IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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オータムとMによる襲撃の翌日。火影達は一夏の見舞いに医務室へ来ていた。その中で火影は一夏に、オータムに「おまえらのせいで」と言った意味を問う。
するとその問いに同じく医務室を訪れていた千冬が答えた。実は一夏は4年前、千冬のモンド・グロッソ決勝当日にファントム・タスクによって誘拐されており、千冬は大事な試合を蹴って一夏を助けていたのである。自分のせいで千冬を苦しめたと一夏は自分を責めるが、千冬は何よりも弟の一夏が大事だったと優しく声をかける。多くの謎が残ったままではあるが一夏と千冬の姉弟の絆を感じる一行であった。


Mission95 兎がじゃじゃ馬連れてやって来た

一夏がファントム・タスクによって四年前にも誘拐されていたという衝撃の話から翌日。一夏の容態も完治し(正確にはとっくに治っていたのだが)、元気に登校していた。また一昨日、一時的とはいえ左腕を失った火影もとっくに問題ないのだが、鈴とシャルから「暫く火影をひとりにしないように」と念入りにお願いされていた本音が一緒に登校していた。それを聞いた本音も少なからず何かを感じ取った様だが火影を問い詰めることは無かった。

そんな日の一限目、楯無による集会が開かれるため、生徒全員は体育館に集まっていた。

 

 

体育館

 

楯無

「みんなおっはよ~♪学園祭はどうもお疲れ様!思った通り、今年は今までに無い位盛り上がったと学園長もお喜びでした。昨日は急に決まった休みだったけどよく休めた?シンデレラは中途半端な形になって残念だったけど何時か埋め合わせはするから勘弁してね~♪」

 

生徒達

「「「………」」」

火影

「…なんか生徒達の落ち込みようが激しいな」

シャル

「気持ちは分かるけど…仕方ないよね」

一夏

「? どういう訳なんだ?」

「…ほんとにあんたは」

簪・本音

「「……」」

「どうしたのだ簪?」

セシリア

「本音さんも先程から静かですわね?」

「! な、なんでもないよ!」

本音

「そ、そーそー!」

箒・セシリア

「「?」」

ラウラ

「しかし具体的に何があったのかはやはり話さない様だな。まあ無理も無いか」

海之

「話しても混乱を招くだけだ。ましてやテロリスト等」

 

みんなが話している間に楯無の話は続き、終盤に差し掛かっていたのだが、

 

楯無

「…では最後に学園祭のもうひとつの特別企画、「各部対抗織斑一夏争奪戦」の結果発表を行いたいと思います!ここで人気トップになった部にはお約束通り、織斑一夏くんを卒業まで強制入部させますのでみんな安心してねー♪」

生徒達

「「「おーーーーーーーーーーーー!!」」」

 

その言葉を聞いて先程まで落ち込み気味だった生徒達のボルテージは一気に上がる。

 

一夏

「げっ!そういえばその事忘れてた!」

(ねぇ箒、セシリア。ふたり共自分の部に票入れてたでしょ?)

(! き、気付いていたのか…)

セシリア

(なんか恥ずかしいですわね…。因みに皆さんはどちらの部に?)

シャル

(安心して。僕らは投票してないから。選ぶなんてできなかったからね)

本音

(そーそー)

火影

(ああ俺と海之はふたりの部にそれぞれ一票ずつ投票しといたぜ。不公平にならない様にな)

(そ、そうか。ありがとう)

一夏

「…なぁ、何を小声で話してんだよ?」

セシリア

「な、なんでもありませんわ!」

楯無

「それでは結果を発表します、……審査の結果!」

生徒達

「「「………」」」

 

女子生徒達はみんな聞き逃すまいと耳を傾ける。

 

楯無

「数が足りないため無効となりましたー!よって織斑一夏くんは我が生徒会に入会してもらいます!」

生徒達

「「「………えっ?」」」

 

楯無のその言葉にみんなキョトンとする。それは一夏達も同じ様で、

 

一夏

「無効?助かったー!……ってなんだそりゃーーーー!!」

「か、数が足りないって…」

ラウラ

「ひょっとして…」

生徒1

「会長!それはどういう事ですか?」

生徒2

「そうですよ!一番人気だった部に織斑くんを入部させるんじゃないんですか?」

楯無

「だって~、あの後何べんも数え直してみたんだけど票数がどうしてもあと5票足りなかったんだもん。だから生徒の総意というわけじゃないし。おまけにどの部も拮抗してるからその5票次第ではどこになるかわからなかったんだもん!だから今回は無効って事で♪」

生徒3

「そ、そんな~!」

生徒4

「誰よ入れなかった子ー!?」

「…足りない5票って…」

セシリア

「もしかして…」

鈴・シャル・ラウラ・簪・本音

「「「……」」」

海之

「…トーマス・フラーは言っている。下手な言い訳は黙っているより悪い、と。だがふたりに謝るだけですむなら他の生徒に気づかれていない今の内だぞ?」

鈴・シャル・ラウラ・簪・本音

(((すいませんでした!!)))

「…ハァ」

セシリア

「…仕方ありませんわね…」

 

ふたりはがっかりしていたが当日はそれどころでない事も分かっていたので責める事もなかった。他の生徒達は納得できていない様だったが楯無が続ける。

 

楯無

「はいはい落ち着いてみんな。確かに折角の企画でみんな頑張ってたもんね~、このまま何も無しに終わるのは可愛そうか…。じゃあこうしましょう!織斑くんを数ヶ月単位の交代制で各部にマネージャーとして派遣します。仕事内容も各部にお任せします。それでどうですか?」

生徒5

「う~ん…まぁそれなら…」

生徒6

「うちの部ってあんまりおもしろい出し物できなかったもんね。ある意味そっちの方が良いかも」

一夏

「い~~…」

「まぁそれもありか」

セシリア

「そうですわね」

 

他の生徒達も楯無の提案に了承した様だ。

 

楯無

「じゃあそれで決定で♪どの部からは放課後に話し合いで決めてね。貸出のごまかしは厳禁ですから♪」

扇子

(絶対厳守!)

一夏

「俺はレンタル家具かーーーーー!」

 

一夏の叫びは喜びあう生徒達の声にかき消された…。

 

 

…………

 

一夏

「ハァ…なんでこんな目に…」

火影

「まぁいいんじゃねぇか?どっかの部に永久的に入る必要が無くなったんだからさ」

海之

「…しかし順番を決めるだけで生徒全員で話し合いとはな」

本音

「すっごい人気だねおりむ~」

一夏

「生徒会に入るんだったら火影や海之みたいに実行委員にしてほしかったなぁ~」

 

その日の放課後、火影・海之・一夏・本音はアリーナに来ていた。他の生徒達は一夏の派遣する部の順番を決めるために現在体育館で話し合いの真っ最中だ。しかも部長のみでなく部員も総動員しての話し合いと言う事で、今学園は体育館以外極めて静かであった。

 

火影

「ところで本音、なんでお前がここに?」

本音

「鈴とシャルにお願いされたんだよ。話し合いの間ひかりんに付いててって」

火影

「…俺ってそんな信用ねぇのかなぁ」

一夏

「…んっ?あれは…」

海之

「…?」

 

海之は空の一点を指さした。良く見ると遠くに何か見える…。そして、

 

本音

「……なんか近づいて来てない?」

 

それは急速なスピードでこちらに近づいてきていた。

 

一夏

「ロケット…!?」

火影

「…みんな伏せろ!」

 

 

ドギュゥゥゥゥゥゥゥゥン……

 

 

ロケットとみられるそれは地面に墜落しようとしていたが、

 

 

グインッ!……プシュー……

 

 

寸前で止まり、機体の向きを修正して静かに着陸した…。

 

火影・海之・一夏・本音

「「「……」」」

 

飛んできたそれを見て四人は何も言わなかった。何故なら目の前にあるそれは、

 

パカッ!

 

「シュワッチ!………いっくーーーーん!」

 

そう、飛んできたロケットは束のロケットであった。そして飛び出してきたのは束本人だった。

 

一夏

「やっぱり束さ…んぎゃっ!!」

 

 

ドオォォォォォンッ……パラパラ

 

 

火影・海之・本音

「「「……」」」

一夏

「あ、あがががが…」

 

どうやら一夏は飛びついて来た束の衝撃をもろに食らった様で地面に開いた大穴の底でのびていた。

 

「はっ!どうしたのいっくん!?誰かにやられたの!?おのれ何奴!」

クロエ

「…間違いなく束様だと思われます」

 

いつもの様にロケットから遅れてクロエも出てきた。

 

火影

「よぉクロエ、久々だな」

海之

「ああ」

本音

「ク~ちゃんお久しぶり~」

クロエ

「お久しぶりです、みなさん」

火影

「そういえばクロエ、スメリアん時寝てる俺らを気遣って黙って帰ったんだよな。水くせぇことしなくて良いのに」

クロエ

「すみません火影さん。起こすのは申し訳ないと思いまして」

本音

「ク~ちゃん達あの後どうしてたの~?」

クロエ

「色々な場所を回っていました」

海之

「しかし何故今日はここに?…もしや」

クロエ

「はい。実は」

 

その時束と一夏が穴から上がって来た。

 

「ちょっとちょっと待ったー!束さんを忘れないでー!」

一夏

「し、死ぬかと思ったぜ…」

海之

「お久しぶりです束さん。…大丈夫ですか?」

「御無沙汰みーくん!あとひーくんとほんちゃんも!ダイジョーブイ!束さんのボディは親方の石頭より固いんだ!」

一夏

「自由落下しても無傷でしたもんね…」

「ところでちーちゃんや箒ちゃんは~?」

火影

「ああ実は…」

 

 

…………

 

火影は事情を説明した。

 

「ふ~ん人気者だねーいっくん♪将来の義姉として嬉しいぞよ!」

一夏

「こっちは大変ですけどね…。とまぁそんな訳で箒は今体育館で、千冬姉は会議中です。…?義姉って?」

火影

「そういえば束さん、クロエ。ふたり共なんでここに?」

「ああそうだった!今日はふたつの用事があるんだ!まずひとつ目ね。いっくんと箒ちゃんのデビルブレイカ―ができたので持って来たんだよー♪」

一夏

「へぇ~俺と箒のデビルブレイカー……って俺と箒の!?」

火影

「そういえば以前新しいものを造っていると言ってましたね」

クロエ

「そうです。今お持ちしますね」

 

そう言ってクロエはロケットに取りに行った。

 

「ところでみんな、大変だったみたいだねこの前。私達も衛星から見てたよ」

一夏

「見てたんですね。…ええほんとに大変でしたよ。火影と海之のおかげで助かりましたけど」

海之

「俺達だけではない。お前や箒達も頑張った。その結果だ」

火影

「その通りだぜ一夏。もっと自信を持て」

本音

「かっちゃんやかんちゃんも言ってたよ~」

一夏

「…ありがとよ三人共」

「でもひーくんも思い切った事するよねー!私びっくムグググ!!」

 

束は後ろから一夏によって口を塞がれていた。本音に知られるとまた騒ぎだすに違いない。

 

一夏

(束さん!…ゴニョゴニョゴニョ)

(……OK!)

火影・海之

「「…ハァ」」

 

とその時クロエがロケットからアタッシュケースを持って戻って来た。

 

クロエ

「お待たせしました」

「ありがとクーちゃん♪それではオープン!」

 

ガチャッ…プシューッ!

 

開けられたそのケースの中にはふたつの同じデビルブレイカ―が入っていた。ひとつは白、もうひとつは赤い色をしている。

 

海之

「これは…トムボーイですね」

「正解~」

一夏

「これが…俺と箒のデビルブレイカ―」

火影

「? でも色が違いますね」

クロエ

「はい火影さん。おふたりのISに合わせてみたんです。白い方が一夏さんで赤い方が箒さんです」

本音

「トムボーイって面白い名前ですね~」

「因みに意味は「じゃじゃ馬」って意味だよ~♪」

一夏

「じゃ、じゃじゃ馬ですか…?」

火影

「心配すんな一夏。名前は面白いが能力は強力だからよ」

「ねぇねぇひーくんみーくん。これなんだけどさ、いっくんのをトムボーイで、箒ちゃんのをトムガールって名前にしない?」

海之

「造ったのは束さんですからね。御自由にどうぞ」

「ありがと~♪んじゃさっそく付けてみていっくん」

一夏

「は、はい!」

 

言われて一夏は白式を展開し、トムボーイを装着した。

 

一夏

「…?何も変わらないみたいだけど?」

海之

「一夏、トムボーイは他のデビルブレイカ―とは少し違う。そいつを展開したまま何か武器を出してみろ」

 

言われて一夏は雪片弐型を展開する。すると、

 

ウィィィィィィンッ!!

 

一夏

「! 雪片のパワーが上がっていく!」

「どうやら上手くいったみたいだね♪」

海之

「一夏、そいつは他とは違って独自の武器等になる事はない。その代わりに自分が持つ武器とリンクし、パワーを上げる事ができる」

火影

「威力だけじゃないぜ。そいつを使ってアラストルの加速機能も上げる事が可能だ。そのままでも十分だがチャージすればする程効果が上がるからな」

一夏

「スゲー…」

「いっくんと箒ちゃんのISは第4世代型。特に箒ちゃんの紅椿には展開装甲があるからね。新しい武器よりこういった物の方が良いと思ったんだよ」

海之

「…成程、あれは様々な武装になりますからね」

一夏

「ありがとうございます束さん」

「うむ!礼には及ばぬぞよ!ああそれとひーくん、「パンドラ」ももう少しだから気長に待っててね♪」

火影

「はい。…本当に凄いですね。あれは他よりも遥かに複雑な魔具なのに」

クロエ

「しかも今回は束様のオリジナルも含めてますから」

本音

「どう違うんですか~?」

「それは完成までのお楽しみって事で♪…さて、本日ふたつ目の用事だね」

一夏

「なんですか?」

 

すると急に束の表情が変わった。

 

「…ひーくんみーくん、そしていっくん。…聞かせてくれない?この前の事全部」

一夏

「…えっ!?」

火影

「束さん…」

海之

「……」

クロエ

「すみませんみなさん。…でも束様はあの時本当に心配されてたんです。みなさんの無事を」

本音

「……」

「私は部外者だけど…お願い。何か私にもできることがあるかも知れないし」

一夏

「束さん…」

 

束の表情は本気だ。

 

海之

「…わかりました」

火影

「海之」

海之

「隠しておく事はできん様だ。一夏も良いな?」

一夏

「…ああ良いよ。それに束さんは四年前の事は既に知ってるし」

「やっぱりあの件も絡んでるんだね…」

 

そして海之は先日起こった事(火影の腕の事以外)と四年前の一夏の件についても合わせて伝えた。

 

 

…………

 

海之

「…という訳です」

本音

「おりむー…そんな事があったんだね…」

クロエ

「本当に御無事でなによりでした…」

「それにしても…ファントム・タスク。やっぱ絡んでたか…」

一夏

「知っているんですか?」

「…ちょっとね…。あと今のみーくんの話を聞いてひとつ分かったよ。以前私のコンピュータにハッキングしてコアの情報を奪ったのも…奴らだったんだ」

海之

「アンジェロやファントムを造るためですね?」

「…多分ね。ISじゃなくロボットを造るつもりならコアの極秘情報までいらないし。大方心臓部の寸法を知りたかったってとこじゃないかな?…でも単なる機械でもあれだけの物、あれだけの数を造れるなんて並大抵のレベルじゃない。相当の奴が向こうにいると思って間違いないね」

クロエ

「束様がそこまで仰るなんて…、一体誰が…」

火影・海之

「「……」」

「……」

(ひーくんとみーくんのふたりは何か心当たりがあるみたいだけど…きっと今はまだ答えてくれないだろうなぁ…。でもなんでふたりが知ってるのかな…?)

一夏

「…まぁ今度奴らがきたらその時に吐かせてやりますよ!もう油断はしませんから!」

火影

「…ふっ、ああそうだな。その通りだ」

海之

「ああ」

本音

「三人ともかっこいい~」

(…まぁその事は今は良いか。ふたり共何時か話してくれるだろうし)

「ふふっ、心強いね。みんなで力を合わせればどんな事が起こってもなんとかできる気がしてきたよ♪」

クロエ

「…ええ、そうですね」

 

その後、学園の者達が気付かない内に束とクロエは学園を去っていった。束達が来ていた事を後で知った箒や千冬達はえらく驚いていた。また、トムボーイ改めトムガールを受け取った箒は「全く姉さんは…」とやや呆れ顔で呟いたがその心中では素直に感謝していたのだった。




新たなデビルブレイカ―、トムボーイとトムガール。
純粋なパワーアップ効果なのでエネルギー持ちや拡張領域が悪い白式と紅椿にとっては役立つと思いました。
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