僕が作戦を立て終わって準備が済むと通形先輩は既にコスチュームに着替えていた。
「ねえねえねえ!どっちが勝つと思う?」
「俺はミリオが加減を間違えないかが心配だ……」
「先輩!緑谷だってタダじゃやられませんよ!」
「そうだぜ!アイツはやる時はやるってやつですよ!」
僕は気を引き締めて目の前の先輩を見る。
『強い……』
『……ウォズ?』
『強い……彼は強いぞ。出久。持てる全てを出し切るんだ。でないと勝てない』
『ウォズ……うん!わかった!』
「ウォズ……だっけ!?仲間との作戦会議は終わったかい?」
「……っハイ!よろしくお願いします!」
「それじゃあ始めるのさ!緑谷出久バーサス!通形ミリオの模擬戦!スタート!」
先手必勝!
僕がフルカウル35パーセントで地面を蹴って一気に距離を詰めた。
そして右腕を振りかざして通形先輩に右ストレートを打ち込もうとしたが僕の右手は通形先輩に当たらずにそのまま空振りし、通形先輩とはぶつからずにすり抜けた。
なっ!?
そして振り向きざまに気配を感じたので咄嗟に後ろに跳んで両腕をクロスさせて通形先輩のパンチをガードする。
ぐうっ……!なんて重い一撃なんだ!
少し吹っ飛ばされたがよろめいた隙を先輩は逃さずに今度は左足を振り抜いてきたので僕は咄嗟にしゃがんで前に転がって距離をとった。
そして振り向くと通形先輩の姿が消えた。
『出久後ろだ!』
えっ!?
ウォズの言葉に咄嗟に反応して後ろに右ストレートを放つと通形先輩は予想してなかったのか今度はすり抜けなかったが僕も顔に重い一撃を喰らってしまった。
そしてお互いに衝撃を減らすために同時に後ろに跳んだ。
「なんだ!?いきなりワープしたぞ!?」
「すり抜けるだけじゃねえのか!?」
「どういう個性なんだろう……?」
回原に麟、吹出が疑問を浮かべる。
ウォズ……なんで後ろから来るってわかったの?
『簡単な話さ。通形ミリオは一瞬で地面に沈んだんだ』
ってことは……!先輩の個性は……
「……透過」
「正解!よくわかったね!そう!俺の個性は透過!俺はあらゆる物をすり抜けることができる!」
「んじゃああれはワープじゃなくて地面に沈んだのか……?」
「でもなんで緑谷くんの後ろにいきなり現れたんだ?」
骨抜が推察するが庄田が理由を考える。
「俺の個性は物体と重なっている時に透過を解除すると弾かれるのさ!いわば応用さ!」
「ゲームのバグみたいなもの?」
「そうさ!しかしよく見切ったね!」
「いえ……先輩、正直今のを見切ったのも攻撃を当てられたのもウォズのおかげです……僕一人では先輩に勝つのは難しいかもしれません……」
「それじゃあ諦めるのか!?」
「いえ……なら二人で勝つ!」
「そうこなくては!じゃあ再開と行くか!」
通形先輩がニヤリと笑う。
ウォズ!力を貸してくれないか!僕は……一人で勝てなくても……二人で勝ちたい!
『出久……いいだろう!攻撃のタイミングや出現地点の予測は私がやろう!君は通形ミリオが反応できないほどのスピードで攻撃しろ!君は一度見切れたんだ!できないわけがない!』
ウォズ……ありがとう!
・・・・
「こうして出久はウォズとの二人で通形ミリオに挑むのだった。おっとここから先は次の話でしたね。それではまた」