IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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かつてダンテとバージルだった頃の如き凄まじい戦い(ケンカ)を終えた火影と海之はそれぞれの部屋で深い眠りに落ちていた。翌日になっても目が覚めないふたり。そんな彼等の傍に付いていた少女達は目覚めないのを良い事に(火影は目覚めていたのだが)それぞれ火影と海之への想いを打ち明け合い、笑顔で宣戦布告をするのであった。


Mission99 魔人の新たな謎 そして 新たな動き

日曜が過ぎて翌日の月曜日。ほぼ丸一日眠っていた火影と海之は疲れも取れ、無事に登校してきていた。

 

IS学園 1-1

 

ガラッ

 

火影

「よぉみんな」

海之

「おはよう」

一夏

「火影!海之!もう大丈夫なのか?」

火影

「ああ全く問題ねぇよ。なんかえらく心配させたみてぇだな」

「ああ本当に心配したぞ。昨日の朝まで全く目覚めなかったんだからな。シャルや簪から連絡を聞いて安心した」

セシリア

「まぁあれ程の戦いをしたのですから仕方ありませんわ。でもおふたり共元気そうで良かったです」

一夏

「全くだぜ…。あと昨日は見舞いに行けなくてすまねぇ。ずっと箒達や楯無先輩に教えてもらってたんだ」

海之

「気にするな」

ラウラ

「一夏、元はと言えばお前がふたりにあんな願いをしたからだぞ」

「そうよ。少しは反省しなさい」

一夏

「う…、悪いふたり共。まさかあんな事になるとは思わなかった。…でも嬉しかったぜ。お前らの本気を見せてくれてよ」

火影

「気にすんな。俺らも久々にケンカできたし。…まぁつってもまた不完全燃焼の引き分けだったが。今度こそは決着を付けるぞ」

海之

「当然だ」

シャル

「もう…やめてよふたり共。あれで不完全って言うなら…、決着なんて本当にどちらか死んじゃうよ…」

本音

「でもふたりって…そんなに引き分けが多いの?」

火影

「ああなんだかんだでな。あとISだけじゃなくあらゆる競技でも競ってるぜ。…テストの点数だけは譲ってやってっけど」

海之

「ぬかせ」

「この前のテストも学園一番だったもんね海之くん。そういえばもうすぐ中間試験もあるから勉強しなきゃ」

一夏

「げ~もうそんな時期か~」

本音

「頑張れおりむ~」

「ふたりに刺激されて訓練ぱかりしてるだけでは駄目だという事だ。私達の本業は学業だからな」

セシリア

「昨日も一夏さん、訓練張り切っておられましたからね。素敵でしたわ」

一夏

「折角ふたりが頑張ってくれたからな。トムボーイも付いたし」

ラウラ

「…しかしふたりの直接の戦いを見たのは初めてだがやはり凄いな。動きや武器の扱い方だけではない。根本的に私達のものとは違う様な気がしたぞ」

「まぁあんた達のは本当に色々違うらしいからね」

火影

「……」

 

皆が感心する中、火影はやや悩ましげな表情をしていた。

 

本音

「? ひかりんどしたの?」

火影

「いや…、気のせいかも知れねぇんだが…ちょっとな」

シャル

「なにかあったの?」

海之

「…火影、もしアリギエルの事なら気のせいではない。俺も同じだ」

火影

「ウェルギエルもか…」

「? ふたりのISがどうかしたの?」

 

キーンコーンカーンコーン

 

火影

「おっともうこんな時間か。まぁ気にすんな、思い違いかもしれねぇから」

 

丁度SHR開始のチャイムが鳴った。火影のその言葉で話は終わり、皆それぞれの教室に戻っていった…。

 

 

…………

 

同日放課後 整備室

 

海之

「………」

 

その日の授業が終わった放課後、海之は整備室に来ていた。スペースにはウェルギエル、そして隣にはアリギエルもあり、何やら作業している様であった。

 

ガラッ

 

するとそこに紅茶の缶を持った火影が入ってきた。

 

火影

「ほらよ」ポイッ

海之

「……」パシッ

 

火影が投げた缶を海之が受け取る。

 

火影

「…で、どうだ?」

海之

「……機体そのものには問題は無い。スペックの数値も駆動系も異常無しだ。まぁそもそも俺達のISは再生機能のためにメンテナンスも要らんからな。当然だが」

火影

「そうか…。以前に比べて装備や機能が増えた事による不具合の可能性は?」

海之

「それもないだろう。そもそもあれは以前の俺達が使っていたものであって異物ではない。拡張領域もまだ余裕がある」

火影

「…じゃああの時のあれは一体…」

 

 

…………

 

それは先日の火影と海之の勝負の時だった。

 

海之

「おぉぉぉぉぉぉ!」

 

海之は上空から火影に向かって月輪脚を繰り出そうとしていた時、

 

火影

「あめぇよ!」

 

火影はそれを避けようとしていたのだが、

 

…ジジッ!

 

火影

「!?…くっ!」

 

ガキィィィィィンッ!!ビシュッ!

 

火影

「ぐぅ!」

 

ほんの一瞬だったが火影は自らの足、正確にはアリギエルの足の反応が遅れ、避けるのが間に合わなかったのだ。繰り出される一撃を火影は仕方なく両腕のイフリートで受け止めたが、その衝撃は彼の腕にダメージ、出血を与える結果となった。

 

またある時は…、

 

火影

「ちぃ!」

 

ズダダダダダダダッ!

 

火影が海之に向かってエボニー&アイボリーを撃つ。

 

海之

「ふっ」

 

キキキキキキキンッ!

 

海之はそれを華麗に閻魔刀で弾く。……しかし、

 

ビシュッ!

 

海之

「!!」

 

声には出さなかったが海之は驚いた。ウェルギエルの腕の反応が一瞬鈍くなり、飛んでくる弾を一部受け止め損ねたのだ。海之もまた、火影の様に己の機体に違和感を感じていたのであった。

 

 

…………

 

火影

「あん時は疲れか気のせいかと思ったけどな。まぁお前も感じてたんならそれは違うわけだな」

海之

「一瞬とはいえ何時ものお前らしくない動きだと思っただけだ。俺達以外の者が見てもきっとわからんだろう」

火影

「…しかしアリギエルとウェルギエルに同じタイミングでこんな事が起こるとはな。今までお前とは何度もケンカしてきたが…こんな事は初めてだぜ」

海之

「……」

 

海之は少し考えて言った。

 

海之

「……或いは今だからこそ起こったのかもしれんな」

火影

「…どういう事だ?」

海之

「お前も知っている通り俺達のISは俺達と共に成長する機体だ。…だが所詮は機械。限界を迎えればガタがくる」

火影

「まさか…、それが今来ているってのか?」

海之

「…あくまでも仮説だがな。だがそう考えると納得できる点がひとつ出てくる」

火影

「…?」

海之

「アリギエルとウェルギエルはかつての俺達を模したものだ。そしてその姿はかつて俺達が再度出会った時のもの、あのテメンニグルの時のな」

火影

「ああ…」

 

火影は思い出していた。かつて彼等の父、スパーダによって封じられていた巨塔テメンニグル。そこで兄弟は再会した。父スパーダの力を手に入れようと企んだバージルとそれを止めようとしたダンテ。激しい戦いを繰り広げる中でダンテは悪魔化、魔人化を果たした。アリギエルはその時の姿を模したものなのだ。ウェルギエルも同じ。

 

海之

「俺もお前も、…正確にはお前だけだがな。その後もずっと戦いを続け、強さを増してきた。そしてそれと同時に魔人の形態も姿を変えてきた。…だが」

火影

「ISではそれは起こらない…」

海之

「ああ…。もし俺達の力が以前よりも成長していて、ISがその成長に追い付いていけてないとしたら…、あの異常も納得がいく。今まで気付かなかったのは先日の戦い程本気で戦った事が今まで無かったからだろう。何しろSE切れまで起こしたのも初めてだったからな」

火影

「…俺達の成長に付いていけてないってのか…?」

 

火影は悩んだ。もし海之の仮説通りなら今後も同じ様な異常が頻繁に起こる可能性も捨て切れない。ISの限界以上の力を出さなければさほど問題はないだろう。しかしこの先本気で戦わなければならない時があるかどうかわからない。正体不明の謎の敵もいるのだ。

 

火影

「…ちっ、あいつらなら何か知ってるかもしれねぇけどな。こっちが願って出てくるってわけでもなさそうだし…」

海之

「……」

 

火影と海之は自分達のISのコアに宿る者達を思い出していた。あれから一度も夢に出てきていない。

 

海之

「……もうひとつ気になる事がある」

火影

「…なんだよ?」

海之

「以前俺とラウラが戦った時があったろう。いや、あの黒い存在に飲み込まれたラウラだったか。あの闘いの時、俺は閻魔刀に語りかけたのだ。無意味とわかっていたがな。……だが、一瞬だけだったが感じたのだ。閻魔刀の脈動をな…」

 

それを聞いて火影は目を大きく開いて驚く。

 

火影

「……はっ?冗談だろ?この世界は魔の力とは無縁の世界だぜ?そんな状態で閻魔刀が反応するわけねぇだろ?…それ以降は?」

海之

「アンジェロやあのファントムの時も試してみたが…応える事は無かった」

火影

「んじゃ気のせいじゃねぇか?」

海之

「……」

 

そういう火影だったが海之が嘘を付く様な性格ではない事も知っているので一応頭の片隅に置いておくことにした。

 

火影

「…ちっ、使ってる俺らが言うのもなんだが謎ばかりだな。封印されたままのワンオフアビリティーといい、閻魔刀といい。まさかリべリオンもって訳じゃねぇだろうな…」

海之

「……」

 

ふたりはその日就寝に付くまで悩む事になった…。

 

 

…………

 

???

 

スコール

「オータム、ここにいたのね」

オータム

「よ!スコール!何か用かい?」

スコール

「ええ。貴女のアラクネだけど…何とかなりそうだわ。あの人が新しいコアを用意してくれるそうよ」

オータム

「なんだあいつか。……って、コアを用意した?どっからか盗んできたのか?」

スコール

「詳しくは分からないけど…。あと少し手を加えるそうよ」

オータム

「…は!?マジかよ!コアを弄れるのって篠ノ之束しかできねぇ筈だろ!?あいつそんな事までできんのか?」

スコール

「さぁ、あの人は秘密主義だから。…あと貴女の機体自体にちょっとした機能を加えるそうよ。もう少しかかるから楽しみにしてなさいって」

オータム

「ちっ、あの野郎俺のISを。……まぁ良いか、そう言うなら気長に待つとするぜ」

 

 

…………

 

??? とある部屋

 

そこは整備室の様な場所。そこで一人の男が誰かと話しながら何やら作業をしていた。

 

「…承知致しました。ではその時に」

 

ガーッ

 

「主、参りました」

 

扉を開けて入ってきたのはサイレント・ゼフィルスのパイロットのMだった。

 

「…ああ。すまんな」

「いえ。…主、失礼ですが…今しがたまで誰かと話されておられましたか?」

「…何故だ?」

「……いえ、忘れてください。それより私に御用ですか?」

「うむ。近い内に再びお前の力を借りねばならなくなるだろう。宜しく頼むぞ」

「承知致しました」

「同時にお前にあれを持たせる。上手く使え」

「完成したのですか?」

「無論だ」

「承知致しました。必ず使いこなしてみせます」

「うむ。…話は終わりだ。下がれ」

「はっ」

 

そう言うとMは部屋を出て言った。

 

ガーッ

 

「……」

(さて…、どうなるか…)

「問題は無いでしょう。あ奴の闇は深い。ましてやあの者達が絡んでくるとね」

(…まぁいい、そのために新たな傀儡も持たせるのだ。…あれはどうなっている?)

「御心配なく。まだ実験段階ですが十分な成果を上げていますよ…クククッ」

(……)

 

男は再び誰かと会話していた。しかし不思議な事にその場にはひとりしかいなかった…。




近々敵側も新たな動きを見せそうです。

※仕事のため次回までまた暫く間を頂きます。すいません。

※もうひとつお知らせです。おそらく来月頃から本業の方が忙しくなりますため、これまでの様に纏まって投稿するのが難しくなると思います、そのため数日に1~2話のペースになってしまいますが、これまで申し上げました通り必ず最後までしっかり書き上げますので、今後も退屈しのぎ程度でお楽しみいただければ幸いです。応援して下さる皆様、今後とも宜しくお願い致します。

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