(白)ウォズのヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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最初は恋バナにする気はまったくなかったんですよ!日常話にするつもりがいつのまにか……


閑話 祝え!(白)ウォズの恋路!?

金曜日の放課後、それはほとんどの学生が二日ある休日をいかに有意義に過ごすかと考える時でもある。だが雄英は土曜日もあるためそれはないものだとも思われたが幸いなことに明日は休校だった。

 

HRが終わると教室内が騒がしくなる。

 

「いやー、今日も疲れたな」

 

「救助訓練大変だったな」

 

「実技も大変だがヒーロー法学が難しかったぜ……」

 

円場、回原、鉄哲が溜息とともに愚痴をもらす。

 

「でもここまで持ったのもウォズの弁当のおかげだな!」

 

「そうですね……あれがなによりの至福です……」

 

ウォズのご飯が美味しいとB組全体に知られてからはそのほとんどがウォズの弁当の世話になっている。中でも

 

「ねえねえウォズ君!しめじと卵の炒め物、とーっても美味しかったよ!」

 

キノコ大好き小森季乃子はウォズの作るキノコ料理の大ファンになってしまったのである。

 

そして出久に、正確にはウォズに抱きついている季乃子だったが後ろからの視線に気づいてすぐに引いた。

 

ウォズも心の中では満更でもない笑みを浮かべていた。

 

『出久よ。明日の予定はなかったな?』

 

『え?うん……』

 

『なら明日は……少し私の我儘に付き合ってくれないか?』

 

『いいけど……何するの?』

 

『そのまえに変わってくれないか?』

 

『いいよ』

 

そして出久とウォズが精神を入れ替えると

 

「やあ!小森くん!それはよかったよ」

 

「あっ!ウォズだ!」

 

皆、ウォズと出久の違いがわかっていたのですぐに気づいた。

 

「小森くんよ。君がよければだが……明日付き合ってくれないか?」

 

皆が『え!?』の声を漏らす。

 

ちなみに皆の心の中は

 

(あのウォズがデート(?)に誘った!?)

 

(いやいやマジで!?)

 

(ていうか季乃子も満更でもない笑みを浮かべているし……これはもしかして……!)

 

「なになに!?どこかいくの!?」

 

「それは明日のお楽しみさ。それでどうする?行くかい?」

 

「ん~……わかった!行くよ!」

 

「それはよかった!私も楽しみにしてるよ!」

 

こうしてデート(?)に誘われた季乃子

 

そして土曜日

 

「待ち合わせの場所はここらへんなんだけどな~……ここって?」

 

そこはある資産家が所有するといわれている山だった。

 

「でも来るように言われたのははここだし……地図が間違ってるのかな?」

 

不安になる季乃子だったが

 

「やあ小森くん!」

 

「ウォズ!」

 

季乃子がウォズの姿を見て安心したように飛びつく。

 

「なんか不安そうな表情だったけど……なにかあったのかい?」

 

「あのね。待ち合わせの場所ってここだよね?」

 

「そうだよ」

 

「でもここって……」

 

「ああ資産家の山っていう話か?それなら問題ない」

 

「……どういうこと?」

 

「なぜならその資産家とはこの私だからだ!」

 

『ええーっ!?』

 

とその時

 

「ん?気のせいか?今、鉄哲君たちの声が聞こえたような気がしたが……」

 

「う、ウォズ君の所有している山……?」

 

「ああ、そうか。君には言ってなかったが私は株をやっていた時があってね。その資産で買ったのだよ」

 

「…………」

 

「……?おーい小森君?」

 

「……はっ!だ、大丈夫!」

 

ウォズが季乃子の目の前に手を振っていたら我に返った彼女は赤面した。

 

「とりあえずそういうわけだからここに君が入ってもなんも問題ないよ」

 

「そうだったの……わかった!じゃあ行こう!」

 

こうして山に入っていく季乃子とウォズ、

 

一方

 

「バカ!鉄哲!尾行すんのにおっきい声出しちゃダメだろ!」

 

「す、すまねえ……」

 

「でも意外だったな。鉄哲の性格上、こういうのは嫌がるかと思ってたのにさ」

 

「俺だってあまりこういうのはやりたくねえ。かといってあいつらの邪魔はしたくねえからな!」

 

どうやら鉄哲は二人の恋路に興味を持っているが邪魔はしたくないようだった。

 

「でもウォズの山に勝手に入っていいのかな?……」

 

「それなら大丈夫。昨日出久の方に『遊びに行っていい?』って、確認とってOKとれたから!」

 

「っていうか一佳たちは知ってたの?物間も……」

 

「はい。出久さんと出会えたのもウォズさんのおかげですから♪」

 

「僕は出久くんとウォズくんの地獄の特訓に付き合わされて、その修行場所でこの山を知ったのさ……」

 

光がなくなった物間の目を見て苦笑いしか出せないB組一同

 

ちなみにここにいるメンバーは出久LOVERに鉄哲、回原、円場、物間、泡瀬、鎌切、吹出、骨抜、取陰、角取だった。

 

なんでこうなったかというと取陰や回原たちが興味を持ったのが最初だった。そして一佳たちもウォズと同じ体の出久の安否を心配して『行こう!』となった結果収集がつけられなくなったのだ。

 

肝心のデート(?)場所の把握だったが取陰の個性が万能すぎて問題なかった。

 

こうしてウォズ、季乃子追跡メンバーが結成されたのだった。

 

そしてその対象者であるウォズたちは

 

「ねーねー?なんでこの山を買ったの?」

 

「出久のトレーニングにいいと思ってね。最近はきてなかったが」

 

「それで?ここでなにするの?」

 

「もうすこしついてくればわかるさ」

 

そして階段を登り切って見えた光景は

 

「あれって……!松茸!?」

 

目の前に広がっているのはアカマツの林にその根元にちょこっと生えている松茸だった

 

「すごい!松茸がこんなにいっぱい!」

 

季乃子は目の前の光景に興奮を隠せなかった。

 

「どうだい?今日はキノコ狩りに来てもらったんだよ」

 

「ありがとうウォズ君!最高のサプライズだよ!」

 

季乃子はそのまま駆け出して松茸を近くで眺めていた

 

それを通目で見ていたウォズは

 

(よかった……連れてきて……あんなに楽しそうな小森くんを見ていると……なんだかこっちも……あれ?なぜ私は小森くんが喜んでいるのをみてこんなにも嬉しいんだろうか?前から小森くんが喜んでいるのに好感は持っていたが、なぜか最近は……)

 

一方の季乃子も

 

(楽しいな~。あれ?でもなんで私、こんな簡単にウォズ君のお誘いに乗ったんだろ?そりゃあウォズ君は優しいし、料理も上手だし、私が食い気味に迫ってきても嫌がることなく答えてくれるし……でも……このドキドキは一体……)

 

そしてその後、松茸を採集したウォズたちはその場で焼いて食べることにした。

 

それを見ていた鉄哲たちは

 

「上手そ……」

 

「ああ~!食いてえ……」

 

「でも邪魔するわけにもいかないし……」

 

と目の前で松茸を食べている光景と松茸の香りで食欲がそそられていたのだった。

 

一方ウォズたちは

 

「美味しい!」

 

「それはよかった」

 

そして鉄哲たちが羨ましそうに見ている中で食い終わった。

 

その後、二人は森の中を散歩することにした。

 

「美味しかった……」

 

「ふふ……随分食べていたね……」

 

「うう~!言わないでよ~!」

 

「ハハハ、すまない」

 

(楽しいな……こんな平和な時がずっと続けばいいのに……)

 

(ウォズくん……楽しそう……でもなんか嬉しい……)

 

そして二人で歩いていたら

 

「あっ!ウサギだ!」

 

季乃子がウサギの後をつけると言い出したのでウォズも了承した。

 

ついていった巣穴にいたのは二匹の夫婦ウサギがたわむれているところだった。

 

「うわあああ……夫婦だ……」

 

「美しいね……生命の愛情というものは」

 

夫のウサギのほうはオッドアイの目をしていた。

 

そして刺激しないためにも立ち去ったウォズたち

 

とここで

 

(さっきのウサギさん……いいなあ……私もあんなふうに……)

 

と思った先でウォズを見ると

 

「うぉ、ウォズ君……」

 

「ん?」

 

「……手……繋いでもらってもいい?」

 

赤面しながら手を差し出した季乃子を見たウォズは

 

(ふっ……そういうことか……私は彼女が……)

 

そして差し出された手を握ったウォズ

 

それを見ていた一佳たちは

 

「季乃子……」

 

「おおお……」

 

「もしかしてもしかして……!」

 

とニヤニヤした完全に野次馬根性の目で見ていたが

 

「あ~!かったりぃ!」

 

『!!?』

 

その場にいた誰の声でもないものが響き渡った。

 

ウォズたちが振り向いた先には頭が狼の男と眼鏡をかけた優男風な男がいた。

 

「こんなとこにオッドアイのウサギなんているのかよ!」

 

「富豪アルノスの命令です。仕方ありませんよ」

 

「にしてもこの山、資産家のものだったっけ?随分なもんだなあ!」

 

そしてウォズたちは確信した。あいつらはハンターでウサギを捕まえに来たのだと

 

「どこだどこだ……おっ!巣穴ミッケ!ホントにいやがったぜ!」

 

「それでは捕まえましょう。これで我々は」

 

「億万長者だ!」

 

とその時

 

「ここから先へはいかせないよ」

 

「なんだあ!てめえら!ここは立ち入り禁止だぞ!どっかいけやあ!」

 

「それはこっちがいいたいね。勝手に私の山で乱獲するなど……許しがたいものだ」

 

「あ!?て、テメエはウォズ!ていうかさっきの会話も……」

 

「聞かれていた……でしょうね。では死んでもらいましょう」

 

「ヴィラン……あの子たちの生活を奪わせはしないノコ!」

 

『出久よ。ここは私たちに任せてくれないか』

 

『うん……わかった!』

 

<ギンガ!>

 

<アクション!>

 

<投影ファイナリータイム。ギンギンギラギラギャラクシー!宇宙の彼方のファンタジー!ウォズ!ギンガファイナリー!ファイナリー!>

 

「さあ……行くぞ!」

 

ウォズがエナジープラネットをぶつけようとしたら

 

「ハッ!甘え!」

 

ヴィランが指を鳴らすとウォズと季乃子の動きがゆっくりになった。

 

「私の個性は範囲内の対象物の動きを遅くします。いくらアナタが強くてもこれじゃ無理でしょう」

 

「そして俺のウルフのパワーででいままでどんな任務もこなしてきた。ここで終わりだ!」

 

そして襲われるウォズだったがパチッと指を鳴らすとゆっくりだった動きが元に戻った。

 

「「なっ!?」」

 

「はあっ!」

 

そしてウルフのヴィランを拳で吹き飛ばした。

 

だがゆっくりとだが立ち上がって睨んでいた。

 

「重加速程度なら私の力で破れる」

 

「なるほど……一筋縄ではいかないようですね……ならば!」

 

優男のヴィランが再び指をならすとウルフのヴィランの動きが更に早くなった。

 

これにはウォズも吹き飛ばされてしまった。

 

「私の個性が一つだけだとは言ってませんよ?」

 

「そうだ!だからこそ俺たちは最高のコンビだ!まずは……てめえからだ!」

 

そして季乃子に向かっていくウルフヴィラン

 

『危ない!』

 

『……大丈夫さ』

 

と季乃子に接近するヴィランだったが

 

「ご、ごほっ!!」

 

「?」

 

「うえっへ!ごっほごっほ!うええええっ!」

 

「おい……なにを……うえぇっ!?」

 

「君なら……大丈夫だと信じていたよ」

 

二人のヴィランがせき込んで動くところじゃなくなっている始末だった。季乃子の個性で器官にキノコを生やしたのだ。

 

そして動けなくなったヴィランにウォズがエナジープラネットをぶつけるとふたりとも気絶した。

 

「むー……少しは心配してよ」

 

「好きな人を心配するのは当然だが信じないのとはまた別だろ?」

 

「もう……ええっ!?」

 

好きと直球に言われて今まで以上に赤くなる季乃子

 

そして季乃子も

 

(ああ……そうか、そうだったの……私は……)

 

「ウォズ君/小森君……私は……アナタ/キミが好きです」

 

そして一瞬の沈黙のあと二人は

 

「嬉しいっ!」

 

「私もだよ……」

 

お互いを抱きしめあった。

 

ちなみに心の中の出久は

 

『えええええええ!!?うぉうぉ、ウォズが小森さんを好き!?いや……僕が言えないか……』

 

鉄哲たちも

 

(うおおおおおぉぉ!やったなウォズ!)

 

(一佳これはいいの?)

 

(うん……出久は出久あってウォズはウォズだもん……私たちが出久を好きで独占したいからって二人の仲を引き裂くなんてできない……)

 

(そうですわね……ふたりの愛が感じられますから……)

 

と二人の桃色空間に話が盛り上がっていたが

 

「うええっ!ごほっごほっ!」

 

「こ、これって季乃子の……!」

 

才子たちも季乃子の個性の影響を受けて咳が止まらなくなってしまった。その結果

 

「みんな……?」

 

「どういうことか……説明してくれるかな……?」

 

二人の威圧を前に鉄哲たちは

 

『すみませんでした』

 

と言うしかなかった

 

二時間後

 

「やったね!季乃子!」

 

「おめでとうございます」

 

「一緒に出久たちのお嫁さんになろ?」

 

「い、いいの……?」

 

「ええ、元より私たちは出久とウォズさんを独占する気はありません。愛を分け合ってくれるのならそれでいいのです」

 

「う、嬉しいノコ……」

 

と皆でパーティーを開いていた。女性陣は季乃子の恋の門出を祝っていたが男性陣は皆松茸を食いたかったのだ。勿論二人のことを祝福してないわけじゃないが

 

「全く~ウォズまで彼女作りやがって~!」

 

「羨ましいぜ!こんちくしょう!」

 

「ははは……僕も驚いたよ……でもウォズはいつから小森さんのことが好きだったの?」

 

「小森くん……いや季乃子くんが私の料理を純粋に褒めてくれるのが嬉しかった……そこから話し合っているうちに惹かれた……というべきかな」

 

「ま、とにかくおめでと」

 

『おめでとー!!』

 

「こうしてウォズと小森季乃子はお互いの心の内をさらけだして後に才子たちと一緒に出久たちの婚約者となるのだった……おっとここからはまだ先の話ですね。それではそれでは」

 




夏にも松茸はありますよ。早松茸(さまつたけ)というらしいです。

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