いよいよ林間合宿当日、僕たちは学校のバス停に集合していた。
あっちにはA組もいた。
「じゃあこれから林間合宿行くぞ!無論!生半可で終わるつもりはないから覚悟するように!」
『ハイ!』
ブラド先生が皆に気合を入れた後、バスに荷物を乗せていく中
「あれれれれ!!?A組に補修いるの!!?おっかしいよねぇ!!?散々B組のことをモブ扱いする人がいるっていうのにねぇ!!?」
いつの間にか物間くんがA組に近づいて散々煽っていた。
「アイツ……」
「これであいつが赤点だったら滑稽だったのにな」
「ああ……私では歪んだ物間さんの心を癒せないのでしょうか……」
「いやあれは無理だと思うよ?」
「も~の~ま~!?」
鉄哲くんが呆れ気味になっており、骨抜くんがもしもの話をしていると塩崎さんが両手を組んで天を掲げており、取陰さんがつっこみを入れた。そして一佳ちゃんが物間くんにすごい気迫で物間くんに迫っていた。正直関係ないはずの僕まで怖い……
「うわっ!?拳藤!?」
「アンタってやつは……いつもいつも……!」
「ヒィィィ!!さ、三十六計逃げるが勝ち!!」
「待てやコラァァァァ!!」
物間くんが顔面蒼白になって一佳ちゃんから逃げる
僕と才子さんがA組まで行くと
「本当にゴメン!」
「申し訳ありませんでした!」
A組の皆に謝罪しておく
皆は気にしないって言ってくれたがかっちゃんだけは物間くんを凄い形相で睨んでいた。
「物間怖」
「まあよろしくね?A組」
「ん」
あっちでは捕まった物間くんが引きずられながらバスに入れられていた
ハハハ……
「よりどりみどりかよ……!!」
と唯ちゃんたちに峰田くんの欲望の視線があったので
「レイ子ちゃん」
「わかった」
「うおっ!?グハあっ!?」
ポルターガイストでバスまで飛ばされた峰田くん。女子たちは不快そうな顔をしていて、A組の皆も呆れたような視線を向けていた。
「本当に申し訳ありません!」
「まあ物間の件もあるし……」
「どっちもどっちですから……」
八百万さんの謝罪を取陰さんたちは受け入れて、才子さんは物間くんのことについて頭を悩ませていた
「じゃあ皆バスに乗るよ」
「わかった」
「ん……」
「じゃあ行きましょう」
そしてあらかじめ決められた席に座るとバスは動き出す
「そういえば緑谷ってデイヴィッド博士の研究の被験者になったんだろ?」
「あっ!それな!ニュースで話題になってたし!」
「それにしてもヒーローが政府を脅迫して研究を凍結させていたのには驚いたな……」
「汚ぇ奴等だな!!」
円場くんと泡瀬くんが話題を持ち出して骨抜くんが呟いたのを聞いた鉄哲くんが思い出したのか憤慨する。
「デイヴィッド博士も間違っていたとはいえ可哀そうですね」
「そうだね。彼もある意味被害者だったのだろうね」
「情状酌量の余地があるのは救いだろうね」
塩崎さんと庄田くんも話に加わると取陰さんがそう呟いていた時
「ねえ緑谷くん……もしかして彼らを告発したのって君だよね?」
「な!?なんのことかな!?物間くん!」
物間くんに突然迫られて自分でもわかるぐらい挙動不審になってしまった僕
「だって君が被験者になるって時に彼らの罪が暴かれて更に過去の脅迫の件まで露呈した……どう考えても不自然だよねぇ?僕はこれが緑谷くんが奴らの罪を世間に告発するために仕組んだ作戦だと睨んでいるんだけど……どうかな……?」
す!鋭い!
皆の視線が僕に向いていく
「どうなんだ?緑谷」
ブラド先生も聞いてきたので、はぁ……とため息をついて皆にウォズが実行した作戦を話した。
「緑谷……おまえ……」
「マジか……」
皆が呆れたような表情になっている。
「はぁ……緑谷、その行為が間違っているとは言わんがそんな危険なことをわざわざするな」
「すみません……」
バスはしばらく暗い空気になってしまったが
「あー!もうやめやめ!折角だし楽しも?」
一佳ちゃんが場の空気を変えてくれた。
「一佳ちゃんありがと……」
「ううん!いいよ気にしないで」
正直助かった……
「でもその件についてはじっくり聞かせてね?」
助かってなかった!
よく見てみると唯ちゃんに才子さん、レイ子ちゃんも僕を睨んでるし……!
この後ウォズが実行した作戦についてをじっくり言わされて一人ずつ説教された