IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
終わりから転生へ
全ての命には終わりがある。例えそれが人ならざる者であっても……。
「やれやれ、俺もついに迎えが来るか…」
とある国である男の命が終わろうとしていた。
彼の名はダンテ。
便利屋「Devil May Cry」を経営していた彼には裏の顔があった。
デビルハンター(悪魔殺し)
彼はその狂人的、驚異的な強さで数多くの悪魔絡みの事件、魔界の侵略から人々や世界を度々救ってきた知られざる英雄であった(本人はそのつもりは一切なかったが)
そんな彼には限られた者しか知らない秘密があった。
「人と悪魔のハーフ」
母は人の美しい女性エヴァ、父は悪魔でありながらエヴァと共に生きる事を望んだ魔剣士スパーダ。そのふたりから生まれたダンテは人としての優しさと心、そして悪魔の強さを併せ持つ極めて異質とも言える存在だったのだ。
しかしそんな彼には常に周りに誰かがいた。
嘗て自らの所にスパイとして送りこまれたが、やがて相棒とも言える存在になった悪魔の女性。
借金がらみで悪態をつきながらも付かず離れずの関係を最後まで続けた女性のデビルハンター。
うるさく小言を言っても最後まで良き仕事仲間として付き合い続けた男性。
強気で生意気ながらもデビルハンターの先輩として、自分の弟分として可愛がった甥。
彼らはダンテに振り回されながらも、それぞれ人生が終わるまでずっと良き仲間としてあり続けた。
…そんな彼にはもうひとり家族とも言える存在がいた。
名はバージル。ダンテの双子の兄であり、幼い頃に両親を失ったダンテからすればたったひとりの肉親だったがその関係は複雑、いや最悪に近かったかもしれない。
彼は人として生きると決意したダンテと違ってひたすらに「力」を求め、幾度か事件を起こした事もある。
父の遺産を手に入れるために魔界を人間界と繋げる(結果利用された)。
魔界の王の手先として襲いかかる(彼の意志ではないが)。
自分を取り戻すために息子に宿った力を奪い取る(後に和解した)。
その度にダンテはバージルと数多くの死闘を繰り広げた訳だが、後半は共通の目的で魔界を閉じるために共に魔界へと降り、数年後共に戻って来てからは腐れ縁のような関係となり、良好?とも言える関係が続いていた。
そしてバージルも一年前にこの世を去り、今はダンテ唯ひとりとなってしまった。そして彼ももうまもなく終わろうとしている。半人半魔の彼も普通より長寿とはいえ不死ではない。
「今思えば俺は一体どれだけ戦ってきたんだろうなぁ。死んだ後の事なんてわからないが……、もし俺の様な者でも生まれ変われるのなら……、次は戦いなんてない世界で……いや、そんな世界なんて…俺には…似合わ…ねぇ……なぁ……バージ……」
今、ダンテの命が終わった……。
「ねぇ、新しい世界で生きてみない?」