バンドリらしくない世界で紡ぐ逆襲劇【ヴェンデッタ】   作:熊影

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この章から基本的に主人公視点で話が進みます。視点が変わる際には〜〜視点という風に記入します。




探偵事務所の朝

………夢を見た。

 

思い出したくもないが、覚えておかなければならない、矛盾だらけの夢を。

 

……それは記憶、俺の中で最も重要で、最も悲しくて辛い記憶。

 

そして何より、取り返したくて傷つけたくもあって、愛憎がこれでもかとグチャグチャに入り混じった、トラウマ以外何物でもない記憶だった。

 

『あはは、気持ち悪い、気持ち悪いよその泣き顔!そんな顔するならーーこうしてあげる‼︎』

 

俺を受け入れてくれた家族以外で、初めて心から居場所と言えた、大切“だった”幼馴染は、笑いながら“奴”から受け取ったナイフで俺の顔を斬りつけた。

 

『それでは足りないわ■■、こいつにはこれ位してやるのがいいのよ‼︎』

 

そしてーー何より大切な姉“だった”彼女は、同じ様に奴から受け取ったピックで、躊躇無く左眼を刺し貫いた。

 

死ななかったのは奇跡以外なにものではなく、激しくスパークする視界と意識の中で、奴はそれは醜い嘲笑を浮かべながら大切だった二人を側に抱き寄せて、俺に右手を翳して告げてくる。

 

『じゃあなモブ野郎‼︎この主人公様を置いてヒロイン達に近付いた報いを受けなぁ‼︎実に楽しい余興だった‼︎』

 

言葉を言い終えた瞬間、謎の浮遊感が俺を襲いーー

 

『ーーっあ……尚冬ーー⁉︎』

 

最後に見たのは、突然我に返ったかの様に泣き顔で手を伸ばす大切だった二人の姿でーー

 

夢は終わる、いつもいつも同じ終わり方で。

 

「んっ……」

 

ぼんやりと、目を開けて始めに映ったのは見慣れた天井。

 

6年ほど見慣れた天井を悲しいことにいつも通り憂鬱な気分で見上げる。

 

始めは泣き叫びなから飛び起きたのを今でも覚えている、おやっさんには迷惑をかけてしまったと申し訳なさがあったものだ。

 

今では涙こそ流さなくはなった、トラウマであることには変わらないが進歩したと思っておこう。

 

取り敢えず壁に掛けてある古ぼけた時計を見れば、午前8時を示していた。生憎と学校には通ってないので遅刻の心配もないわけだが、普段は1時間は早めに起きているので寝過ごした感がある。

 

別に8時でも遅くはないのだが、取り敢えず少し急いで起きるとしよう。

 

身体を預けていたベットから出て、ベットの頭元に置いてある胸元に届く位の高さのタンスから服を取り出して手早く着込む。

 

シャツにボクサーパンツと言う格好から、黒一色の長袖に上からノースリーブのファー付き黒のジャケットを着て、紺のジーンズを履く。

 

そして首には春の季節には必要なさそうな赤のマフラーをして準備完了。

 

そして扉まで歩いて必要最低限のものしかない自室を出て、短い廊下を歩いていると何やら向かう先の応接間が騒がしいことに気付く。

 

何やら騒いでいる聞き覚えのある男女の声、またかと思いながら歩みを早めて応接間に出てみればーー

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