IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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千冬からの指示で指令室に来た海之達は千冬や真耶からまた例の黒いIS達が現れた事、更に何故か学園に向かって来ていると聞いて驚く。迎撃に出ようとする海之だったが、いつまでも海之や火影ばかりに頼ってはいけない、自分達も守るために戦いたいと箒や簪達に止められる。彼女らの意思を受け取った海之はこの場を彼女らに任せ、自身は独自で動く事に。

…一方一夏は学園の倉庫で先日出会った巻紙礼子と遭遇。ただしそれは仮の姿で本来の目的は一夏の白式を奪おうとして近づいてきた「亡国機業」に属するオータムというIS操縦者だった。一夏は一人奮戦するが敗れ、更に白式も奪われてしまう。死を覚悟した一夏を救ったのは彼を探して一人行動していた火影だった。


Mission90 双子の蜘蛛退治

亡国機業のオータムの攻撃と策略によって絶対絶命の窮地に陥った一夏を救った火影。オータムは一夏もろとも火影も倒そうとするが攻撃は全て弾かれる。そして、

 

火影

「まだやるか?お・じょ・う・ちゃ・ん?」

オータム

「…こぉんの、ガキィー!」

 

火影の挑発にオータムは激高して向かって行く。

 

一夏

「き、気をつけろ火影!そいつ強いぞ!」

火影

「心配すんな一夏。それに…こいつにはちょっと聞きたい事があるんでね。そのISもろともサイズ直ししてやるよ」カッ!

 

火影はアリギエルを纏い、リべリオンを構える。

 

ガキィィィン!

 

オータム

「それがてめぇのISか!えらく細身で非力そうじゃねぇか!」

火影

「見た目重視っつんならなんでてめぇのそれはそんな悪趣味で最悪なんだ?」

オータム

「! 言いやがったな!」

 

ガキンッ!キンッ!ガキィィン!

 

オータムは手に持つブレードで攻撃を続けて繰り出すが火影はそれを難なく全て受け止める。

 

オータム

「くっそ!」

火影

「さっきファントム・タスクって名乗ったな?どういう集まりだ?てめぇみたいな悪趣味な奴らのサークルか?」

 

火影は余裕で質問する。対してオータムは益々激高する。

 

オータム

「てめぇ…いつまでそんな減らず口が叩けるかな!?」

 

ガキィィンッ!

 

オータムの全力の一振り。しかしそれをも火影は受け止める。

 

火影

「へっ、決まってんだろ?」

 

ボォォォォォッ!ドゴォォォン!!

 

オータム

「ぐああああああ!」

 

突然の強烈の一撃にオータムは激しく吹っ飛んで壁に激突する。右手のリべリオンで受け止めた瞬間に左手にイフリートを展開、強烈な一撃を食らわせたのだ。

 

火影

「そりゃ、死ぬまでさ」

 

余裕の表情でそう返答する火影。

 

一夏

「す、すげぇ…。火影の奴、前に戦った時より更に、…いや比べもんにならねぇ…」

オータム

「ち、ちっくしょおぉぉ…」

火影

「やれやれ、まだやんのかお嬢ちゃん?」

オータム

「まだ言いやがるかてめぇ…。ならこれを受けやがれぇ!」

 

ドンッ!

ガキィィィンッ!

 

オータムは瞬時加速で向かって行き、火影と剣がぶつかる。その瞬間、

 

オータム

「かかったなガキが!」

 

バッ!ガチャリッ!

 

火影

「…!」

 

見るとアリギエルの胸部に先程一夏の白式を奪ったものと同じリムーバーが装着されていた。

 

一夏

「! やべぇ!火影!」

オータム

「はっはっはぁ!てめぇのそのISも白式と一緒に頂くぜぇ!………!?」

 

その時オータムは不思議に思った。確かにリムーバーが付いているのに…先程の一夏の時と違って電流が発されるどころか何も起こらなかったのだ。

 

ズガァァンッ!

 

オータム

「ぐあぁぁぁ!」

 

火影はリムーバーの異常に気を取られていたオータムの一瞬の隙を突いて斬りつけた。

 

火影

「おい、てめぇの切り札ってのは…このおねんねする虫みたいなメカか?」

一夏

「! 大丈夫なのか火影!?」

オータム

「ば、馬鹿な…!リムーバーはどんなISも強制的に解除して奪うものなんだぞ!」

火影

「ほ~そんな物なのかこれは。だが残念だな…てやぁ!」

 

ガシッ!…ザンッ!バリィィンッ!

 

火影は自らのアリギエルに付いているリムーバーを自分で剥がし、リべリオンで両断した。

 

火影

「生憎俺のISにゃ俺でも手こずる奴らがついてくれてるんでね。こんなんなんか相手になんねぇよ」

 

火影は以前出会った自らのISに宿る人物を思い出していた。

※詳しくはMission54をご覧ください。

 

火影

「それに考えがあったのはお互い様だったみてぇだな。これ、なんかわかるか?」

オータム

「?……!!」

 

オータムは驚愕した。火影の持っていたのは白式の待機状態のクリスタルだったのだ。どうやら先程の斬り結びの最中に奪ったらしい。

 

オータム

「い、何時の間に!」

火影

「だから言ってんだろ?我を忘れすぎだって。怒りは絶望を忘れさせると同時に自分も忘れやすくなるもんなのさ。一夏、こいつを!」

 

ビュンッ!パシッ!

 

投げられたクリスタルを一夏は受け取る。

 

一夏

「白式…悪かったな…。ありがとよ火影」

火影

「気にすんな」

オータム

「ちぃぃっ!ならばこれならどうだぁ!」

 

ボロボロになりながらもオータムは立ち上がり、手先を何やら動かし始める。すると、

 

ガシッ!

 

火影

「これは…」

 

みると火影の身体に蜘蛛の糸の様なものが絡みついていた。これは先程一夏を拘束したものと同じだった。

 

一夏

「しまった!火影!」

オータム

「はっはっは!なぶり殺しにしてやるぜぇ!」

 

オータムは勝利を確信して再び向かって行く。……しかし、

 

火影

「…ふっ」

 

…ドンッ!

 

すると火影も今迄に無い位の高速スピードでオータムに向かって突進した。

 

オータム

「なっ!?」ドゴォォッ!「がぁぁぁぁ!」

 

オータムは驚愕した。拘束された状態のまま火影が自らにタックルを繰り出してきたのだ。思いもよらない攻撃になす術もなくまともに食らうオータム。更に、

 

ドゴォォッ!

 

オータム

「がはぁっ!」

 

続けざまに火影はキックを繰り出した。火影のアリギエルと違いオータムのアラクネはシールドが張られているため、身体に直撃しているわけではないのだが、攻撃のレベルが強すぎてまともに受けている感覚になってしまっていた。やがて効果が切れたのか火影を拘束している糸も消えた。

 

火影

「武器だけが戦う手段と考えてんなら大間違いだぜ?武器が使えねぇならタックルでもヘッドバッドでも、できる攻撃をすりゃ良いのさ」

一夏

「そ、そんな簡単には…」

オータム

「ぐ、ぐぐ…」

 

オータムのダメージは大きい様だ。

 

火影

「さぁどうする?」

 

火影は更に尋ねる。…すると、

 

オータム

「…くっくっく」

 

オータムは不気味な笑みを浮かべた。

 

火影

「?」

一夏

「てめぇ…何を笑ってやがる!?」

オータム

「くっくっく、万一のために保険を掛けといてよかったよ」

火影

「…保険?」

オータム

「ああ。本当は俺の脱出をサポートするためのものだったんだが…こうなっちゃ仕方ねぇ」

一夏

「どういう事だ?」

オータム

「わかんねぇか~?こんな計画、俺単独でやってる訳ねぇだろ?」

 

~~~~~~~

 

すると突然火影の通信機が鳴った。

 

火影

「はい」

千冬

「火影か?良かった!やっと繋がった!…何があった?一夏はどうした?」

火影

「実は…」

 

火影は簡単に事情を千冬に説明した。

 

火影

「…というわけです」

千冬

「…まさか侵入者がいたとはな…。だが一夏もお前も無事で良かった…」

真耶

「本当に、本当に無事で良かったです!」

一夏

「すまねぇ千冬姉、山田先生…」

千冬

「それでその侵入者は?」

一夏

「火影が倒して今目の前でぶっ倒れてますよ」

千冬

「そうか、至急回収に向かわせよう。…まぁまだ全て解決したわけではないが」

火影

「まだ何かあるのですか?」

千冬

「ああ実は、先程例の黒いIS達が再び出現したのだ。ここを目的地にしてな」

一夏

「な、なんだって!?」

火影

「!」

千冬

「だがそっちは多分心配ない。更識や篠ノ之達が討伐にむかっている。数も少ないから多分大丈夫だとは思うが」

一夏

「箒達が?」

 

とその時オータムが、

 

オータム

「…くっくっく。見事に陽動にかかってくれたなぁ」

一夏

「!? 陽動ってどういう意味だ!」

 

とその時、通信機の向こうから真耶の声が聞こえた。

 

真耶

「! そ、そんな!? 先輩大変です!」

千冬

「どうした!まさかあいつらが!?」

真耶

「い、いえ!別の敵が突然アリーナに現れました!これは…例の蜘蛛のISです!」

千冬

「な!?」

一夏

「なんだって!?」

火影

「……これがてめぇの作戦か」

オータム

「くっく、そういうこった。外のあいつら、「アンジェロ」はここの専用機持ちをできるだけおびき寄せる囮役さ。そしてここの防御が手薄になっている間に「ファントム」をアリーナに呼び出し、その混乱の間に逃げる作戦だったんだが…こうなっては仕方ねぇからな」

火影

「!!……アンジェロ……ファントム…」

 

その名を聞いて火影は声にこそ出さなかったが珍しく驚いていた。

 

一夏

「なんだよそのアンなんとかって!?」

オータム

「くっく、そんな事言ってる暇あるのか?早く行かねぇとファントムがますます暴れ出すぜぇ~?」

一夏

「くっ!…確かにこうしちゃ」

 

すると火影が千冬に問う。

 

火影

「…先生、海之も箒達と一緒に?」

千冬

「えっ?いや、海之は学園に残っている。先ほど出て行ったが…」

火影

「……そうですか。なら問題ねぇな。心配すんな一夏、放っとけ」

一夏

「えっ?」

オータム

「なに!?」

火影

「残念だがな、ここにはこの世で唯一俺を殺せるかもしれねぇ位強えぇ奴がいるんだよ」

 

火影は笑ってそう言った。

 

 

…………

 

指令室

 

オータムが言ったファントムという例の機械蜘蛛の突然の襲撃。まだアリーナ内に留まっているが何れ外に出てくる可能性が高い。その前に対策を考える必要があった。

 

真耶

「先輩!直ぐに教職員を送りましょう!」

千冬

「ああわかっている!」

(…くっ、暮桜を凍結封印しているこんな時に!)

 

とその時、

 

真耶

「! こ、これは!」

千冬

「どうした!?」

真耶

「アリーナ内にもう一つの反応が!これは……ウェルギエルです!」

千冬

「!…海之!」

 

 

…………

 

IS学園 アリーナ

 

ファントム

「グアァァァァァァァl!!」

海之

「……」

 

学園に残っていた海之はそれと対峙していた。海之も先程通信が可能になった火影から情報を、そして目の前にいる敵がファントムという名前である事も聞いていた。

 

海之

「ファントム……まさかとは思ったが同じ名とはな。更に例の黒いISはアンジェロか…」グッ!

 

海之は拳を強く握り締めた。

 

~~~~~~~~~

 

その時千冬から連絡が入った。

 

千冬

「海之!お前何故そこにいる!?」

海之

「千冬先生。見回りをしていた結果、ここにたどり着いただけです」

真耶

「見回りって…海之くん予測していたんですか!?」

海之

「…確証はありませんでしたが。行方がわからなかった一夏、そして火影のあの時の「野暮用」と「見失った」という言葉。もしかしたら…学園以外の者が入りこんでいる可能性がある。同時にもしかしたらそれが一夏がいなくなった事と関係しているのではないかと。そして同時にあの…アンジェロ達の襲撃。これらが全て繋がっているとしたら…まだ何かあるかもしれないと思いまして」

真耶

「は、はぁ…」

千冬

「それより海之!すぐに下がれ!お前ひとりでは!」

海之

「いえ千冬先生。奴は俺が撃退します。先生方は学園の警備に回ってください」

真耶

「そんな!海之くんだけなんて無茶です!」

海之

「大丈夫です。信じてください」

千冬

「海之……」

海之

「ああそれから楯無さんやみんなにはこの事は知らせないでください。もう切ります」ピッ

 

そして海之は改めてファントムに相対する。

 

海之

「貴様に構っている暇はない。速攻で終わらせてもらうぞ」チンッ!

 

海之は閻魔刀を構える。

 

ファントム

「グアァァァァァ!!」

 

ズダダダダダダッ!

キキキキキキキキンッ!

 

ファントムは自ら機銃を撃ってくるが海之はそれを全て弾く。

 

海之

「…ふっ」

 

ドンッ!

ズガガガガガッ!

 

ファントム

「グアァァァァァッ!」

 

海之は跳躍し、顔面に斬撃の連打を食らわす。堪らず悲鳴を上げるファントム。

 

ファントム

「…オォォォォォッ!」

 

ドンッ!

 

するとそれに激高したか、咆哮を上げてファントムは高く跳び上がった。そして、

 

海之

「……」

 

ドスゥゥゥゥゥンンッ!

 

自らの巨体でウェルギエルを押し潰した。

 

ファントム

「……グアァァァァァッ!」

 

勝利したと思い、咆哮を上げるファントム。

……しかし、

 

グググッ

 

ファントム

「!?」

 

ファントムは不思議がった。自らの身体が何かに押し上げられている様な気がする。

 

海之

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ドゴオォォォォォォンッ!

 

ファントム

「!!」

 

それは押し潰されたように見えたウェルギエルだった。展開したベオウルフの強烈なアッパーによってファントムの身体は高く放りあげられた。

 

ドンッ!

 

瞬時加速でそれを追い越す海之。そして、

 

海之

「はぁぁぁぁ…はあっ!!」

 

ズガガガガンッ!

 

ウェルギエルの強烈な回し蹴り「月輪脚」がファントムの顔面に直撃した。その威力は絶大で木端微塵に破壊された。

 

海之

「……」

 

ドガァァァァァァァァァンッ!

 

着地した海之の後ろでファントムは爆発、霧散した。この間わずか1、2分の出来事だった…。

 

 

…………

 

指令室

 

千冬・真耶

「「……」」

 

海之の戦いの様子をモニターで見ていた千冬と真耶は暫く言葉を失っていたが、

 

真耶

「…敵IS、沈黙…」

千冬

「……凄い」

 

~~~~~~~~~

 

海之

「千冬先生、山田先生。聞こえますか?」

真耶

「は、はい聞こえます!大丈夫ですか海之くん!」

海之

「問題ありません。それより他に敵は見当たりませんか?」

真耶

「は、はい!大丈夫です!」

海之

「そうですか。…千冬先生?」

千冬

「……」

真耶

「先輩?」

千冬

「はっ!す、すまない!よ、良くやってくれたな海之。怪我はないか?」

海之

「問題ありません」

千冬

「そうか…良かった。……いや違うぞ!お前何故押しつぶされた時に避けなかった!お前なら簡単に避けられた筈だぞ!!」

海之

「…問題ないと思いましたから」

千冬

「馬鹿者!見ている方の気にもなれ!!どれだけ心配したと思ってるんだ!!」

真耶

「せ、先輩…」

 

千冬の声を聞いて本気で心配していたのだと海之は感じた。

 

海之

「…申し訳ありません。以後気を付けます」

千冬

「い、いや、すまない…。私も言い過ぎた。…だがもうあんな無茶はするな。良いな?」

海之

「善処します」

千冬

「お前になにかあったら…私は…」

海之

「…先生?」

千冬

「な、なんでもない!」

 

 

…………

 

IS学園 倉庫

 

海之がファントムを撃破した事は火影達にも伝わっていた。

 

火影

「…だ、そうだ」

一夏

「…お前といい海之といい、もう驚きすぎて言葉も出ねぇよ…」

オータム

「ば、馬鹿な…。ファントムのやろうが…3分持たずだと…!?」

火影

「海之ももうすぐこっちに来るそうだ。てめぇはこの後先生方に引き渡す。だが…その前に俺からてめぇに聞きたい事がある」

 

すると火影はオータムに近づき、表情を変えた。

 

火影

「アンジェロ、そしてファントム…。何故あいつらを知っている?」

オータム

「な、なにを言ってやがる!?」

一夏

「…火影?」

 

今までに見せた事が無い様な真剣な表情と声の火影。それに一夏は少し困惑していた。

 

火影

「…聞こえなかったのか?何故てめぇがあいつらを知っている?どうやって手に入れた?」

オータム

「だ、だから何を言って」

 

ドンッ!

 

一夏・オータム

「「!!」」

火影

「……」

 

火影のエボニーの弾がオータムの頬をかすめた。

 

火影

「質問してんのは俺だが?」

一夏

「お、おい火影。ちょっとやり過ぎじゃ…」

 

一夏は話かけるが火影は表情を崩さない。その火影の怒りと殺気むき出しな表情にオータムはたまらずつい答える。

 

オータム

「わ、私は何も知らねぇよ!あいつが、あいつが造り出したアレを使っているだけだ!」

火影

「…あいつとは?」

オータム

「……」

 

オータムは黙り込んでしまった。絶対に言わないという表情だ。

 

一夏

「火影、あとは千冬姉達に任せようぜ」

火影

「……わかったよ」

 

するとその時、

 

ゴォォォォォォォッ!

 

一夏

「な、なんだ!?」

 

ドォォォォォォン!!…パラパラッ

 

倉庫の天井を何かが突き破って来た。




ようやく黒いISと蜘蛛のISの名前が判明しました。分かる方は多分分かるかと思います。火影(ダンテ)と海之(バージル)、初めて関係するかもしれない者と接触です。

あと海之(バージル)の戦い方はDMC3のバージルとベオウルフの戦い(正確には後始末)から考えました。

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