僕の相手は骨抜くんに鎌切くんのチームだ。
先ほどの訓練を見たが骨抜くんの個性は直接戦闘向けではないが拘束に長けていて応用が効く凄いものだ。事実泡瀬くんを地面に拘束していたし。
鎌切くんの個性は骨抜くんとは違い直接戦闘向けの個性だ。塩崎さんの物量を誇るツルを捌けるのは鎌切くんの実力と言わざるを得ない。
さて……どう行くか……ウォズはどう思う?
『私がアドバイスしてもいいのだが君のためにならないだろう?』
やっぱりそうだね。自分でなんとかするか。
・・・・
骨抜side
さて……相手はあの緑谷だ。一瞬の油断もできねえが先に拘束しちまえばこっちに分がある。
俺の個性で拘束して鎌切の個性で仕留める。大雑把だがこれでいいだろう。
鎌切のやつには天井で待機してもらうことにした。
さてと……行きますか!鎌切のやつが俺の個性に巻き込まれないように天井に刃を差し込みながら移動していると
『いた!緑谷だ!』
俺は向かいの角から来る気配を感じて個性を発動させる。
緑谷は俺の個性に呑み込まれて地面に沈んでいく。
よし!このまま埋める!
と思っていたら
<ゴースト!>
<アクション!>
<投影!フューチャータイム。開眼!レッツゴー!?覚悟!?フューチャーリングゴースト!ゴースト!>
沈む緑谷の姿が変わった。
変わったとしても沈めてしまえば問題ない!緑谷の下半身が地面に沈んだのを見た鎌切は突っ込んでいった。
俺も鎌切の攻撃が当たると思った時に鎌切はなんと緑谷の体をすり抜けて地面に落ちた。そしてすり抜けた緑谷は地面から脱出した。
「おいおいおい……なんだよそれ」
「悪いね、こう来ることは予測していたんだ。このゴーストには霊体化という能力があってね。一定時間幽霊のように物をすり抜けたり浮遊できるんだ」
「ははっ……マジで幽霊じゃん……」
なんだそれ?俺の拘束をもろともしないとは流石だな……攻撃も当たらない上に拘束まで意味がないとか……
一方モニタールームでは
「マジか緑谷!あの拘束から脱出したぞ!」
「しかも鎌切の攻撃をすり抜けた!」
「骨抜の言う通り本当に幽霊だな」
「しかも攻撃が当たらないとかチートじゃん」
「まさにゴーストデスネー!」
と盛り上がっていた。
一方骨抜は
あれじゃあ何度やっても拘束は意味がないなあ……
鎌切の攻撃も通らない。多分だが実体化してる部分を狙って攻撃を当てるしか勝つ手段がねえ。でもその隙をアイツが見せるか……
だってこのまま霊体化して核を触れば勝ちじゃん?まあ念のために
…………マジでどうしよ?
・・・・
骨抜くんの拘束はなんとか脱した。
さてとこのまま核を回収してもいいがそうさせてくれるか……
霊体化の連続は数秒が限界だ。
どこがわからない核に辿り着くには至難の技だ。
ならここで二人を拘束する!
お互い様子を伺っていると鎌切くんが
「もう我慢できねぇ!行くゼェ!緑谷!」
と天井に刺してある刃を引っ込めて僕に接近してきた。
速い!でも!
鎌切くんが繰り出した刃を僕はジカンデスピアで斬り落とすと
「なっ!?俺の刃が!」
そして近づいてきた鎌切くんに僕は霊体化で加速してジカンデスピアを振るうが鎌切くんは空中で体を捻って避けた。
そして再び向かってきた鎌切くんの攻撃を霊体化で避けて振り向きざまにジカンデスピアを横薙ぎ払うと鎌切くんは吹っ飛んだ。
「鎌切!くっ!」
骨抜くんは地面を柔らかくさせるも僕は浮遊で空に逃げた。
と鎌切くんと骨抜くんが"ストーン"と落ちるようにその場から消えた。
成る程、僕を拘束するためでなく逃げるための手か。すごく柔軟な対応だね。
僕も霊体化で下に降りるも既にその場に二人はいなかった。
逃げられたか……
その後も核を探すが見つからず
『敵チーム!WIN!』
負けてしまったかーでもまあいい経験になったな
モニタールームでは
「すげえ!緑谷に勝った!」
「骨抜の柔軟な対応のおかげだな」
「ただ戦うというわけではなく時に逃げることも視野に入れていたのは素晴らしいですわね」
と僕もモニタールームに戻ると
「今回のMVPは骨抜少年だ!何故だかわかる人!」
「はい」
才子さんが発言した。
「骨抜さんはまず出久さんを拘束するという対応もそうですが作戦が失敗したからといって慌てず無駄に戦わないという判断ができ、鎌切さんも連れ出せたことか素晴らしいですね」
「う、うむ!その通りだよ印照少女!正解だよ!」
オールマイト……思ってたより言われたのかな……あれ?
「そういえば骨抜くん、核はどこに隠したの?」
「うん?ああ、俺の個性で地面の中に埋めていた。お前の俺を倒すという選択は正しかったと思うよ」
「そっか〜凄いなー」
「言っておくけど今回の作戦お前のノートを参考にしたものだからな?お前のおかげで勝てたといっても過言ではないんだぞ?」
「それでも色々な判断力が凄いと思うんだよ」
「そう言われると嬉しいな」
モニタールームにいい空気か流れる。とその時
「あの……俺のこと忘れてない?」
あっ……ごめん鎌切くん……
こうして僕たちの訓練は終了した。
・・・・
とある繁華街にあるバー
「見たか?これ、教師だってさ。どうなると思う?平和の象徴が……敵に殺されたら」
カウンターに座る男は手に持っている物のボタンを押すと
<……オーズ……>
禍々しい音声が鳴り響く。
悪意は既に……動き出している。