期末試験の翌日、雄英高校1年B組の教室からはドキドキという擬音が聞こえそうなぐらい張り詰めた空気であった。
だがそんな空気の中で一人、ドヨーンとした空気を纏う者が一人。
「い、出久さん……そう落ち込むことはありませんよ……」
「そ、そうだよ。あの場面では仕方なかったんだしさ」
「たとえこれで落ちても出久が気にすることはない」
「ん……」
緑谷出久はこれほどまでないぐらい落ち込んでいた。理由は言わずもがな、期末の演習試験に合格できなかったからである。
確かに一人で挑んだのもあるし、オールマイトの本気と相まみえたから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないのだがそれでも合格できなかった悔しさは計り知れない。
とその時
「おはよう諸君!席についてくれるか!」
ブラド先生が入ってきたので急いで席に戻る才子たち。
「諸君!期末試験の結果だが筆記はゼロだ!そして気になっているであろう実技だが……」
出久だけではなくクラスメイトの大半がごくりと唾を飲む。
なんやかんやあっても皆心配してくれていたのだ。
「問題ナシ!実技の方もゼロだ!」
『うおおおおおっ!?』
出久は嬉しさなのか驚愕なのかわからなかったがとにかく叫んだ。
「あ、あのブラド先生!ぼ、僕落ちちゃったんですよ?なのに……」
「まあ、そう反応するのが普通だな……実はあの後……」
試験直後の緑谷出久の赤点判断は難航を極めていた。
普通に合格できなかったから赤点にするにはあまりにも環境がハードすぎた。一人で本気のオールマイトと相まみえた挙句、オールマイトを戦闘不能にまで追い込んだのは見事としか言えない。オールマイト級のヴィランでも捕まえられるとの証明にもなったからだ。しかしそれで体力を使い切り肝心の合格条件に達してないのが教師陣の悩むところだったのだ。
勿論オールマイトは本気を出したのが原因で校長から3時間のお説教コースを食らうこととなった。
そして出した結論は本気のオールマイトを押えれる実力があり、尚且つオールマイトが本気を出しすぎたせいで合格条件を達成するどころではなかったとのことから赤点を帳消しにするほどのプラスポイントがつけられた。
「というわけだ。おまえはむしろ上位での合格となった。まったくあの人も手加減が効かないんだから……」
そう言ったブラド先生の顔は苦労人の顔だった。
アハハ……
そしてHRが終わると
「緑谷よかったなあ!」
「これで皆、安心して林間合宿に行けるぜ!」
「回原くん、鉄哲くん……うん!ありがとう!」
こうして僕たちB組は目の前の難関を乗り切ったのだった。だがこの後更なる事件が待っているとも知らずに……