ドルフロ私立グリフィン女学園で
働くことになったお話
「...ここが新しい職場か」
青年の目前には
最近建てられたであろう
白色に綺麗に塗装された建物が佇んでいる
遠目から見てもはっきりとする輪郭は
ここにあるという存在感を放っている
正門を境界線として内側には
桜の木が生えおり
敷地は広く奥にも広がっているようだ
「場所はS××地区の○○と...
うん、間違いないな...」
そう、間違えるはずなどないのだ
先ほどから周辺をくまなく探索して
住所も何度も確認したのだから
座標指定も間違えなくここを指している
もし...もしもあるとすれば
送り主が指定場所を
間違えることぐらいなのだが...
その可能性もことごとく崩れ去った
正門の横の表札には
送り主の所属と同じ"グリフィン"の文字
そして、建物の前には就職先の
G&Kの社旗が掲げられている
まだまだ肌寒さが残る4月
こんな気温だが、桜は咲き乱れ
建物へと続く石畳に
薄紅色の斑点が広がっている
私は、果てしない就活戦争に打ち勝ち
大手企業である民間軍事会社
正式名「Grifon & Kryuger
Private Military Contractor」
つまり"グリフィン"の内定勝ち取ったのだ
そして正社員として
新たな第一歩を踏み出そうとしていた
踏み出すはずだったのだ...
「ここから新しい...
新しい教師生活だとぉおおおお!?」
・
・・
・・・
先ほど視界に入った正門の表札には
間違いなく"グリフィン"の名称が
記されていた
だが前後には不可解な言葉が続いていた
"ドルフロ私立グリフィン女学園"
再度書類に目を通しなおす
やはり場所に間違いはない
もしやと思い
念のために職務内容を調べると
指揮官として働く旨の他に
※印で一文書かれていることに気が付いた
※指揮官として働き始める前の研修として
グリフィンが所有する学園にて
一年以上の教師生活をしてもらいます
驚きのあまり声が出てしまっていた
...なんでこれまで
この一文に気が付かなかったのか
いや、気が付くタイミングなら
いくらでもあった
公募の業務内容の備考欄
内定をもらったときの書類でも...
就職先の住所の建物の名称からでも!
......そういくらでもあったのだ...
内定がもらえてからというもの
ずっと遊ぶか趣味に没頭していたのだ
いや、没頭していたとはいえ
見落としがあるのは大問題だ
それ以外でも......
...いや、止そう
後悔しても仕方ない
荷物等々では抜けはなさそうなので
少しは安心したが...
なぜ...こんなことに
なぜ......
ふと体の力が抜け
校門の前で頭を抱え
うなだれてしまった
そう...私は
ドルフロ私立グリフィン女学園の
教師になってしまったみたいだ...
本来なら指揮官として
戦術人形達を指揮して
人々を助けて、喜ばれたり褒められたり
憧れたりされてたりすつはずたったのに......
なぜこうなったのか
理由はわかっているものの
心の準備ができていなかったことや
これからの生活等々での心配事で
頭がいっぱいになり
頭の中で問答を繰り返し始めた
......
戦術人形は通常兵士に比べて
生産コストが安いのが売りだ
作るのにも人間育成に比べれば
とんでもなく早い
それなのになぜ学園なんぞに
通わせる必要があるんだ
そもそもなんで
戦術人形は女の子ばっかりなんだよ
こちらとしてはうれしいけど!!!
「あ、あのっ...大丈夫......ですか...?」
背後から女性の声がした
振り返ってみると制服を着た少女が
こちら側に前屈みで尋ねてきた
「あっ、わっっ、
だ、大丈夫です異常ないです!
あ!不審者じゃないですよ!!」
完全に不審者の物言いである
「それなら...安心しました...
ところで...こちらに
ご用件でもあるんですか...?」
「えぇ、今日からこちらで
働かせていただくことになったので
挨拶に来たところです」
「もしかして、あなたが...
新しく入ってくる先生なんですか...?」
「そのよう...ですね」
本当は指揮官に
なるつもりだったんだけどね...
少女を見ると、整った顔つきをしており
17.8歳程度の年齢に見えた
前髪の一部に
黄緑色のカラーがかかっており
頭頂部にはメカっぽい
カチューシャを付けている
ゆっくりと、控えめな話し方をする女性は
「...もし...もし、よろしければ
私が案内しましょうか...?
あ...失礼でなければでかまいません...」
こちらを気遣いながら
案内をしてくれるという提案を出してくれた
こちらとしても
しっかりと状況がつかめてないほか
初めてくる場所なので
心細かったところだ
しかも女学校だし...
「案内してくれるととても助かります
校長室までお願いできませんか?」
少女と目を合わせ、答えを返した
茶色がかった目の色をした少女は微笑み
「わかりました
では、こちらへどうぞ」
と言い、案内してくれた
...
学園の前で頭を抱え屈み込んで、かつ
女の子ばっかりでかわいいとか
言っていた状態で
不審者と思われなくて済んだと
ほっとしながらすこし考え事をしていた
...この子とても私に対して
気を使ってくれるというか
かなり控えめな話し方をしてくるけど
そういう性格なのかな
私が一応先生だからなのか...
性格とかそういうもので
まとめてしまえるようなタイプじゃないような気がする...
というか髪の毛染まってるけど
校則的にはいいのだろうか?
等々どうでもいいようなことを
考えているうちに
校長室の前にたどり着いた
「こちらが校長室になります。
では...頑張ってください...先生」
軽く会釈をして少女は立ち去って行った
さて、最初の関門だ
ここからどうなるのか...
希望があるのか絶望があるのか...