う……ん……?ここは……
「目が覚めたか緑谷」
「相澤先生!」
「ここは……?」
「都内の病院だ。意識を失ったお前を連れてきた」
そっか……スピリットフュージョンの疲労が溜まって……
「出久さん!」
「出久大丈夫!?」
「出久くん……!」
「才子さん、一佳ちゃん、麗日さん……」
部屋に彼女らが入ってくるとなぜか安心感が出てきた。
「そうだ!未来の僕は!?」
「安心しろ。未来のお前はステインを倒して帰っていったぞ。飯田たちも無事だ」
「そっか……よかった……」
寝て疲労感が無くなったはずなのに安心からきたせいかベッドに倒れる僕。
「そうた!ナイトアイたちは!?エリちゃんは!?」
「落ち着け。順を追って話す」
過去の出久が目覚める数十分前ー
ブゥン……!
「お前は……!?」
「軽い説明だけでお願いできませんか!?」
その後一通りの事情を話すと
「成る程…大体わかった。だから過去のお前はこっちに来れたと」
「はい……僕は両方救けるために未来から来ました」
「それでヒーロー殺しは捕まえたのか?」
「はい……アナザーライドウォッチも持ってましたがなんとか……」
「ヒーロー殺しは……敵連合と繋がっていたのか……それに同時に起こすことによってヒーローたちの力を分断させたと……ここまでの作戦を立てていたとは……」
「それでエリちゃんは?」
「熱も引いて……眠ったまま隔離されているらしい。要するに……彼女の個性には頼れないということだ」
「どういう……意味ですか」
「受け入れるしかない」
とそこにはオールマイトにバブルガール、センチピーダーにリカバリーガールがいた。
「なんでここに……」
「私が呼んだの。だって……サー……いつもオールマイトのこと……」
「泡田……」
「正直……手の施しようがなく……生きているのが奇跡なぐらい……」
「こうなってしまっては治癒ではどうにもならないな……」
(そんな……)
「残念ながら……明日を迎えるのは叶わないでしょう……」
そして……
「ダメだ!生きてください!死ぬなんてダメだ!」
「ミリオ…辛い目に遭わせて…ばかり…私が…もっとしっかりしていれば…」
「アナタがいたから俺は強くなれたんだよ!俺にもっと教えてくれよ!死んじゃダメだって!」
ミリオの頰に触れるナイトアイ
「………………大丈夫。お前は…誰より立派なヒーローになってる…この未来だけは…変えてはいけないな…だから…笑っていろ」
「うううううぅぅ……!ああああああああ……!」
そう言って……ナイトアイは死んだ。
「そんな……僕は変えられなかったのか!?なんで……!なんで……!」
「……緑谷」
ブゥン……!
「やあやあやあ!」
その場に明らかに場違いな声が響いた。
『海東大樹……何の用だ』
「いやあ!面白ことになってるじゃないか!白ウォズ!」
『面白いだと……!!巫山戯るな!!今そんなこと言えるのか!?君は!』
「おい……!」
『イレイザーヘッド……』
「用がないなら帰れ……!」
「いやあ、用ならとっとと済ませるよ」
『な!?それは!?』
「アナザーライドウォッチだと!?」
「不味い!」
<……ジオウII……>
海東大樹がアナザーライドウォッチを起動させると
「う…ん…」
「ナイトアイ!?」
「バカな……どういうことだ……確かに息を引き取ったはずでは……!」
「このアナザーライドウォッチには歴史を書き換える力があってね。サー・ナイトアイの死んだという歴史を書き換えたのさ」
『そんなことが……!?』
「さて、用も済んだので僕は帰るとしよう」
「待て……」
「うん?」
「感謝はするが何故助けた……」
「ただの気まぐれだよ。じゃね」
「君!ありがとう!」
「…………」
「私は……生きれたのか……ハハッ……そうか……」
こうしてナイトアイは息を吹き返して
僕は事後処理に奮闘した。
ヒーローや警官たちに僕が二人いたことを閉口するように告げた。歴史に改変があるのは本来許されないことだからね。
僕が二人いたことで時間軸に影響があるに思えたが士さんが修正してくれるそうだ。
ネットではステインを賞賛する声もあったが最後に未来から来たウォズの言葉が反響して、ピタリと止んだ。
僕は仮免があったので問題はなかったが飯田くんと轟くんはヒーロー殺しと戦ったことからエンデヴァーとマニュアルには処分が下されるそうだ。
こうして八斎會での戦いは犠牲を出すことなく、保須での戦いも様々な余波を残しながら終わった。
「そうか……終わったんだ……」
「ああ、お前のおかげだ。教師として……プロとして……救けられっぱなしで言うことじゃないが……ありがとう」
「相澤先生……はい!」
「出久さん、お疲れさまですわ」
「お疲れさん!」
「お疲れ出久くん」
こうして僕らの職場体験は終わった。