バンドリらしくない世界で紡ぐ逆襲劇【ヴェンデッタ】 作:熊影
その内容に、それこそ強烈な衝撃を覚えた。かつて食らったウェザードーパントの攻撃を思い出すぐらいに。
同じ反応をしたのだろう、事務所組からの驚愕の視線が突き刺さるのを感じる。
その反応は当然だ、何せ彼らには俺以外使えないと伝えていたのだ。そう言ったからこそ自分が一番信じられない。
「………………間違い無いのか?」
「間違い無いよ……聞いたこともない声で、見たことない顔で歌ってたもん。間違えようがないよ……」
涙のせいで腫れた目元を気にすることなく上原さんは答える、はっきりまちがいないと力強い目で俺を見つめてくる。
信じたくはないが、力強い目を見て信じるべきだと思った。
まぁ、結果的にはカイ少年と確実に話をしなければという想いが強くなるのだが。
今後の予定をひとつ組み上げた所で、話の続きを促す。
カイ少年はその一節を歌ったあと、それこそ人が変わったような恐ろしい形相でドーパントに突撃したらしい。
ただ正確には目の前に居たはずなのに、気付いた瞬間にはドーパントの目の前に居て、刀を振り下ろした形になっていたらしい。ドーパントに関しては大きく仰け反っていたと。
そしてその場で左に回転、勢い付けた回転斬りはガラ空きの胴に叩き込まれ、“爆発”。
何故かは分からないが確かに爆発したと、青葉さんは言う。普通なら確かに分からない現象だが、あの一節を知るものならなんら不思議はないだろうさ。
その事を知る俺は特に気にせずに先を促す、その際に美竹さんに訝しげに見られたが気にしない。
その爆発は大きなものではなかったが、ドーパントを吹き飛ばすには十分だったらしい。
まるで先程の趣向返しの如く勢い良く吹き飛んだドーパントは、そのまま壁に激突し蜘蛛の巣状の罅を入れたらしい、思わない反撃にドーパントが選んだのは逃走だった。
脱兎の如くヒビが入った壁を登り逃げ去るドーパント、カイ少年は油断無くそれを見つめていたが、完全に逃げたと分かり気が抜けたのかその場に崩れ落ちたと言う。
慌てて駆け寄った5人はカイ少年に声を掛けようとして絶句。
何故ならカイ少年は右半身を中心に火傷を負っていた、特に刀を持っていた両手には炭化すら見られ、持っていた刀は歪に歪んだ取手を残して刃は跡形もなかったとのこと。
そこから先は上原さんが特に取り乱したのを4人で何とか落ち着かせながら、警察や病院に連絡、カイ少年は診断の結果火傷以外にも脇腹を含めた複数箇所に罅が見られ、約一ヶ月の入院になるそうだ。
そしてドーパントに関しては彼女達の街の警察では対応が難しいらしかった、それはそうだろうさ。
ドーパント自体は知っていても実際にドーパントが現れているのは今までここ風都のみ、ガイアメモリ対策班があるのもまた風都のみだ。
そこで彼女達は風都警察に連絡するように伝えられたらしい、その際に力になったのは何でも羽沢さんのご両親らしい。
何でも羽沢さんの実家は喫茶店らしく、そこに偶然寄った竜さんが大層そこの珈琲を気に入ったらしい。今まで常連客に数えられる位休みの日には訪れており、所長も行ったことがあるらしい。
そこで自身が警察であることを軽く話したらしく、ガイアメモリに関して何かあれば協力すると名刺を渡していたそうだ。
その行為が今日の依頼に繋がったらしい、ただ本当なら竜さんに依頼したかったとのことだが生憎今竜さんは風都には居ないのだ。