は目を限界まで見開き、そして微笑んだ。

 

『………父さんはまだまだ現役だぞ。だけど、そうだな…………シンなら成れるかもなヒーローに』

 

 

 

 

 ねぇ、父さん………"俺"は……"僕"は……ヒーローになれたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「………ん」

 

 

 随分、懐かしい夢を見た………そう思った時、自分が眠っていることに気づく。目を開け、立ち上がったシンが目にしたのは紫色の草が生い茂り、樹には色鮮やかな実が実り、まるでおとぎ話の様な光景だった。

 

「……どうなっている…!?俺は確か………!、目映い光に包まれて!そうだ、fateは!?」

 

 あの時、自分は"fate"に乗っていた。それなのに生身でこの場所にいる。シンは腕に装着している"紅いガントレットの様な機器"を操作する。

 

「………よかった、"fate"は無事だ。別の場所に運ばれ……いや、転移させられたと言うべきか」

 

 こんな場所は世界各地を旅したシンは知らない。とにかく情報収集の為に動きだそうとしたとき…

 

 

 

「こ、来ないでください!」

 

 

 悲鳴が森の中に響き渡る。

 

「!、悲鳴……声からして女の子、何にせよ無視する訳にもいかないか!」

 

 

 声のする方にシンは走りだす。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 シンが目覚めた場所とは違う場所、今一人の女性と一人の少年が危機に瀕していた。

 

「や、やめてください...!」

 

 一人は長いブロンドヘアーで猫耳の様な被り物をしている可愛らしい女性。彼女は今はブリキの様なロボット達に襲われていた。

 

「こ、こうなったら"ドグマ"で……「あ、あれ?」…え!?」

 

 

 その時だ、茂みから黒髪の恐らく小学生くらいの男の子が出てきた。

 

「「!?」」

 

 少年に釘付けの女性とロボット達、一方で少年も女性を襲うロボット達に呆気に取られていた。

 

「も、もしかして…僕、お邪魔しちゃったかな……?」

 

 そんな軽口が出せたのは子供故だろうか……しかし、ロボット達は容赦なく少年に襲いかかる。

 

「!?」

 

「ちょ、ちょっと待った!ぼ、僕は、戦部ワタルっていって、此処がどこなのかもわからなくて!」

 

 少年が必死に説得するが話が通じない。襲いかかるロボットに少年……ワタルが思わず目を瞑ったその時だ。

 

 銃声が響いた。

 

「……え?」

 

 目を開けたワタルが目にしたのは穴が空き、倒れるロボットの姿。

 

「まったく………おとぎ話の様な森だと思ったら今度はアンドロイド……どうなっているだ此処は」

 

 茂みから紅い軍服を纏った男……シンが飛び出す。悲鳴を頼りに来てみれば女性と少年を襲うロボット、シンは迷わず銃でワタルに襲いかかった一体を撃ち、続け様に女性を押さえつける一体を蹴り飛ばす。

 

「大丈夫か、アンタ?」

 

「は、はい……あの、貴方は?」

 

「…話は後だ。来るぞ!」

 

 シンが睨み付ける先には多くのロボット達が此方に瀬間っていた。

 

「数が少し多いな……あの子と一緒に下がって「だ、大丈夫です。私……戦えます」……なに?」

 

 そう言って女性は手をかざし…

 

 

「ほ、炎よ、舞って!い...IGNEST!」

 

 

 炎を放った。放たれた炎はロボット達の装甲を焦がし。ロボット達は撤退した。

 

「「!?!?!?」」

 

 

「よ、良かった……あの程度の炎の"ドグマ"で逃げてくれて………それとも"魔従教団の術士"だと思って、逃げ出したんでしょうか……」

 

 安堵のため息を吐く女性とは違い、シンとワタルは困惑していた。

 

(………今度は魔法使いか………"ドグマ"……"魔従教団"……彼女は何か知ってる様だ)

 

「あ、あの……助けてくれてありがとうございます」

 

「気にしないでください…その為に私…此処に来たんですから……って偉そうに言えませんね、私もピンチだったんですから…すみません!貴方のお陰で助かりました、ありがとうございます!」

 

 そう言って女性はシンに頭を下げる。

 

「気にするな、俺は気にしない。軍人である以上、民間人を守るのは当然の義務だ。……自己紹介がまだだったな、俺はシン……シン・アスカ、ザフトの軍人だ」

 

「シンさんですか。私はアマリ……【アマリ・アクアマリン】です。……ザフト?」

 

「………知らないのか?」

 

 ザフトに頭を傾げるアマリ。CE(コズミックイラ)でザフトを知らない人間など居ない筈……視線を移せばワタルを困惑していた。

 

「ザフト?……シンさん、"マジンガー"や"勇者特急隊"の人じゃないの?」

 

「………………なんだそれ?」

 

 話が噛み合わない……するとアマリが複雑そうに口を開く。

 

「………やっぱりシンさんとワタル君は……「異界人ですね、マスター」ホープス!!」

 

 

「………ねぇ、シンさん?」

 

「………なんだ、ワタル?」

 

「僕、おかしくなったのかな?オウムが喋ってるよ」

 

「…………大丈夫だ、俺も聞こえる」

 

 目の前の事が信じられないと言わんばかりの二人。当然だろう………いきなり、アマリをマスターと呼ぶ黒いオウムが人間の様に喋ったのだから。

 

 

「まったく、私達はこちらの少年を保護する為に来たのに彼が来てくれなかったら、ブリキントンに為すがままだったではないですか」

 

 

(ブリキントン………あのアンドロイドの事か)

 

「それはその通りですけど、ホープス…見ていたんなら、助けてくれても良いのに…」

 

 アマリが拗ね、ホープスというオウムに文句を言っている。

 

「それは私の職務ではありません」

 

「そんな………」

 

 落ち込むアマリに苦笑いを浮かべるシンとワタル、ホープスと呼ばれたオウムは二人に視線を向ける。

 

 

「さて、其方のお二人。申し訳ありませんが話をしている時間はありません………連中は魔神(マシン)を出してきたようです」

 

「え!」

 

「魔神…?」

 

「だったら、急がなきゃ……!」

 

 いきなり走りだすアマリにシン達は困惑する。

 

「お、おい!…………っ!何か近づいてくる……この音は…戦車か!!」

 

 

 戦いの中で飽きる程聞いてきた、戦車のキャタピラ音がシンの耳に響く。

 

 視線を向ければ、普通のモノよりも何倍も巨大な戦車が七機、此方に迫ってきていた。

 

 しかし、姿は異質だった。車体の上に人間の顔があり両側から手が生え銃を握っている。

 

 

「え……え…魔神が7体もいます……!幾ら何でも多すぎじゃないですか!」

 

 

「さっきの手から出る炎で何とかならないの⁉︎……と、言うかさっきの何!?」

 

「…………あれはエンデのドグマ………別の言い方をすれば魔法です!」

 

「魔法だと………!?」

 

「はい、異界人の皆さんは驚くかもしれませんが、"アル・ワース"では知らない人はいません、実際に術士にあった事がある人はそうはいないでしょうけど……」

 

「ちょ、ちょっと待って!異界人とか、アル・ワースとか、一体何の事なの⁉︎」

 

 いつの間にか見知らぬ地に居て、変なロボットに襲われて、訳のわからない単語を並べなれて、子供のワタルが冷静で居られる筈がなかった。

 

 一方でシンは合点がいったとばかりに苦い表情を浮かべる。

 

「………やっぱり、そう言う事か……」

 

「シンさん?」

 

「……………ワタル、出会ってから俺達の言葉は噛み合わないモノが多い。俺の"ザフト"、お前の"勇者特急隊"、アマリの"ドグマ"とか言う魔法……少なくとも、俺達は魔法なんて知らない……そうだろ?」

 

「う、うん」

 

「……………正直、俺も信じられないが……この現実を受け入れて、"異界人"と言う言葉を組み合わせれば………ワタル、俺達は各々、"別の世界"の住人で………このアル・ワースとか言う"異世界"に来てしまったんだ…!!」

 

「…い、異世界!?……そ、そうだ!僕、此処に来る前に龍が現れて!!」

 

 

 シンの言葉が信じられないと言わんばかりに困惑するが、何処が合点がいった様に語りだす。

 

 そこにアマリが口を開く。

 

「そう、シンさんの言う通り。此処はアル・ワースと言う世界であり、"異界人"とは別の世界から迷い混んだ人を座す言葉…………改めて自己紹介します。私は藍柱石(らんちゅうせき)の術士【アマリ・アクアマリン】、皆さんがわかる言葉で言えば、魔法使いです!」

 

 

「やっぱり魔法使いか」

 

  シン達が話しているとロボットの1体がこっちに向かって進軍する。

 

「ロボットが来る!」

 

「あれはワタル君……君を狙っているんです」

 

「何でワタルを?」

 

「そうだよ!僕、ただの小学四年生だよ!」

 

 何故、自分なのか……叫びたくなるのは当然だろう。

 

「大丈夫です!私が絶対に君達を守りますから!」

 

「守るって……………震えているぞ」

 

 歴戦の戦士であるシンはアマリがロクに戦った事とない素人であり、戦いに恐怖している事を瞬時に見抜く。

 

 その時だ、1体の魔神がシン達に迫って来ていた魔神を切り裂いた。

 

 大きさは戦車の魔神と同じ位か少し高く、黄緑の装甲に背中に手裏剣を背負っている。

 

「あの魔神……私達を助けてくれたの?」

 

「でも!たった1機で、あれの相手をするのは…!」

 

(…確かに無勢だな……"fate"を呼ぶか……この場をあの魔神に任せて逃げるか……)

 

「来ました……!」

 

 その言葉と共にアマリが空を見上げると白いボディに黒い翼、金の角……何処がホープスに似た鋼の巨人が現れる。

 

「また違うロボット……⁉︎」

 

「もう!遅いですよ、ホープス!」

 

「魔神とか言う二頭身の奴とは根本的に違う機体か……それにホープスって……あのオウムか」

 

 白い機体からホープスの声が聞こえた。

 

『その様子では、覚悟を決められたようですね』

 

「……自信がなくても、やらなきゃいけない状況ですからね………」

 

『かしこまりました………では、どうぞ』

 

 アマリが機体に乗り込もうとする。

 

「アマリさん!」

 

(心配ありません!私がゼルガードで戦います!皆さんは茂みに隠れて待っててください!」

 

「ゼルガード……あの機体の名前か………だけど、お前!!」

 

「私は………大丈夫です!』

 

 シンの静止を振り切り、アマリはゼルガードに乗り込む。そしてゼルガードのツインアイが輝き、空を飛んだ。

 

「………大丈夫って……そんな顔して言う台詞じゃねぇよ」

 

 恐怖を隠しきれないアマリの表情を思い浮かべ、シンはやるせない表情を浮かべる。そうしているとアマリの乗るゼルガードが緑色の魔神の隣まで移動した。

 

『そちらの緑の魔神さん!手を貸してください!』

 

『女の子か……』

 

 魔神から聞こえてきた声の高さからして男性だ。

 

『え…』

 

『いや、いい……助太刀する』

 

『ありがとうございます!』

 

 

 ゼルガードは緑の魔神と協力して、魔神軍団と戦い始めた。あまりにも現実離れした光景にワタルは思わず叫ぶ。

 

「あっちのロボットも、こっちのロボットも"機械獣"でもなければ、"勇者特急隊"でもない……何がどうなってるんだよ、此処は⁉︎」

 

 その様子はゼルガードに居るアマリ達にも確認できた。

 

『あの少年、混乱していますね』

 

『当たり前ですよ!いきなり見知らぬ世界に連れてこられたんですから』

 

『それに対し、あのシンと言う男性は混乱している様子はありませんね』

 

『軍人と名乗っていましたし………後で詳しく話を聞いてみましょう………その為にも絶対に守ります!』

 

『それは世界の為にですか?』

 

  その問いにアマリは戦闘の恐怖を感じつつも凛として答える。

 

『それ以前の問題です』

 

『かしこまりました…では、存分にどうぞ』

 

『お願い、ゼルガード!私に応えて!』

 

 アマリの言葉に応える様にゼルガードが輝く。

 

『オドの収束率………戦闘レベルに到達を確認』

 

『やりますよ、ホープス、ゼルガード!必ず守ってみせます!』

 

 そう叫びアマリはゼルガードを動かす。

 

 

『魔力とオドを一つに…!』

 

 

 ゼルガードの両手が輝き、現れた魔方陣から旋風が舞い上がる。

 

『集え、旋風の精!』

 

 それがゼルガードの両手に集い……

 

『いって!VARTEX(ヴァーテクス)!!』

 

 戦車の魔神を切り裂いた。

 

 それを見たワタルは嬉しそうに、シンは探る様に見ていた。

 

「やった倒した!」

 

(魔法で戦う機体って訳か……)

 

 次にシンは緑の魔神に視線を向ける。緑の魔神は小太刀で敵を切り裂いている。

 

(それなりの手練れだな…………時々、ワタルに向けているし、やっぱりワタルは特別な存在なのか)

 

 こんなファンタジーな世界だ。ワタルが特別な存在だとしても不思議ではない。

 

(……………何にせよこの場は切り抜けられそうだ)

 

 数分後、シンの予想通りにゼルガードと緑の魔神によって魔神軍団は全滅した。

 

 それを確認したアマリは安堵のため息を吐く。

 

『ふぅ……つ、疲れました』

 

『緊張の糸が途切れた様ですね』

 

『初めての戦闘でしたし……………それにしても彼らの動きが活発になってきましたね』

 

『ええ...この様子では近々、"魔従教団"も動き出すでしょう』

 

『……………ですね』

 

 ホープスの言葉に何処が不安げな様子でアマリは返す。その時、黄緑の魔神がこの場を去ろうとする。

 

『あ、あの…!お名前、聞かせてくれませんか!』

 

『名乗る程の者でもないウラ』

 

 しかし、予想外の言葉を返し黄緑の魔神は去っていった。

 

『ウラ…?』

 

『語尾の様なものでしょう』

 

『そ、そうですか…………とにかく、二人を連れて"モンジャ村"に行きましょう』

 

『了解です、急ぎ…!?、マスターすぐにこの場から撤退を!!』

 

『ど、どうしたんですか!?いきな…………うそ、どうして!?』

 

 ホープスの言葉の意味が理解できたのだろう……アマリは信じられないと言わんばかりに空を見上げる。

 

 

 そしてワタルとシンも空の異常に目を奪われる。

 

「どう……なってるの!」

 

「空が………割れた…!?」

 

 

 そう、空が割れたのだ………ワタルは勿論だが、異世界と言うことである程度覚悟していたシンも呆気に取られる。

 

 刹那、周囲に電撃のようなエネルギーがスパークし、シン達の頭上の空間が歪んでいく。

 

 

 

 

 

 そして、穴が空いた空間から………異形の怪物達が現れた。

 

 

 

「ど、ドラゴン…!?」

 

 鋭利な爪や牙を持ち、コウモリのような翼で空を飛び、全身は覆われている。ワタルの言う通り、それは伝承で語られるドラゴンだった。

 

「…いくらなんでも……ファンタジー過ぎるだろ」

 

 シンも目の前の現実に久しく流した事のない冷や汗を流していた。

 

 数は赤い小型のワイバーンが七体に………複数の眼と長い首を持ち、翼の先端が人間の手のようになっている。体色は濃い緑に………全長が100mを越える巨体を誇る大型級のドラゴンが一体………絶望的だ。

 

 

 ドラゴン達が大気を揺るがす咆哮を放ち、ゼルガードに襲いかかる。ゼルガードもなんとか応戦するが、機体に頼っているアマリの技量では無理だ。

 

 

 案の定、翻弄されるゼルガードに沈黙していた大型のドラゴンが巨大な口を開く。ゼルガードが展開していた様な魔方陣が展開され………極大の閃光が放たれた。

 

 咄嗟に防御壁の様な魔方陣を展開して防御するも、大爆発を起こし、ゼルガードは地面に叩きつけられた。

 

 大事には至ってないがとてもすぐに動ける状態じゃない。

 

「アマリさん!」

 

 鬼気迫る表情でゼルガードの元に駆け出すワタルを咄嗟に掴まえる。

 

「何やってんだワタル!?喰われるぞ!!」

 

 この状況で飛び出すなど自殺行為に等しい、それでもワタルは偽りのない本心を叫ぶ。

 

 

「でも………でも!アマリさんは僕達を守る為に戦っているんだ!そんなアマリさんを……今度は僕が助けたいんだ!!!」

 

 

 何もできない事なんてワタル自身が理解しているだろう………それでも叫ばすにいられない、助けたいと!

 

 そんなワタルにシンは幼い自分を重ねた。

 

 "俺"が………まだ、"僕"だった頃……ヒーローになると父に誓った自分は……まだ、小学生だった。

 

 

「………馬鹿だな。お前に何ができるってんだ」

 

 愚かにも程がある。容赦なく言うシンにワタルは目に涙を浮かべ俯く。

 

「……だけど、嫌いじゃなぜ……その愚かさ」

 

「え?」

 

 その言葉が意外だったのかワタルは顔を上げる。

 

「……確かにアマリは俺達を助ける為に戦った。怖いくせに……戦いたくないくせに……出会ったばかりの俺達の為に………そんな彼女をあんなドラゴンどもに喰わせる訳にはいかない」

 

 

 シンはワタルの肩に手を置き、視線を合わせる。

 

 

「だから………アマリを助ける役目は俺に譲ってくれ。必ず助けてみせる!」

 

「シンさん…………うん、信じる!僕、シンさんの事を信じる!だからお願い、アマリさんを助けて!!」

 

 ワタルの言葉にシンは笑みを浮かべる。

 

 

「ああ、俺は………もう二度と、"嘘はつかない"!」

 

 そう言ってシンはゼルガードに向かって走りだす。左腕の紅いガントレット……"fateブレス"を操作する。

 

 

「行くぞfate!此所が異世界であろうと関係ない!俺はもう二度と……助けられる命を見捨てない!!」

 

 

 脳裏に過るは守ると誓っても、守る事ができなかったステラの姿……彼女の形見である貝殻のネックレスを握り、左腕を天に向け掲げ叫ぶ。

 

 

 

       シン・アスカの力を。

 

 

 

 

 

 

「来い!ガンダァァァァム!!」  

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 地面に叩きつけられたゼルガード……パイロットであるアマリは朦朧とした意識を奮い起たせゼルガードを動かそうとする。

 

『マスター!今すぐ撤退を!』

 

『ダメです!此処で退いたらワタル君達が!』

 

『そんな事を言ってる場合ですか!?』

 

『でも!!……っ!』

 

 ホープスとの言い合いに意識を向けすぎた……ドラゴンの一体がゼルガードのコクピットに狙いを定めて口を広げて迫る。

 

『あ………』

 

 死………………アマリの脳裏にその言葉が過った。止めどなく溢れる恐怖。そして生への渇望。

 

 

(私はまだ………"本当の自分"を見つけていないのに……終わりたくない…!まだ、始まったばかりなのに…………こんな所で死にたくない!!)

 

 

 そう強く願っても現実は変わらない……ドラゴンがゼルガードのコクピットに食い付く……その時だった。

 

 

 

 

 突如、飛来した"光"がドラゴンを撃ち抜いた。

 

 

『え………』

 

 

 

 ドラゴンは断末魔の悲鳴を上げ、やがて力尽きて落下する。その光景にアマリは勿論、ホープスも唖然とする。

 

 何が起きたのか………誰もが空を見上げると……"ソレ"は舞い降りた。

 

 

 

 それは…“鋼の体を持つ機神”だった。青、銀、白の騎士を連想させる配色に、何より目を引かれるのは背部と両肩の計4つのウイングユニットだ。

 

 鮮やかな宝石の様な美しい真紅の光が溢れて光の翼を形成する。光の翼が暗雲を吹き飛ばし光を浴びながら舞い降りる“機神”はまるで神話の様な神々しさを見る者全てに感じさせた。

 

 

 

『綺麗……』

 

 

 先程まで命の危機だったの言うのにアマリは思わず呟く。機神はゼルガードの目の前に下り立つと、腹部が開きコクピットが現れ、そこに紅い影………シンが飛び込む。

 

『間に合ってよかった……無事かアマリ?』

 

『し、シンさん!?どうして…?』

 

『君と同じさ』

 

『わ、私と……?』

 

 シンの言葉がわからない様子のアマリ。

 

『君が俺とワタルを助けてくれた様に……アマリ、君を助けに俺は来た』

 

『私を……助けに?』

 

『ああ、後は任せろ!!』

 

 そう言ってシンは機神………"fate"を動かす。光の翼を広げ空を飛ぶ"fate"……機体の背中の複合兵操アームドウイングバインダーが四つの砲身に別れ前面に展開、両腰にマウントしてある2丁のビームライフルを構え、コクピットに空間ディスプレイが浮かび上がり、火器管制システムで、【マルチロックオンシステム】が起動、六体のドラゴンに狙いをつける。

 

 

 そして次の瞬間、六つの砲身が火を吹いた。それらの砲撃は一瞬にして六体のドラゴンを撃ち抜き地面に沈めた。その光景にアマリは唖然としていた。

 

 しかしすぐに現実に戻される、仲間を倒されて激怒したのか巨大ドラゴンが咆哮を上げて"fate"に突撃する。

 

 いくら"fate"でも、あの巨体で体当たりを喰らえば一溜りもない。しかし、シンは動じる事はなかった。"Fate”の脚部にある銀色の装甲、「パラディンレガース」が足先を覆うようにスライドダウンし、ビームを纏ったかと思えば何と巨大ドラゴンを蹴り飛ばしたのだ。

 

 凄まじい巨体を誇る巨大竜が、鱗を焼かれ、歯を砕かれ、地面に叩きつけられる。その光景にアマリ達は言葉が出ない。

 

 巨大ドラゴンも自らに起こった事が信じられないのか、困惑の声を出しつつも魔方陣を展開し、光弾を放つ。

 

 しかし光の翼を広げ、驚異的な機動力とスピードの"fate"には掠りもしない。巨大ドラゴンに降下しながら左側のアームドウイングバインダーが変形、巨大な剣、「アロンダイト・メビウス」へとその姿を変える。

 

 

『これで…………終わりだぁぁぁ!!』

 

 

 一瞬で間合いに入った"fate"はアロンダイト・メビウスを振り下ろし、巨大ドラゴンを真っ二つに切り裂いた。

 

 

 

『……………流石にもうないか』

 

 暫く周囲を警戒するが、流石にもう何も無いようだ。

 

『大丈夫かアマリ?』

 

『……はい………ごめんなさい。助けるつもりが逆に助けられるなんて……』

 

 ゼルガードの元に戻りアマリに呼び掛けるが……アマリの声は何処が暗かった。

 

『気にするな……最初の魔神とか言うのからアマリが俺達を守ってくれたのは事実だ。後、こういう時は"ごめんなさい"……なんて言うもんじゃないぜ』

 

『え?』

 

『アマリはワタルに"ごめんなさい"って言ってほしいのか?』

 

 シンに言われてアマリは思い浮かべる。ワタルが暗い表情をしながら自分に謝る姿を……それは嫌だ。

 

『………………言ってほしくないです』

 

『だろ、"ごめんなさい"より"ありがとう"の方が俺はずっと良いけどな』

 

『っ!……………そうですね。シンさんーー』

 

 

 

 

 

 

 

  ありがとうございます!

 

 

 

 

 

 そう言って笑顔で笑うアマリは綺麗だった。それにつられてシンも笑みを浮かべる。すると、"fate"のセンサーが何かを捉える。

 

 画面が切り替わると、手を振りながら笑顔で此方に走りだすワタルの姿が映っていた。

 

「オーイ!シンさーん、アマリさーん!!」

 

 

 健気なワタルの姿にシンもアマリも思わず笑みが零れる。

 

『ふっ、それじゃあ、ワタルの所に行こうか』

 

『はい!!』

 

 

 

 

 

 異世界アル・ワースで出会った三人。この出会いを切っ掛けに運命の歯車は回り始めた。

 

 

 

 

END

 




 
ホープス(………此処に来る時に感じた大いなる存在…それは貴方とあの機神だった。あのドラゴン達も彼等を感じてやって来た…………フフ、シン・アスカ……少し、貴方に興味が湧いてきました)







 気づけば過去最高の文字数になっていた…!

 ゲーム本編では前戦の魔神軍団はとの戦いだけでしたが、それだと"fate"の出番が無いので参戦作品であるクロスアンジュからドラゴンを出しました。

 次回はワタル回です。





 次回予告!!

 モンジャ村にやって来たシン達。其所で語られる"伝説の救世主"………それこそがワタルだと言う。救世主になると言うワタルの言葉を否定するシン。その時、モンジャ村に魔の手が迫る。ワタルの無謀が勇気に変わる時、伝説の龍神が目覚める!!

 次回!【英雄と救世主】

 少年の勇気と共に、目覚めろ!龍神丸!!
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