シン達によって撤退したシュワルビネガー達は予想通り戦車の魔神、ゲッペルタンクに搭乗して再び現れた。
「凄い奴がやってきた!パワーアップした、ゲッペルタンクの力を見せつけてやる!」
「こっちも凄い奴らが来るのだ!」
シュワルビネガーに反応するヒミコの言葉。それに合わせる様にワタルが剣を、シンがfateブレスを天に掲げる。
「龍神丸ぅぅぅっ!!」
「ガンダァァァァム!!」
二人の叫びと共に龍神丸が光の中から、fateが天空から現れる。
『出たな!龍神丸と四枚羽!!』
『僕達だけじゃない!』
ワタルの言葉と共にアマリのゼルガード、シバラクの戦神丸……そして、銀色に輝く機体。これこそがマサキの愛機、"魔装機神サイバスター"だ。
『お待たせしました!ワタル君、シンさん!』
『シバラクがなかなか公衆電話を見つけられなくて遅くなっちまった』
『それを言うな、マサキ』
『心配ないですよ、シバラクさん!』
『戦いは、まだ始まってないから!』
『そうか、そうか!これでグランディス殿に拙者の活躍を見せる事ができる!』
ガハハと笑うシバラクに苦笑いを浮かべるアマリがあることに気づく。
『あの3人組……居ない様ですけど』
その時、fate達の後ろに赤い戦車の様なモノが現れる。新手かと身構えるが…
『世紀の大傑作!万能戦車、グランディスタンク……略して、グラタン参上!』
赤い戦車……グラタンからハンソンの声が聞こえる。グラタン?と、その名前にハテナを浮かべるシン達だが離れた場所に避難していたジャンが笑みを浮かべる。
「グラタンも、こっちの世界に来てたんだ!」
『まあな!……けどよ、ハンソン。あんな見た事もないようなメカ相手にこいつで勝てるのか?』
『大丈夫!ノーチラス号から分けてもらったパーツでグラタンも大幅にパワーアップしてるから!』
『どうでもいいけど、ハンソン……こいつの名前はグラタンじゃなくて、カトリィヌだよ』
(どうやら、カトリィヌだがグラタンたがって名前の戦車にはグランディスさん、サンソンさん、ハンソンさんが乗っているのか)
『きっと姐さんも驚きますよ、パワーアップしたグラタンの力に!』
『だから!グラタンじゃなくて、カトリィヌ!』
漫才を始めるグランディスにシンとワタルは苦笑いを浮かべつつも通信を入れる。
『後にしましょう、グランディスさん』
『向こうはやる気満々なんだから!』
『わかってるよ、シン、ワタル!このグランディス……売られたケンカは倍返しの主義だからね!』
『んじゃ、ハンソンご自慢の生まれ変わったグラタンの試運転だ!全開で行くぜ!』
「頼んだよ、グランディスさん!サンソン、ハンソン!」
これで役者は揃った。龍神丸の中にいるワタルが剣を構える。
『行くぞ、シュワルビネガー!僕達を追って来たんなら、返り討ちにしてやる!』
『やれるものならやってみろ!今日の俺様は負けられない理由があるのだ!』
シュワルビネガーの叫び共にゲッペルタンク達が一斉に銃撃を始める。迫りくる銃の嵐に一同は回避に専念する。絶え間なく放たれる銃撃を刀で弾きながらシバラクが声をもらす。
『むぅ!これだけの銃撃では中々に近付けぬ!』
『……なら、弾より速く動けばいい!マサキ!!』
『おう!ワタル、アマリ!お前らはあのオッサンをやれ!雑魚は俺達に任せろ!』
弾より速く……そんな突拍子のないシンの言葉。しかし、マサキは笑みを浮かべてサイバスターを動かす。
それぞれ、紅と銀の翼を広げてfateとサイバスターは突撃する。風の様に飛ぶ二機に銃弾など掠りをしない。
『ぬう!四枚羽……と、あれは鳥か!?はたまた飛行機か!?』
『四枚羽……fateの事か?』
『へっ!教えてやるぜオッサン!コイツは風の魔装機神サイバスターだ!』
シュワルビネガー以外のゲッペルタンク達に狙いを定め、fateがビームサーベルを二刀流に、サイバスターが自身の剣であるディスカッターを構え……
『終わりだ!』
『ディスカッター、霞切り!!』
一瞬の内に切り裂いた。爆発四散するゲッペルタンク……銃撃は止み龍神丸とゼルガードが突撃する。
『ワタルとお節介の魔術教団!いつの間に仲間を増やしていたのだ!?』
『お節介……ですか?言われてみれば、そうかもしれませんね……でも、それが今の私なんです!私は私のやりたい事をやらせてもらいます!!』
『ちょっと待て!お前のやりたい事って!?』
『決まっています!貴方の様な悪い人を倒す、それが私のドグマです!!』
『いくぞシュワルビネガー!僕達の力を合わせてお前を倒し、ドアクダーなんてすぐに倒してやるからな!!』
シュワルビネガーの放つ銃弾を回避して、龍神丸とゼルガードが攻撃する。
『龍神丸!』
『うむ、龍の牙を受けよ!』
龍神丸の肩にある牙が輝き、回転しながら宙を舞う。一方、ゼルガードの両手が輝き現れた魔方陣から旋風が舞い上がる。
『魔力とオドを一つに…!集え、旋風の精!』
龍神丸が、ゼルガードが……シュワルビネガーに向かって力を解き放つ。
『龍牙けぇぇん!!』
『VARTEX!!』
龍の牙と風の刃がシュワルビネガーのゲッペルタンクを切り裂いた。ボロボロになったゲッペルタンク、シュワルビネガーが苦痛の声をもらす。
『い、いかん!このままでは、また負ける!無様な姿を晒すのに比べれば、逃げる方がマシと判断する!』
そう言い、シュワルビネガーのゲッペルタンクは逃げ始めた。
『追うぞ、ワタル!』
『わかってるよ、龍神丸!』
ワタルと龍神丸はシュワルビネガーを追おうとしたその時だった……ナディアのブルーウォーターが輝きだす。
「あ…」
「ブルーウォーターが…!」
「何かの警告なの...?」
そして、龍神丸がシュワルビネガーのゲッペルタンクの元まで辿り着いた。その時、fateのレーダーが何かを捉える。それはサイバスターも同じだった。
『待てワタル!!』
『何か来るぞ!』
『それも別々の方向からニャ!』
すると、龍神丸を取り囲む様に2機の魔神が現れる。
(シュワルビネガーの野郎を追い込むとはやるじゃねえか、ワタル)
一機は鳥の連想させる魔神、クラマが操る"空神丸"。
『セ、セカンドガン!クルージング・トム様がおいでになられたのか!?』
もう一機は赤と白の配色でパイロットを連想させる姿をし、空を飛びガトリングガンを構えた魔神、"セカンドガン"。
『その通りだ、シュワルビネガー!この筋肉だけが取り柄の役立たずめ!後方から見物させてもらっていたが、もう我慢できん!そこでこの俺の戦い方を見ておれ!』
クルージング・トムの叫びと共にセカンドガンが龍神丸に狙いをつける。
『後退だワタル!奴等はこちらを狙っている!』
『え…!』
(まずい!此処でクルージング・トムがワタルを倒したら、俺が手柄を立てられん!こうなったら、俺が先にワタルを倒すしかない…!)
それを見て焦ったクラマも龍神丸に遅いかかる。
『死ね、ワタル!』
『!』
『不味い!?』
『ワタル君!?』
このままではヤられる。しかし、戦神丸とゼルガードでは間に合わない!
突然の事にワタルは思わず目を瞑る。鳴り響く衝撃音……しかし、それは自分達に当てられたモノではなかった。
目を開けるワタルが見たモノは……龍神丸を庇い、空神丸とセカンドガンを殴り飛ばすfate……師であるシンの姿だった。
『し、師匠!?』
『独りで突っ込むなワタル!』
『ご、ごめんなさい……』
シンの怒りの声に反射的に返すワタル。一方でクラマは改めてシンの力に戦慄する。
(くそ!こんな化け物とマトモにやり合って勝てる訳がねぇ!!ここは此処は退くしかねえ!)
空神丸が空を舞い戦線から離脱する、シュワルビネガーもいつの間にか離脱したようだ。
『理解できたならそれでいい。とにかく体勢を立て直すぞ!』
『うん!』
シン達がアマリ達と合流すると同時にfateによって地面に叩きつけられたセカンドガンが起き上がる。
『ええい、仕切り直しだ!よく聞けワタル!俺こそがドアクダー様に第一界層を任された大空の覇者、クルージング・トム様だ!』
『あいつが創界山の第一界層のボスか!』
『其処の四枚羽の邪魔が入ったが此処でお前と仲間達の息の根を止めてやる!来い、我が部下達よ!』
クルージング・トムの掛け声と共にヘリコプターに手足が生えた様な魔神、五機の"ヘルコプター"と赤いカニの様な機体が三機、現れる。
『ん?あっちの赤いカニみたいなのは何だ?』
『何…?』
アレは奴の部下じゃないのか?現れたイレギュラーにシンが警戒を強めると、グランディス達が驚愕の声を上げる。
『サンソン!』
『間違いねえ!あの赤いのはネオ・アトランティスのメカだ!』
『あいつ等!あんなものまで持ち出して、ナディアを狙うってのかい!』
『そう言う事か………奴等、この戦いに便乗してブルーウォーターを奪うつもりか!』
面倒な!心中で毒づくシンとは対象的にクルージング・トムは嬉しい誤算と言わんばかりに笑う。
『よくわからんが、あの丸っこいタンクを狙っているんなら放っておけばいい!俺様の狙いは……ワタル!お前だ!』
『来るなら来い、クルージング・トム!創界山の虹を元に戻すためにも界層ボスのお前には絶対に負けないぞ!』
戦闘が再び始まり、五機のヘルコプターのガトリングとセカンドガンの秒速三百発の銃弾を放つミスト・バルカンが遅いかかる。
『ホープス!』
『了解です!』
それをゼルガードが前に出て魔方陣を展開して防ぐ。しかし次第に魔方陣にヒビが入り始める。アマリは実質このチームのリーダーであるシンに呼び掛ける。
『長くは防げません!シンさんどうしますか!?』
『これ以上戦闘が長くなると面倒だ、一気にケリをつける!!』
『よし!だったらクルージング・トムは僕に任せてよ!』
『しかしワタルよ……私は空を飛べん』
クルージング・トムを倒そうとするが、龍神丸の言葉に唖然とするワタル……しかし、マサキが笑みを浮かべて通信を入れる。
『俺に考えがある!アイツは俺とワタルに任せろ!』
『なら私等はネオ・アトランティスの奴等をヤるよ!』
『ならば拙者はグランディス殿の援護を!!』
『よし!じゃあ俺とアマリであのヘリを撃ち落とす………いくぞ!!』
シンの叫びと同時にアマリが魔方陣を爆発させて銃弾を引き飛ばす。巻き上がる土煙の中からfateとゼルガードが飛び出す。
『ターゲット、ロック!』
fateの背中の複合兵装アームドウイングバインダーが四つの砲身に別れ前面に展開、両腰にマウントしてある2丁のビームライフルを構え、コクピットに空間ディスプレイが浮かび上がり、火器管制システム、【マルチロックオンシステム】が起動、五機のヘルコプターに狙いをつける。
『オドをその身に感じ…自らの魔力と一つにする!』
そして、ゼルガードの両手が紫色に輝き…両手を合わせると魔法陣が現れる。
『フル・バースト!!』
『TEMPESTA!!』
fateとゼルガードが放った砲撃は五機のヘルコプターを容易に撃破する。一瞬の出来事に唖然とするクルージング・トム。そして、ヘルコプターが爆発してできた爆煙を突き破り……
『しっかり掴まれよワタル!』
『うん!』
サイバスターが空を舞う。その背中には龍神丸が乗っていた。二機纏めて撃ち落とそうとセカンドガンのミスト・バルカンが火を吹くが……
『や、奴め!俺のセカンドガンより速いだと!?』
『当然だ!風の魔装機神は伊達じゃねえんだよ!』
『このサイバスターにそんな攻撃当たる訳ないニャ』
『そうニャそうニャ!何が大空の覇者ニャ!』
『おのれぇぇ!』
風の様に飛ぶサイバスターには掠りもしない。シロとクロの言葉に額に青筋を浮かべるクルージング・トム。
その時、下から飛んできた一撃がセカンドガンのミスト・バルカンを撃ち抜いた!
『な、なんだと!?』
死角からの攻撃に驚きを隠せないクルージング・トム……下をみればネオ・アトランティスの連中を片付けたグラタンの砲身がセカンドガンを捉えていた。
『へへっ!俺の射撃は一流だぜ!』
『今だワタル!』
『よーし!いくぞ!!』
この隙を逃さず龍神丸が剣を構えてセカンドガン目掛けて飛ぶ。
『登龍けぇぇぇん!!』
黄金に輝く剣を振り下ろす。しかし、これでも第一界層のボス、咄嗟に重心を反らし致命傷を避けるが……右翼、右腕、右足……右半身を切り裂かれる。
『くそう!覚えていろ、ワタル!次の機会には、必ずお前を倒して、勝利をドアクダー様に報告してやる!』
そう言い残し、クルージング・トムのセカンドガンは撤退した。落ちる龍神丸をfateが抱え地面に降り立つ。とりあえず、一段落だ。
『終わったか…』
『とにかく腹が減ったぜ……こっちに跳ばされてきてから、ロクに何も食ってないからな』
戦闘が終わったのを確信してサンソンが腹を擦る。空腹での戦闘は堪えたようだ。
『だったら、ご飯にしようか!師匠の料理は超一流だよ!!』
『いいのか?』
『何言ってるんですか、ハンソンさん!一緒にドアクダー軍団と戦ってくれたんだから、もう僕達、仲間だよ!』
そう言って笑うワタルに笑みを浮かべてシンは通信を入れる。
『そう言う事です』
『ふふ、話せるね。流石、色男の弟子は違うね』
『まだ言うんですか……それじゃジャン達の所に戻りましょう』
「良かったね、ナディア。これで取り敢えずは何とかなりそうだよ」
その様子を見ながらジャンはナディアに笑いかける。しかしナディアは浮かない顔をしている。
「………」
「ナディア……?」
(こんな所まで来て、ネオ・アトランティスに追われるなんて…全部、このブルーウォーターのせいなの?)
◆◆◆
その後、時刻は夜。
シンが調理した夕食を食べなからそれぞれが会話の花を咲かす。
「いや〜シバラクの旦那!アンタはお目が高い!」
「うちの姐さんに一目惚れとはよくわかってらっしゃる!」
「あの様な美女に仕えているお主等は本当に果報者よ!」
「だったら、旦那も僕達と一緒に姐さんを守っていこうじゃないか!」
「おお!それは良い!」
「って事は、今日から俺達は同志だ!」
ガハハと笑うシバラク達、最初のギスギスした関係は何処にやら、すっかり意気投合している。
「結局、このオッサン達は似た者同士だったって事だな…」
「まぁ、仲が良ければそれで良いだろ…」
そんな三人を見て、俺も数年後にはこうなっているのかと…内心冷や汗のマサキとシン。
一方でグランディスはナディアに付いていた。
「仲よさそうだね...あっちは!」
「………」
「しっかりおしなよ、ナディア。物事ってのは、なる様にしかならないんだから」
「……」
「とにかく、まずは食べなよ。食べなきゃ人間、力が出ないからね」
「……肉は…食べないから……」
「こんな所に来てまで菜食主義とはね...。ま...好きにしな。でも、あんたの事を心配している人間がいるのを忘れるんじゃないよ」
そう言ってグランディスはナディアが手に持つ料理に目を向ける。それは、ジャンが事前にシンにお願いして作ってもらった肉を使わない野菜料理だった。
「……」
「……」
そんなナディアをジャンはずっと見ていた。
「ジャンはナディアをずっと見てるのだ」
「もしかして、ジャンさんってナディアさんの事が好きなの?」
「まあね。僕は何があってもナディアを守るって決めているから」
ハッキリとそう答えるジャンにワタルとヒミコは目を輝かせる。
「ジャンカッコいいのだ!!」
「うん!ハッキシ言って、めちゃくちゃカッコイイぜ!」
「ありがとう。ワタル、ヒミコ」
「でも、師匠と同じ様に僕のいた世界とジャン達の世界も別の世界みたいだね」
「僕のいた時代はワタルのいた時代よりもずっと昔みたいだけど、そもそも同じ地球なのかもわからないね……ねえ、ワタル……僕達、元の世界に帰れると思うかい?」
「それは...」
ジャンの言葉にワタルが言葉を選ぶが……何を言えば良いのかわからない。
「帰れるよ」
しかし、あっさりと言うヒミコに目を見開く。
「本当かい、ヒミコ!?」
「ワタルはオババが呼び出したのだ!だったら、きっと帰れるのだ!」
「そうか!オババなら、きっとみんなを返す方法を知っているはずだ!」
その会話を聞いて、他の皆も集まる。
「おお!それは気がつかなかった!」
「僕達…帰れるの!?」
「へ……もう少し、この世界で冒険を楽しんでも良かったけどな」
「ふざけた事を言ってんじゃないよ!さっさと元の世界に戻って、ネモ様達の行方を追うよ!」
「先生!早くオババ様に連絡してよ!」
「ちょ、ちょっと待て!今、電話してみるからな!」
シバラクは公衆電話でオババに連絡する。
「あ…もしもし…モンジャ村のオババ様?拙者、剣部 シバラクでござる。聞きたい事があるんだが、別の世界から来た人間を元に戻す方法ってあるかな?え………ある!?」
その言葉を聞いて皆の顔色が明るくなる。
「やった!やったよ、ナディア!」
「元の世界に帰れる…」
(でも...帰って何をすればいいの...)
ナディアも笑顔になるがそれも一瞬…すぐに顔を俯かせる。
シンも元の世界に変える手段がある事に安堵する。
「……これでドアクダー退治に専念できる」
「シンは帰らないのか?」
そんなシンの呟きを聞いたマサキが問いかける。変える手段があるなら、てっきりシンもすぐに帰るのだと思っていた様だ。
「別に今すぐ帰る必要はない……ワタルが救世主としての役目を終えるまでは……な、帰るのは全部終わってからでも遅くない」
「……やっぱり、シンさんは優しい人なんですね」
そんなシンにアマリは笑みを浮かべる。それがむず痒いのかシンは頬を赤らめそっぽ向いてしまう。
「……はあ。はい…はい…わかった。では、おやすみなさいませ………ふう」
そうしている内に電話は終わった様だ。
「先生!ジャンさん達は帰れるんだよね!?」
「帰れる事は帰れるらしいんだが……」
しかし、何処か歯切れの悪いシバラクに視線が集まる。
「何だか歯切れの悪い言い方だな」
「オババ様が自分で呼び出したワタルならば、すぐに返す事ができるんだそうだが……そうでもない人間の場合、それなりに準備が必要だそうだ」
「じゃあ、その準備が終われば、帰れるんですね?」
帰れるのなら多少時間がかかっても構わない……そう考えるジャンだが……
「ところが、そうはいかないんだと…オババ様は、創界山の力を借りて術を使うんだそうだが……今の虹の状態では、とてもじゃないが、力が足りんと言う」
シバラクの言いたい事をシンは理解する。
「つまり、虹の色が元に戻らなければ……皆を元の世界に帰す事はできない」
「そんな!」
「情けない声を出すんじゃないよ、ジャン」
「でも、グランディスさん...」
ネガティブになっているジャンにグランディスは笑みを浮かべる。
「方法がわかったんなら、後はそれを全力でやりゃあ良いんだよ」
「それって……!」
「要するに……!」
「虹の色がを元に戻す事…つまり…ドアクダーを倒す事だね!」
「そう言う事だ、ワタル。元の世界に帰る為にもあんた達の旅に協力させてもらうよ」
不適な笑みで宣言するグランディス。その時、何者かの足跡が響き。
「その旅……俺も行くぜ」
……クラマが現れた。
「あ、トリさん!」
「戦闘になったら真っ先に逃げ出したお主が何を言っている!?」
「空から逃げる場所を探してたんだよ。飛べる俺は、こう言う時に役に立つぜ」
シバラクに一歩も引かずに落ち着いて自分の有用性を語るクラマ。
「確かにな…小回りが利く航空戦力があれば色々と便利だ」
「あんた等、ドアクダー軍団と戦っているんだろ?だったら、俺も一緒に行くぜ。あいつ等のやり方には俺も腹が立っていたからな」
「ありがとう、クラマ!これからも一緒に戦おうね!」
「よろしくな、ワタル!……(さっきの言葉の半分は嘘じゃねえ……だがな、ワタル…悪いがお前達を利用させてもらうぜ)」
「……」
「?、どうしましたシンさん?」
ワタルと握手を交わすクラマをシンは探る様に見ていた。シンの脳裏に過るは戦闘の時に現れた空神丸。あの時、あの場から消えていたのはクラマだけ。勿論、クルージング・トムの部下の可能性もあるが……龍神丸を狙ったあの攻撃は連携が取れていなかった……全ては何の確証もない憶測……しかし、シンの勘がクラマと空神丸を連想させる。
「……いや、何でもないよアマリ」
「?」
「仲間がいっぱいなのだ!」
「よし!みんなで力を合わせて、ドアクダーを倒そう!!」
「流石は救世主だ。将来、師匠に似ていい男になりそうだよ」
「拙者はどうですかな、グランディス殿?」
「もう育ちきって伸び代は無さそうだね」
「あら…」
「そうと決まれば今日はさっさと寝て明日から頑張るよ!ジャンもナディアもいいね?」
「はい!」
落ち込むシバラクに気にも止めずに二人に呼び掛けるグランディス。気を引き締めるジャンとは対象的にナディアの表情は暗いままだった。
(また戦い……何処に居ても戦いがあるのね…)
END
【クロスオーバー放送!!】
オウムさん《アマリ》「さ、3、2、1…!ど、どっか~ん!!」
ワタル「わ~~い!!」
ヒミコ「わ~~いなのだ!!」
シン「なぜなにクロス~!!」
オウムさん《アマリ》「おーいみんな、集まれー!秘密の時間だよー!!」
ワタル「集まれー!!」
ヒミコ「集まるのだー!!」
シン「前回に続きこのコーナーでは、本編に登場する機体について解説するぞ!」
ワタル「それじゃあ師匠。今回紹介する機体を僕達とオウムのお姉さんに教えてよ!!」
オウムさん「………やっぱり私はこの格好なんですね」
シン「気にするな、俺は気にしない!では、今回紹介する機体は………【サイバスター】だ!破壊神復活の予言を受け、ラングラン王国にて建造された人型メカ「魔装機」のうち、地・水・火・風の上位精霊を宿した4機の「魔装機神」の1機で、風の精霊サイフィスと契約し、その加護を受けており、機動性・運動性に優れた機体であり、魔装機中で唯一、高速巡航形態「サイバード」への変形機構を搭載しているスパロボ作品屈指の人気機体だ!!」
オウムさん「そうですね……サイバスターの速さは圧巻の一言で……マサキさん!笑い過ぎです!!」
*マサキは画面外で腹を抱えて笑っています。
マサキ「い、いや、オウムさんってお前!駄目だ、笑いが止まらねぇ!!」
オウムさん「マサキさぁぁぁん!!!?」
シン「そこまでにしとけ……転移のショックで本来の力を発揮できないサイバスター。真の力を見るのが楽しみだ」
マサキ「ああ!サイバスターなら神だろうが魔王だろうがぶっ倒せるぜ!!」
シン「頼りにしてるぜ。それじゃあ……次回もお楽しみに!!」
次回予告!!
マサキやグランディス……新たな仲間に頼もしさを感じる一方で立て続けに現れる異界人に人為的なモノを感じ始めるシン達。そんな彼等の前に不思議な妖精"チャム"が現れる。
それは、死んだ筈の聖戦士との出会いの始まりだった。
次回!!【放浪の聖戦士】
聖なるオーラで悪を切り裂け!ダンバイン!!