「もし君がこれを使えたら……私も認めよう」
白ウォズは自らが作り出したジオウトリニティライドウォッチをソウゴに渡した。
そして……
『三つの力!仮面ライダージオウ!ト!リ!ニ!ティ!』
ジオウトリニティはアナザーブレイドを倒して世界を破滅から救ってみせた。
だが白ウォズはオーマの日が"オーマジオウは君臨せずゲイツリバイブが救世主にならない"という全く新たな未来となったことで彼の存在は消えようとしていた。
夕暮れの空に輝くレグルスを見上げる白ウォズの元に黒ウォズのが訪れると彼に問う。何故消えるとわかっていながら力を貸したのかと。
「私は、仲間を作れなかった。今の君のように」
「私に仲間が……?」
そう言われれば黒ウォズが仮面ライダーの力を手にしたのもは白黒の区別のおかげ、元々は名前を呼んでくれたソウゴたち仲間のおかげだったのだ。
「気に入ったよ、あの魔王。彼なら面白い未来を創れそうだ。大事にするんだね。」
白ウォズの姿がぼやけだすと
「時間が来たようだ……君たちの未来が闇に包まれないことを祈る」
そして白ウォズはこの世界から存在が消えた。
ここは……どこだ……?
意識が覚醒した私は目を開ける。
そこは小さな部屋の中だった。
とその時とんでもない量の情報が頭の中を駆け巡る。
うっ……!
そうか……ここは……異世界というやつか。
私はあの時確かに存在が消えた。だが魂は完全に消滅せずに異世界へと転移したというわけか……
そして今の私の名前は
この世界での職業の一つであるヒーローを目指していたが無個性ゆえに諦めたと……やれやれ世界は平等じゃないというのは本当だな。
さてと目覚めしまったのはいいんだが今は夜だ。
明日に行動を開始するとしよう。
夢を見た。それは僕の運命と言えた日の夢だ。
「お母……さん……!こんな……最高の……ヒーローに……僕も……なれるかな……!?」
するとお母さんは抱きついてきて
「ごめんね……出久……ごめんね……!」
ああ……まただ……なんでだろうなあ……なんで無個性なんかに生まれちゃったんだろうなあ……あの時は少しだけお母さんを恨んでしまった。僕の目指していた夢が一瞬で砕け散り、友達も離れていってしまった。
ああ……早く終わらないかなあ……と思っていたら
「やあ少年」
「誰?」
振り向くとそこには僕と同じ容姿をしているが僕とは思えない存在がいた。
「ああ!今の私は君と同じだったんだ!ややこしいから本来の姿に戻ったほうがいいか」
もう一人の僕は指を鳴らすと姿が変わって白系統のベレー帽と芸術家風のコートの大人に変わった。
「き!君は誰なんだ!僕の夢に何の用だ!敵か!」
「そう警戒しなくてもいいだろう。なら君に私のことを全て話そう」
その人は話してくれた。
かつては異世界の未来人で未来を変えるために色々なことをしたなど。
そして何の因果か知らないが僕に憑依転生したことなど。
驚くことばかりで頭が追いつかない。
「そうだったのか……じゃあ僕の意識は戻らないのか!?」
「落ち着きたまえ。さっき試したが……お互いの意識は切り替えが可能のようだ」
その結果に僕は安堵する。
「それで……これから貴方はどうするつもりなんですか?」
「うん?まあ特にすることもないから……しばらくはこの中で大人しくしてるつもりさ」
そうか……
「まあたまには君が話し相手になってくれないか?」
「え……!?僕なんかでいいなら……いいですよ」
僕の話し相手になんかなってくれた人はいなかった。それに僕は嬉しかったのかもしれない。
「しかし……君はヒーローになりたかったんじゃないのか?それを諦めていいのか?私がかつて認めた男はこんな私を説得するのを諦めようとしなかったぞ」
「無理ですよ……僕は……無個性ですから……」
「確かに君は無個性かもしれない。それに私たちのように力もない。だが君の本心はまだ夢を諦めたくないようだぞ?」
「え……?」
「君の記憶を調べてみたが君は今でもヒーローの観察を続けているんだろう?諦めた人間は何もしないさ。人間は諦めていないからこそなんらかの行動をするものなのだよ」
「…………!!!」
「どうだ?それでも君は夢を諦めるのか?」
「僕は…………諦めたくない!どんなに無謀なことでも足掻いてみせます!」
「そうこなくては!ならば私も手伝おうじゃないか!」