とある特殊小隊の日常前線(デイリーフロントライン)(旧) 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
プロットの意味がない気がしてきました。()
やっぱりどの時代でも無関係な人に被害を受けさせるテロリストはクソ、はっきりわかんだね(ユキを撫でつつ)
では今回も、ごゆっくり見ていってください。
次の日になり、俺は朝からできるだけ女の子の心のケアをするために、訓練指揮をM500に任せ、女の子の部屋に入り浸っていた。
なんでもいいからと話を聞いていると、まだ戦術人形だった頃の話から、コアを抜かれて自律人形として生活していた頃の話まで、色々と聞くことができた。
やはり、女の子の名前は遺書に書いていた通りに『ユキ』という名前らしく、雪のようにふわりと包み込むような、可愛いく、優しい子になるようにと、老夫婦からつけられたらしい。
そのおかげもあってか、確かにデータベースで見たSPP-1の戦術人形の基礎人格よりも、柔らかく、可愛い子になっていると感じることができた。
ユキは、戦術人形として活動していた時は、烙印システムで結ばれたSPP-1水中銃の本領発揮できる水中…ではなく、陸上での戦闘に駆り出されていたそうだ。
もちろん、水中銃が他の銃と同じ舞台で同じように活躍できる訳もなく、寧ろ味方が撃ちやすいように振舞っていたのだという。
そのおかげか他の戦術人形達の戦果は著しいもので、チームのムードメーカーだったが、1人だけ戦果が乏しいのが当時の指揮官の気に障ったのか、1人だけ部隊から外され、IOPへと返却されることになったという。
そして戦術人形が戦術人形たる所以のコアを抜かれ、後は民間への放出を待つのみとなり、IOPの中をぶらついていた所を、たまたま子供が出来ないからと仕方なく自律人形を買いに来た老夫婦の目に留まり、娘として迎え入れられることになったそうだ。
老夫婦はユキの事を本当の娘のように可愛がってくれ、ユキも過去のことを忘れて生活できていたそうだ。
もちろん、自律人形であるが故の苦労はあったそうだが、それでも楽しく、平和に生活できていたのだという。
……しかし、そんな平和も、長くは続かなかった。
楽しかった日常が、1度ならず2度までも奪われ、さらにはその今までの老夫婦との日常が、二度と戻る可能性すらなくなってしまったのだ。
この事には、流石の俺もかける言葉が見当たらなかった。
俺も両親や友人をテロリストに奪われはしたが、それもまだ1回だけだ。
確かに、途中でC96が一時的とはいえ死ぬということがあったが、それも永遠の別れではなく、C96は戻ってきてくれている。
ユキには、そうやっていつでも自分の元に戻ってきてくれる人は、もう居ないのだ。
だからこそ、今度こそは、自由に、そして平和に生活して欲しい。
その願いが届くのかはまだわからないが、指揮官にも動いてもらい、なんとかいい方向にならないかと努力を進めている。
その事がいい方に転がるのを願うばかりだ。
その事を今はまだ隠しながら、ユキと話を進めていると、訓練所からみんなが帰ってきて、昼ご飯となった。
みんなで笑い合いながら食事をし、俺はみんなにユキを任せ、なんとなく空を眺めに、屋上の駐機場へと来た。
多分、悲しいのに明るく話すユキの姿を見て、嬉しいのに悲しい気持ちが募り、そういう、黄昏たい気分になったのだろう。
割と、俺はそういう所があるのかもしれない。
「はぁ…なんかユキの喜ぶような事ねぇかなぁ…」
そう呟きながら、俺は部隊の保持する、ステルスホークへと歩み寄り、機体に描かれた部隊のエンブレムへと手を伸ばす。
今まではなんとも思わなかったが、今日ばかりは、コイツにも感謝しないといけない気がして、気がつけばボソッと"いつもありがとう"と呟いていた。
言ってから徐々に恥ずかしくなり、意味もなくヘリポートへとねっ転ぶ。
そして気づけばうとうととして来て、俺は夢の世界へと意識を手放していた。
―――
――
―
「……ン!ジン!起きな!」
そう唐突に声が聞こえ、慌てて飛び起きる。
飛び起きるとそこは、グリフィン本部にある、昔いた自室だった。
「やーっと起きたんか、もう朝やで」
そう声が聞こえ、聞こえた方を向くと、そこには黒い髪の毛をポニーテールにし、赤ぶちメガネをかけた、白衣の女性がいた。
「なんだよ、今日は休暇のはずだ、寝かせろよ、"まつ姉"」
そう懐かしい名前を口に出し、俺はまたベッドへと寝っ転がった。
「まつ姉言えば見逃してくれると思ってるやろ!もう!今日は部隊で新規武装のテストやって言ってたやろ!」
「うるさい、俺はそれに同意したつもりは無いし、やるつもりは無い」
「あーもう!そんなん言うんやったら指揮官に言うて後方支援に回させるで!」
「…チッ、変に権力だけは持ちやがって」
そう言って、ベッドから降りて、壁にかけてあるハンガーからひったくるようにオリーブドラブの色の『第64技術開発部隊』のパッチが縫われた、フライトスーツを取る。
なぜ特殊部隊と言った感じの部隊でもないのにフライトスーツなのかはわからないが、これがユニフォームなのだそうだ。
「…着替えるから出てけ」
「見られて困るようなもん持ってへんやろ!気にすんな!」
「うるせぇ出てけ!」
そう言って、まつ姉を外へと追い出し、俺は着替え始めた。
しばらくして着替え終わってから部屋を出て、辺りを見回してまつ姉がいないかを探す。
するとやはり近くで待っていたので、嫌々背中を押されながら訓練所へと向かった。
「で?今日の実験装備は?」
そう不機嫌気味に聞くと、フフンとドヤ顔気味に言い、
「戦術人形の新型外骨格の試験や!苦節数ヶ月、いやー、仮完成まで長かった…」
と、しみじみとした面持ちを浮かべ、うんうんと謎の感動を噛み締めながら頷いていた。
「…それ俺いらないな、帰る。」
「ちょちょちょ!部隊統率する人間として、さ!」
「部隊統括やらは本統率してる指揮官に言ってくれ、俺はただ射撃目標やらを現場で指揮してるだけだ」
「だからこそ現場で使えるかどうかとかさぁ!ほら、終わったら欲しいもの買ってあげるから、な?」
「欲しいものなんざテロリストの命だけだ、だから俺は帰る」
そう言って踵を返して部屋へと戻ろうとすると、もう1人、俺の苦手とする、もう1人の人間…いや、戦術人形に声をかけられた。
「叢雲くん!早くやって今日の業務終わらそうよ!ね!」
そう肩を叩いて言ってきた女性…M500は、俺と同じフライトスーツを身につけて、片手に愛銃を持ちながらはにかんできた。
「げ、M500…めんどくさいのが増えた…」
「こらーっ!めんどくさい言わないで!」
そう言いながら、ぽかぽかと殴ってくるので、気をそらすために、
「あ、指揮官」
と、いる訳もない指揮官がいるかのように指をさしながら別の方向を向く。
すると、目を輝かせながら、指揮官を探し始めた。
本当に、騙しやすいものである。
「嘘だよバーカ」
「あぁーっ!また騙されたぁ!」
そんなやり取りを交わしつつ、俺は渋々、 武装テストに協力することにした。
テストと言っても、内容は簡単で、ただ脚部に装着する外骨格を装着して、ランニングや実践を想定したフィールドでの行動をデータ化するだけだ。
正直、俺が装備する訳でもないのに呼ばれる理由がわからない。
そんなことを思っていると、他のチームメイトであるM500の妹のM590、チームの癒し枠であるGr G41、いつも恋愛に憧れているM1911、いつもどこかめんどくさそうにしているARX-160がやって来て、わいわいと話をし始めた。
「あ!叢雲さん!頭撫でてくださーい!」
そうG41がこちらに気づき、嬉しそうに駆けてくる。
そんなG41を、俺は無視し、その場から逃げるかのように去っていった。
後ろからやれやれと言った視線を感じるが無視し、俺は人目につかないような休憩所へとやって来て、そこにあるベンチへと腰を下ろした。
「はぁ…」
そうため息をつくき、自販機で飲み物でも買うかと思っていると、先程までみんなと一緒にいたはずの、M500の姿がそこにあった。
「もう、G41ちゃん、『嫌われた』って泣いちゃってるよ、後で謝った方がいいって」
「…うっせぇな、アンタには関係ない」
「またそう言って…指揮官に言いつけるよ?」
そう言いながら、頬をふくらませながら腕を組み、こちらを軽く睨んでくる。
「…それだけは勘弁してくれ、戦場に出れなくなる」
「じゃあ後で謝っとこ?」
「…わかったよ」
そう言いながら、自販機でコーヒーを2人分買い、2人でベンチに座って飲み始める。
「…最近どうなんだ、指揮官とは」
「どうって言われても…近々式を挙げることになった…って事くらいかなぁ、まだ実感無いけど…」
「…そうか、おめっとさん」
「ん〜?叢雲くんが素直だなんて珍しい、何かあったの?」
「何もねぇよ、うっせぇな」
そう言いながら、俺は手に持った缶コーヒーを一気飲みする。
そして飲み干してから、大きなため息をついた。
「ま、話は変わるけど、部隊のみんなは叢雲くんが嫌いな訳じゃないからね?私からもしっかり叢雲くんの事は言ってあるから、そこは心配しなくていいよ」
「…余計なお世話だ、なんで部外者の俺にそこまでする」
そう言いながら、飲み終わったコーヒーの空き缶をゴミ箱へと投げ捨て、ため息をつきながら下を見る。
「なんでって言われても…指揮官から良くしてやってくれって言われてるし、なによりなんだか弟みたいな気がするし?」
「俺はお前の弟じゃないし家族でもなんでもない、そんな考えはやめてくれ」
「えー?部隊のみんなは家族と同じだよー?」
そう笑顔で言いながら、こちらの顔を覗き込むかのようにしてくる。
「脳内お花畑かお前は…いいか、俺には家族なんてものはもう存在しない、いるのは殺害対象かそうじゃないかだ」
「ふーん…じゃあなんで和泉さんは『まつ姉』って呼んでるの?」
「そう呼ばないとうるさいからだ、面倒なのは疲れる」
「じゃあ、そのうち私たち家族…部隊のみんなにも固有の名前つけて呼んで欲しいな」
そう言ってくるM500の顔を『何言ってるんだコイツ?』と言う感情を思いっきりだしながら睨みつける。
「はぁ?やだよそんなの、人形と馴れ馴れしくするつもりはない」
「そっかー、じゃあ自律人形もしっかりと生きてるんだってこと、知って貰わなきゃね」
そう言って、M500はベンチから立ち上がり、またね、と言いながら手を振り、みんなの元へと戻っていった。
「自律人形も生きてる…ねぇ…」
そう言った時、突如視界が真っ暗になり、気がつけば俺は嵐の中、戦場にいた。
突然のことにも関わらず順応していたことに今思えば不思議に感じるが、そんなことをこの時は考えていなかった。
「M500!M590!下がれ、俺が殺る!」
「叢雲くん無茶だって!まだまだいっぱいいるんだから協力しないと死んじゃうよ!」
「姉さんの言う通りですよ!チームワークでなんとかしましょう!」
「うるせぇ黙ってろ!俺はアイツらを殺さなきゃなんねぇんだ!」
「だからって無茶だよ!G41ちゃんもARX-160もダミーがもういないし、M1911だって大怪我してるし、撤退しなきゃ!」
「ならお前らだけで撤退してろ!俺は残る!」
そんなやり取りを交わしていると、唐突に無線から銃声が聞こえてきた。
『くそっ!コイツらなんでこんな所に!』
「指揮官!?どうしたの指揮官!?」
『M500か!悪い、式を挙げるのはまた後日になりそうだ!ひとまず撤退してくれ!』
「わかった!叢雲くん、みんな、撤退するよ!」
「…チッ、わかったよ」
そう言い、渋々司令部へと撤退する中も、無線からは銃声と悲鳴が次々に聞こえてきた。
恐らく、テロリスト共が司令部に奇襲をかけたのだろう。
早く戻らないと指揮官の命が危ない。
そう思い、俺たちは走る速度を上げ、司令部へと帰投した。
司令部につくと、そこにはグリフィン職員やテロリストの死体だらけになっており、至る所に血が付着していた。
司令部を探索していると、銃声が数回聞こえ、急いでその聞こえた方向へと向かう。
すると、そこには血まみれでMP5を持ち、息も絶え絶えとしながら立ってる指揮官の姿と、テロリストの死体があった。
「指揮官!」
そうM500が叫び、指揮官の所へと走り出した時、フッと指揮官の足から力が抜け、指揮官はその場で倒れてしまった。
「指揮官!返事してよ!ねぇ!」
そう涙ながらに叫ぶM500の顔を指揮官は微笑みながら見て、力なく手を持ち上げて、M500の頭を撫で―――
―――そして、力尽きてしまった。
「指揮官!ねぇ!起きてよ!起きてってばぁ!」
そう泣きながらM500は指揮官へと叫ぶ。
しかし、やはり指揮官からの返事はなかった。
「指揮官…一体どうしてこんな事に…」
そうM590が言い、みんなしてM500に釣られるように、涙を流す。
その一方で俺は、いつもに増して、強いテロリストどもに向かっての憎しみと殺意が渦巻き、今にも正気を失いそうだった。
「またかよ…またアイツらはそうやって俺から何かを奪っていくのかよ…!」
そう言い、俺は踵を返して、まだテロリスト共が居そうな方向へと歩みを進める。
しかし、一番悲しいであろう、M500に呼び止められてしまった。
「なんだよM500!アイツらが憎くないのかよ!仇を打ちたいって思わないのかよ!」
「思うよ!…でも…そんなことで死んじゃったら、余計に指揮官は悲しむよ……」
「…ッ!だからって!だからって復讐しない理由にはならないはずだ!」
「もう…もう私の大切な人が死ぬのは嫌なの!もしこのまま復讐しに行ったとして、私たちはバックアップから復元できたとしても叢雲くんは生き返ってくれないんだよ!?…そんなの、そんなのやだよ……!」
そう言われ、返せる言葉がなくなってしまう。
言われて見れば、俺は俺が死んだ後に残された人の事は、何も考えていなかった。
残される者の悲しみを一番知っているはずなのに。
今、俺にできることはなんだろう。
一生懸命考えても、何もいい手段は思いつかなかった。
…でも、一つ、なんとか思いついたことがあった。
俺はそれを実行するために、司令部にあるであろう、とある機械を使うために辺りを見回した。
「…あれか」
そう呟き、俺はその機械…作戦区域全体に届く、無線機へと歩みを進める。
「叢雲くん…一体何をする気なの?」
「うるせぇ、黙ってろ、お前ら自律人形にはできないことをやってやるだけさ」
そう言い、俺は現在参加している人形部隊の光点を数え、敵の予測位置と照らし合わせ、的確に指揮官が死んだことで連携が乱れていた部隊の統括、指揮をし、なんとかテロリスト共を撤退へと追い込む。
そして帰投する際のヘリの手配や何やらまでも、見よう見まねだが行い、あとはヘリを待つだけまでに状況を進めた。
「はぁ…おわっ…た…」
そこで俺は疲れからか視界が真っ暗になり、地面へと倒れ込んでしまい、そのうち意識も失っていった。
―――
――
―
「…さん!…ンさん!ジーンーさーん!」
そう俺を呼ぶ声が聞こえ、俺の意識は現実へと戻ってきた。
目を開けると、そこには初めて会った時と同じ、M500の戦術人形共通の服を着た、M500の姿があった。
「どうしたの?なんだかうなされてた気がするけど」
「…懐かしい夢を見てたんだ、昔の…な」
「ふーん、どうだった?懐かしかった?」
「懐かしいと言えば懐かしいかったが…もうあの頃には戻ろうとは思わないな」
「そうなの?」
「ああ、今は大切な仲間…家族もいっぱいできてるからな」
「ふふっ、そうだね、ジンさん」
その言葉を聞き、俺は嬉しくなりつつ起き上がり、M500の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。
最初は恥ずかしそうにしていたが、やがて嬉しそうに撫でられてきた。
「…ところで、どうしてその服装なんだ?いつもなら黒いフライトスーツなのに」
「ああ、それはね、ユキちゃんと話してて、たまには自分たちの原点に戻ってみよう!って話になってね」
「へー、C96辺りは元とあまり変わらないんじゃないか?」
「まあ元から服が黒いからねぇ、服の下が下着なのは相変わらずだけど」
「それどころか見えやすくなってるだろ」
そう言って2人で笑い合いながら中へと戻り、先にM500にはみんなの元に帰ってもらった。
俺は自室へと戻り、服をしまっている箱を漁り、懐かしいオリーブドラブのフライトスーツ…今はなき『第64技術開発部隊』のユニフォームを取り出す。
…あの頃のメンバーは元気だろうか。
そう昔のことを思い出しながら、今着ているシグマフォースのユニフォームを脱ぎ、久しぶりにこのユニフォームを着込む。
そしてみんなの元へと戻り、俺は今の幸せを噛み締めていた。
いかがでしたでしょうか。
前回とはうってかわって6000文字超え。
なんだこの☆5が唐突に当たるガチャみたいな振れ幅は。()
ちなみに今月の過去のストーリー、あれ今朝書いてる時に思いつきました。
(プロットなんて)ないです。
書いてて楽しかったです。
ではまた次回、お会いしましょう!
新規キャラ実装アンケート
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HK417
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M4 SOPMOD block 1
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ジャッジ
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誰でも良い(全員参加)