(白)ウォズのヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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今回は短いです。

すみません……


見定める者

「それではこれより!表彰式に移りたいと思います!」

 

ミッドナイトの宣言とともに下から表彰台が上がってくる。

 

僕はその上で堂々と立つように心掛けていた。

 

ウォズ曰く

 

『勝者がビビってどうする。優勝者は威風堂々としていなければならないのだ』と

 

ならば僕はトップヒーローらしく堂々とした態度で臨まなければならないのだ。

 

だけど周りを見てみるとやはりドキドキする。

 

そしてかっちゃんの方を見ると、やっぱりというか暗い感じで俯いている。

 

『まあ、あれだけ啖呵をきって負けたんだ。しばらくはソッとしていた方がいいぞ。出久』

 

ウォズの言う通りかもしれない。確かに……そうだ。かっちゃんだって自分のプライドをかけて負けたんだ。勝った僕が慰めても……

 

そう思って再び前を向いた。

 

「メダル授与よ!今年メダルを贈呈するのは勿論この人!」

 

そして見慣れたシルエットとともに上から降りてくるのは

 

「私がメダルをもってき『我らがヒーロー!オールマイト!』た……」

 

かぶった。思いっきりかぶってしまった。

 

だがすぐに持ち直したのは流石はトップヒーローというとこか。

 

「黒色少年!3位おめでとう!強いな!君は!」

 

メダルを受け取ると

 

「いえ……俺はまだまだです……現に緑谷にしてやられました……」

 

「謙遜するな!確かに負けを認めるのは大事なことだが、これからを考えることも重要だぞ!」

 

そしてオールマイトからのハグを受ける。

 

「御意……」

 

「夜嵐少年!3位おめでとう!」

 

「勿体ないお言葉っす!」

 

「最後の最後まで戦い抜いたその気持ち!忘れちゃいかんよ!」

 

夜嵐もオールマイトからのハグを受ける。

 

「爆豪少年!2位おめでとう!さあメダルを「要らねえ」え?」

 

「優勝以外意味はねえ。そんなのなんの価値もねえ、だから要らねえ」

 

「爆豪少年……!その絶対評価というのは自身のプライドと高く評価されるよ!ただな!受け止めることも大事なんだ!傷としてこのメダルを受け取ってくれ!」

 

「要らねえっつってんだろうが!」

 

「まあまあ」

 

そしてオールマイトによって無理矢理メダルを授与されるかっちゃん。ハハハ……

 

「さて!緑谷少年!それとウォズくん!優勝おめでとう!素晴らしい活躍だったぞ!さあ!メダルを受け取ってくれ!」

 

「ハイ!」

 

こうして僕は一位のメダルを受け取る。

 

「さて!皆さん!今日ここに立ったのは彼らだった!しかし、皆さんこの場にいる誰もがここに立つ可能性はあった!ご覧いただいたとおりだ!競い!高め合い!さらにその先へと登っていくその姿!次代のヒーローは確実に芽を伸ばしている!」

 

その言葉に鉄哲たちは次こそはと意気込む。

 

「てな感じで最後に一言!皆さんご唱和ください!せーの!」

 

「プルス」

 

「プルスウルト」

 

お疲れ様でしたあ!!!

 

「プルスウルト……え?」

 

「プルスウルトラ!は……?」

 

『そこはプルスウルトラでしょ!?オールマイト!!』

 

ブーイングが起こった。ハハハ……オールマイト……

 

『締まらないなあ……No. 1ヒーローさんは……』

 

ウォズも心の中で呆れていた。

 

・・・・

 

ピッ

 

サラリーマン風のヒーロー、サー・ナイトアイがテレビの電源を消した。かつてオールマイトの相棒として働いた男は雄英体育祭のテレビを見ていた。

 

話は少し前に遡る。

 

「無個性の少年だって!?」

 

「誰かのために役立ちたいそうなんだ」

 

かつての相棒オールマイトからの電話を聞いて驚愕した。オールマイトの個性をただの無個性の少年に渡すと言いだしたからだ。

 

「気持ちだけで務まるもんじゃない!平和の象徴は!」

 

「ならば……雄英体育祭で……彼の活躍を見ててくれ……」

 

それだけ言うとオールマイトは電話を切った。

 

(オールマイト……貴方がそこまで言うとは……)

 

そしてテレビで雄英体育祭を見てみると見事な力を見せつけて優勝した。

 

そしてオールマイトの判断が正しいかもしれないと思い始めた。

 

(緑谷出久…ならば…私が自ら見定めよう…平和の象徴に相応しいか……)

 

出久の知らない場所でそれぞれの思惑が動いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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