助けて邪神様!(助けて旧神様!×GATE)   作:VISP

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本編終わってからGATE世界に来るまで


プロローグ

 あのクラインの壺での繰り返しが終わってから長い、本当に永い時が過ぎ去った。

 

 人を止め、人外に成り、遂には邪神の一柱と成った。

 だが、その後も彼女達の戦いは終わらなかった。

 寧ろ、これからが本番とばかりに、その戦いは加熱し、加速した。

 理想は未だ遠く、崇拝し、尊敬し、憧憬し、熱愛する二人はいつも血塗れで先にいた。

 それでも、あの二人の後ろなら耐えられた。

 だが、それが崩れたのは何時だったろうか。

 彼ら夫婦は、大十字九朗は、アル・アジフは、マスター・オブ・ネクロノミコンは、旧神は、無垢なる刃は、邪悪を討つ狩人は……

 

 

 『           !!!!!!!!!!!』

 

 

 何時からかその精神を摩耗させ、ただただ邪悪を討つ力の塊と化していた。

 その名を渦動破壊神。

 あらゆる邪悪を滅ぼすために、あらゆる宇宙を滅ぼす災厄の化身。

 

 「もう言葉も忘れたか…。」

 「やるぞ、アーリ。」

 「あぁ。行こっか、リーア。」

 

 こうして、堕ちた旧神と反逆した邪神の戦いは始まった。

 その戦いは秘術を、知識を、魔力を、神秘を、力を、己が全てを出し切る戦いだった。

 片や邪悪なる全てを破壊せんとする堕ちた旧神。

 片や旧神を屠るために鍛造された無貌の邪神の一欠片。

 その戦いは前神未到にして空前絶後。

 万物が消滅し、概念が破壊され、無が創造される。

 剣の一振り、拳の一当てで一つの銀河が、一つの宇宙が両断され、砕け散り、消えていく。

 神々ですら慌てふためいて逃げ去り、戦きながら逃げ出すその闘争を、しかし無貌の神はしっかりと見ていた。

 

 「そう、これだ。君は、君達はこのために生み出された。」

 「全てが消え去る前に、元凶を消し去る。それがお前達の本来生まれ持った役目なのだ。」

 「肥大化に肥大化を重ね、遂には癌化した最も新しき旧き神。」

 「それを切除するのは、人の如く自己を研鑽し、人を愛し、人と共にあらんとする我が化身。」

 「「さぁ、全てが終わる前に、君達の全てを終わらせてくれ。」」

 

 その闘争が何時終わったのかは誰も知らない。

 何せ時間という概念すら破壊した果て、空間すら濡れた紙の様に引き裂かれた後の事。

 両者の戦いが終わり、彼らがどうなったのかは誰にも分からなかった。

 しかし、親としての繋がり故に、無貌の神だけは己が子供らが何処へ墜ちていったのかは知っていた。

 

 

 ……………

 

 

 東京某所 どこかのマンション 

 

 「あぁ~~だる~~。」

 「あ”あ”あ”あ”あ”~~。」

 

 無地で白のタンクトップとパンツだけとそっくりな銀髪碧眼の双子の少女が、窓全開にした状態で片や日陰でアイスをかじり、片や扇風機の前で意味のない声を垂れ流す。

 こいつら、完全に弛みきっていた。

 

 「あんな濃過ぎる決戦したんだから、百年単位でぐーたらしても良いと思うんだ。」

 「誰に言ってんだ誰に。」

 

 そんなメタい会話を挟みながら、二人とも動かない。動きたくない。

 家事に関しては気が向いた時だけで、後は召喚したショゴス(給料は1日10kgの最高級鶏肉)にやってもらう。

 もう一度言おう、こいつらだらけ過ぎである。

 なお、時折どっかの益田照夫とその奥さんや親戚同然の暴君が遊びに来たりする。

 

 「んあ?」

 「む。」

 

 不意に、二人の視線が彼方へと向けられる。

 その先にあるのは日本の首都東京、その中心に近い銀座。

 未だ姿こそ現していないが、その只中に一瞬だけ「この世界の理から外れた門」が現れた事を知覚していた。

 その姿こそ変わりないが、一瞬にして纏う雰囲気が「狩人」の其れへと変質した。

 

 「何だこりゃ?」

 「転移門だな。しかし、随分雑な…」

 

 とは言え、見過ごす道理はない。

 二人は久方ぶりの己に課した使命を果たすべく、行動を開始した。

 

 「行くぞ、アーリ。」

 「あいよ、リーア。」

 

 こうして、何処とも知れない世界で、未だ誰とも知られていない者達との闘いが始まった。

 

 

 ……………

 

 

 ファルマート大陸 帝国領 アルヌスの丘

 

 

 『おお、今度は若い娘か。』

 『肌の艶も胸や尻の大きさも良い。高く売れるだろな。』

 

 其処には既に一万近い古代ローマに酷似した帝国軍歩兵が展開していた。

 目的は一つ、アルヌスの丘に現れた『門』を通じて、異世界へと侵攻する事。

 現在彼らが行っているのはそのための下準備であり、下種なお楽しみだった。

 

 『暴れるなら子供や老人を殺して見せしめにしろ。上玉には傷をつけるなよ。』

 『はっ!』

 

 彼らは既に何十人も銀座にいた一般市民を拉致し、侵攻を目的とした情報収集のために拷問を加えたり、労働・愛玩向け奴隷として帝都へ送っていた。

 拷問を受けた者は大抵が死に、生きていても商品価値が無いからと殺され、商品価値が低いと見做された女性は兵士達に下げ渡され、犯された上で殺された。

 男性の場合はもっと悲惨で、生きた的や篝火にされて死んでいった。

 そして、こんな騒ぎが許可される程度には、情報収集もそろそろ十分だと判断されていた。

 

 『門』が開いた当初こそ、侵略の可能性に怯えてこれら一万近い先遣隊を派遣した。

 しかし、『門』の向こうからは誰かが攻め寄せてくる気配もなく、覗いてみれば帝国とはまた違う極めて豊かな都市が存在していた。

 そこで帝国は近年無くなっていた有望な侵略先を、この『門』の向こうの世界へと求めたのだ。

 そこからは話が早かった。

 帝国の魔導技術の粋を集めて『門』を解析し、その固定化に成功すると、積極的に『門』の向こうから市民を拉致し始めた。

 その人数、既に20人を超えており、そのせいか標的となる人間も少なくなってしまった。

 更に全く言語・文化体系が異なり、情報収集も進まない。

 となると、周辺国の多くを併呑・属国化してきた侵略国家たる帝国がどの様な行動に出るのか考えるまでもない。

 

 即ち、侵攻である。

 

 彼らの視点で言えば、攫った異世界人は全て軟弱かつ臆病で、ちょっと小突いた程度で泣き喚き、死んでしまう弱小の異民族だった。

 これなら我ら帝国の武力を持ってすれば異世界を征服するのも赤子の手を捻るが如き!

 この時点で、彼らは本気でそう思っていたのだ。

 

 

 「成程成程。事態は把握した。」

 「どーするよ?」

 「無論、いつも通りだ。」

 「ってーとつまりは…」

 「「見敵必殺。」」

 

 

 『門』の向こう側から、二人の幼気な少女の姿をした亜神が来るまでは。

 

 

 ……………

 

 

 (アーリは制圧射撃。私は救助活動を。)

 (あいよー。)

 

 アーリは『門』の前から動かずに3銃身のガトリング砲を展開、周囲の帝国兵へと向けて派手に弾丸をばらまく。

 外見こそM134ミニガンに似たラインだが、その実態は魔術によって編まれた対霊重機関銃であり、人間どころか現代の主力戦車の正面装甲を楽々抜いてくる程の威力があり、その弾薬も術者の魔力が続く限り=実質無限である。

 そんな化け物兵器を向けられて、魔術的な加護など殆どかかっていない帝国兵の防具で防げる理由もない。

 これがこの世界の亜神なら、神鉄を用いたドワーフ製の武器である程度は耐えるだろうが、秒間500発以上のキワモノを防ぎ切れる道理はない。

 だが、相手がそんなミジンコ並の圧倒的格下であっても、二人の中に容赦の文字は微塵も浮かばない。

 

 何故なら、彼らは既に一線を踏み越えていたからだ。

 

 無辜の民草に危害を加えない。

 その一線が守られる限り、彼女らは国家・組織間の争いに関与しない。

 何故なら、それがポリシーであり矜持だからだ。

 現世に干渉するを良しとする邪神でありながら、人間の側となって戦い続ける魔を断つ狩人としての。

 戦友にして弟子にして信仰対象にして愛する者を討った者として、彼女らは最後まで人の側に立ち、外敵から守り続ける。

 そんな彼らからすれば今回の件は限りなくグレーだが、一線を超えてきたとなれば話は別だ。

 

 (取り敢えず、拉致された人の救出。)

 

 その後、こいつらを滅ぼすか適当に痛めつけるかすれば良い。

 手に召還したバルザイの偃月刀で帝国兵を武器ごと両断し続けながら、リーアはそんな事を考えるのだった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、一万近い帝国軍はたった二人の少女を相手に敗走した。

 その場にいた拉致したばかりの異世界人も全て奪い返され、その矜持を大きく傷つけられた。

 それでも、彼らは未だ侵攻を諦めてはいなかった。

 何せ『門』の向こうの土地の豊かさはそれだけ彼らの欲に眩んだ目には眩く映り、珍しい奴隷を売った金は彼らの懐を潤し、下げ渡された奴隷を甚振るのは快感だったから。

 双子の少女の亜神は確かに脅威であり、恐怖だった。

 しかし、彼女らは二人だけで、尚且つ所詮は亜神なのだ。

 冥府の神ハーディ直々の侵略の許可、それを受けた皇帝からの号令があった故に、彼らは止まる事を知らなかった。

 その浅ましい欲望を、ニタニタと嗤う者がいると知らずに。

 

 

 

 

 「さぁ番外編の始まり始まり。皆様どうかこの道化の喜劇をご覧くださいませ♪」

 

 

 

 

 

 




久々で戦闘描写が(汗
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