とある特殊小隊の日常前線(デイリーフロントライン)(旧) 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
同じ日に『猫な彼女と傭兵と』も更新しましたので、よろしければそっちの方も見て評価、コメント頂ければ作者が歓喜のあまりバジリスクタイムします。
では今回もごゆっくり、見ていってください。
「何だこの部屋は…?」
そう部屋を入る前の家とこの場所の変わりように驚き、思わずそういう声が漏れてしまう。
すると、ソラが苦笑いしなから、
「まあ…普通そういう反応になるよね」
と言って、近くにあった無地の白いベッドに腰掛け、隣に座るように催促してきた。
促されるまま、俺も隣に腰掛けると、なにか緊張しているかのようにソラは深呼吸し、意を決したようにこちらを向いてきた。
「あのね、ジンさん、コックには言わないで欲しいんだけど、私の待ち人…その人は私のお父さんなんだけど、多分…ううん、きっともう死んでるんだ」
「死んでる…?一体どうして?」
そう聞くと、コンクリート固めの白い天井を仰ぎみて、
「私のお父さん…私を"作ってくれた"人は、IOPの技術者だったんだ、でも…その技術力の高さから周りに恐れられていたの、でも、もう5年前から帰ってこないんだ、多分、IOPに向かった日にあった事故に巻き込まれたんだと思う」
そうソラが言ったことに対して、ひとつのことが引っかかった。
「そうか…ってん?ソラを…作った?」
「そ、このこともコックには秘密にして欲しいんだけど、私人間じゃなくって、一般的に言う自律人形なんだ」
「そうなのか…当たり前のように人間だと思ってたよ」
「ありがとう、お父さんもそれを聞くときっと喜ぶよ…でね、ここからが本題」
そう言い、ソラは真剣な表情を浮かべた。
それに応えるように、俺も真剣に聞こうと、ソラへと目線を合わせる。
「私ね、そろそろ壊れちゃうの、理由は…人間でいう寿命…かな」
と、少し悲しそうにしながらも、少しはにかみながら、そう言ってきた。
「…何とかならないのか?自律人形ならバックアップを取って新しいボディに切り替えることだって―――」
そこまで言って、俺はひとつのことに気づいた。
「……そうか、個人のハンドメイドだから換えのボディがないのか」
「うん、そうなんだ、本来なら他の自律人形のみんなと同じく、ボディもアップグレードされたりして、換えのボディをお父さんが作ってくれるはずだったの」
「でも、死んじまった…か」
「…うん、そういうこと」
そう言い、ソラは俯き、自分の手を見つめ始めた。
「そろそろ、私は壊れちゃう、でも、コックは人間でしょ?…私がいなくなっちゃってから、大丈夫かなって、ずっと思っててさ、誰か頼める人が現れるのを、ずっと待ってたんだ」
「…そうか」
「あのね、ジンさん、私がいなくなってから…あの子のことを頼めるかな?」
そう言われ、すぐに"わかった"と返事できなくなってしまう。
だって、もう、コックは―――
「これは、私の最期のお願いだから…もう、ジンさんにしか頼めないの」
「………わかった、何とかするよ、でも、俺からもひとつ、お願いがある」
「わかった、私にできることなら、なんでもするよ」
そうソラが返してくれたので、コックの事を隠し続けなければいけないと思うと、心が痛んでしまう。
でも、これだけは伝えておきたいことが、俺にはあった。
「…生きることを、諦めないでくれ、なんとか俺もソラがこの世にい続ける方法を探すからさ」
「…わかった、私が壊れるその日まで、私は生きることを諦めないよ」
「…ああ、そうしてくれれば、コックも喜ぶよ」
「そうだね、私はもう壊れるのを待つだけだけど…この世に残って、コックを見届けれるなら、それは願ったり叶ったりかな…さ、そろそろ戻ろうか、コックが待ってる」
「…ああ、戻ろうか」
そう交わし、俺達は元いた部屋まで戻ることにした。
「コック、お待たせ」
そう言いながら、コックの近くへと向かう。
すると、コックは頬をふくらませながら、
「もー!2人とも遅いよ!待ちくたびれちゃった!」
と言ってきた。
「ごめんごめん、ジンさんと雑談が盛り上がっちゃってさ、お茶でいいかな?」
そうソラが言い、冷蔵庫からお茶の入ったポットを出して、コップにお茶を注いで出てきた。
「ありがと、ソラ!わたし喉乾いてたんだぁ」
そう言い、コックはコップに注がれたお茶を飲み干していた。
…幽霊なんだよな?なんで飲めるの?
でも、これなら…
「そうだ、ソラ、コック、2人とも俺らの基地で暮らさないか?その方が2人一緒に入れると思うんだが」
そう言いながら、元から一緒に暮らしているも同然なコックの方を向いてみる。
コックは嬉しそうだったが、どこか悲しそうな顔をしていた。
…やはり、自分が幽霊なのが気になってるのだろう。
そう思っていると、コックは暗い顔をやめ、
「あたしはいいよ!ジンさん優しいし!」
と言ってきた。
問題はソラの方だが、果たしてどうだろうと思い、今度はソラの方向を向いてみる。
すると、
「コックがいいなら、私も行こうかな」
と、承諾してくれた。
そして、なにか思うことがあったのか、なにか疑問があるといった顔をしていた。
「ねえねえ、ところでジンさん、基地…ってどういうこと?」
そうソラに聞かれ、咄嗟に言葉が出なくなっていた。
しかし、言ってしまったなら仕方ないと思い、隠さずに言うことにした。
「…隠す程でもないから言うが、俺はグリフィン所属の部隊、その隊長をしてるんだ、で、この近くに俺らの基地がある」
「へぇ…相手は誰なの?」
「テロリストだな、誰かの大切な人を奪うヤツらなんだ、徹底的に叩きのめしてやらんと」
「そっか…やっぱりいつの時代も、人間は争うんだね」
そうソラは言い、悲しそうな顔を浮かべた。
「…そうだな、こんな時代なんだ、普通は助け合って生きていこうとするはずなんだけどな…やっぱり人間は愚かだよ」
「ふふっ…ジンさんも、お父さんと同じこと言うんだね」
そう言い、ソラは懐かしそうな表情を浮かべ、どこか遠いところを見つめ始めた。
「…そうなのか?」
そう尋ねてみると、
「うん、お父さんもよく『なぜこんな時代なのに人々は助け合わずに争いを繰り広げるんだろう』って言ってたからね」
「そうか…」
そう言ってから、ある1つのことに気づく。
…そう言えばコックの姿をみんなは1度、見ているのだ。
慌てるのは目に見えているだろう。
とはいえ、今から"やっぱりナシで"などと言える訳もない。
かくなる上は、みんなを信じてそのことを言わないことを願うのみだ。
まあ連絡はひとつ入れるが。
「さて、ちょっと基地のメンバーに電話してくるよ、いきなり行ったらみんなびっくりするしな」
そう言い、俺はソラの家から出て車に戻り、端末から部隊のグループのビデオ通話を起動した。
「もしもし、聞こえるか?」
そう言うと、画面にM500の姿が映し出された。
『もっしもーし!どうしたのジンさん?』
「ちょっとしたことがあってな、民間人を2人連れて帰ることになった…で、その話をだな」
『…もしかして、誘拐?』
「いや違うから、同意の元だから…ってそうじゃない、そのうちの一人はこの前の幽霊なんだ」
『えええええ!?大丈夫なのそれ!?』
「ああ、大丈夫どころかいい子だよ、そしてお願いがある、その子…コックって言うんだが、その子のことは知らない、って感じでいてくれると助かる」
『わかった、みんなに伝えとくね』
「すまないな、頼めるか?」
『もっちろん!ジンさんが大丈夫って言うなら大丈夫でしょ!じゃ、みんなに伝えてくるね!また後で!』
そう言い、通話が切られた。
みんなの事だから大丈夫…だとは思うが、もしもの時はどうしようかと考えてしまう。
「…まあ、そこはみんなを信じるか」
そう呟き、俺はソラの家へと戻って行った。
「わかった、私にできることなら、なんでもするよ」っていうソラのセリフで「ん?今何でもするって言ったよね?」なった人は同志です。
書いてて自分でなりました。
はい、どうでもいいですね()
ではまた次回、お会いしましょう。
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