(白)ウォズのヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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挑め!迷いの森!

途中でA組のバスが見えなくなったのに皆疑問を持っていたがその答えはすぐにわかることなる。

 

「ついたぞ!全員降りてくれ!」

 

ブラド先生が降車するように促すと皆が下りていく。

 

僕たちのバスが止まった場所はパーキングエリアではなく山と森に囲まれた崖の上だった。

 

皆も不安を顔に出していた。

 

「ここでなにするんだろ?」

 

「ここで特訓とか!?」

 

「流石にそれはないっしょ」

 

吹出くんが?マークを浮かべて疑問を口に出し、鉄哲くんが叫ぶが骨抜くんが冷静にツッコむ。

 

「うむ!皆着いたな!じゃあ合宿について軽く説明するぞ!おまえらの合宿所はこの森全体だ!」

 

「マジで!?」

 

麟くんが驚きの声をあげるが皆思っていることだろう

 

「ここ公共の森じゃないんですか?」

 

庄田くんがブラド先生に質問すると

 

「うむ!ここはプロヒーローのプッシーキャッツが所有する森だ!なのでここで個性を使っても問題はない!」

 

「プッシーキャッツって……」

 

「確か四人一組のヒーローだよ。キャリアは今年で12年になる」

 

一方A組のほうのピクシーボブは

 

「うん?誰かに歳のことを言われたような気がするが……気のせいかな?」

 

と軽い殺気を放っていた。

 

「出久さん大丈夫ですか!?」

 

僕はどこからか感じた殺気に震えていた。

 

才子さんが心配してくれたので大丈夫と返しておく

 

「ではこっちに来てくれ!」

 

ブラド先生に促されて崖の手柵の方へ向かうと

 

「じゃあ最後の説明をするぞ。お前らの宿泊施設はあの山の麓な」

 

ブラド先生が指さした先は

 

「え?」

 

「あれ……?」

 

「ただの森の中とかじゃないよな……?」

 

指さした先に建物などないので不安になる僕たちだったが

 

「ブラド先生!?」

 

いつの間にかブラド先生は手柵から離れていた。

 

「おい……まさかとは思うが……」

 

「いや……そんなことはないよ……ハハハ……」

 

「では今から12時までに自分たちの足で施設まで来い!」

 

ブラド先生の言葉で文字通り僕たちは崖に突き落とされた。

 

正確にはいきなり床の地面がせりあがって僕たちを崖まで突き落とした。

 

『うわあああああああ!!?』

 

皆が慌てていたがこのままじゃマズい!

 

「レイ子ちゃんは物間くんを!才子さんは吹出くんを地面まで運んで!」

 

「ッ!わかりましたわ!」

 

「了解!」

 

僕の言葉にすぐに反応してくれたレイ子ちゃんと才子さんはサイコキネシスとポルターガイストで地面にゆっくりと下ろす

 

「え!?ええ!?」

 

「吹出さんクッションをお願いします!物間さんはコピー!」

 

「そういうことね!」

 

「わかった!ポヨンポヨン!」

 

吹出くんがクッションを作り物間くんもコピーして手伝う。

 

他の皆もそれぞれの個性を駆使して下へと降りていく

 

回原くんは超回転の遠心力で落ちる勢いを殺して、麟くんはウロコで羽を作って減速して塩崎さんが蔓で他の皆を引き寄せてクッションへと誘導する。

 

「才子さん!骨抜くんを先に運んで!そして個性を!」

 

「わかりましたわ!」

 

「りょーかい」

 

サイコキネシスで骨抜くんを先にクッションへと誘導して個性で地面を柔らかくしてもらう。

 

その後はレイ子ちゃんと才子さんが個性でクッションから弾かれた皆を怪我がないように下ろしていく。

 

「はぁ~……助かったぜ」

 

「緑谷のおかげだな」

 

皆にそんな言葉を投げかけられて正直照れくさいが……

 

「浮かれるのはまだ早いぞ!全員で12時までにつかなければお昼は抜きだ!お前らにこの『迷いの森』を突破できるか!?」

 

「迷いの森?」

 

「なんだそのゲーム染みた名前は?」

 

その不穏な名前に顔を顰める。

 

今のところ普通の森みたいだけど……

 

「ああ!ちなみに緑谷!ギンガの使用は禁止だ!」

 

なんでだろう?

 

「とりあえず進もうぜ!このままだとお昼抜きだ!」

 

鉄哲くんがそう言って我先にと進んでいく。

 

僕たちもついていき5分が経った。

 

「迷いの森って割には普通だねぇ?」

 

「確かに……」

 

「むしろ何もない分不気味ですわ」

 

凡戸くんが呟き、回原くんも頷き、才子さんが最もなことを口にする。

 

とスタート地点から200mほど進んだ時

 

「ねえ……?なんだか視界が悪くない?」

 

「気のせいじゃないデスか?」

 

「いや!気のせいなんかじゃない!これは!」

 

奥に進めば進むほどどんどん視界が悪くなっていく!

 

これって……!

 

「霧……!」

 

『ようこそー!迷いの森へ!』

 

「この声って……!」

 

「ラグドール!?」

 

『猫の手手助けやってくる!』

 

『どこからともなく……やってくる……!』

 

『『ワイルドワイルドプッシーキャッツ!!』』

 

『この状況で!?』

 

決め台詞が聞こえた方へ向けてみるとそこにはスピーカーがあった。

 

『アハハハハー!どう?迷いの森は!ここからが本番だよ!あー!迷っても心配しないで!最悪アチキの個性で助けに行くからー!じゃ!頑張ってねー!』

 

そう言って放送は終了する

 

「こういうことか……」

 

「でもどうやって霧を起こしているんだろう?」

 

円場くんが肩を下ろして骨抜くんが疑問を投げかけた

 

「恐らく近くに湖があるんだろ思う。そこで空調かなんかで空気を冷やしているんだ」

 

「なんでそれで霧ができるんだ?」

 

僕が言ったことに鉄哲くんが反応した。

 

「蒸発霧だよ」

 

『蒸発霧?』

 

「湖などの水面は常に水蒸気が絶えず蒸発してるんだ。それが冷やされると水滴になって霧が発生するんだよ」

 

「なるほど……」

 

そうか……ギンガを禁止したのはタイヨウで霧を晴らすのをストップさせたんだ……

 

「っつうてもよ!前に進めばそのうち着んじゃね?」

 

「それは……いくらなんでも簡単すぎる気がしますが……」

 

僕も才子さんと同意見だ。そんなことも気にせずに鉄哲くんは進んでいくが

 

「うおっ!?」

 

「やっぱり……」

 

目の前にあったのは大きな湖だった。

 

「これじゃあ……」

 

「なら岸沿いに進まねえか?」

 

「それだと……方向感覚が狂わされ、位置感覚が掴めません……」

 

泡瀬くんが提案するが才子さんの言う通りどこから真っすぐに進めばいいかわからなくなってしまう

 

「なら泳いでいかねえか!?」

 

『無茶言うな!!』

 

鉄哲くんの案に全員が全力で否定する

 

確かにそれは無謀すぎる

 

「俺でも全員分の足場は作れねえし……」

 

「全員ゴールだもんね」

 

取陰さんの言う通り一人でも欠けたらアウトなこの試練。勿論全員でゴールするつもりだが

 

「ポニー、上から確認してくれない?」

 

「リョーカイデス!」

 

角取さんが上に飛んで確認しようとするも

 

「ダメデース……上も霧がディープデスネ……」

 

「そうか……」

 

飛んでも霧があるって相当に深い霧だぞ……

 

「恐らく視覚以外での空間把握能力を考慮してるんだろうね」

 

そうか!確かに……!

 

「言われてみれば……」

 

「そういえばA組の耳郎や障子、宍田みたいに視覚以外での把握能力がB組にはないよね」

 

「私の千里眼もこの霧の深さでは見えませんし……」

 

そうか!僕らは空間を把握する術を失くした中でいかに早く目的地に辿り着けるかを試されているんだ!

 

「じゃあ吹出がなんか光るものを作ってそれをここに置いておいてそれを目印に位置感覚を把握すれば?」

 

「それだ!」

 

「確かに……」

 

「まあ無難な作戦だね」

 

「わかった!ピカッピカッ!」

 

こうして吹出くんが作った光源で位置感覚を把握した。

 

こうして第一関門は突破した。

 

だが次に目に見えたのは

 

「これって……」

 

突如として前に現れたのはせりあがった土の壁とあからさまに二つに枝分かれしている二つの道だった。

 

「これが第二関門か……」

 

「どっちかに行けってことだよな?」

 

「あからさますぎる……」

 

「上に上ればいいんじゃねえのか!?」

 

「……ちょっと見てみます……」

 

才子さんが千里眼を使う。

 

「ダメですわ……上には土でできた棘が並んであります……それにトラップも……」

 

「……素直に下から行けってことね」

 

「どっちに行く?」

 

「……ちょっとお待ちを……やはりでしたか……この先にも同じような分かれ道がいくつもありますわ」

 

「方向感覚を狂わせるってとこだな」

 

「どうする?」

 

黒色くんが疑問を投げかける。

 

「そうだ!」

 

<クイズ!>

 

<アクション!>

 

<投影!フューチャータイム、ファッション!パッション!クエッション!フューチャーリングクイズ!クイズ!>

 

「ここで変身した?」

 

「なにするつもりだ?緑谷」

 

「ちょっと試したいことがあってね。じゃあ行くよ……問題!正しい道は右か!⭕️か❌か!」

 

「いきなりどうした!?」

 

「答えは……❌か!」

 

『み、緑谷ぁ!?』

 

僕が落雷に打たれたのを見て驚く皆

 

「急にどうしたんだよ!緑谷」

 

「ごめんね。でもこれで道が分かった!」

 

「は?どういうことだ?」

 

「そういうことでしたか!」

 

「どういうこと?才子」

 

「心操さんの試合でも見ましたよね?このフォームは疑似的に正解を導くことができるということを」

 

「そっか!それなら!」

 

「そうか!これなら正しければそうだし間違っていたら片方の道ってことか!」

 

「でも……」

 

「緑谷への負担がきつくないか?」

 

「そうです……私としてもそれが心配ですわ……」

 

重い空気が流れる。

 

「だったら!俺に問題を出してこい!緑谷!」

 

「鉄哲くん!?」

 

「無茶だ!なんども受け止められるものではない!」

 

「そうだよ……」

 

「それでも!仲間が身体を張ってくれているのに見ているだけなんて嫌だ!俺にも手伝わしてくれ!」

 

鉄哲くん……!

 

「鉄哲……!おまえ漢だぜ!」

 

「だったら鉄哲がダウンしたら俺たちにも問題出してこい!」

 

「皆……!」

 

『良い仲間を持ったじゃないか……』

 

「じゃあ行くよ!」

 

『おう!』

 

・・・・

 

ー14時半

 

施設の前でラグドールとプッシーキャッツのメンバーである虎、出久たちの担任のブラドキングがいた

 

「おっ!やっと来たー!」

 

ラグドールが指さす方向である森の奥からボロボロになった出久たちが現れた。鉄哲は何度も落雷を受けたせいか意識困憊に近い状態だった。

 

「まさかあんな方法で突破してくるとはねー!」

 

そう。ラグドールはサーチで出久たちの動向を見ていたのだ。勿論ブラドキングも知っている

 

「うむ……もう少し被害がでない方法を模索するべきだな」

 

「はい……」

 

「でも想像以上に早かったよー!夕暮れぐらいになるかと思ってたー!」

 

鉄哲たちが座り込むと

 

「3時間じゃないんですか……」

 

「うむ……正直それは俺たちからすればでお前たちはもっと遅くなると踏んでいたのだが……」

 

「まさかここまで早いとはねー!」

 

「中々やるではないか!」

 

出久たちは返事を返す気力ももうなかった

 

「まあとりあえずここまでボロボロのお前らを今日特訓させるわけにはいかん。軽い昼飯を作ってあるからそれを食ったら一旦部屋で休め」

 

『は、はい……』

 

ブラドが指示すると身体を起き上がらせて施設へ向かう出久たち。

 

これでも彼らの試練は始まったばかりなのだ。

 




最初にラグドールたちがいないのは才子さんにテレパシーで考えを読まれるわけにはいかないとのことです。ちなみに崖に落ちたのはピクシーボブの個性ではなくただ単純なる仕掛けです。

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