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AR小隊救出作戦報告書
16LABからの特務任務を遂行していたAR小隊を狙い、鉄血の上級人形の一人である代理人が大部隊(以降強襲部隊と記す)を自ら率いてAR小隊を強襲。
そんなAR小隊を援護する為、念の為に派遣していたグリフィンの独立遊撃小隊(以降小隊と記す)が支援の為に強襲部隊を逆に強襲する形で参戦。
強襲部隊を指揮する代理人に奇襲で深手を負わせるも、複数体上級人形の案山子が迫っていた事から小隊はあえて指揮官クラスである代理人を放置し、その指揮通信網を逆利用する事を決定。
代理人の指揮通信網を逆利用した小隊の作戦による強襲部隊の大混乱を突き、AR小隊は現地のグリフィン部隊と共に近場のS9地区に離脱を開始。その後、鉄血の少数部隊の追撃に逢い、部隊長の"M4A1"を確実に逃がす為にAR小隊の隊員である"M16A1" "ST AR-15" "M4 SOPMODⅡ"の三名は単独で囮として離脱。
一方で小隊も部隊長の"PGM へカートⅡ"と副隊長"C8-SFW"、新人の"R4-C"による爆発物や建物を利用した作戦と、部隊員"MPX-SD "の徹底した撹乱行動、電子戦支援を担当していた"マテバ モデロ6 ウニカ"の奮戦により強襲部隊の過半数を負傷させ、隙を突いて現地を離脱。その後は規定通りにS9地区の鉄血部隊間引き任務に従事する。
本作戦を鑑みるに、鉄血工廠側がAR小隊を非常に強く意識していることは明らかであり、この事から16LABとの協議の結果、AR小隊部隊長"M4A1"ならびにAR小隊をS9地区配属となった有力新人指揮官"グレイ・ヘカーティア"の元に配備し、鉄血工廠への対策とする。
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「ふう・・・・・。こんなものか・・・・」
グリフィン&クルーガーの保有する建物の一室でパソコンと向き合って作戦報告書を作成していた女性"ヘリアントス"がコーヒーを飲みながら息を吐き出す。その表情は普段の彼女を知る人物が見れば二度見をしてしまうほど疲れ果てていた。
「ある程度誤魔化しつつ、納得できる報告書、となればこれが理想か・・・。全くへカートⅡも無茶振りをしてくれる。ま、それだけの内容だった訳だし、仕方ないな」
眠気を冷めたブラックコーヒーで誤魔化しつつ、ヘリアンは409小隊から送られた本来の交戦記録に目を通す。
「案山子が6体に毒持つ獣が10機程。ほかにも強打者や竜騎兵が複数隊。明らかにS9地区周辺の鉄血部隊を掻き集めた大部隊だった訳か・・・・。409小隊でなければまず食い破られていたな・・・・。しかし、この代理人を助けたという謎の狙撃手・・・・PGM へカートⅡが持っていたデータのどれにも当てはまらない性能だ。409小隊が撃破した侵入者と呼ばれる、我々のデータにない新型の上級人形といい、鉄血工廠にはまだまだ秘密がありそうだな・・・・」
ため息をつきながらも409小隊の隊長から齎された交戦記録をヘリアントスは自身の個人所有の完全に独立したデータバンクに保存する。
「S9地区に配属となったヘカーティアには悪いが、まあ優秀なアイツの事だ。上手くやってくれる筈だろう。最悪、404にも依頼を出す羽目になりそうだな・・・・。散り散りになったAR小隊の行方も早いところ見つけなくては・・・・」
深い深いため息と共に提出用に纏めたデータをグリフィン本部に送信するヘリアン。彼女のパソコン横に乱雑に置かれた409小隊からの報告書らしき一枚には一言"傘"の文字が書かれているのであった。