あの後、上鳴くんや峰田くんなども飯田君が誘ってレセプションパーティーに参加することになった。
時間も大分余裕があったので僕は集合時間に間に合ったのだが……
「才子さんたち……まだかな?」
「ああ!団体行動を何だと思ってるんだ!」
飯田くんが憤慨していたが
「まあまあ飯田くんよ。女性にはいろいろと時間が必要なのだよ。多少のことには目を瞑ってあげた方が楽だぞ?」
ウォズが横から口を入れて飯田くんを宥めている時
「ごめんおくれても~たぁ」
「すみません……」
「ごめんな……」
女性陣がドレスを纏って登場した。華やかな衣装に、大胆な衣装や大人っぽいエレガントな衣装など様々だがどれも彼女たちの魅力を引き上げていた。
麗日さんに続いて才子さん一佳ちゃん、レイ子ちゃん、唯ちゃん、八百万さん、耳郎さん、小森さんが入ってきた。
「「うっひょぉぉぉぉぉ!!!」」
上鳴くんと峰田君たちは相変わらずだなあ……
でも耳郎さんに対して
「女の殺し屋みてー」
「馬子にも衣裳ってやつだな」
って言ってイヤホンジャックを食らったのだった。
『出久よ。女性に間違った言葉をかけるとああなるのだ。気を付けろ』
ハハハ……ソウダネ……
「い、出久さん……どうでしょうか……?私たちのは……?」
「な、なんか一言……ない?」
「感想……教えて……?」
「ん……!」
「い、出久くん……ウチも欲しいなー……」
僕の彼女たちが期待に満ちた視線を僕に向けてくる。
そうだな……
才子さんはピンクのシャンタンドレスに一佳ちゃんは紅色のフィット&フレアワンピースに唯ちゃんは上は白のバルーンスカートにレイ子ちゃんは青のエンパイアラインドレスに麗日さんは白とピンクの大胆なドレスだった。
正直皆、僕には勿体ないぐらいの美少女たちだ
でも皆の期待のためにも僕の本心を出さないとね
「みんな似合ってるよ!才子さんは大人っぽくて!一佳ちゃんは色っぽくて!唯ちゃんはキュートで!レイ子ちゃんはスマートに見えて!麗日さんは可憐さが!皆超可愛いよ!」
僕が少々大きな声で答えると
「「「「「あうー……」」」」」
皆、蒸気が出そうなぐらい顔が赤くなっていた。
峰田くんと上鳴くんが恨めしそうにこちらを見ていたが耳郎さんが片付けてくれた
と僕の足元に
「出久君!ウォズ君に聞いて!私のこれ……似合ってるかな……?」
白のロリータファッションの小森さんがズボンを引っ張って聞いてきた。
と精神を切り替えると
「やあ季乃子くん!とても似合ってるよ!まさに君は私の姫だ!」
「ひ、姫って!ウォズ君が王子様……!王子様…!王子様…!王子様…!」
小森さんも顔を赤くしてなにかをブツブツと呟いていた時
「皆!まだここにいたの!?パーティー始まってるわよ!」
眼鏡をはずして華やかな衣装を着たメリッサさんが来た。
「やべーよ峰田……俺どうにかなっちゃいそう……!」
「どうにでもなれ」
盛り上がる上鳴くんと峰田君に対して呆れた表情で呟く耳郎さん
とパーティー会場に向かおうとエレベーターのボタンを押そうとした時、突然ロビーのシャッターが閉まってサイレンが鳴り響いた
そしてIアイランド内に爆発物が仕掛けられ、厳重体勢に移行したという放送が流れてきた。
その情報に皆が驚いて状況を探ろうとするも携帯なども圏外の状態だった。
「ダメっス!エレベーターも使えねえ!」
夜嵐君からエレベーターのボタンを押しても作動しないことを聞いた僕たちは
『ウォズ……どう思う?』
『ただ爆発物が見つかっただけにしては警備が厳重になるのは変だ……それにどうやって警備をすり抜けて持ち込んだのかもわからないのに……ただ見つかっただけという情報……不自然な点が多すぎる……』
そして皆に僕とウォズが考えたことをある程度伝えると
「た、確かに……」
「でもよう!警備システムが作動したってのは事実なんだろ!なにかが起こってるってのは確かなんじゃねえか!?」
回原くんが納得したが鉄哲くんがすぐに最もなことを口にした。
警備システムが作動したのは事実。でもそれには不可解な点が多すぎる。
嫌な予感と共に不安が募っていく皆。
「……会場に行こう」
「どうしてっすか?」
「会場にはオールマイトがいるんだ」
「なんだ!それなら安心だな!」
峰田君が安堵したが僕はそう思えない……ウォズの言った通り、仮に爆発物の情報が事実だったとしても、どうやってそれらはここに運ばれたんだ?もし情報が仕組まれたものだったらそれは警備システムが乗っ取られたということだ。それに関してもどうやって警備をすり抜けて誰にも気づかれずに侵入したんだ?どちらにせよ内部の、それもかなり優秀な協力者がいないとこの状況を作りだすのは不可能だ。
となるとこの島にいる誰かにいつ牙を向けられてもおかしくない
『ウォズ……』
『とにかく今は会場に向かおう。そこでオールマイトから情報を掴むんだ』
僕たちは嫌な予感と未知の恐怖に臆されながらも非常階段を上って会場に向かう。
・・・・
その頃会場ではオールマイトたちがヴィランによって拘束されていた。
会場にはライフルを構えたヴィランの構成員が見張っておりとても手が出せる状況じゃない。そんな中オールマイトは上階から覗く出久と才子の二人に気づくと心の念話で才子に聞こえるようにする
(ヴィランがタワーを占拠中、警備システムも掌握された。人質はこの島にいる全員、危険だ。すぐにここから脱出しなさい)
とオールマイトの心をテレパシーで読んだ才子はすぐに
「大変ですわ!出久さん!」
その後出久と皆も才子が聞いたオールマイトからの情報と指示に戸惑っていたが飯田はすぐに
「俺はオールマイト先生の言う通りすぐに脱出すべきだと思う」
「ですが……」
「うん……ここの警備システムはタルタロスと同じぐらいに設定されているわ。脱出はほぼ不可能よ」
才子とメリッサがすぐにその案に対して否定的な意見を述べる。
「メリッサさん。ここのシステムはどうなっておりますの?」
「最上階にコントロールルームがあるわ」
「最上階…ですか…ダメですわ……最上階までの転移は私の体力では持ちません……それに最上階を千里眼で覗こうとしたのですがなにかに阻害されてしまいました……」
「おそらく転移系個性を対策してるんだとおもう。何かの装置か個性によってジャミングされているんだ」
「じゃあ救けが来るまで大人しく待つか?」
上鳴の言葉に峰田は賛同するが
「無理だね……脱出が無理なら侵入もほぼ不可能だ。それにここで待っていたとしても情報が遮断されているんだから外部からの救援にしてもこの島のヒーローたちにしてもこのビルの情報が伝わらない」
出久の言葉で皆が静まりこむが
「それに……僕たちはヒーローを目指している……ならここですべきことは?」
「まさか……待ちたまえ!」
「そうですわ緑谷さん!」
出久の言葉に察した飯田と八百万は止めようとするが
「……相変わらずだな緑谷」
「轟君……」
「でも……確かに俺も……ここでジッとしているだけなんてのは嫌だ」
轟は右手を握りしめて意を決したかのように出久を見る。
「俺も行く」
「轟君!」
「熱いな緑谷!俺も行かせてくれ!」
「夜嵐君……!」
「ロックだね。ウチも賛成」
轟に夜嵐、耳郎は出久の意見に賛成のようだ。
反対に上鳴と峰田はビクビクして
「待て待て!仮にコントロールルームについたとしてシステムの変更なんてできんのか!?」
「それについては心配ないわ。ヴィランがシステムを掌握しているなら認証プロテクトやパスワードは解除されてないはず。私たちにもシステムの変更はできる」
「システムを元に戻せば……オールマイトや人質たちは解放される。そうすれば状況は一変する!」
出久の言葉に嫁ーズたちは
「出久さんの言う通り……私もただ見てるだけというのは嫌です。私も行きます」
「そうだね!ここで動かなきゃヒーローじゃない!」
「皆を助ける」
「ん……!」
「出久君行こう!」
「皆……」
「これ以上無理だと思ったら引き返す……それが飲めるなら俺も行こう」
「私もいきますわ」
「俺も行くぜ!」
「ああ!ここで行かなきゃ漢じゃねえ!」
未だにビビっている峰田と上鳴だったが
『季乃子君?』
「私も……正直怖いノコ……でも!ビクビク怯えて後悔するよりは皆を助けたい!」
『季乃子君……!』
季乃子がグッと両手を握りしめて覚悟を決めるのを見た上鳴は
「しゃー…ねえ!ここで引いたらダセえからな!俺も乗ったぜ!」
とうとう一人になった峰田が
「わーったよ!!!行けばいいんだろ!行けば!」
泣きながら覚悟を決めると
「私も行くわ……最上階のシステムを変更できるのは多分私だけだと思う。足手まといにはならないから……」
「わかった……」
こうしてIアイランドレジスタンスが出来上がった
・・・・
会場のオールマイトはマッスルフォームを維持しながらも状況を打開しようとしていた時上階に映る出久に気づくと
(緑谷少年……行くというのか……)
出久の眼差しで全てを悟ったオールマイトは
(ふっ……君らしいじゃないか……だが必ず生きて帰ってくれ!君ならこの状況をぶち壊してくれると信じてるよ!)
オールマイトがニヤリと笑みを浮かべた
出久もサムズアップで返事を返すとそのまま皆の元へ戻った。
「皆……行くよ!」
『おう!!』
今いるメンバー
出久、回原、鉄哲、飯田、轟、夜嵐、上鳴、峰田、
才子、一佳、レイ子、唯、季乃子、お茶子、八百万、耳郎、メリッサ