運命の英雄   作:DestinyImpulse

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いよいよ……真の主人公機の登場です!!


六話・運命の聖剣

「要求への回答期限まで、あと五時間……」

 

 “ミネルバ”ブリッジで、タリアは時計を確認しながら呟いた。既にザフトと連合を脱退してきた義勇軍からなる対“ロゴス”同盟国は、“ヘブンズベース”に臨むアイスランド沖に布陣を終えていた。こちらの軍の司令部は、“ミネルバ”に置かれている。ブリッジに設置された戦略パネルを前に、デュランダルが唸った。

 

「戦わずにすめば、それが一番良いのだが…」 

 

 ヘブンスベースには以下のような通告がなされた。

 

『我等ザフト及び地球連合軍はヘブンズベースに対し以下を要求する。一、先に公表したロゴス構成メンバーの即時引き渡し。二、全軍の武装解除、基地施設の放棄』

 

 これをどうか飲んでほしい。 話し合えれば、それに越したことはないのだから。

 

 その時、各国のマスコミのカメラが陸側の変化をとらえた。こちらに向けて防衛ラインをつくっていた連合軍の艦隊から、何かが無数に打ち上げられた。ほぼ同時に“ミネルバ”で叫び声があがる。

 

「敵軍、ミサイル発射!」

 

 ブリッジの空気が凍りつく。

 

「そんな、まだ何も回答を!」

「何と言う事だーージブリールめ!!」

 

 タリアとデュランダルが声を荒げる中、“ヘブンズベース”の司令室を見下ろすVIPルームには逃げ込んで来た“ロゴス”のメンバーや“ブルーコスモス”の盟主。ロード・ジブリールが居た。ジブリールは悠然たる笑みを浮かべる。

 

「全ては勝たねば意味がないーー後悔するがいい、デュランダル……あの世でな!」

 

 その時、司令室でオペレーターの声が響く。

 

「直上より高速で飛来する物体あり!速すぎます!!」

 

 それと同時に空から降り注ぐ紅い光が同盟国に降り注ぐミサイルを一掃した。一瞬の出来事にジブリールの先程の笑みは消え去り。“ミネルバ”のブリッジも唖然として舞い降りた“ソレ”を見ていた。

 

 

 それは…“ガンダム”だった。青、赤、白のトリコロールカラーで何より目を引かれるのは背部のウイングユニットだ。

 

 鮮やかな紅い翼が開かれそこから宝石の様な美しい真紅の光が溢れて光の翼を形成する。光の翼が暗雲を吹き飛ばし光を浴びながら舞い降りる“ガンダム”はまるで神話の様な神々しさを見る者全てに感じさせた。

 

「綺麗……」

 

 “ミネルバ”のブリッジにそんな呟きが聞こえた時、通信が入る……映っていたのは…

 

『艦長』

「シン!?」

 

 プラントに行っていたシンの姿だった。唖然とするタリアだが…デュランダルは落ち着いた様子で語りかける。

 

「間に合ったか…」

『はい…シン・アスカーー“デスティニー”…只今より戦闘に介入します!』

 

 

 

 

 

 それは遡る事一時間前……

 

「こ、これは…!」

 

 シンは案内されるがままにアーモリーワンの最深部に来ていた。パイロットスーツに着替えており不思議に思うシンだが其処にあった一つのMSに呆気にとられた。セカンドステージの流れを引き継いではいるが一見してわかるほど完成度が高い…

 

「凄い…まるでザフトの精神が形をなした様だ…!」

 

 驚愕するシン、その時…

 

『シン…君がこのメッセージを聞いている事はいよいよ“ロゴス”との戦いが始まると言う事だ』

「議長…!」

『この機体はーーZGMFーX42S“デスティニー”…この戦争の時代に終止符を打つべく製造された物で、全ての性能において“インパルス”を上回る最強のMSだ』

「“デスティニー”…」

 

 “デスティニー”を見上げる。

 

『この聖剣を握り君の思いを貫くんだシン……待っているよ』

「………はい!」

 

 覚悟はあの時に既にできている……シンは“デスティニー”に乗り込み起動のシークエンスを開始していく。コックピット内の各種コンソールが起動して点灯していく。システムの起動と共に中央のディスプレイがポップアップして、OSが起動していく。

 

・Gunnery

・United

・Nuclear-

・Deuterion

・Advanced

・Maneuver System

 

 

「ハイパーデュートリオンエンジン……凄い、“インパルス”の数倍のパワーだ…!」

 

 改めて“デスティニー”の力を思い知る。議長の言葉は大袈裟でも何でもない…正に最強のMSだ。

 

 上部のハッチがどんどん開いていく。コンソールに各種コンディションOKが表示され、出撃可能状態に移行した。

 

 

『シン・アスカーー“デスティニー”!行きます!!』

 

 

 シンの言葉と共に“デスティニー”が星の海へと羽ばたいた。

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、“デスティニー”は“ヘブンズベース”へと舞い降りた。最初は呆気にとられたが“デスティニー”のパイロットがシンだとわかるとブリッジは活気に溢れる。

 

「随分カッコいい登場ね…シン」

『アビー!?どうして君が…』

 

 通信モニターに金髪の美女が表示される。彼女は“アビー・ウィンザー”…シンやレイと同じアカデミー時代をおくった友人である。

 

「通信管制を効率よくする為に配属されたの……“ミネルバ”が司令部だからね」

『そうか…よろしく頼む』

「本当に変わったわね……えぇ、任せて」

 

 お互いに懐かしむが…突然アビーが驚愕する。

 

「待って!“ヘブンズベース”から何か出る……嘘でしょ…ベルリンを焼き払った超巨大兵器出現!その数…五機!!」

 

 アビーの叫びにブリッジは騒然する…一機で都市を壊滅させる兵器が五機……正に絶望とも言えるだろう。

 

 だがーー

 

『俺に任せてください』

 

 ーー英雄は止まらない。

 

「シン!貴方何を!?」

「いきなりの攻撃でまだ、他の部隊は準備ができていない…一人じゃ無茶よ!!」

 

 タリアとアビーが声をあげるが……シンの目は本気だった。

 

『俺と“デスティニー”ならやれます…議長』

 

 暫く沈黙したが……この絶望を覆せる奇跡を起こせるのはシンと“デスティニー”しか存在しない。

 

「………頼む。こちらもすぐに援護する」

『はい!』

「シン…気をつけて」

『……任せろ』

 

 通信が切れる。シンは“デスティニー”を“ヘブンズベース”に向ける。アビーの言う通り…ベルリンの悪魔…“デストロイ”が五機現れている。

 

『アレに乗っているのも……』

 

 恐らくはステラと同じエクステンデッドなんだろう…人の意思を奪われ無理矢理、兵器にされた存在。覚悟を決めたシンだが、心は痛む。

 

 その時、声が聞こえたーー

 

 

「シン、お願い……皆を解放してあげて…もう、休ませてあげて」

 

 

 幻だったのかもしれない……それでもシンには聞こえた……彼女の願いが…

 

『!?、ステラ……わかったよ』

 

 貝殻のペンダントを握る……そして“デスティニー”に語りかける。

 

『運命の名を持つ機械よ……もし、消えゆく命の儚さがほんのひとかけらでもわかるなら……』

 

 シンの【種】が割れる。

 

『力をかせ!!』

 

 その叫びに答えるかの如く“デスティニー”の緑のツインアイが輝く。

 

『行くぞ!“デスティニー”!!』

 

 “デスティニー”は光の翼を広げて“デストロイ”に突撃する。“デストロイ”は次々とビームを放つが“デスティニー”には掠りもしない。

 

 “デスティニー”は“デスティニーインパルス”の完成形…当然「ヴォワチュールリュミエール」を搭載している。膨大な電力を消費するデメリットを核動力源にする事で解消しており正に最速のMSだ。

 

 しかもそれだけではない…ウイングユニットには特殊粒子を散布する「ミラージュコロイド」も搭載されている。空間に散布した「ミラージュコロイド」へ自機の映像を投影し、残像として形成する一種の立体映像技術も備わっている。

 

 そんな“デスティニー”を狙い撃てと言う方が無理な話だ。

 

 右側の“デストロイ”に狙いを定めて背部右ウエポンラックに装備された対艦刀「MMI-714 アロンダイト ビームソード 」を抜く。MS形態に変形した“デストロイ”が次々とビームを放つが残像を撃ち抜くだけで“デスティニー”は懐に飛び込んでいた。

 

『はぁぁぁあっ!!』

 

 振り下ろした「アロンダイト」が“デストロイ”を縦一文字に切り裂いた。一撃……たったの一撃であの“デストロイ”が倒された。ジブリールや“ロゴス”のメンバーは優雅さなど欠片もなく顔を青く染め、同盟軍も圧倒的な光景に開いた口が塞がらなかった。

 

「!、危ない!!」

 

 呆気にとられたアビーがシンに通信を飛ばす。隣に居た一機が“デスティニー”に向けて胸部の3連装大口径ビーム砲「スーパースキュラ」を放つ…が…

 

『“デスティニー”をナメるな!!』

 

 光の翼が“デスティニー”を包み込み繭の様な球体へと姿を変えた。「スーパースキュラ」は光の繭に直撃し大爆発を起こすが……煙が晴れると無傷の“デスティニー”が現れた。そのまま“デスティニー”は背部左ウェポンラックに装備された大型ビームランチャーを構える…瞬く間に“デストロイ”のコクピットを撃ち抜いた。

 

 

 僅か一分で“デストロイ”がニ機落とされた…“ロゴス”のメンバーはもはや青を通り越して顔色が白くなっている。

 

「ジ、ジ、ジブリール!」

「だ、だ、大丈夫だ、問題ない!!……早くMS・MAを発進させろ!!あの、化物を落とせ!!」

 

 ジブリールが叫ぶと同時に三機目の“デストロイ”が落とされた。

 

 

 

 

 三機目の“デストロイ”を撃破しビームの一斉射撃も難なく躱す“デスティニー”は“ヘブンズベース”から次々と現れるMSの群れを捉えていた。ライフルを向けたその時、別方向から降り注ぐビームの雨が連合のMSを火だるまに変えていく。

 

『大活躍じゃないか…シン』

 

 その方向を向くとライフルと「突撃ビーム機動砲 」を放つ“レジェンド”が居た。

 

『レイ!それが?』

『あぁ…“レジェンド”ーー“デスティニー”の兄弟機だ。援護は任せろ』

『ちょっと…私を忘れてない?』

 

 続いてフォースシルエットの“インパルス”が現れる。パイロットはーー

 

『ルナマリアか……壊すなよ』

『壊すか!私だって赤なのよ!!』

 

 “レジェンド”と“インパルス”に続いて同盟軍のMSが続々と現れる。アビーからの通信がくる。

 

「シン、レイとルナマリアと一緒に“デストロイ”を撃破して道をつくってちょうだい」

『あぁ…任せろ』

「お姉ちゃん、“ザク”とは違うんだからね“ザク”とは…」

『メイリン……!だから、私は赤なのよ!!』

 

 メイリンはレイとルナマリアを担当するらしい。シンは姉妹に気になった事を聞いてみる。

 

『二人共…アスランの事は…』

『………正直、私は冷めちゃったわね……まぁ、私が勝手に惚れた、だけなんだけどね』

「私は…まだ、心の整理はついてないけど……大丈夫」

 

 どうやら大丈夫な様だ。シンは“デスティニー”を動かす。

 

『よし…行くぞ!!』

『あぁ!!』

『えぇ!!』

 

 シンが叫ぶとレイとルナマリアの応えが重なる。三機は連合のMS群に突っ込んだ。“デスティニー”が先行し「アロンダイト」を構えて突撃する。連合のMSが次々とビームを放つが…光の翼から放たれた粒子が“デスティニー”を覆いビームを遮断する。

 

 “デスティニー”の光の翼は「ヴォワチュールリュミエール」と「ミラージュコロイド」の二重構造となっており光の翼をビームサーベルとしてもビームシールドとしても使用できる、これでさっきの“デストロイ”の一撃を防いだのだ。

 

 

 宇宙で戦った“ドム”は「スクリーミングニンバス」という兵装を有する。これはミラージュコロイドの技術を応用したアンチビームフィールド形成装置であり、ビームと同属性の電子を含む粒子を散布することにより、大火力の砲撃すら凌ぐ防御力を可能としたもの。前述の通りビームと同じ属性の電子を含むため、このフィールドに外部から触れることでもダメージを受ける。

 

 “デスティニー”に搭載されているのはそれを“デスティニー”用に改良した…【対軍・対要塞システム“ロンゴミニアド”】

 

 真紅の槍へと姿を変えた“デスティニー”は連合のMSを次々と粉砕していく、その圧倒的な速度に対応できず…距離があり横に避けたとしてもビームサーベルと化した光の翼で撃墜される。五百は居たであろうMSが一瞬で消し飛ばされてしまった。

 

 その“デスティニー”に続き同盟軍のMSが続々と敵陣に切り込んでいく。それをMA形態の“デストロイ”が薙ぎ払おうとするが…

 

『やらせるか!!』

 

 “レジェンド”が巨大な砲身を一気に両断する。敵が気を取られた隙に“インパルス”が円盤部に斬りかかった。装甲を切り上げたあと、飛び退きながら大きく開いた傷口にビームを撃ち込む。“デストロイ”は内側から爆発した。

 

『やはり、近距離の方がいいではないか』

「お姉ちゃん……」

『辞めてメイリン!そんな哀れむ目で見ないで!』

 

 

 

 同盟軍のMSも次々と進行し連合のMSはもう数える程しかいない……脅威なのは最後の“デストロイ”だけだ。

 

『レイ、ルナマリア、行くぞ!!』

『こちらの準備はできている!』

『やってやるわ!』

 

 “デスティニー”に“レジェンド”・“インパルス”も続く。“デストロイ”は我武者羅にビームを放つが当たらない。

 

『クソがぁーー!!!』

 

 最後の“デストロイ”に乗って居たのはステラの仲間である“スティング”だった。ベルリン戦から回収された彼は全ての記憶を抜かれ、大量の薬物投与の為に既に人格は破壊されてしまった。

 

 ーー今の彼にあるのは「勝たねばならない」という欲求と“デストロイ”に対する執着心のみだった。

 

 

 まず、“レジェンド”がライフルと「突撃ビーム機動砲」のフルバーストを放つが“デストロイ”の手甲部分から展開された陽電子リフレクタービームシールドに防がれる。

 

『はぁぁぁ!』

 

 だが、“インパルス”が別方向からライフルを放つ…慌てて防ぐが……

 

『こいつで!』

 

 大型ビームランチャーから放たれたビームが“デストロイ”の頭部を撃ち抜く。

 

『ルナマリア、ソードシルエットで!!』

『こちらにもエクスカリバーを!!』

 

 シンとレイの指示を聞きソードシルエットを飛ばす、換装はせずにフォースのままエクスカリバーを持ちもう一刀を“レジェンド”に渡す。

 

『各機、突っ込むぞ!』

 

 エクスカリバーを構えた“レジェンド”と“インパルス”が突っ込み“デストロイ”の両腕を切り裂く。

 

『うおぁぁあっ!!』

 

 スティングが雄叫びをあげながら苦し紛れに「スーパースキュラ」を放つが……

 

『はぁぁぁあっ!!』

 

 「ロンゴミニアド」を発動させた“デスティニー”に打ち負かされ“デストロイ”に迫る。避けられぬ死が迫っていてもスティングの心にあったのは“デストロイ”への執着心ばかりだった。

 

 その時ーー

 

 

「スティング…」

 

 誰かが呼んだような気がする。声がした方には今まさに自分に迫る真紅の光しかない筈なのに…人影が見えた。

 

(誰だ?)

 

 柔らかい笑顔を浮かべる金髪の少女と皮肉っぽい笑みを浮かべる少年が居た。スティングには誰なのか思い出せない。でも、“デストロイ”から離れー仕方ないーと苦笑する。誰かが面倒を見てやらないと、どうにもならない様な気がしたからだ。

 

 

 

 

 最後の“デストロイ”が爆散する。“ヘブンズベース”が白旗を上げたのは、“デストロイ”が倒されてすぐの事だった。

 

『終わったか?』

 

 暫く唖然としたシンに……

 

「ありがとう…シン」

 

 また、彼女の声が聞こえた。もう、ステラの様な存在が現れない…そう思うだけでシンの心は満たされていった。通信モニターにアビーの姿が映る。

 

「シン…お疲れ様。帰還してください」

『あぁ…』

 

 

 “デスティニー”は“ミネルバ”へと帰還する。“ヘブンズベース”の陥落…今この時をもって…運命の英雄の伝説が始まる。

 

 

END

 




次回予告

 ヘブンズベースは壊滅…しかしまだ、終わりではなかった…遂にシンの前にかつての祖国オーブが立ちはだかる。黄金のMSに乗りシンを阻むカガリ。彼女が語る黄金の理念…しかし、シンにはただの金メッキにしか見えなかった。

次回・機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【黄金の剣】

 過去を抱きしめーー輝け、エクスカリバー!!







すみません、長くなりました……
今回は主人公機のデスティニーと新キャラのアビーの登場でした。ステラの思い……こう言うファンタジーな所もガンダムの見どころだと思います。

デスティニーの光の翼は光圧推進機能しか搭載されていなかった原作とは異なりスターゲイザーと同じ物です。外伝のターンデルタはビームシールドとしても使える様ですが……こっちはスクリーミングニンバスと同一させビームウイングにしました。簡体に言えばV2と同じですね。別の機会に機体解説等を行いたいと思います。

それではまた次回。
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