五月と風太郎   作:五等分の花嫁

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五月と風太郎①

某所であげたのをこちらでも。文才皆無に加えて仕事の関係で時間が取れないので駄作になるかと思います。シリーズものにする予定なのでなんとか続けられたらいいなといったところです

 

 

 

 

 

『まさか、ただの風邪で入院することになるとは...』

林間学校での無茶がたたり、上杉風太郎は入院していた。

『昨日はあいつらが来てくれたおかげで退屈しなかったが何もすることが無いと暇だな』

急な入院だったため勉強道具があるはずもなく、風太郎は暇を持て余していた。

そこへ コンコン とノックの音が響く。

『どうぞ』

看護師だろうと思っていたがそこに現れたのは五月だった。

『体調は良くなりましたか?』

『多少はな。退院はまだ出来ないが。他の姉妹は一緒じゃないのか?』

『今日は私一人です』

わざわざ見舞いに来てくれるのは嬉しいが、何か裏があるのでは?と勘ぐってしまう。

『で、何の用だ?言っておくが昨日の話はしないぞ』

昨日の話とは、風太郎が変わるきっかけとなった五年前の女の子の話だった。

風太郎はその時の女の子は五つ子の誰かだと思っていたが話す気はなかった。

『相変わらず素直じゃありませんね。手持ち無沙汰だと思って勉強道具を持ってきてあげたのに』

『やっぱお前最高だ!ありがとな!』

『全く嬉しくありません... 今日は勉強道具を渡す為に来たんです。用は済んだので今日は帰ります。』

『あ、あぁ。ありがとな』

風太郎は入院中の遅れを取り戻すべく勉強を始めたが、本調子ではないため、早々に切り上げて眠ることにした。

次の日、風太郎は明日には退院出来るだろうと医者から伝えられ、安堵していた。

自分の勉強もそうだが、それ以上に五つ子が勉強しているかが心配だった。

まぁ、やってなかったらその時は課題を5倍にしてやろう。そんなことを考えていると病室の扉が開いた。

『おはようございます。上杉君』

『お前はマナーを知らないのか... 昨日はしっかりノック出来てたじゃねぇか』

と悪態をつくが、心の中では毎日来てくれる五月に感謝していた。

他の姉妹は予防接種のついでにお見舞いに来ていたが、五月はお見舞いのためだけに来てくれている。この事実が風太郎は嬉しかった。

『体調は良くなったみたいですね。明日辺りには退院出来そうで安心しました』

『俺の話は無視かよ... お前たち勉強はちゃんとしてるのか?やってなかったら課題増やすぞ』

『ちゃんとやってますよ。上杉君も早く退院して教えに来て下さい』

まさか五月から教えを請われるとは思ってもみなかった風太郎は暫く固まっていたが、そのあとは当たり障りの無い世間話をし、五月は帰っていった。

次の日、やっと退院出来ることになった風太郎は病室で教科書等の荷物をまとめていた。

そこへ―― 『上杉君、退院おめでとうございます。迎えに来てあげましたよ。といっても、歩きですが』

まさか今日も来るとは思っていなかった。学校は休みだろうが、わざわざ迎えに来るとは思ってもみなかった。

『五月か、わざわざ迎えに来るとはご苦労なことで。俺は一人でも帰れたがな』

『貴方は病み上がりなんですから、何かあったら困ります。一緒に帰りましょう』

 

上杉君、本当は貴方とお話がしたいだけなのですよ?それを言葉にするのは恥ずかしいので言いませんが。

 

その後、二人はゆっくり歩きながら、家に帰った。幸せそうに話す二人は傍から見ればカップルのようだった。

『わざわざ送ってもらって悪かったな』『気にしないでください。私が好きでやったことですから。期末試験も間近に迫っています。上杉君には期待していますよ?私たちが赤点を取らないように頑張ってくださいね』

『お前らも頑張ってくれよ。じゃあ、また明日な』

風太郎はこの時から、五月に特別な感情を持っていた――

『ただいま、らいは』

『お兄ちゃんやっと帰ってきたんだね!お父さんも心配してたよ』

『悪かったな。でももう大丈夫だ。これからは気を付けるよ』

『家庭教師はいつから復帰するの?』

『明日からだな。あいつら勉強してるか不安だし』

『そっか。家庭教師も良いけど、明日は勤労感謝の日なんだから、五月さんにお礼しなきゃダメだよ!』

『何故そこで五月が出てくる...』

『だってお兄ちゃんのお見舞いに毎日行ってたじゃん。私知ってるんだよ?まぁ、お兄ちゃんに五月さんへの感謝の気持ちがないならいいけどね』

『分かった。行けば良いんだろ... 今日は遅いからもう寝ろ』

『はーい。おやすみお兄ちゃん』

 

 

『えっ、私に贈り物ですか?上杉君が?』

『そうだ。午後からはまた家庭教師するから早めに決めてくれ』

『急に言われても思い浮かびませんね... あっ!じゃあご飯食べに行きませんか?私まだ朝食とってなくて...』

『...分かった。でも高いところは無理だぞ』

『大丈夫ですよ。ちゃんと自分で払いますから!』

『それだと贈り物の意味が無いんだが...』

『私にとっては、上杉君とご飯を食べれることが最高の贈り物ですから...』ボソッ

『ん?なにか言ったか?』

『なんでもありません!早く行きましょう!時間がなくなってしまいます』

 

『よし、食べ終わったな。さっさと帰って試験勉強するぞ。俺が入院してる間、本当に勉強してたのか確かめてやる』

『ちょ、ちょっと!もう少しゆっくり歩いてください!』

...勉強が嫌な訳ではありませんが、もう少し上杉君と二人で...って私は何を考えているのでしょう!?不純です!...でもやはり私は貴方のことが――


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