IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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IS学園の学園祭二日目。
この日は午後より生徒会考案の特別イベント開催される予定。何をやるか分からないまま、火影達はそれぞれ準備に入る。

着替えが終わってアリーナで待機していると突然物語が始まると同時に男子組は女子達から襲撃を受ける。その企画とは一夏の王冠か火影・海之の持つ勲章を奪った女子は何でも願いを聞いてもらえるという会長の楯無の遊びで生まれたものだった。なんとかその場を脱する火影・海之・一夏の三人。しかし女子達は全く諦めておらず、追跡を開始する。


Mission88 シンデレラの猛攻

IS学園のとある一角。アリーナからなんとか脱出した男子組は目立たない場所に潜んでいた。

 

一夏

「はぁ、はぁ、はぁ……ほんっと酷い目にあった…」

火影

「…やれやれだぜ…」

海之

「…ハァ」

 

珍しく火影や海之も疲れている様だった。

 

火影

「やっぱ悪い予感が当たったか…」

一夏

「まぁでもふたりのおかげで瞬殺は免れたな。…しかし海之、あんなもん何時から持ってたんだ?」

海之

「常に携帯している。ひとつだけだがな」

火影

「ああそういや一夏、護身のために俺の剣はそのまま持ってろ。俺にはこれがある」

 

そう言うと火影は先程ラウラが投げた2本のナイフ(模造品)を持ってきていた。

 

一夏

「すまねぇ助かるよ。丸腰じゃ心許ないからな」

火影

「…さて、どうするか。ここも見つかるのは時間の問題だし…別々に分かれるか?」

海之

「それが良いだろうな。固まっていれば不利なだけだ」

一夏

「やっぱそうだよなぁ…」

火影

「一番厄介なのはやっぱラウラだろうな。一応軍人だから身体能力も優れているし…」

 

とその時、

 

女子

「いたー!ここよー!!」

 

ひとりの女子が上から見下ろしていた。その声に反応して多くの女子の近づいてくる声が聞こえる。

 

一夏

「やべ!見つかった!」

 

すると火影は後ろの窓から外を覗きこみ、

 

火影

「…二人は先に逃げろ。俺はみんなを引き付ける」

一夏

「引き付けるってどうやって!?」

火影

「心配すんなって。だから行け」

海之

「行くぞ一夏」

一夏

「すまねぇ火影!無事でな!」

 

そう言って海之と一夏は行ってしまった。そして反対方向から大量の女子が来る。

 

女子達

「「「火影(藤原)(エヴァンス)くーん!!」」」

火影

「おいおい…。あいつらには悪いが…あの必死の形相…アレ見たら悪魔達も逃げ出しそうだな。…ってそんな事言ってる場合じゃねぇな。ギリギリまで引き付けて…」

 

そして火影と女子達の距離が残り2、3メートルとなったところで、

 

火影

「悪いな。よっ!」

女子達

「「「「……!!」」」

 

火影は後ろの窓から遥か下まで飛び降りた。…と思いきや、

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!

 

火影は壁から僅かに出っ張った部分を使い、そこを蹴って飛び移りながら少しずつ下に移動して行ったのだった。

 

「な、なにアレ!?」

「壁を蹴ってる…」

「嘘でしょ…」

「カッコいい…」

 

女子達はみんなその光景に茫然とするしかなかった…。

 

火影

「…よっと!…やれやれ、昔の通りできるかちょっと心配だったがなんとかなるもんだな。って感心してる場合じゃねぇな。ここも何時までもつか分から……?…あれは…」

 

 

…………

 

その頃、火影と別れた海之・一夏も更に途中で別れていた。そして一夏は、

 

一夏

「はぁ、はぁ…火影も海之も上手く逃げれたかな?あいつらなら多分大丈夫だろうけど…」

 

とその時、

 

シャル

「一夏!こっち!」

一夏

「シャル!」

 

影からシャルロットが一夏を呼んだ。そこは周りからは見えにくくなっている場所だった。

 

一夏

「はぁ、助かったぜシャル」

シャル

「ううん。なんか大変だね。…火影と海之は?」

一夏

「火影は俺達を助けるために囮になってくれたんだ。海之は一緒に逃げてたけどさっき別れた。捕まったっていう情報が無いから多分まだ二人共大丈夫だと思うけど」

シャル

「そうなんだ。……ねぇ、一夏。ひとつお願いがあるんだけど…」

一夏

「なんだ?」

シャル

「あの…一夏の王冠、…僕に譲ってくれない…?」

一夏

「えっ?コレ?…ああいいぜ。シャルなら変なお願いもしねぇだろうしな」

シャル

「ほ、ほんと!?」

(一夏の王冠か火影・海之の勲章のどれかを取ればお願いを聞いてもらえるってあった。でも火影や海之が相手じゃはっきり言って分が悪いし、ここは一夏に譲ってもらうのが一番いいもんね!)

「じゃ、じゃあ王冠ちょうだい!」

一夏

「ああほら」

 

一夏は手に王冠を取った。

 

シャル

「……」

(これでまた火影との相部屋に!)

 

そして王冠がシャルロットの手に渡りそうになったその時、

 

バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!

 

一夏

「あばばばばばばばばばばばばばっ!」

シャル

「い、一夏!?」

 

突然一夏の身体に強烈な電流が走った。やがて電流は止み、一夏の身体から煙がくすぶる。

 

一夏

「…な、なんだコレ…?」

シャル

「だ、大丈夫一夏?」

 

とその時、校内放送でまたナレーションが鳴り響く。

 

楯無

「シンデレラから逃げ続ける偽王子達。しかしどんなに追い詰められても王子達には自首や勝手に王冠を渡すことは許されない。何故なら…その王冠や勲章には防衛プログラムが組み込まれているからだ。これは偽王子達の雇い主が彼らが裏切ったりしない様密かに付けたもので、自首やそれに近い行動をとると自然に電流が走るというものである。任務遂行は絶対!それが雇い主の命令であり、同時に偽王子達が自分にかしている使命であった…」

 

一夏・シャル

「「……」」

 

二人はそのナレーションを聞いて暫く黙っていたが、

 

一夏

「なんじゃそりゃー!じょ、冗談じゃねぇ!という訳でこいつはやれなくなった!悪いなシャル!」

シャル

「えっ!ちょ、一夏!」

 

そういうと一夏は猛スピードで走って行った…。

 

シャル

「…ああんもう!もう少しだったのに~!楯無さんのバカー!」

 

 

…………

 

一夏

「はぁ、はぁ…つ、疲れた。…ったくとんでもない企画考えてくれたもんだぜ楯無さん」

 

しょっぱなのアリーナ包囲網からの脱出、そして2回目、更にシャルロットから逃げた一夏の疲れはピークを迎えていた。

 

一夏

「こうなったら終わる迄どっかに隠れてるしか…、? つーかこの企画っていつ終わるんだ?タイムリミットとかあんのかな…」

 

ガタッ

 

一夏

「! こんどは誰だ!?」

「…一夏」

 

そこにいたのは箒だった。

 

一夏

「な、なんだ箒か…。もしかしてお前もこれを?」

「……ああ」

一夏

「…やっぱな。はぁ、悪いけど幾らお前でもやれねぇぞ?やったらこっちが大変なんだ」

「いや、譲ってもらおうなんて思っていない」

一夏

「…?」

「…一夏、今ここで私と戦え。正々堂々の勝負だ。そしてもし私が勝てば…その王冠を貰い受ける」

一夏

「……」

 

欲望丸出しの他の女子と違い、箒から邪な気持ちが感じられなかった一夏は、

 

一夏

「…手加減はできねぇぞ?」

「無論だ。本気で来い!」

 

そういうと箒は自らの木刀を、一夏は模造剣を構える。お互いの心は、

 

(…すまんなみんな。…特にセシリア。だが…私にも譲れないものがあるんだ!)

一夏

(箒と生身で戦うのは久々だな…。正直疲れはあるが…やってみるさ!)

 

一夏・箒

「「たぁぁぁぁ!!」」

 

キイィィィィィィンッ!

 

 

…………

 

その頃、一夏と別れた海之はあの後他の女子達の追走にあったりしていたが、いずれもかわしきって無事であった。

 

海之

「やれやれ全く…。それにしても自首も不可とは…楯無さん随分酷な事を言ってくれる。火影はともかくとして…一夏の奴自分で渡そうとしていないだろうな…」

 

数刻前に一夏はそれをしようとして見事に電流を食らうはめになっていた事を海之は知らなかった。

 

海之

「…まあいい。一先ずどこかに身を隠して」

 

とその時、

 

シュバババババ!

 

海之

「!」

 

キィィィィンッ!

 

海之は剣で飛んできた何かを弾く。それはラウラのナイフだった。そして、

 

「はぁぁぁぁ!」

海之

「!」

 

ブンッ!

 

後ろから鈴が振りかぶってきたが海之はそれを避ける。しかし、

 

セシリア

「そこですわ!」

 

ドンッ!

 

海之

「くっ!」

 

海之の逃げた先にセシリアがライフルで狙っていた。流石にかわしきれないかと思う海之。しかし、

 

ビュンッ!

キイィィィィンッ!

 

セシリア

「!」

火影

「ふぅ~」

 

突然火影が飛び出してきて海之に当たりそうだった弾をナイフで弾き飛ばした。

 

海之

「…余計な事を」

火影

「素直じゃねぇな。結構危なかったぜ」

海之

「大したことはない。それより何していた今まで」

火影

「…ちょっと野暮仕事をな。だが見失った」

海之

「…?」

ラウラ

「海之、火影。頼む、お前達の勲章を渡してほしい」

「私達どうしても叶えたいお願いがあるの」

火影

「電流の罠さえなけりゃそれも考えたんだけどな。正直早く終わりにしたいっていう気持ちが強えぇし」

海之

「同感だが今それを言っても仕方ないだろう。欲しければ俺達を倒すしかない」

ラウラ

「やはりそうなるか…。いいだろう、全力で行くぞ!」

「負けてなんかやらないんだから!」

セシリア

「…参りますわ!」

 

その場にいる各々が武器を構える。……とその時、

 

~~~~~~~~~~

 

突然火影と海之の通信機が鳴る。特別実行委員になってから何時でも連絡が取れるようにふたりに渡されたものだ。

 

海之

「はい」

千冬

「海之、火影、聞こえるか?」

火影

「織斑先生?」

 

火影の声から千冬の名前が出た事でラウラ達も武器を降ろす。

 

千冬

「すまないが少々…、いやかなり厄介な事態だ。詳しい事はこっちに来てから知らせる。とにかく指令室に来てくれ」

火影

「厄介な事態?」

千冬

「ああ。他の専用機持ちにも追って知らせる」

海之

「…わかりました。因みにここにセシリアと鈴とラウラがいますので俺から伝えます」

千冬

「そうか。では頼んだぞ」

海之

「了解」ピッ

セシリア

「おふたり共。織斑先生はなんと?」

火影

「詳しくはわからねぇ。…だがそれほど簡単な話じゃないらしいな。急いだ方がよさそうだ」

「…でしょうね。さっき厄介って聞こえたわ」

海之

「とにかく合流しよう。他のみんなは…」

 

とその時、

 

「火影!海之!みんな!」

 

箒が向こうから走って来た。

 

セシリア

「箒さん!」

火影

「箒、丁度いい所に来た。…一夏を見なかったか?」

「それが…今迄私と戦っていたのだが…いつの間にかいなくなってしまった」

「いなくなった?」

「ああ。私と一夏が戦っていると突然強い光が見えてな、眩しくて目を閉じてしまったのだ。目を開けた時には」

ラウラ

「もういなくなっていた…というわけか」

 

とその時火影が、

 

火影

「…箒、一夏を最後に見たのはあっちか?」

「あ、ああ」

火影

「…わかった、俺が行く。海之、みんなを連れて先に先生の所へ行ってくれ」

「私も行くぞ!」

セシリア

「私も!」

火影

「いや、俺ひとりで良い。ふたりは海之と一緒に指令室に行け。人手がいるだろうしな」

「指令室?」

セシリア

「…わかりましたわ。火影さん、一夏さんをお願いします」

火影

「ああ任せとけ」

ラウラ

「シャルと簪には私が連絡しておく」

海之

「よし、行くぞ」

 

こうして火影は一夏の捜索に、海之達は指令室に走るのであった…。




一夏に何があったのか?そして千冬が伝えた事態とは?

※次回まで少し時間頂きます。
また、今回でちょうど100話に到達致しました!ありがとうございます。

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