僕はオールマイトに指定された海浜公園に来ていたがオールマイトらしき人がいなかった。
あれ?オールマイトも遅刻かな?と思っていたら
「緑谷少年!」
と声がしたのでそっちの方へ行ってみると骸骨みたいな人しかいなかった。
「あれ?オールマイトは?」
『ふむ……』
僕がキョロキョロしていると
「ゴホッ……私はここさ!」
と目の前の骸骨がいきなりオールマイトになった。
「おおおオールマイト!!?」
『…………』
「どどど、どうゆうことですか!?」
「そうだね……これから言うことも他言無用で頼むぜ」
オールマイトは話してくれた
かつて敵を捕らえるために深手を負ってしまいヒーロー活動時間が大幅に減ってしまったこと。
元々この町に来てたのは後継を探すためであったことなど。僕の頭は驚きの嵐だ。
「そうだったのか……」
「まあ幸いにも君という後継者が見つかったんだ!だからそう落ち込むことはないさ!」
「さて!ワンフォーオールを継承するのには生半可な体では継承不可能だが……君は継承するのに充分な身体をしている!さあ受け取ってくれ!」
オールマイトにそう言われドキドキが止まらない僕。オールマイトは髪の毛をプチっと抜く。
一体どんな方法で……
「食え」
『『は?』』
ウォズと声が被ってしまった。
「別にDNAを取り込めるならなんでもいいんだけどさ!」
「思ってたのと違いすぎる……」
『なるほど……確かに生物学的には間違ってはいないな……』
こうしてワンフォーオールを受け継いだ僕は一旦家に帰った。
個性のことは誰にも話しちゃいけなかったがオールマイトとの特訓はお母さんには話すことにした。
個性も発現したと話すとお母さんは泣きじゃくって心から喜んでくれた。
そして次の日から特訓が開始された。
オールマイトがいたがトゥルーフォームの状態だった。
「緑谷少年!今回君をここに呼んだのはただ特訓をしてもらいたいわけじゃないんだ!」
「へ?どうゆうことですか……?」
「見てみたまえ!ここら一帯は潮の流れでゴミが漂着するのをいいことに不法投棄が後を絶たない!そこで!君にやってもらいたいのはここら一帯の水平線を蘇らせることだ!それが!君のヒーローへの第一歩だ!」
「確かにそうですね。このゴミは見逃せない」
「そう言ってもらえると嬉しいぜ!最近の若いのは派手さばかり求めちゃいるが本来ヒーローとは奉仕活動!地味だと言われようがそこはブレちゃあいかんのさ!」
『ふむ……この男は昨日の奴らと違うな……流石不動のNo. 1ヒーローといわれたところか』
ウォズがオールマイトを観察するように評価する。
「やってくれるか!」
「はい!」
こうして僕はオールマイトの言われた通りにゴミを運ぼうとワンフォーオールを発動しようとした。がいきなり全力はゴミを吹き飛ばしかねないので10%ぐらいで発動しようとした時
「オールマイト、これってコツとかってありますか?」
さあ……No. 1ヒーローはどういう感覚なんだ!?
「それは……感覚だ!」
へ?
「イメージだよ。イメージ!そうだな……例えば電子レンジの卵が爆発しないイメージ……」
へ?
『は?』
「わからないか?」
「はい……」
『成る程……この男は天才すぎてコーチには全く向かないタイプか……』
そうだね……ウォズ……どうしよう、なんかいいアドバイスってない?
『そうだな……常に発動しておいて用途において出力を切り替えるってのはどうだ?』
それだ!
僕はウォズに言われた通りに個性を発動させると
確かに力を感じた。これをやりすぎないような感覚で……慎重に……そして走ってみると
「うおおおおおっ!!!」
ものすごい速さで走れた。走った余波で軽いゴミがちょっと飛んでいった。
「ははは!!まさかここまでとは……!緑谷少年!」
「これって……何%ぐらいなんですか?」
「そうだな……20%ぐらいといったところか……まさかここまでとは!正直驚いたよ!」
これで20%か……あまり力は出し過ぎない方がいいな。
「さてとウォズくん……だったけ?君も手伝っちゃあダメだぜ!あくまで緑谷少年のトレーニングだからな!」
『勿論さ。私は心の中でのんびりと過ごすさ』
皆も僕のために色々としてくれてるんだ。さあ頑張るぞ!
・・・・
???side
私は拳藤一佳!今年雄英受験する植蘭中学の三年生!千葉から下宿先にいいマンションを見に来たのと折角だから雄英高校も覗こうかなあって東京まで来ました!
と海浜を歩いていると私と同じぐらいの男の子がタイヤを運んでいる。
彼には見覚えがあった。
緑谷出久。ヘドロ敵に捕らわれた人質を助けて倒したところをテレビで放送された少年だ。
一部のヒーローからは個性無断使用だとか言われているが私はそんなことは思わない。なにもせずに見ていただけのヒーローよりもよっぽどヒーローに思えた。しかし自分のことを真のヒーローだと言った時には凄いやつだなあとも思った。
それにしてもこんなところでなにしてるんだろ?
私は気になって近くまで走った。
・・・・
ゴミ掃除を開始してから一週間が経ってようやく半分といったところだ。
やっとここまで来たと一息ついていると
「おーい!なにやってんのー!」
振り向くとそこにはオレンジ髪をサイドテールにまとめた女の子がいた。
女子と話したことなんかほとんどない僕は緊張してしまいうまく言葉が見つからない。
そうだ!ウォズに代わってもらおう!
・・・・
ウォズside
やれやれ……出久よ。女子経験が少ないからといってまだ喋ってもない女から逃げるなどと男のすることではないぞ?
『だ、だって……うまく言葉が見つからないんだもん……』
ふぅ……とりあえず自分の思ったことを誠心誠意伝えてみろ。それでなんとかなる。
『えっ!?ほんと!?』
ただし注意すべきなのは相手が気にしてることを言わないことだな。例えば体重とか髪型とか会話の中で聞き取れた相手の嫌いなものとか。
『そっ、そうか……うん!やってみるよ!』
全く……出久は引っ込み思案で困るな……万が一のために一応見てやるか。
と心の内から覗いてみると
「それじゃあ一週間もまえからここを掃除してるの!?」
「うん。特訓……でもあるけどこのゴミを放っておくのは……と思ってさ」
滑り出しは順調だな……
「へぇ〜、偉いなあ。なんかこう……上手くいえないけど……出久って本当のヒーローみたいな感じがするな……」
ほぅ……悪い印象は持たれてないか……
「しかし出久の個性ってすごいな〜!変身ってまさにヒーローじゃん。私の個性なんか手を大きくするだけだもん……」
この少女は自分の個性にあまり自信を持てていないようだな……出久よここは下手なことを言うんじゃないぞ
「すごいな〜!拳藤さんの個性って……!色々な応用が利くじゃん!」
あのバカ!
「え〜……?出久に言われてもなんか嫌味にしか聞こえないな〜」
おや?あまり悪く思われていないようだぞ?
「全然凄いって!無個性だった僕なんかより!」
あ〜あ……出久よ。オールマイトに繋がりそうな情報はあまり流すべきではないぞ?
『え!?そうだった!?ごめん!』
「え?無個性……!?あの変身は個性じゃないの?」
『ウォズ……僕たちのこと話してもいいよね?』
まあしょうがないか。話しても支障はあるまい。
それから彼女、拳藤一佳に私たちのことを話した。
「へぇ〜……!出久の中に二つの人格が……!」
「そう。変身はもう一人の個性で僕の個性は最近発現したんだ」
「そっか〜……なんか出久が羨ましいな。心の底から話せる相手がいてさ」
ほぅ……彼女は人気がある故にあまり人と深く関わっていないとみるな……
「なら僕と友達になろうよ!」
は!?出久よ……そうきたか……
「え?」
「僕も……無個性だったから……話せる相手がウォズだけだったんだ……だからさ!僕と友達になってよ!」
「うん!私でよければ!」
そして出久は拳藤一佳と友達になって連絡先を交換しあった。
「じゃあ雄英で待ってるから!」
「うん!私絶対合格するから!」
こうして少年少女たちは誓いをたてた。再会の時は近い。