一回徹夜すると、疲れが中々抜けませんね・・。
春の少し寒い気候から、
暖かさを多く感じる季節、五月になった。
第三アリーナ
さて、一夏の特訓も終盤を迎えようとしていた。
クラス対抗は来週、アリーナの調整もあり、
ISを使った特訓は今日で最後だろう。
「なぁ英雄」
「なんだ一夏」
訓練が終わりISを収納しようと思っていたところ、
一夏が話しかけてきた。
「俺って、鈴に悪いことしたかな?」
「・・・・いまさら?」
あの作戦を決行して何週間経ったよ。
「それで一夏くんは、何が悪いか気づいたのかい?」
「うーん・・それなんだが、はっきりしない」
装備していた突撃砲を一夏の足元目掛けて乱射する。
「うわっ、ちょっ、あぶなっ!」
「はぁ・・残念なヤツだなお前は」
撃つのをやめため息をつく。
「急に撃つなんて危ないだろ!」
「俺もお前もISを展開してるから問題ない」
「そう言う問題?」
「まぁ、そのことは関係ない
それで、何がはっきりしないんだ?」
「俺も色々考えたんだが・・、もしかして酢豚のことか?」
おお、効果が出るのは遅かったが、結果は出てるな。
「それを考えるものお前の役目だ
聞いたら答えが返ってくると思ったら大間違いだぞ、織斑一夏」
「うーん・・」
自分で答えを探すのもお前の役目だ。
さて、
「お二人方も大分説明がうまくなったな」
「当然ですわ!」
「そうか?」
何週間か見て、箒は感覚的にしか説明できない模様。
俺も諦めて、剣道の練習を一夏にさせている。
オルコットさんは、専門用語のオンパレードだな。
説明が凄く難しい。俺でも理解に苦しむレベルでな。
しかも、センチでの位置の指示、正直無理だ。
ってことで、もっと大雑把に教えることを指示したんだけど、
まぁ最近はマシになったなうん。
「一夏、早いとこシャワー浴びたいし戻るわ」
「待ってくれ、俺も行く」
二人でピットに戻った。
ピット
「待ってたわよ、一夏!」
ピットに戻ると鈴が腕を組んで立っていた。
作戦の成果の確認かな。
そして箒とオルコットさんもピットに戻ってきた。
「貴様、どうやってここに――」
「ここは関係者以外立ち入り禁止ですわよ!」
「はんっ、あたしは関係者よ。一夏の関係者。だから問題なしね」
「ほほう・・どういった関係かじっくり聞きたいものだな・・」
「盗人猛々しいとはまさにこのことですわね!」
二人からの集中砲火にも顔色変えずにスルーとは、流石だな。
「さて、あの二人は置いといて
で、一夏。反省した?」
「そのことなんだが・・酢豚が悪かったのか?」
「!? そ、そうよ! 分かってるじゃない」
よし、いいぞ
その調子だ・・、変な勘違いはするなよぉ・・。
「俺も英雄に言われて考えたんだが・・
奢ってくれる、じゃなくて、食べてくれるだったよな」
「なんだー、ちゃんと覚えてるじゃない!」
「ごめんな・・鈴」
「え・・」
「酢豚を毎日食べるのは・・少しきつい」
「・・・・・・」
一夏にしてはいい線行ったんだけどなぁ・・、
そうじゃない、そうじゃないんだよなぁ。
「・・・・」
「どうした鈴?」
「そうよね・・一夏ってそう言うやつよねぇ・・」
「そう言うやつってどういうことだよ?」
「・・馬鹿ってことよ! この馬鹿っ!」
「なんだとっ! 何も説明してくれない鈴のほうが馬鹿だろ!」
「馬鹿とは何よ馬鹿とは!
この朴念仁! 間抜け! アホ! 馬鹿はあんたよ!」
「うるさい、貧乳」
「お、おい一夏!」
それは禁句だっ!
その言葉は届かなく、
その代わり、部屋に響き渡るような衝撃が走った。
見ると、鈴の腕がIS装甲化されており、壁を殴ったように見えた。
だがその拳は壁から離れている、何の衝撃だったんだ?
「い、言ったわね・・。言ってはならないことを、言ったわね!」
「い、いや、悪い。今のは俺が悪かった。すまん」
「今のは!? 今もよ! いつだってあんたが悪いのよ!」
あーあ、俺もうしーらねー・・。
「ちょっとは手加減してあげようと思ったけど、どうやら死にたいらしいわね
いいわよ、希望通りにしてあげる・・。全力で叩きのめしてあげる」
うわー、すげー睨みだ・・。
そして、静かに鈴が出て行く。
正直荒々しく出て行ったほうがまだ可愛げがあるってもんだ。
さっきまで鈴のいた場所の壁を見ると、
直径三十センチほどのクレーターが出来ていた。
「鈴のISはパワータイプのようだな・・」
「そのようですわね、一夏さんと同じ近接格闘型」
一夏よ、これはクラス対抗マッチ、苦戦するだろうな
ってか勝てるのか?
第二アリーナ、ピット
試合当日、俺はアリーナの観客席ではなくピット内で一夏の観戦をしていた。
「さて、一夏はどう戦うかな」
試合が始まったな。
「おぉ」
初撃を防いで三次元躍動旋回、
ちゃんと覚えた技術を使いこなしているな、
鈴を正面に向かえたのはいい判断だ。
だが鈴が青龍刀のような近接武器で、手数の多い攻撃を仕掛ける。
あの猛攻を見る限り、消耗戦だ。
さっきから攻撃を防ぐので精一杯って感じだな。
白式は燃費の悪いISだからな、短時間で仕留めないと危ないぞ。
そして一夏が距離を取ろうとした瞬間、
何かに殴られたように吹き飛ぶ。
「あれは何だ・・?」
「『衝撃砲』ですわね。空間自体に圧力をかけて砲身を生成
余剰で生じる衝撃それ自体を砲弾化して撃ち出す
ブルー・ティアーズと同じ第三世代型兵器ですわ」
「成る程、空気砲って訳か」
「少し違いますが、そのイメージで構いませんわ」
オルコットさんのIS講座、訓練中もこれぐらいでやってほしいものだ。
それにしても、燃費のよさそうな兵器だな。
さて、一夏は辛々で衝撃砲を避けてるな
見えない弾を避けれるだけすごいが、そろそろ潮時か?
一夏が少し停止すると、瞬発的な加速で、間合いを詰める。
お、瞬間加速で決着を決めるようだな
悪くない判断だ、あの方法は、世界にも通用する戦術だからな。
そして、雪片を振り上げた瞬間だった。
アリーナの遮断シールドを破壊して、何者かが入って来た。
「何だ・・あれ」
砂煙が晴れると、黒に近い灰色、
そして一番の特徴が肩と頭が一体化したような形とその長い腕だった。
その身元不明のISと、一夏と鈴が逃げ回り戦闘をしている。
どうやら、やるつもりらしい。
「もしもし!?
織斑くん聞いてます!? 凰さんも! 聞いてますー!?」
必死に話しかける山田先生。
プライベート・チャンネルって声に出さなくても・・、
それだけ焦っているのか。
「本人達がやると言っているのだから、やらせてみてもいいだろう」
「お、織斑先生! 何をのんきなことを言っているんですか!?」
「落ち着け。コーヒーでも飲め、糖分が足りないからイライラするんだ」
「・・あの、先生。それ塩ですけど・・」
何で塩がここにあるんだよ!
「・・・・
なぜ塩があるんだ」
「さ、さあ・・?
でもあの、大きく塩って書いてありますけど・・」
「・・・・」
「あっ! やっぱり弟さんのことが心配なんですね!?
だからそんなミスを――」
「・・・・」
あー、そんなこと言っちゃったら・・。
「あ、あのですねっ――」
「山田先生、コーヒーをどうぞ」
「へ? あ、あの
それ塩が入ってるやつじゃ・・」
「どうぞ」
「い、いただきます・・」
「熱いので一気に飲むといい」
うわぁ・・。
「八つ当たりだろこれ・・」
「柏木、貴様も微塩コーヒーが飲みたいようだな」
「い、いえ! 俺は何も言ってませんはい!」
こ、こえぇよぉ・・。
「先生! わたくしにISの使用許可を! すぐに出撃できますわ!」
「そうしたいところだが、――これを見ろ」
「遮断シールドがレベル4に設定・・?
しかも、扉がすべてロック、あのISの仕業ですの!?」
「凄い技術だな・・」
「そのようだ
これでは非難も救助もままならないな」
そして政府からの助勢も継続中、
正直期待できないだろう。
「突入隊を待つことしかできないなんて・・」
「先生、俺に一つ案があります」
「・・言ってみろ柏木」
「この状況での助勢は、あまり期待できません
その前にあの二人が持つかは正直危ないでしょう」
「そうだな」
「そこで、オルコットさんがあの中に加わることが出来れば
戦況は大きく変わります」
「だが、ISとの連携は?
個々のISの特性を理解しているか?
どういった戦術で行く?
そのことを――」
「これは実戦です
最悪二人が死んでしまいます
それなら、参戦することで、その確立は下がります
そうすれば、突入隊の来る時間稼ぎは出来ると思いますが」
「・・ふ
穴だらけの作戦だ。重要なアリーナへの侵入方法はどうするんだ?」
「・・確か遮断シールドって破損してましたよね
あの中にISではなくBTを侵入させることが出来れば・・
それなら、敵に発見されず攻撃できます」
「確かにそれなら可能だろう
だがそれを実行するならここぞって時にしか出来ないぞ?」
「そうですね・・その時まで待機、
一夏たちを信じましょう」
「はぁ・・まともな内容で返してくると思ったらこれか
まぁいいだろう、実行してみろ」
「はい! ありがとうございます」
「でも、結局は待つんですわね・・」
「ここで待つよりは、何倍もいいと思うけど」
そして、オルコットさんは観客席へ向かった。
「柏木、お前はどうするんだ?」
「もしもの時のために、ピットで待機してますよ
ISを展開させてね」
そのもしもがあるかは分からないけど。
外の状況はどうなってるかな
「一夏ぁっ!
男なら・・男なら
そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」
・・・・オイ箒!
そんなことしたらいい的だぞ!
そして一夏が身元不明ISの腕を切断、
その後作戦通りBTがISを貫く。
とりあえず作戦成功か・・、
まぁ作戦とは言えないような内容だったけどね。
そして、ピットのロックが解除された。
「よし」
追加装甲を持ち
二人の保護のため、アリーナに出た。
アリーナ
「よう、大丈夫か」
「英雄か・・」
「お疲れさん、中々やるじゃないか」
「よしてくれ、鈴とセシリアのおかげだ」
「またまたご謙遜しちゃ――」
その瞬間、視覚情報に再起動とターゲットロックの警告が表示される。
「っ! まだ生きてたか!」
高出力のビームが迫る
それを一夏と鈴を守るように追加装甲を構えるが、
追加装甲は壊れ、ビームの衝撃が襲ってきた。
「ぐぁぁぁっ」
強い衝撃でアリーナの遮断シールドに激突する、
そして、ダメージで動かぬ体で見た光景は、
一夏がビームに突っ込む姿だった。
英雄君が活躍するのは、もう少し先になりそうです。
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