バンドリらしくない世界で紡ぐ逆襲劇【ヴェンデッタ】   作:熊影

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夕暮れと灰と星とー3.

その理由は今はいい、いない事実が変わるわけではない。

 

しかしそうなるとーー

 

「花咲川か、隣街といえ誰が行く?」

 

流石に全員ではいけない、何せ落ち着いてきたはずのこの街では再びガイアメモリによる事件が増えてきているからだ。

 

だから一時的とはいえ竜さんが居ないこの状況で全員が離れるのはマズイ、ドーパントに対応できる奴が居なくなってしまう。

 

そう思って事務所組に声を掛けたら、3人は心配そうに俺を見ていた。

 

どうしてーーなんて下手な芝居はいらない、だって今も地名を口にしただけなのに手の震えが止まらないのだから。

 

「尚冬、ここは俺とフィリップが担当する、だからーー」

 

「お前は残れ、なんて言うのか?冗談じゃない。」

 

あぁ、確かに心配してくれる理由もよく分かってる。全部話しているのだから嫌でも分かってる。

 

特に“6年前”に思い出した記憶が余計に足を引っ張ろうとする。

 

苦痛は嫌だ、栄光は要らない、勝利するなんて冗談じゃない。

 

そう考えていた時期があったからこそ、尚のことーー

 

「もう逃げるのは終わりだ、何時までも泣いて泣いてーー無力を理由にするのは。」

 

どのみち決着を付けなきゃいけないのだから、今回の依頼は俺にとって渡りに船だ、受けない理由は無い。

 

「今回は俺が受け持つよ、サポート宜しくな3人とも。」

 

「…………ったく、臆病者のくせにこういう時だけ頑固者とはな、しょうがない弟分だ。」

 

「だからこそ支えるのだろう、今までもこれからもそれは変わらない。」

 

「そうだね、でもそれがナオ君だもの。」

 

……ほんと、いい仲間を持ったよ。

 

3人の暖かい目は恥ずかしいものがあるが、あぁ、悪くないものだ。

 

「決まりだな、そちらも構いませんか?」

 

「良いよ、あと敬語じゃなくても構わない。見た感じ同年代っぽいし。」

 

「なら遠慮なく、このまま出発するかい?それなら準備に10分ほど時間をいただきたいが。」

 

ドーパントが居るなら必要なものを持っていかなければならない、生憎とまだ寝起きなのだ。

 

「私達なら大丈夫です、寧ろ早く来すぎて迷惑だったんじゃ……」

 

「お気になさらず羽沢さん、慣れてるから。」

 

この時間に依頼が来るのは珍しくはない、依頼は時間を選ばないから。

 

だから落ち着いて対応出来る、今回も変わりはない。

 

事件の真相を解明し、ドーパントを倒して依頼者の生活を取り戻す。

 

それが俺たち鳴海探偵事務所なのだから。

 

許可は得たので、準備をしに自室に戻る。

 

とはいえ準備するものは多くはない、携帯に財布、そしてドーパント用のツールにーー

 

「こいつを忘れちゃ話にならないしな。」

 

棚の上、朝敢えて触れなかった鞘付きの大振りのナイフを取り、コートの下にズボンに水平に取り付けた。

 

こいつこそが俺の本命、準備はできたし行こうか。

 

応接間に戻ると5人も移動の準備を終えていた、なら後は行くだけだ。

 

6年ぶりに戻るとしよう、生まれ故郷にーー

 

全てが奪われた、因縁の場所に。

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