とある特殊小隊の日常前線(デイリーフロントライン)(旧)   作:ノア(マウントベアーの熊の方)

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ノアです。
2019/8/24に改訂版を出して前書き編集も必要でつらい今日この頃です。
ではごゆっくり、見ていってください。


第15話

あの任務の後、俺たちはヘリに揺られながら、特に何事もなく帰り、その日は寝るまで自由に過ごすことにした。

そこまではいいのだが、みんなラフな格好になったので、視線をどこに置けばいいのかわからなくなっていた。

どうしようかと悩んでいると、静かな空間がいやだったのか、C96がある疑問を出してきた。

 

「そういえば、なんであの時ジンさん判断が遅くなっちゃってたんですか?」

 

「…なんでだろうな」

 

そう言い、あの日のことを思い出す。

しかし、特にこれと言って理由は思いつかなかった。

 

「あ!そういえばあの日、ジンさん体調悪そうでしたよね?ね?」

 

「あー、たしかになんか言ってたっけな、確かに体はだるかったが…今もだるいけど」

 

そう言って2人で会話していると、他のみんなもその事が気になったのか、他のところに座ってゆっくりしていたみんなも集まってきて、みんなでその話をすることになった。

 

「ジンさん、あの日の前とかなんか変わったことなかったですか?」

 

そうM14に聞かれ、あの日の周辺に起きた事を思い出す。

 

「…あのこの前の謎の女の子に風呂場で会ったな」

 

そう言うと、みんなして顔を青ざめさせ、怯えるように震え始めた。

 

「ま、まさか…取り憑かれたんじゃ…」

 

「…悪霊とかならともかく、悪い霊じゃなかったら体調に変化ないんじゃないのか?…知らんけど」

 

「でもそれ以外に理由が思いつかないんですけど…」

 

そう言われ、確かにそうかもしれないと思ってしまう。

…ま、まさかそんな事ないよね?

そんな事を思っていると、M500が心配そうにこちらを見て、

 

「ジンさんどうしたんですか?顔青ざめさせて…体調でも悪いんですか?」

 

と言ってきた。

 

「だ、大丈夫だ、問題ない」

 

「本当ですか?無理そうなら言ってくださいね」

 

そう言われ、自分も怖いだろうに他人の気遣いができるとは、本当にうちの隊員は優しい子だらけだなぁと改めて思った。

その話の後は適当にみんなで色々な事―――例えば、今度の休暇の話などを話し、晩御飯を食べて風呂に入ることになった。

 

「えぇー?今日もジンさん一緒に入ってくれないんですか?」

 

そう1人でみんなの後に入ろうとしていると、M500がそう言ってきた。

 

「まだ覚悟ができてないんだよ…」

 

そう言うと、M500は頬を膨らませながら、

 

「別に覚悟なんて後でもいいじゃないですか!」

 

と言ってきた。

 

「男には男の理由があるんだよ!察してくれ!」

 

 

「…ふーん…しっかり私たちの事を女の子として見てくれてるんですね」

 

「…何がだよ」

 

そう不機嫌気味に言い返すと、今度はニヤニヤとした表情を浮かべ、

 

「一緒に入ると下半身が…ですよね?ジンさーん?」

 

と言ってきた。

 

「うるせぇ!俺先に入るからな!」

 

「ふふっ、ごゆっくり〜」

 

若干顔が熱くなっているのを感じつつ、俺は1人で風呂場へと向かった。

脱衣場のカゴに換えの服を置き、着ていた服を脱いで浴室へと向かう。

ドアを開けて入ろうとすると、前回と同じように、黒いロングヘアの女の子が、前回と同じように必死に両手で前を隠していた。

 

「すいません!すぐ出ま……ってちょっと待って?」

 

そう言い、タオルを手に持ち、大事なとこを隠しつつ、もう片手でその場にいることだけが確認できるように足だけ見えるようにしつつ目を覆う。

 

「これでよし…と、質問いいかな?」

 

「…やっぱり、見えるんですね、わたしの事…」

 

「…へ?」

 

その言葉を聞いた途端、一瞬背筋がゾワッとするのを感じ、まさかと思いつつ、次の言葉を待った。

 

「…わたし、幽霊みたいなんです」

 

そういう言葉を聞いた途端、一瞬で意識が飛び、俺は床へと倒れ込んでいた。

 

「ち、ち、ちょっと!?大丈夫ですか!?」

 

そう言いながら女の子が走ってくるのを感じながら、辛うじて強打しなかった頭を抑えつつ、起き上がろうとする。

そしてその前には…

 

「よかった…無事みたいですね」

 

そう言い、完全に色々と見えてしまっている安心しきっている女の子の姿が、そこにはあった。

現実に起きていることがわからず、そのまま固まってしまっていると、

 

「…何見てるんですか!」

 

と言って女の子がビンタを食らわしてきた。

 

「いってぇ!?…ごめん!フリーズしてた!」

 

「わざとじゃないんですか!わざとですよね!?」

 

「わざとじゃないって!現実に追いつけないんだって!」

 

「…じゃあその下半身のモノはなんなんですか」

 

そう女の子が顔を赤くしつつ目を覆ってチラチラ見てきてるのを見て、その言葉の意味に嫌という程気づいてしまう。

 

「こ、これは生理現象と言うやつで…」

 

「うう…早く隠してください…」

 

「…はい」

 

そう言いながら、持っていたタオルを腰に巻き、改めてその女の子の姿を見ようと顔を上げると、

 

「何見てるんですかぁ!」

 

と、またビンタをされた。

 

「理不尽!?」

 

「…もう、今回はわたしも心を決めてあなたと話をしようと思ってたのに…あんまりです」

 

「じゃあタオルで前隠すとかさ…」

 

「持ってるわけないじゃないですか!…もう、脱衣場で待ってますからね」

 

そう女の子は言い、ドアを文字通りすり抜けて、脱衣場へと向かった。

 

そのまま現状把握もままならないまま混乱しつつ風呂に入り、念の為前を隠しながら脱衣場へと向かった。

脱衣場へと入ると、白いワンピースをその身にまとった、女の子の姿があった。

 

「…長かったですね、ナニしてたんですか?」

 

「何もしてないよ…後ろ向いてて」

 

「変なことしたら呪いますからね」

 

「しないって…」

 

そう言い、体を拭いて服を着る。

着替え終わってから、「こっち向いていいよ」と言い、改めて女の子の姿を見る。

改めて見ると、日本人のように見えていたが、眼も濃い茶色で、顔の彫りも若干だが日本人より深く、少しハーフのような見た目をしていた。

 

「…じゃあ、名前から教えて貰ってもいいかな?」

 

「うん、わたしはエルンスト・コック、18歳です」

 

「えっ、18?」

 

そう言い、改めて女の子の姿をまじまじと見てみる。

しかし、どう見ても13やその辺の女の子にしか見えない身長と幼い顔つきだった。

 

「もう、やっぱり18に見られないかぁ…」

 

そう言い、コックと名乗った女の子は不貞腐れるかのように頬をふくらました。

 

「ごめんよ、でも可愛いから大丈夫だって」

 

「かわっ!?…もう、なんてこと言うのよ…ありがとうございます」

 

思っていたことをそのまま伝えると、コックは顔を赤く染め、目線を逸らした。

 

「さて、俺も自己紹介しようか、俺は叢雲 仁、歳は19だ、よろしく」

 

そう言って、そのまま握手しようと手を出す。

すると、

 

「幽霊相手に握手しようだなんて…変にお人好しなのかもしれないですね、よろしくお願いします、ジンさん」

 

と言って、コックからも握手をしてくれた。

…今思ったがなんでこの子は質量があるのだろう。

幽霊って質量のある存在だったのだろうか。

 

「さて、お互いに友達になれたことだし、みんなの所に行かないか?どうせなら紹介したいし」

 

「そ、それはダメです!」

 

そうコックは言うと、顔を赤くしつつ両手を前に出して拒絶してきた。

 

「…どうしたんだ?」

 

「わたし、恥ずかしがりで…さすがにほかの皆さんに会うのは恥ずかしいっていうか…」

 

「なら無理にとは言わないよ、また今度でいいさ」

 

「はい…よかった…ジンさんがわたしの思ってたように優しい人で…」

 

「へ?俺のこと知ってたの?」

 

そう聞くと、コックは弾けるような笑顔で、

 

「はい!"取り憑いて"ましたから!だからこの人になら姿見せてもいいな、って思って出てきましたし…」

 

と言ってきた。

 

…えっ、今この子取り憑いてたって言った?

そう思い、そのままフリーズしてしまう。

 

「…?どうしました?」

 

「え、いや、コック、君さ、俺に取り憑いてたって言った?」

 

「はい、言いましたよ?」

 

「…まさかとは思うけどあの時判断が遅れたのって」

 

「はい…わたしのせい、だと思います…ごめんなさい……」

 

そう言い、コックはさっきの笑顔とは打って変わって、泣きそうな顔になってしまった。

 

「泣かないでくれよ、俺はもう大丈夫だからさ、C96もきっと許してくれるって」

 

「でも、わたしのせいで大切なお仲間さんが…」

 

「俺に取り憑いてたなら知ってると思うけど、しっかりと元に戻って生き返ってくれてる、心配しなくていいさ」

 

「でも、でもジンさんやC96さんを苦しませてしまったのは変わりようのない事実で…わたし、それが申し訳なくて…!」

 

そう言って、コックは泣き出してしまった。

 

「大丈夫だよ、むしろコックのおかげで大切なものに気づけたから」

 

そう言い、コックを抱きしめてやる。

抱きしめて初めて、体温の感じないコックはやはりこの世の人ではない…そう感じた。

 

「ごめんなさい…本当に、ごめんなさい…」

 

「大丈夫、ほら、泣いてたら可愛い顔が台無しだよ」

 

そう言い、涙を拭いてやる。

やはり幽霊なのは変わりないが、その涙だけは本物のようだった。

生前から、心優しい少女だったのだろう。

 

「ありがとうございます…でも、このまま取り憑いてたらもしかしたらまた、同じことが…」

 

「…宝石とかの類を依り代に、って、できないかな?」

 

「…へ?」

 

「ほら、物理的に触れれるほど霊的に力が強いならさ、それくらいできるかなって」

 

そう、1つの仮説を提案してみる。

特にコックの口からはまだ言ってきてはいないが、恐らくまだこの世に残っていたいのだろう、そう思ったからである。

 

「…わかりました、やってみます」

 

「わかった、じゃあ今晩、俺が自室にいるときにでも出てきてよ、天然石のネックレスが確かあったはずだから探しとくからさ」

 

「わかりました、では今晩、またお邪魔しますね」

 

そう言うと、コックの姿はは煙のようになり、その場からいなくなった。

 

「さて、みんなの所に戻るか、遅くなっちまった」

 

そう言い、みんなの待つ休憩室へと向かい、風呂から上がったことを伝える。

するとM500が、

 

「遅かったですね、もしかして…ナニしてました?」

 

「しーてーまーせーんー!」

 

「いいんですよ?私たちは"家族"なんですから、ねぇジンさん?」

 

「今朝つい言っちまった『家族』ってワード覚えないでくれよ!恥ずかしいじゃねぇか!」

 

そうみんなでわーわーとはしゃいでいると、唐突にM500が大人しくなり、

 

「でもねジンさん、みんな、ジンさんに家族って思われてて、嬉しかったんだよ」

 

「…そう…なのか?」

 

そう聞くと、みんな揃って「うん!」と返事をしてくれた。

嬉しさのあまり涙が出そうになるが今はぐっと堪え、短く「ありがとう」と呟く。

その後はみんな揃って風呂に入りに行き、休憩室には俺が残るだけとなった。

 

暇になったので現在の貯金残高を見たり、欲しいものの値段を見たりしていると、指揮官から一通のメールが届いた。

 

「なになに…?『近々3名増員予定、準備頼むわ、詳細はまた送る』…はぁ、今送ってくれてもいいんだけどな」

 

そう1人でぶつぶつ言いながら返信をし、ひとまず空き部屋の準備をする事にした。

準備をしているとみんなが上がってきたので、軽くまた雑談をしてから、自室へと戻って行った。




いやぁ、最近ネタが思いつかなくてですね…
更新遅くなりがちですみません。
あと、15話(現16話)を投稿したら『猫な彼女と傭兵と』を1話書こうと思ってますので、更新が遅れると思います。
あらかじめご了承ください。

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  • HK417
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