ISの世界にマブラヴ好きが転生   作:ビーツー

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今日はニートな一日でした



23話 真実/罪

   AI制御室

 

 

 

 

青白く光るカプセルの中には、眠っているように目を閉じた男女の子供がいた。

 

 

「な・・何なんですか・・これ」

「・・こんな、こんなのって・・」

「多分だが、この子たちは皆、試験管ベイビーだ」

 

試験管ベイビー・・、ってことは、この子達はこの中で育ったのか?

 

「これだけ成長しているなら、近いうちにこのカプセルから出されていただろう」

「・・何でそんなに詳しいんですか?」

 

こんな違法実験みたいなこと、普通は知らないだろ。

 

「・・・・私自身が試験管で育ったからだ」

「!?」

「えっ!?」

 

「この施設ではないが、私は試験管で育った

 そして軍のため生まれたときから、いや、生まれる前から教育は始まっていた」

「遺伝子・・操作ですか・・」

「そうだ、あらゆる面において最良な結果を出すために、最良の遺伝子配列をする」

「じゃあ、この子達も同じように・・」

「多分そうだろう、だが・・」

 

何かを言い淀んでいるようだ。

 

「この子供たちを助けることは出来ない」

「ど、どうしてですか!?」

「おい、A3」

 

リタが隊長に噛み付くかのように近づこうとするのを抑える。

 

「私たちの任務を忘れたか? これは極秘任務だ

 これが公なものなら助けられただろう、だがこの任務は公にはできないんだ」

「・・だから助けられないんですか?」

「そうだ、証拠を持って帰ってはならない」

 

俺も少し考えたんだが、目標を破壊し、後処理班にこの子達を任せる・・。

・・この考えは甘い。何で電気を落としているのにこのカプセルは光っているんだ?

多分だが、この部屋の奥にある長方形のデカ物、

マザーブレインが制御しているからだろう。

そんな状態で目標を破壊したらこの子達も死ぬ。

まぁ・・、助ける方法は無いにしもあらずだが、やってくれるか?

秘匿回線で社長にコールをかける。

 

『・・社長、聞こえてるか?』

『ん? 秘匿回線で話しかけてくるなんて珍しいね、どうしたんだい?』

『電話越しでも読心できる社長様なら分かってるんじゃないか?』

『読心できるのは君だけだよ、他の人には無理なんだ』

『そのことはいい、分かっているなら話は早いだろ?』

『・・僕も驚きだ。まさかここまでブラックなことをやっているなんて』

『それで、助ける方法は』

『うーん・・、ならこうしよう、君の給料の八割を没収で、この子達を助けよう

 あ、貯金も八割ね。それが呑めるなら、他言無用で助けてあげる』

『ああそれでいい、俺の金で助かるなら安いもんだ』

『交渉成立、一時間後にそっちに向かうよ、それじゃ』

 

貯金は痛いが、背に腹は代えられない。

 

「俺に提案があります」

「・・何だ」

「今ある人物に協力を頼みました」

「っ! これは極秘任務だ! それを分かって頼んだのか!?」

「はい、信頼の置ける人物です。あの人が他言無用と言うならそうするでしょう」

「・・それで、どうするんだ?」

「普通に救出します。一時間後にここに来るようです

 それまでにこの子たちをここから出して脱出します」

「・・・・分かった。その代わりミスは許さないぞ」

「「了解っ」」

 

そして、目標を破壊する前に、カプセルから子供たちを出し

順番に寝かせていく。うーん、計六人ってとこか。

 

「全員脈拍、呼吸共に大丈夫です」

 

LCLみたいに呼吸器無しでカプセルの中にいたら、危なかったが

幸い、呼吸器が付いた状態であの中にいたからな、呼吸の心配も杞憂に終わった。

 

「よし、救出は完了したな、今からマザーブレインの破壊を行う

 予定通り、自壊コードを入力し、AIすべてを自己破壊させる

 自壊コード入力中私は無防備になる、その間の護衛をしろ」

「「了解」」

「その子供たちの命も預かっているんだ、気を引き締めろ」

「「はいっ」」

 

そう言って、マザーブレインに操作盤を接続し、コードを入力している。

その瞬間、部屋が真っ赤に光り、なにやら警笛のような音が響く。

 

「な、何だ!?」

「何なの!?」

「うろたえるな! 自壊コード入力画面になった瞬間だった

 多分これも防衛プログラムの一つだろう

 敵が来る可能性がある、油断するな!」

 

その言葉の後、部屋の外に敵影らしきものをハイパーセンサーが確認。

サイズからスヴェルだろうか、動きが単調らしいが油断は禁物だ。

 

「向かうぞ」

「了解!」

 

この部屋に入らせないため、すぐに部屋を出て敵影の方を向く。

 

「見た目は・・、少し違うな」

 

資料の写真には、機体の中心部は、間接同士を繋げるための、アームだけだったのが

このスヴェルは人間のような、流動的な形をしたものが付いている。

 

「油断するなよA3、コイツも多分改良されている」

「うん、だから・・」

「「初めから全力で行くっ!」」

 

二人が交互に飛び、俺は左から、リタは右の両側面から攻撃する。

スヴェルは、後方に飛ぶことで回避し、右腕と右肩の機関銃で攻撃してくる。

 

「ISに比べると豆鉄砲だな」

「火力は完全に対人だね」

 

放たれた弾丸の殆どは装甲に弾かれ、あらゆる方向に飛んでいく。

対実弾装甲のおかげでもあるな。

 

次の行動に移ろうとした瞬間

スヴェルが武装を解除し始めた。

 

「な、何?」

「分からない・・」

 

そして全武装を解除した瞬間、一気に間合いを詰めて左腕で殴りかかって来た。

 

「っ!」

 

それを突撃砲で受けてしまい、突撃砲が壊れた。

 

「おいおい、下手したらISより腕力ありそうだぞ・・」

 

そしてそのまま跳躍し、壁を蹴り、リタの方に攻撃を仕掛けた。

 

「危ないっ」

 

咄嗟にもう片方の突撃砲を構え、殴りかかろうとする側面を撃つ

それをダイレクトに食らい、大きな隙が出来た。

 

「A3今だっ」

「了解っ!」

 

そして、コアであろう真ん中の人型の部分を撃つ。

その部位からは火花では無く真っ赤な液体が飛び散り

リタの機体にビチャリと付いた。

 

「・・え?」

「なっ!」

 

リタはその真っ赤な液体に動揺して動けないでいる

だが、スヴェルはまだ動いていた。

赤い液体を流しながらも、左腕を振り上げ、今にも殴り掛かろうとしていた。

 

「くそっ!」

 

アレじゃ回避は間に合わない、そう思った瞬間俺の体は動いていた。

ブーストを使い、リタを突き飛ばす。

 

「きゃぁっ!」

 

突き飛ばした瞬間、相手の左腕は俺の頭部にヒットした。

殴っただけならよかった。だが、その拳は爆発し、俺の左の視界は真っ黒に染まった。

その後激しい痛みが左目を襲う。

 

「ぐぁぁぁっ! クソッ、クッソォォォッ!」

 

痛みを我慢し、耐えるように叫びながら長刀を抜き、横に振るう。

斬る手ごたえを感じた。だが、その手ごたえはあまりにも生々しいものだった。

 

スヴェルを見ると、真っ二つに斬れて、その両方から赤い液体が流れている。

そして、切れた断面からは赤黒い塊が溢れていた。

認めたくなかった。アレが何なのか、俺が斬ったモノ、それは――

 

「人間・・なのか・・?」

 

それを頭で認識した瞬間、強い吐き気と寒気が襲った。

 

「うっ・・ぐっ・・」

 

吐き気を堪え、胃液を押し戻す。

 

「リタ・・大丈夫か・・?」

「私は大丈夫・・。な、何があったの柏木君・・ひっ」

 

真っ赤な血が付いた長刀を見てリタが怯える。

まるで殺人鬼を見たかのような目だった。

 

殺人鬼? 俺が? 俺なのか?

俺が・・殺した・・のか・・。

 

「A2、A3無事か? ・・何があった」

「隊長、俺・・俺・・人を、殺しました・・」

「詳しく説明しろ」

 

これまでのこと、スヴェルのことを話した。

 

「成る程な・・柏木、お前は悪くない

 お前はリタを守った。そしてこの人間を救ったとも言える」

「・・・・」

「あの部屋を調べて分かったことがあった

 この人間は、脳を弄られ、意識的にマザーブレインと繋がっていた

 命令には逆らえず、ロボットのように動く、だが意識はある

 そんなの生きていると言えるのか? その苦しみから開放させたのはお前だ」

「・・でも、人を殺したことには変わりありません」

「月並みな言い方だがな、殺したこの人間の分まで戦って生きろ」

「そんなこと言われたら・・逃げられないじゃないですか」

「逃げることは私が許さない」

 

人を殺した罪は消えない、それから逃げることも許されない

なら背負って生きるしかないじゃないか・・。

 

「・・・・分かりました。俺は逃げません、もう覚悟しました」

「よし、マザーブレインの自壊を確認。子供達を救出し、帰還するぞ」

「「了解(・・です)」」

 

 

そして、子供達を外に出し、社長が来るのを待っていた。

ISを収納して、目を応急処置した。

処置してくれた隊長は、苦しそうな顔をして包帯を巻いていた。

 

 

 

岩に座って、夜風に当たっていると、リタが隣に来て座った。

 

「ねぇ・・柏木君」

「何だ?」

「その目、大丈夫?」

「あぁ、大丈夫大丈夫、今は見えないけど一時的なものだろ」

「・・・・なさい」

「ん?」

「ごめんなさい・・柏木君・・。私のせいだよね・・

 私のせいで目も・・それに――」

「ストップ、お前のせいじゃない

 男のさがだよ、カッコつけて守った挙句に怪我しただけだ

 それに、戦場での怪我は男の勲章、だろ?」

「・・うん、守ってくれたときはカッコよかったよ

 でもね・・少し恐かった・・」

 

確かにあの時、長刀の血で怯えていたな。

いや、殺した俺の姿か。

 

「だけどね、恐い以上に自分が許せなかった

 あの時凄く動揺して動けなかった。もし動けていたら

 柏木君はあんな思いしなくてよかったのにって思うと

 臆病で自分可愛な私が凄く憎い」

「・・・・」

「だから、私にも罪はあるんだ

 きっかけを作ったのは私、初めに撃ったのも私

 柏木君が殺したきっかけも・・私

 だから柏木君は悪くない、全部私が悪いんだ」

「それは違う! 全部自分の意思だ。俺の意思で行動した結果だ

 人のせいには出来ない」

 

そうだ、これは俺の罪だ。俺が背負わなければいけないことなんだ。

 

「・・なら、私は共犯者。柏木君だけの責任じゃないよ」

 

リタは今にも泣きそうな顔で微笑みながら、

俺の罪を共有してくれると言ってくれた。

 

「・・・・ごめん、ごめんな・・こんな重たいもの背負わせて」

「柏木君だけじゃ潰れちゃうよ。それに、もう柏木君のこと恐くない

 だから、私を守ってくれてありがとう」

 

あの行動を俺はずっと後悔してた。

でも、違ったみたいだ。俺はリタを守れたんだな・・。

なら今は・・それだけでいい。

 

「・・・・なぁ、少しだけ泣いてもいいかな」

「うん・・うんっ・・」

 

俺は声を上げて泣いた。

そんな俺を泣きながらもリタはやさしく抱きしめてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、泣いている二人を見ながら自分の無力さを嘆いていた。

 

「私は・・何も出来なかった」

 

この時ほど自分の無力さを恨んだ日は無い

部下の心までも守れなかった。

織斑教官なら守れたのだろうか・・。

何が強ければ守れたのだろうか、力か、火力か、戦闘技術か

どれも当てはまらない気がした。私には、何かが足りない。

 

その答えが分からないまま、時間は過ぎ

富嶽重工のロゴの救援ヘリが到着した。

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、遅くなってごめんね。あれ、目が真っ赤だよ片目だけだけど」

「うるせっ、早いとこやってくれ」

「・・そうだね、極秘任務らしいから早急に作業を終わらせようか」

 

そう言ってヘリから何人か降りてきて、子供達を運んでいく。

 

「この子達ってどうするんだ?」

「僕の施設で保護するけど」

「・・マジ?」

「マジマジ大マジさ、だから施設拡張代として君の給料から天引きするんだ」

「成る程ねぇ」

「・・やっぱり君はロリコンの鑑だね」

「うるせぇよ! 終わったなら早いとこ行け!」

「おぉ、恐い恐い

 ・・・・僕の方でも調べてみるよ、今回のは普通じゃない」

「頼む・・」

 

 

そして社長もヘリに乗り込み帰って行った。

って・・乗り込んだ方向からして操縦は社長かよ・・。

 

 

 

「それでは任務終了、戻り次第A2会議室に集合だ

 柏木は早急に軍医に診てもらえ」

「「了解」」

 

 

こうして、長かったようで短い初任務が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   医療処置室

 

 

目を見せると、真顔で手術と言われ

そのまま手術を行い、麻酔が抜けて目を覚ました。

 

「ハッキリ言った方が君のためだと思うんだけど、どうかな?」

「その方が楽です」

 

エルナ・ベルツという女医の人が目を見てくれたようだ。

まぁ・・覚悟は出来てる、多分そうなんだろう。

 

「なら遠慮なく、君の左目は役に立たない

 金属の破片が眼球内にいっぱい入っててね、脳に行かなかっただけまし

 まぁ俗に言う失明よ」

「・・・・ホントハッキリ言うんですね」

「先に警告は言ったはずよ、さて

 あなたには二つの選択肢があります

 一つ、義眼を入れるか

 二つ、今ここの軍で試験中の実験の被験者になるか」

 

「・・普通なら前者を取るんでしょうけど、その実験って何ですか?」

「越界の瞳については知ってる?」

「一応は知っています」

「なら話は早いわね。用は、越界の瞳の義眼バージョン!

 性能は変わらないわ」

「成る程、それで、手術はいつですか?」

「明日よ」

「明日ですかそうですか・・・・明日!? 俺手術したばっかですよね!?」

「今日の手術で下準備はほとんど出来てるから楽に終わるわ」

「俺の判断関係無しに!?」

「あなたの上司に大丈夫だって言われたけど?」

 

あのクソ社長めぇ・・。

 

 

「まぁ、こんなことがあった日だし、今日はゆっくり休みなさい」

「そうさせてもらいます・・」

「それじゃ、いい夢をおやすみ」

「朝なのにおやすみですか」

「麻酔以外あなた寝てないでしょ、疲れを取るなら寝るのが一番よ」

 

そう言ってベルツ先生は部屋を出て行った。

 

 

「はぁ・・」

 

覚悟してたがやっぱり失明か。

 

太陽が少し眩しい、10時ぐらいか

少し黄昏ているとISの秘匿回線コールが鳴る

 

『やぁやぁ、一人寂しく泣いてたかい?』

『切るぞ』

『冗談だよ、まぁ真面目な話するとね、あの施設の真相が分かった。』

『本当か!?』

『うん、僕なりに調べたんだけど、初めて君がここに来た日は覚えてるかな』

『ああ、スゲー偉い人と話したな』

『ヴァルター・ルーゼン空軍中将ね

 この人、そのとき過激派の話をしてなかった?』

『あぁ、してたな。それで凍結するとか何とか』

『その凍結した施設が、君の行った施設だよ』

『そうだったのか・・』

『どうして簡単に凍結できなかったのかは理由があったんだ

 凍結時、他の研究員は投降し、事なきを得たんだけど

 その施設の院長が一人で反旗を起こしてね、AIを操作

 そして挙句の果てに遠隔操作機能を遮断して拳銃自殺

 死体はAIがゴミと判断して処理したんだろうね』

『だから直接侵入しなきゃいけなかったのか』

『そして、スヴェルのことだけど・・』

『っ・・』

『アレは、試験管ベイビーの中でも適正の低い人間を使っていたらしい

 脳を切開し、散々弄くり回して、最終的には機械に繋いで人形にする

 使われていた子達に助ける術は今は無い、だから君のやったことは――』

『間違ってない・・だろ? 俺はそう思わない、殺したものは殺したんだ

 その時点で間違ってるよ』

『そうか、そうだね、ならこの話はおしまいだ』

『ああ、そうしてくれ

 それで一つ提案があるんだが』

『何だい?』

『DS-3多目的追加装甲って作れそうか?』

『アレならすぐとは言えないけど出来そうかな』

『なら頼んだ』

『分かったよ、それじゃあ何かあったらまた連絡してね』

『あいよ。あ、そうそう、手術の件、あ り が と な 』

『どういたしまして、それじゃあね』

 

そう言うと連絡は切れた。

 

 

「はぁ、眠くないんだよなぁ・・」

 

麻酔で寝てたせいか全然眠くない。

どうやって時間をつぶそうかと考えていると、

ノックの音が聞こえた。

 




今日は少し重い話
15歳とは思えない寛容さ・・さては番長だな?


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