バンドリらしくない世界で紡ぐ逆襲劇【ヴェンデッタ】   作:熊影

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大変遅くなりました、纏めようにも纏めきれず時間が掛かりました。

そろそろアフターグロウ編も終わりです。次は残る4グループのどれかを書きます。

因みに各グループに1人にオリキャラ(?)が関係者として出ます。……この世界がもつのかな?って人達が。


夕暮れと灰と星とー9

蘭サイド

 

2人が入り口に着く十数分前ーー

 

ーーん、蘭ちゃんーー

 

誰かが私を呼んでいる、この声はつぐ、だろうか?

 

慌てているようだけど、どうしたのだろうか?いや、そう言えば私は何をしてーー

 

唐突に、フラッシュバックされるある光景。

 

尚冬の戦いを後ろから見守っていた際に、男か女か分からない声が後ろからして。

 

慌てて振り返ったらプシュッと気の抜けた音と共に眠気が急速に思考を支配して、それでーー

 

「ごめんね、蘭……」

 

一瞬だったが確かに、愛しい人の声がした。そこで目の前が真っ暗になったのだ。

 

そこまで思い出した私は漸く目を開けた、ぼんやりとした視界に初めに飛び込んだのは今にも泣きそうな大切な幼なじみ達。

 

つぐ以外の3人がどうして居るのか、カイの見舞いに行った筈なのに。

 

「蘭ちゃん…‼︎良かった目が覚めて……」

 

「つぐ……」

 

泣き出しそうなところ悪いが、状況がまるで掴めない。どうやら私はえらく座り心地の良いソファーに座らされていたようだ。

 

目だけを動かし周りを見る、牢屋、だろうか?ドラマとかで見るような黒い鉄格子の中に私達は居るのが現状らしい。

 

そして鉄格子の外側、そこには見覚えのある姿が私と同じものと思われるソファーに座って、此方を向いていた。

 

「あんたは……」

 

全身ローブで包んだ仮面の存在、男か女か分からない姿は不気味さと恐怖を自然と感じさせる。

 

どうやってここに連れてこられたのだろう?近くには異形の姿で戦っていた尚冬がいた筈。

 

私の疑問を感じたのかはわからないが、仮面の存在は無言で立ち上がった。

 

「まずは謝罪を、無理矢理つれてきて申し訳ない。目的が叶い次第無傷で解放することは保証しよう。」

 

変わらず変声したままなのが不気味だが、やたらと丁寧な口調で気になるワードがある。

 

「目的って何なんだ⁉︎私等を誘拐してまで叶えたい目的って‼︎」

 

巴がそう叫ぶが仮面は動じる様子を見せない、いや、姿が見えないので実際はそう感じるに過ぎないが。

 

けど、私達を誘拐してまで果たしたい目的か……

 

少し考えて、どうしようもなく嫌な予感がした。私個人ならまだしも、このメンバーを揃えて叶えられそうな目的、それが人に関することならその目的と合いそうなのは1人しか居なくてーー

 

確認のつもりでひまりを流し見してみれば、私の予感を裏付けるかのように顔を真っ青にして口元を両手で覆っていた。

 

「僕の目的か、それはーー」

 

答えようとした、その時、轟音が響き渡った。

 

「きゃあああぁぁ⁉︎」

 

「な、何だっ⁈」

 

つぐ達と思わず悲鳴を上げてしまう、巴だけは轟音をした方を驚き、慌てながらも見ていた。

 

けど驚きは困惑へと変わっていった、まるで有り得ないモノを見たかのように。そして同時に私の予感が当たっていたことを示す様にーー

 

「か、カイ………?」

 

「あっ……」

 

信じたくない呟きと、モカにしては珍しい惚けた様な声を聞きながら移した視線の先にはひしゃげた金属の扉が床に無造作に転がり、扉があった場所に居たのは、気を失う前に見た異形と化した尚冬と、見た事もない軍服の様な格好で左腰に帯刀した6人目の幼なじみの姿があった。

 

蘭サイド終了。

 

尚冬サイド。

 

入り口に着いたはいいが、中では5人を攫ったあいつが待ち受けている可能性がある。

 

扉を開けた瞬間に攻撃されたら対処は難しくなる、なので派手に入るとしよう。

 

カイとその旨を相談した結果、俺が変身して扉を蹴り飛ばすことになった。

 

素早く変身して扉を回し蹴りの要領で蹴りつける、変身による強化でただの蹴りでも金属の扉を変形させる位は容易だった。

 

扉が無くなった入り口を潜れば、視界に映ったのは無駄に広い割には殆どものがない空間に、鉄格子とその中に居る蘭達の無事な姿、そしてーー蘭とつぐみを目の前で連れ去った仮面の存在が此方に身体を向けていた。

 

「…………先にあいつらを安心させてきな、こっちは話し終えるまで何があっても抑えてやる。」

 

「すまない、ありがとう。」

 

顔をカイに向けずに告げれば駆け足で鉄格子へと向かっていく、鉄格子の側に着くまでの間、奴は動く素振りも見せはしない。

 

「あいつが目的の割には何もしないんだな。」

 

「なに、話し合う時間くらいはあげるさ。ここに来た以上はそれ位の余裕はあるしーー」

 

マントの中から唐突に腕が伸びる、手に握られているのはAのイニシャルが書かれたメモリ。

 

《アント‼︎》

 

機械音が広い建物内に木霊する。奴が変身すると同時に駆け出そうと構え、その手からアントメモリを離し地面に落ち始めたことに思わず困惑し、動き出せない。

 

その間にメモリは垂直に落下、乾いた音を響かせ床にぶつかりーーはせずに逆に音も無くまるで水に落とされたかのように沈み、消えていった。

 

余計に強まる困惑は、奴の背後に広がる空間の床に幾何学模様が描かれた円が無数に現れたことに警戒へとすり変わる、そしてーー

 

「っ……何の冗談だ?」

 

もし変身してなければ引き攣った笑みを浮かべていただろうと思いながら、円から出てきたそれらを見てナイフを取り出し構える。

 

出てきたのはアントドーパントではない、むしろアントドーパントであって欲しかった。

 

アントメモリを落としたのはこれに利用するためだろう、見た目はアントドーパントをベースにより生物感が増している、頭部は生物のアリであり、ギチキチと顎を鳴らしてこちらを見ている。

 

大きさは目算で3メートル弱か、それだけならアントドーパントより多少は脅威だが、あくまでそれだけだ。

 

ーーそれが単体でなく、空間を埋めてくさんばかりに蠢いているのだから、冗談であって欲しかった。

 

「先の戦闘て得られた情報を早速還元させてもらったよ。この程度の強化では君には不足だろうが、そこは数で補わせてもらうーーでは、いけ。」

 

言うが同時に仮面の姿が消える、同時に動き出す異形達。

 

何処かで高みの見物か、だが今は連中を処理するのが優先か。

 

「創生せよ、天に描いた星辰をーー我らは煌めく流れ星。」

 

だから今回は初めから使う、但し前回と異なり起動詠唱だけでは終わらない。

 

確実に奴らを殲滅する為に、己が星を輝かせよう。

 

「輝く御身の尊さを、己はついぞ知り得ない。尊き光の破滅を祈る、傲岸不遜な畜生王。」

 

輝く勝利を嫌い、光の者達を憎んだ、人狼の星。

 

「人肉を喰らえ、我欲に穢れろ。どうしようもなく切に切に、神の零落を願うのだ。絢爛たる輝きなど一切穢れてしまえばいいと。」

 

何人もの生命を刈り取り、日銭へと変えていった力で今度は誰かを守ろうとするのは滑稽に見えるだろうが、知ったことか。

 

「苦しみ嘆けと顎門が紡ぐは万の呪詛、喰らい尽くすは億の希望、死に絶えろ死に絶えろ、全て残らず塵と化せ。」

 

だからーー全てを刻んでやる。

 

「我が身は既に邪悪な狼、牙が乾いて今も疼く‼︎怨みの叫びよ天に轟け、虚しく闇へと吠えるのだ。」

 

聞けよ化け物ども、闇に響く人狼の咆哮を‼︎

 

「超新星《メタルノヴァ》ーー狂い哭け、罪深き銀の人狼よ‼︎《シルヴァリオ・クライ》」

 

そうして発動した星の力、人によっては1人の人間を一個中隊クラスを相手に出来るだけの力を身に宿して、化け物達へと飛び掛った。

 

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