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へカートⅡが率いる小隊による対侵入者強襲戦を終え、仮の拠点に帰還した私は廃棄され、修復をした指揮所に向かう。
『久しぶりねヘリアン。まだお相手は見つかってないのかしら?』
『よし貴様そこを動くな今すぐ貴様の.50BMGを貴様自身にブチ込みに行ってやる』
『いきなりだけど、一人部隊に入れたい子が居るから書類作って欲しいわ。詳しい情報を送ればなんとかできるでしょ?』
『っ、お前が言うなら相当優秀なのか。わかった、すぐに用意する』
指揮所に入ったへカートⅡはグリフィンの上級代行官であるヘリアントスに連絡を取っていた。とはいえ、元からヘリアンにこちらの要求を飲ませる気しかなかったへカートⅡは挑発早々、要求を述べる。ヘリアンも、こちらの意図を察したのか即座に了承する。
『あ、ついでに16LABへのお土産もあるわ。鉄血の神の盾数体と毒持つ獣を鹵獲したのよ』
『そうか。それはペルシカが喜びそうだ』
へカートⅡからの報告に、少しばかりヘリアンの声も弾む。故に少しばかり釘をさす事にする。
『報酬に色がつく事を願うわね。で、回収はいつもの部隊?』
『ああ、そこは抜かりないさ。回収はいつもの部隊だ。それと引き渡した後はS9地区に向かって欲しい』
へカートⅡからの言葉に、ヘリアンは承知したとばかりに了承する。そんな彼女から新たな依頼が入る。
『S9地区?あそこは人が減ったから"今は"そこまで重要な地点じゃないわよね?』
『もうじき新人がそこに配属になるんだ。で、お前達にある程度の間引きを頼みたい。あと、新人配属前に16LABが何やらS9地区で部隊を動かすみたいでな、嫌な予感もあるし、いざという時のバックアップを頼みたい』
新たな依頼に眉をひそめるも、内容自体は納得できるものだった為、他のメンバーにハンドサインで指示を出しておく。
『分かったわ。しっかし、例の事件からもう少しで一年になるのかあ』
『あの事件に関してはあまり話題にするな。とにかく、頼んだぞ』
ハンドサインで了承を確認し、ヘリアンに理解を示すと、ふと目に入ったカレンダーを見て少し感慨深く呟く。ヘリアンの硬い声を最後に通信が切れるが、へカートⅡはあまり実感がないその事件に小さく息を吐く。
「また仕事が入ったわ。いつもの部隊に神の盾と毒持つ獣を引き渡したらS9地区に向かうよ」
「目的は鉄血人形の殲滅か?リーダー」
「違うわ。目的は二つ。一つは16LABが何か目的があって部隊を動かすみたいだから、その補佐。二つ目はグリフィンに有望な新人が入るみたいだから、その配属先になるS9地区の間引きよ」
気持ちを切り替えて依頼内容を告げると、C8-SFWが目的を聞いてくる。その疑問に答えると、C8-SFWは口笛を吹く。
「成る程納得だ。なら、しっかりと仕事しなくちゃなあ」
「ついでにS9地区に向かう間に爆弾魔の訓練もしておきましょうか。あ、訓練は私が担当するから安心して。それさえ終わればデータはなんとかなるし」
ヘリアンの能力を知るからこそ、仕事内容に込められた意味を理解し、掌に拳を打ち付けて気合いを入れるC8-SFW。忘れないうちにやる予定だったものを少し変更してへカートⅡが宣言するとマテバとMPX-SD の二人がキョトンとしていた爆弾魔の肩を、気の毒そうに叩いているのだった。
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ヘリアントスとの通信を終えて3日後、UMP45率いる秘匿小隊"404 Not Found"が現れる。とはいえ、先頭を歩くUMP45はMPX-SD を睨んでおり、妹たるUMP9が手を抑えていなければ今すぐにでも襲い掛かりそうではあったが。
「久しぶりねUMP45。私達はスケジュールが詰まってるから、遊んでる余裕は(残念ながら)ないのよ」
「だから喧嘩売るって?今すぐにでも弾丸叩き込むわよ?」
「45姉、落ち着いてってば」
からかい交じりに声をかければ即座にUMP45は反応を示し、手に持つUMP45を向けようとした所を妹のUMP9が抑えていた。
「とりあえず神の盾と毒持つ獣のコントロールコードを送りたいんだけど誰が受け取る?」
「ちっ・・・・。私が受け取るわ。一応、電子戦は私が404小隊では一番秀でてるし」
鹵獲した神の盾と毒持つ獣のコントロールコードを移すべく、通信用の機能を立ち上げながら問えば、物凄く嫌そうな表情でUMP45が受け取るために近寄ってくる。
『416の機嫌が悪くなるから内緒なんだけど、S9地区に向かう16LABが送り込む部隊は例の部隊よ。言うまでもないけど気をつけなさいね』
『例の部隊が?それはキナ臭いねえ・・・・。ま、了解よ。ありがと45』
コントロールコードの送信を開始すると、目の前のUMP45から個人間秘匿通信で情報がもたらされる。この普段から喧嘩しているようなやりとりも、実際にはへカートⅡとUMP45が密かに取り決めた個人間秘匿通信の合図(の一つ)だったりする。
『あと、ヘリアンが新入りの偽装データを送られてから直ぐに作ったから安心して。私も少し手を入れておいたから、他の連中にバレる心配はない』
『助かるよ45、何かあれば連絡してちょうだい。必ず助けるから』
お互いに情報の交換を終え、少しばかり会話を続ける。恐らく他のメンバーから見たUMP45は嫌々ながら情報を受け取っているようにしか見えないのだろう。
『ついでにこの辺りの鉄血人形の動きもまとめておいた。上手く活用してちょうだい』
『ありがと。レイが何を警戒しているかはわからないけどさ、私はレイを信じてるからね』
『ありがと、45。またね』
情報交換を終え、お互いに穏やかな笑みを浮かべると個人間秘匿通信を解除し、お互いに偽りの仮面を被る。
「今回の事は礼を言うけどさ、なんでこんなに重いのよ」
「あら、ごめんなさいね?少なくともUMP45には分からない理由だわ」
「っ離してナイン!コイツ殺せない!
「落ち着いてってば45姉!今は神の盾と毒持つ獣を16LABのところに運ばなきゃ」
お互いに偽りの仮面を被っている事をお互いに確認しあうやりとりを開始する。事情を知らないUMP9が慌ててUMP45を羽交い締めにする。そんな404小隊に手を振ると、409小隊に合図を出してS9地区に向かうため、移動手段として廃棄されていたモノを修理したM1097型のハンヴィーに乗り込むのであった