バンドリらしくない世界で紡ぐ逆襲劇【ヴェンデッタ】   作:熊影

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中々纏まらず、更新が遅れてしまいました。しかも戦闘は次回までかかるので、夕暮れ編、もう少しだけお付き合い下さい。


夕暮れと灰と星とー11

 

人狼の牙が的確に生命を剥ぎ取り、焔が灰も残さず焼き払う。

 

それを繰り返し10分余り、既に化け物は5体にまで減っていた。

 

カイが戦闘に参加した結果、破竹の勢いて化け物は殲滅され、かつ2人にはろくなダメージすら負っていない。

 

「らぁ‼︎」

 

「はぁ‼︎」

 

そして残る5体も纏めて薙ぎ払われ消滅、化け物達は全滅した。

 

その様子に唖然とする4人と、あまり反応は無く祈る様に2人を見守るひまり。

 

そんな5人に気付く様子はなく、静かに辺りを見渡す。目的は他ならない仮面の存在。

 

「おい全て片づけたぞ‼︎どうせ何処からか見てるんだろ‼︎さっさと姿を見せろ‼︎」

 

挑発も込めて辺りに向け叫んでみる、これで現れるなら御の字と考えてーー

 

「うん分かってる。お見事だよ、あの程度では話にならないようだね。」

 

化け物が出現した円が再び現れ、そこから姿を見せる仮面の存在。パチパチと軽く拍手をしながら2人に顔を向けている。

 

「では最後はわたしと戦ってもらおうか、2人同時にかかって来て構わない。」

 

挑発的で傲慢と言える言葉を告げた直後、仮面とコートが先に倒した化け物同様に光となって霧散する。

 

姿が変わった、無機質な仮面は頭部を覆うヘルメットに代わり変わらず表情は伺えず、コートの下は黒のスーツでその身体つきは細いが華奢な雰囲気はしない男性で、その手には2本の脇差しが握られている、相当に使い慣れているのか隙はまるで見られない。

 

ーーだからこそ敢えて奇襲を仕掛ける、姿が変わった瞬間に音を立てることなく奴の背後に回り、殺すわけにもいかないので右手に握り締めたナイフの峰を叩きつけようとして。

 

「あぁ、同時にとは言ったけど誰もこちらが1人とは言っていないぞ?」

 

男の間に割り込んできた存在に防がれてしまう。

 

その事に尚冬は驚く事なく、寧ろ予想通りだと身体を素早く捻り回転蹴りを放つが、そいつは男と共にその場を飛び退くことで避けられた。

 

その正体はまたしてもアリで、そのフォルムは今までで一番洗練されており完全な人型、光を反射しない濃い黒の身体は不気味な威圧感がある。

 

取り敢えず今の段階で分かるのは、今までのアリの中で一番危険だという事ぐらいか、静かにナイフを構え直した尚冬は今度はアリめがけ駆け出し、姿が消えるのとほぼ同時にアリもまた姿を消した。

 

その後連続して響き渡る金属音を聞きながら、カイと男は静かに武器を構える。

 

「彼が参号の相手をしてくれるなら好都合、さぁ……君の力を確かめさせてくれ。」

 

「それでみんなが助かるのなら……だから、いくぞ。」

 

構えたカイの刃が再び紅く発光し、それを合図に2人は同時に駆け出し、互いが互いの距離に入った瞬間に刃を振るう。

 

「オオォ‼︎」

 

「シャアッ‼︎」

 

交差は一瞬、赤い火花が空中で弾けるが一度ではない、振るわれた刃が紅い軌跡を描き、それを打ち消すように振るわれた二つの煌めきが衝突し新たな火花が散る。

 

「ゼァァ‼︎」

 

それだけで終わらない、振り返りざまに刀身に圧縮していた熱を解放、膨大な焔となって男に襲い掛かり、飲み込んだ。

 

それを見てカイは構えを崩さず、焔を見据える。あれを食らっても無事だろうとどこか確信があって。

 

それが正しいと、焔の中より両手の刃を回転させ焔を遮りながら突撃してくる男に目を細め鋭くし、構えた刀に再度焔を宿して斬りかかる。

 

火花がまた宙を舞う、時間経過と共に増えていく赤い赤い火花はそれだけ激しく打ち合っていることを示しており、それに対してカイの内で疑問が膨らんでいく。

 

(こいつの能力は一体なんだ?あまりに不可解なことが多過ぎる。)

 

それは男が使っている能力について、あまりに能力発動中と思われる状態が多過ぎて判断が出来ないでいた。

 

本人や化け物が使っていた空間移動、百を超える化け物を呼び出したことから召喚系、更に尚冬から聞いた同じメモリを複数使っていたことからコピー能力と少なくとも3つは能力が考えられる。

 

それだけじゃない、星辰体を用いた能力だからこそこのアダマンタイトとオリハルコンの合金製であるこの刀はは耐えられるのであって、普通なら数千度に達する焔と打ち合って“一切の刃こぼれや融解しない”時点で刃自体に何かしらの能力が付与されているとーー

 

(って、付与……?)

 

打ち合いながらも感じた疑問、それが一体なんなのか、手を止めずに男を隈なく注視する。

 

刃だけではない、男が着ている服は一切の燃えた跡すらない、顔を覆うヘルメットも同様だ。あまりにも不自然な位に。

 

それだけじゃない、尚冬と今も戦うアリの参号とやらは高速振動する刃や振動を与える拳打を受けて、一切の傷や怯む様子も無い。まるで振動を受けていない様子だった。

 

(……成る程。そういうことか。)

 

それを見て、合点がいった。全てをとまではといかなくてもある程度は分かった。男の能力がどういうものかを。

 

だとすれば厄介だ、“同種の能力を使っていたからこそ”その能力の厄介さは知っている。

 

しかしだからこそ、付け入る要素があることがある意味勝利に繋がるのだと理解する。

 

その為にはまず行動して示したのは、男を力を込めて弾きながら後方に飛び距離をとること。

 

それに対して男の動きが止まる、単に警戒してのことか改めて構え直していた。

 

寧ろカイには好都合、刃に宿した焔を現段階で出来る最大の熱量まで上げながらも状態を維持したまま、腰を落とし刀を水平に構えた。

 

そしてイメージするのは1人の姿、誰よりも近くにいた半身の大元となった男、鋼の英雄と呼ばれた男が能力を発動した姿。

 

かつての自身は消えてしまったかの英雄を蘇らせるために用意された贄だった、だからこそ鮮明にイメージ出来る。

 

刃に宿る熱量は焔から光へと変わり始める、それは悪の一切を滅ぼす雷霆の一撃、その摸倣。

 

刹那、身体を砕く様な激痛が走るが気合いで耐える。なんてことはない、かつてもやっていたことなのだから。

 

「これはっ…!?参号、僕の後ろに‼︎‼︎」

 

異変に気付いたようだが、一手遅い。

 

気合い一閃、放たれた一撃は光の奔流となり瞬く間に男を飲み込んだ。

 




夕暮れ編が終わったら短い話を幾つか書いて次に行きます。途中でキャラ設定もは止む予定です。
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