IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
そして放課後、アリーナにいた火影達の所に一夏と箒のデビルブレイカ―を持って束とクロエがやってきた。先日の事を詳しく聞いた束は以前自分の所にハッキングしてきたのもファントム・タスクだと予想する。謎はまだまだ残るままだったが火影や海之、一夏達の様子を見て束はきっと大丈夫と感じていた。
IS学園アリーナ
火影・海之
「「……」」
とある休日の土曜。アリーナ中央にアリギエルとウェルギエルを纏った火影と海之が目を閉じて向かい合って立っていた。それぞれリべリオンと閻魔刀を携えて。
真耶
「…それでは始めてください!」
~~~~~~~~~~~
カッ!
ドンッ!ドンッ!
ガキィィィィィィィンッ!
アラームと同時にバイザーに隠された赤と青の瞳が開かれ、ふたりは突進した。リべリオンと閻魔刀が激しくぶつかり、激しい閃光が走った。
…………
何故こんな事になったのかは前日金曜の放課後まで遡る。その日の放課後、火影と海之は一夏に誘われて食堂に来ていた。当然他のみんなも行こうとしたが、一夏が先にふたりに話があるから終わるまで待ってほしいと教室で待ってもらっている。食堂には他に生徒はちらほらと数人しかいない。どんな話かというと…、
火影
「俺と海之に戦ってほしい?」
一夏
「ああ!クラス代表戦の時みたいにお前らの戦いをもう一度見せてくれ!頼む!」
火影と海之は一夏から突然この様な事を言われたのだ。急に何を言い出すのかと思うふたりだったが、一夏の表情はふざけている様には見えない。
海之
「…どういう事だ?」
すると一夏は話し始める。
一夏
「俺…この前オータムって奴と戦った時…手も足も出せなかった。おまけにそれどころか危うく白式まで奪われかけた…。思いもよらない相手だったり兵器だったりとはいえ、マジで情けねぇと思ったよ…。この前医務室でセシリアが言った様に、火影がいてくれなかったら正直殺されてたろうな。…でも火影、お前は俺と同じくあいつは初めての相手だったのにまるで赤子の手をひねるかのようにあっさりと倒しちまった…」
火影
「あっさりは言い過ぎな気もするが」
一夏
「あとあいつがファントムって奴を出した時火影言ったろ?この学園にはこの世で唯一自分を殺せる位強い奴がいる。だから何にも心配ねぇって。絶対海之の事だって思ったよ」
海之
「…またお前は余計な事を」
一夏
「その通り海之はひとりでファントムを簡単に倒しちまった。おまけに火影はあの後に出てきたあのIS。サイレント・ゼフィルスだっけ?そいつまで簡単に倒しちまったってあの後箒達から聞いたよ…。マジですげぇって思ったぜ。そして同時に思ったんだ。クラス代表戦の時はただただ驚いてばかりだったけど…今度は違う。強くなるために、お前らの戦いを見て色々学びたいってな。ふたりには訓練で色々教えてもらってるけど…見て学べる事もあると思うんだ。だから頼む!」
一夏は土下座までして頼んだ。そんな一夏に火影は問う。
火影
「…ひとつ聞く。強くなってどうする?あいつらに復讐でもするのか?」
一夏
「…いや、そうじゃねぇ。数ヶ月前の俺ならそう思っていたかもしれねぇ。もう二度と負けるかってな。…でも今は違う。守るために強くなりたいって思ってる。実際見てねぇが火影、お前みんなを救うために…自分の腕を斬り落としたんだろ?…でもさ、もし俺に力があってあの時オータムをひとりで倒せてたら、お前がそんな事しなくても良かったかもしれねぇんだろ?」
火影
「それはわからねぇよ。仮にお前が倒してたとしてもし奴が同じ様に爆弾使ってたらどうする?もっとやばかったかもしれねぇぞ?あと俺があんな馬鹿なことしたのは少し冷静さに欠けてた。誰のせいでもましてやお前のせいでもない。俺のミスだ」
一夏
「…ああわかってる。でもそれはもしもの話だ。実際は負けてお前やみんなに迷惑をかけちまった…。俺はもう自分の事で千冬姉やみんなを心配させたくねぇんだ。正直どんなに強くなってもふたりには一生かなわねぇと思う。でも…俺も本気でお前らみたいにみんなを守れる位強くなりてぇんだ。言い方は悪いかもしれねぇが…そのために利用できることは何でも利用する!…だから頼む!」
一夏は再度頭を下げた。その強い意志を感じ取った火影は了承し、海之も仕方ないと受け入れ、翌日に行う事にしたのだった。そして別れ際に火影が笑いながら言った。
火影
「ただし…俺らのマジのケンカはR指定だぜ?」
一夏
「…えっ?」
…………
アリーナ観客席
一夏は一番良く見える場所に来ていた。そしてみんなも同じく。
一夏
「……」
シャル
「一夏の顔、今までに見たこと無い位真剣だね」
セシリア
「…素敵ですわ」
鈴
「昨日言ってたふたりへの話ってこういう事だったのね」
箒
「…一夏に感謝しよう。私もあのふたりの勝負、今一度拝見したいと思っていた」
ラウラ
「そう言えば一夏と箒とセシリアは以前見たことがあるんだったな。ふたりの戦いを」
箒
「ああ。正直驚いてばかりで全く付いていけなかったがな」
セシリア
「私も同じですわ。思えばあの時から既に力の差は歴然でしたわね…」
簪
「私も観客席から見てた。ふたりと同じで全然付いていけなかったけどね…」
本音
「ドキドキハラハラしてたよね~」
鈴
「…でもずっとそれじゃいけない。火影にどこまでも付いて行くって約束したんだもん。置いて行かれない様に…私だってもっと強くなってみせるんだから!」
ラウラ
「私も同じだ。海之の夫として、火影の姉として、あいつらに必死に付いて行ってやる!」
簪
「…うん、そうだね」
シャル
「そういえば楯無さんは?」
セシリア
「楯無先輩は先生方と一緒に管制塔で見られているらしいですわ」
一夏
「……」
(見せてもらうぜ火影、海之。お前らの戦いを!)
…………
管制塔
真耶
「しかし驚きましたね。一夏くんがふたりにこんなお願いしてたなんて」
楯無
「近いうちに私もお願いしようと思ったけど先を越されちゃったわね♪」
扇子
(迅速果断)
千冬
「それだけあいつらに少しでも追いつきたいという想いが強いと言う事だろう。先日の件の事もあるから余程な。まぁその想いは一夏だけじゃないだろうから良い機会かもしれん。…私にもな」
真耶
「先輩もですか?」
千冬
「ああ。…あのふたりは間違いなく学園、いや世界中探しても勝てる者はほぼいないだろう。…私も含めてな」
虚
「織斑先生がそこまで仰るなんて…」
千冬
「……」
楯無
「…そういえば織斑先生。先日御依頼された件ですが現在急ピッチで実行中です。更識の科学者も協力してくれてます」
扇子
(電光石火)
千冬
「…すまんな楯無」
真耶
「依頼って…なんですか先輩?」
千冬
「……桜のつぼみを開く作業だ」
…………
アリーナ中央
火影
「…一夏の奴、目を皿みたいにしてるな。どんだけ必死だよ」
海之
「…一夏だけではない。他のみんなもだ。ここからでも分かる」
火影
「目いいなお前。そこだけは昔と変わらねぇんじゃねぇか?」
海之
「…火影、なぜ一夏の願いを聞き入れた?はっきり言うが…俺達の戦い方はあいつらのものとは違う。正直言って真似できるものでも理解できるものでもないだろう。嫌な血を見るだけかもしれんぞ?」
火影
「…かもな。でもよ、一夏の奴言ってたろ?それはもしもの話だって。真似できるかもしれねぇし理解できるかもしれねぇ。可能性はゼロじゃない。…それによ、今後もしかしたらマジで一夏やあいつらを頼る時がくるかもしれねぇ。そんな時に俺達が傍に付いて必ず守ってやれるかもわからねぇ。だったら…あいつらが生き残れる様、俺ができる事は全部やってやりてぇのさ。生きててほしいからな。お前だって簪やラウラに生きててほしいだろ?」
海之
「……」
火影
「無言は肯定と受けとるぜ?まぁそういう訳だ。それともうひとつ…」
海之
「…?なんだ?」
火影
「決まってんだろ?ケンカの続きだ!この前は時間切れの不完全燃焼だったからな、丁度良い機会だ!」
海之
「…少しでも関心した俺が馬鹿だった。全くお前という奴は…。……まぁ昔からそうだったがな。お前も、俺も」
火影
「へへっ、お前も随分ノリが良くなってきたじゃねぇか」
海之
「不本意だが…双子だからな」
火影
「…ああそうだな。…なぁ、今回だけ久々にあの名前で呼び合わねぇか?ここじゃ多少大声出しても聞こえねぇし、仮に聞かれても誤魔化せば良いしよ」
海之
「…どうなっても俺は知らんからな」
そう言いながら海之も乗る気の様だ。そしてふたりは試合開始まで精神統一に集中する。
火影・海之
「「……」」
やがて、
真耶
「…それでは始めてください!」
~~~~~~~~~~~
カッ!
ドンッ!ドンッ!
アラームと同時にバイザーに隠された赤と青の瞳が開かれ、ふたりは突進した。リべリオンと閻魔刀が激しくぶつかり、激しい閃光が走った。その瞬間ふたりは言った。
ガキィィィィィィィンッ!
火影
「かかってこい、バージル!」
海之
「来い、ダンテ!」
※火影(ダンテ)と海之(バージル)、次回第2ラウンドです。