真っ暗だ。
真っ暗な空間だ。
俺の体がどこにあるのかも分からない。
何も見えないし何も感じない。
「――――」
そんな空間に何かが聞こえる。
「――――」
聞き覚えのある声だ。
「――――」
「――――」
「――――」
「――――」
「――――」
複数の声、どれも聞き覚えがある。
あるか分からない耳を澄ましてみる。
すると真っ黒な空間に皆が映る。
どうしてだろう、皆軽蔑したような目で俺を見る。
「貴様は人殺しだ」
「失望したぞ人殺し」
「その剣技で人を殺めたか・・」
「・・・・人殺し」
「殺さなくてもよかったのに・・」
やめろ・・やめてくれ・・・・。
すると目の前に見覚えのある人影―。
「・・・・一夏・・?」
「英雄、人を殺したのか・・?」
「―!?」
知らぬ間に俺の姿は完成していた。
「人殺し」
「やめてくれ・・これ以上苦しめないでくれ・・」
「「「「「「この、人殺し」」」」」」
「やめろぉぉぉぉっ!」
意識が覚醒し、悪夢から覚める。
「はぁ・・はぁ・・まただ・・」
両手の震えが止まらない・・。
まだ22時・・、ほとんど寝てないな・・。
俺は、眠るのが恐くて、恐怖に震えながら朝まで過ごした。
復帰訓練前に、診察室に行った。
「それで、昨日はよく眠れたって言うのは必要なさそうね」
「ええ・・まぁ・・」
「そう、また見たのね」
「もう、恐くて眠れません・・」
「・・なら、薬を出しておくからそれを寝る前に飲みなさい
あと、飲むかどうかは自己判断だけど、精神安定剤を出しておくわ」
「ありがとうございます・・」
「医師としてはあまり渡したくは無いんだけど
即戦力として出てほしいからねぇ、上の人も期待しているし」
「・・・・そうですか」
社長は、知ってるのかな・・。
「飲むときは量を守ってね、お大事に」
診察室を出て、自分の部屋に戻る。
部屋には隊長がPCに向かい合い何かを打っている。
そして、俺が入ったのに気づいたか、作業をやめた。
「もう退院か、以外と早いな」
「上も俺のことを使いたがってるんじゃないですか?」
「・・かもしれないな」
「?」
あれ、もっと反論的な返しが来ると思ったんだが・・。
「柏木、これから2週間後に任務が入った」
「任務・・ですか?」
「そうだ。これを見てくれ」
そう言って、作業していたノートPCを見せた。
そのディスプレイには〔Unternehmen schwarz〕
日本語に直すと黒作戦と書かれた資料だった。
「内容を簡単に言うなら、軍部に脅迫状が届いた」
「脅迫状!?」
「内容は明日詳しく説明するが、妙な脅迫状らしい」
「妙、ですか」
「襲撃日から攻め入る時間、さらにこちらの反撃方法まで言ってきた始末だ」
「確かに妙ですね・・、その内容を無視することは出来ないんですか?」
「それも考えたらしいが、その脅迫状が送られたのが
軍の諜報部の責任者のPCだったそうだ」
「セキュリティ堅そうですね」
「実際堅いはずだ。だが、足跡すら掴めなかった」
「油断できませんね・・」
「そう言う理由で脅迫状の内容を呑むことにした訳だ」
「成る程」
そんなことやれる人と言えば・・・・いやいやありえないだろ
襲撃する理由が無い。
「この内容は改めて説明するとして
今日の訓練だが、軽いランニングの後に、その目の訓練をする」
「目の訓練ですか?」
「そうだ。1300に訓練場集合、遅れるなよ」
PCを片付け隊長が出て行った。
集合までの時間を自室で潰し、訓練場に向かった。
訓練場
走りこみが終わり、集合する。
「全員揃ったようだな」
「それで、今日の訓練は?」
「貴様の目を使い物にする
よって、今回は皆眼帯を取って訓練だ」
皆が眼帯を外す。
前から気になってはいたが、どうして眼帯を付けてるんだろうか。
「ん? どうしたの柏木君」
「私達の顔に何か付いてるか?」
「いやらしい目線を感じた・・・・」
フィリーネさんはスルーだ。
「いや、何でもないっす」
皆不思議そうにしながらも眼帯を外し、ISに搭乗する。
「柏木、貴様もISを展開しろ」
「了解」
ISを展開し、ハイパーセンサーが起動する。
「視界に違和感を感じないか?」
「うーん・・」
いつもよりも、クリアになったって言うか
モノの動きがクリアって言うか、鮮明って言うか・・。
「いつもと少し違います」
「その違う感覚を強く意識しろ」
「・・・・」
意識を強く・・、モノの動きを目で追うようにする。
うーん・・。
「苦戦しているようだな
実戦で学ぶのも一つの手だぞ」
「ならそれで」
「ならば相手は・・アリーセ、やれ」
「御意」
そう言って長刀を展開する。
両マウントにも長刀、ガチガチの近接主義っすね・・。
「ISを調整してもらって扱えるようになった」
「うわぁ・・鬼に金棒だわ・・」
「何か言ったか?」
「イエ、ナニモ」
これは油断出来ん。
ってかアリーセさん相手に油断したら終わりだ。
「では、柏木は反撃を許可するまで禁止だ
それまで避け続けろ」
あれ、なんだかデジャヴ?
「訓練開始っ」
隊長の言葉と共に、アリーセさんが斬りかかる。
その動きを意識して見る。
いつもよりも動きが鮮明に見えるな・・それだけだが。
「っく」
間一髪で避け、後ろに下がろうとする。
「逃がすかっ」
逃がさまいと長刀を投げ、退路を断つ。
「はぁっ」
両マウントから長刀を取り、
無型の二刀流が襲い掛かる。
「ちょっ、くっ!」
攻撃を防ぎ、避ける。
その繰り返しだが、自分でも防ぐ回数が減っているのが分かる。
見切っているのか?
荒いようで無駄の無い剣技だが、隙がちらほらあることが分かった。
「そこだぁっ!」
隙を見て、甲で長刀を弾き、後ろに下がる。
「ふっ、視えてきたな」
「ぎりぎり・・ですけどね」
本当にぎりぎりだった。
剣技をちゃんと習ったら化けるな・・きっと。
「柏木、反撃を許可する」
そう言って隊長が投げ渡したものを掴む。
「・・・・」
俺の右手に握るのは長刀。
その自分の握る長刀を見た瞬間――
「っ――」
あの時の光景が頭を過ぎった。
俺が人を斬ったあの瞬間。
――肉を斬り、赤い液体が顔に飛び散る
装甲越しなのに感じる温かさ
断面には、さっきまで動いていたであろう赤黒い塊
その色がアレが生きていたと強烈に教えるかのようだった――
俺の腕や長刀に赤い液体が付いている。
その液体の咽返る様な臭いに吐き気が襲うがぐっと堪え、
液体を拭き取ろう何度も擦るがそれは落ちない
まるで自分に染み付いたかのように、自分の罪が体中に染み付いている。
両手が震え、嫌な汗が出る。
「あ・・あ・・・・」
「大丈夫か?」
隊長が心配そうな顔で俺を見る。
そうだ・・、ここで我慢しなければ
俺は大丈夫だ。だから・・我慢しろ。
頑張らなきゃ・・俺は、頑張らないと・・。
「・・だ、大丈夫です」
震える右腕に力を入れて、無理やり抑える。
「・・なら行くぞ、再開っ」
その後はぼろぼろだった。
避けた時のような動きは出来ず、一つ一つの攻撃が避けられ
反撃される。まだこの目になる前のほうがいい動きをしてた。
俺は・・どうしたらいいんだ・・。
うーん・・短いっすねぇ
誤字脱字がありましたら報告お願いします。
トラウマシーンを少々修正しました