「遂に完成したか……」
「ここまで来るのに長い道のりでしたね」
「個性を消す薬……これさえあれば……俺たちヤクザが再び裏社会の頂点に立てる……だが……」
「オールフォーワン……ですね」
「アイツになぜか嗅ぎつけられたからな……大方販売のルートから調べられたんだろう……」
「だがオールフォーワンからの資金援助で予想より早く完成ができやしたよ?」
「確かにそうだがアイツは俺たちを自らの軍門の下に下らせるはずだ……一瞬も油断できねえ……」
「そうですね……いつ見限りやすか?」
「近々話があるからな……そこでアイツが仕掛けてくるならそれまでだ」
「わかりやした。ところでこれを市場に回しやすか?」
「いや、まだ未完成のものでいい。噂は流れ始めたばかりだからな」
「了解」
・・・・
「コスチューム持ったな?本来なら公共の場では着用不可の身だ。落とさないように」
ブラド先生が駅まで見送りに来てくれている。
「鉄哲くんは大阪?遠いね」
「まあな!でも連絡はするからな!」
「うん!」
「出久も頑張ってね!」
「応援してますわ」
「ファイト……」
「ん……」
「うん!一佳ちゃん!才子さん!レイ子ちゃん!唯ちゃん!頑張ってきます!そっちも頑張ってね!」
僕がサムズアップで返すと
『うん!』
才子さんたちもそれに返してくれた。
「相変わらずモテモテで羨ましいな」
「まあコイツには嫉妬とか起きないんだけどな」
「さて!ではお前たち…行ってこい!」
『ハイ!』
そして電車に乗ること30分
サー・ナイトアイ事務所に到着した。
「あっ!緑谷くん!来てくれたんだね!」
「はい。一週間よろしくお願いします」
「よろしく!では早速中に入ってもらうよ!サーには俺から話を通してあるから君のことを認めてくれているはずさ!」
そして中に入って扉を開けると目に飛び込んできたのは
「アヒャヒャ!許してください!」
「全く……いい声でるじゃないか……」
女の人がなにやらコントに出るような機械に拘束されて笑わされている様子だった
「一体何が……」
『なんだこれは……』
ウォズも心の中から呆然とした声を漏らす。
「君が……緑谷出久くんか……私がサー・ナイトアイだ。一週間よろしく頼むよ」
「っ!ハイ!」
「それはそうと……奥で話を」
「?」
なんだろう?と思いながら僕はミリオ先輩とサー・ナイトアイの3人で奥の部屋に移動した。
「まず……君がワンフォーオールを受け継いだんだな」
「……はい」
「私も最初はオールマイトの正気を疑ったよ。ただの少年にオールマイトの力を渡そうというのだから」
「……」
「だが君の雄英体育祭での活躍と……ミリオとの戦いを見て……私はオールマイトの見る目が正しいと思わされた」
「………」
「私は後継者にミリオを育ててオールマイトより上になったつもりだと勝手に思ってたが、彼もまた……後継者たる人物を育てていたんだと。君がミリオとは違うなにかを持っていると……私は思った。もし君が平和の象徴となる気あるなら……私もサポートすることにしよう」
「……っ!はい!よろしくお願いします!」
「いい笑顔だ。その笑顔はいつか人を救うことになるだろう。大切にしろ」
「はい!」
「そしてもう一つ。君には二つの人格があるんだったな?すまないが変わってくれないだろうか。彼と話したいことがある」
「わかりました」
『ウォズ頼むよ』
『なにか嫌な予感がするな……』
そう言ってウォズと変わると
「私を呼んだということは……アナザーライドウォッチの話か?」
「察しがいいな。その通りだ。実はウチで調べている団体があってな。死穢八斎會という指定敵団体を知っているか?」
「確か出久から聞いた話だとヤクザものだとか……今は大人しいとの話があったはずだが……」
「だが違法薬物のルートを探ると証拠こそ見つからないが八斎會があった。そこで調べてみたんだが……先日雄英を襲撃した敵連合との接触があった」
『なんだって!?』
「奴らも独自のルートで接触を計ったのだろう……それでその時死柄木弔が君が校長に話したくれたアナザーライドウォッチを持っていたのを目撃した」
「なんだと……!?」
やはり敵連合にアナザーライドウォッチが行き渡っている?
誰の手によるものか知らないが……
「それて敵連合や八斎會を追い詰めるためにも……君たちに力を貸して欲しいんだ」
「私は構わない」
『僕も!』
「わかった……ならば君にこれを渡そう」
『これは……?』
「これは一時の仮免のようなものだ。無論責任は私が持つことになっている。アナザーライドウォッチを根絶するために私が雄英や警察と話し合って特別に発行させてもらった。勿論個性の使用やライドウォッチの使用も許可されている」
「っ!」
そんなものを……これが……サー・ナイトアイの僕への信頼……!
「やってくれるな?」
『ハイ!』
「よし、だが本来の目的も忘れてもらっちゃ困る。時間が空いた時はパトロールやヒーローについての説明だ。ミリオに教えてもらうといい」
「わかりました!さあ行こう!緑谷くん!」
「ハイ!」
そしてコスチュームに着替え、事務所を出て三分もすると
「ひったくりだー!」
「ヤヒャヒャ!この疾風の俺様に追いつけるものなど「smash!」グホベッ!?」
おばあちゃんから鞄をひったくっていた敵を気絶させると
「もう大丈夫!僕が来た!」
「あ、アイツウォズじゃん!」
「ウソッ!?体育祭優勝の!?」
そしてひったくりから取り返した鞄をおばあちゃんに渡すと
「はい。大丈夫でしたか?」
「ありがとね。若いのに礼儀正しいんだねぇ。応援しとるよ」
「っ!ハイ!」
この時近くにいた女子校生たちは
「うわっ!笑顔が超凛々しい……!」
「可愛いのにカッコいいなんて……マジで好きになっちゃいそう……」
「あっ!でもでも!緑谷くんって彼女が何人もいるらしいよ!?」
「ウソッ!?マジで!?」
「羨ましい……」
この間のデートを見られたのかな……変装したのに……
「こちらウォズ。ひったくり犯を捕まえました。これより警察に引き渡します」
「うむ。ご苦労だった。ではヴィランの名前や顔写真を送ってくれ」
「はい」
そして通形先輩に敵を警察に引き渡すのを任せると
「ねえねえ!写真一緒に撮ってくれませんか!?」
「え!?ええええ……!」
「ウォズくん!ファンの要望に答えるのもヒーローの務めさ!こっちは俺に任せてくれ!」
通形先輩が見事な笑顔で返してくれた。
そっ、それなら……
そして女子校生たちに囲まれて笑顔で写真に写る。
才子さんたちという彼女がいるのに落ち着かない!
クスクスと笑う声が横からしてくる。
それ以降その日は特に何もなく写真撮影やサインを求められて終わった。
初めてのヒーロー活動だけど……嬉しいィィィィィ!!
そんな出久を心の中から見るウォズは
『出久に……今、この事を伝えるべきなのか……どうしよう……』
ウォズが見る先には大量のメール着信がありその着信先は出久の彼女たちからであり文面は……ご想像にお任せします……
クラストもファットガムと同じく大阪の事務所にしてあります。
あと個性は原作と違うのになるかもしれませんがすみません……
あとデート回はそのうち書きますので今はご勘弁を……