IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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火影達から教わったブリンク・イグニッションの訓練を重ねる一夏達。しかしその中で火影達が何時からあんな技を、そして何時からISを動かしていたのかという話になり、みんなは考える。しかしそれでもふたりへの信頼や気持が少しも揺らぐ事はなく、ふたりが何時か話してくれる時を待つ事にする。

そして遂に迎えたキャノンボール・ファースト当日。
一年の訓練機部門は本音の優勝で終わり、次は火影達が出場する専用機部門のレース。しかし火影と海之、そして千冬は何か嫌な予感を感じていた…。


Mission103 第3の異形

キャノンボール・ファースト会場 メインゲート前

 

レース開始3分前。そこへ千冬との連絡を終えた火影と海之が歩いてきた。

 

シャル

「あっ、来た!」

ラウラ

「遅いぞふたり共」

火影

「悪い悪い」

海之

「すまない」

「間に合わないかとヒヤヒヤしたわ。一体どこまで行ってたのよ?」

火影

「ああちょっとな。…って一夏は?」

セシリア

「一夏さんでしたらお手洗いですわ。…ああ来ました」

一夏

「すまねぇ。…おおふたり共、間にあったんだな。中々来ないからヒヤヒヤしたぜ」

火影

「悪いな」

「…しかしこういった事はやはり緊張するものだな。今になって急にどきどきしてきたぞ」

「お客さんの数もタッグマッチの時よりずっと多いからね」

海之

「そういえば一夏と箒以外は国の関係者も来ているのだろう?」

「そうよ。まぁ一応代表候補だからね。遊び半分のレース競技だけど自分達と他国の違いが気になるって感じじゃない?」

「私も弐式は最近完成したばかりだけど日本の候補生だから」

一夏

「大変だな代表候補って。…ああそうだ火影、海之。言っとくが手加減なんて一切いらねぇからな!」

火影

「…いいのか?後悔すんなよ?」

「上等だ!まだ及ばずとしても、私達とて日に日に成長しているのだからな」

ラウラ

「ふたりの言う通りだ。甘く見るなよ?」

海之

「…ふっ、そうだったな。ならば俺達もそれに応えよう」

 

~~~~~~~~~~~

 

開始間近を知らせるアラームが鳴る。

 

シャル

「あ、始まるみたいだよ」

セシリア

「では参りましょうか」

 

そして全員が入場口に向かう中、

 

火影

(…結局ぎりぎりまで周辺を見たが何も無かったな。…考えすぎだったか?)

海之

(わからん…。だが警戒するにこしたことは無い。千冬先生も言った通り今回は無関係な人間が多い。何があっても被害を出す訳にはいかんからな。いざという時は…)

一夏

「…?お~いふたり共~!」

火影

「…とりあえず行くか」

 

ふたりもみんなの後を追いかけた。

 

 

…………

 

~~~~~~~~~~~~

 

会場は凄まじい熱気に包まれていた。まぁ無理も無いだろう。今年は例年に比べ一年の専用機持ちが多いだけでなく、更に去年まではいなかった男子操縦者が三人もいるという事もあり、客席も増設しないと追いつかない位の客数だったのだ。そんな中開始を告げるアナウンスが入る。

 

「さぁ皆さん、お待たせしました!いよいよIS学園一年生、専用機部門レースの開幕です!今年は代表候補生の方々はもちろん、専用機を持つにふさわしい程の実力者。しかもしかも驚くなかれ!世界でたった三人しかいない男子IS操縦者。それが全員集まっているという、まさに本日のメインイベントにふさわしいものとなっております!はたしてそんな夢の様なレースの優勝者は誰なのか!?…それでは選手達の入場です!」

 

~~~~~~~~~~~

 

観客席が更に盛り上がる中、順番に名前が呼ばれる。(苗字あいうえお順)

 

「1番!早速の登場!話題の男子IS操縦者!しかも双子!そして弟くん!名前にもある様に火の如き赤い目が刺激的!火影・藤原・エヴァンス選手!」

火影

「……やれやれだぜ」

 

「2番!同じく話題の男子IS操縦者にして、先程の火影選手の双子のお兄さん!その青い目は澄んだ海そのもの!海之・藤原・エヴァンス選手!」

海之

「……くだらん」

 

「3番!なんと開始三人目で男子操縦者そろい踏み!みなさんご存じ!世界初の男子IS操縦者!伝説のブリュンヒルデ、織斑千冬様の弟!織斑一夏選手!」

一夏

「…あははは…」

 

「4番!その流れる様な金髪が美しい!イギリスの代表候補生!セシリア・オルコット選手!」

セシリア

「や、やっぱりなんか恥ずかしいですわね…」

 

「5番!我らが日本の将来の希望となるか!?専用機である打鉄弐式はなんと自身の手造りだそうです!日本の代表候補生!更識簪選手!」

「…私だけじゃない。みんなで組み立てた弐式だよ」

 

「6番!流星の如く現れた実力者です!お姉さんはISの生みの親であるあの篠ノ之束博士!篠ノ之箒選手!」

「…今はそれは関係ないだろうに…」

 

「7番!守ってあげたい系の男の子!…と、思っていたら実は可憐な女の子だった!フランスの代表候補生!シャルロット・デュノア選手

シャル

「…も~、忘れてほしいのに~…」

 

「8番!出場者の中では一番のパワー少女か!?中国の代表候補生!鳳鈴音選手!」

「がんばりま~す!」

 

「ラスト9番!現役のドイツ軍人にして勝気!しかしそこが良い!?ドイツ代表候補生!ラウラ・ボーデヴィッヒ選手!」

ラウラ

「……」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

全員の紹介が終わると再び歓声があがった。そしてそれぞれがスタートラインに着く。

 

「さぁ以上の九名によって行われる注目のレース!果たしてどのようなレース展開となるでしょうか!?」

 

海之

「……やはり出場を辞退するべきだった」

火影

「まぁいいんじゃねぇか?たまにはこういうのも」

「ねぇ火影!もし私が一位になったら私にも特別のデザート作ってくれない?」

シャル

「あ~鈴だけずるい!火影、勝ったら僕にも作ってよ!」

火影

「俺達に勝てたらな」

鈴・シャル

((やった!))

ラウラ

「…海之。もし私が勝てば…、なにか褒美をくれないか?」

海之

「褒美?……では今度の休日、お前に一日付き合ってやる」

ラウラ

「! ほ、本当か?嘘ではないな?約束だぞ!」

「……あの、海之くん。私も同じお願いして良い?」

海之

「? ああ」

「あ、ありがとう!」

「い、一夏!私が勝てば今度の休み、私に付き合え!」

セシリア

「箒さんだけずるいですわ!一夏さん、私も!」

一夏

「お、おお。別に構わないぜ?週末は予定無いし」

箒・セシリア

「「約束だぞ(ですわよ)!」」

 

男子達の言葉に女子達はみんなやる気になっていた。…そしてやがてカウントダウンが開始される。

 

「さぁそれでは………IS学園一年生、専用機持ち部門レース、スタートです!!」

 

「5」

「4」

「3」

「2」

「1」

 

そして電子掲示板のカウントが残り1になった…………その時、

 

 

ヴゥーーーーーーン!!!

 

 

会場内の者達

「「「!!!」」」

 

突然会場内に響き渡る異音。……見ると会場中央の空中に何か異変があった。

 

火影

「……?」

一夏

「な、なんだありゃあ?」

「空間が……歪んでいる!?」

セシリア

「な、何が起こってるんですの!?」

 

会場の観客だけじゃなく一夏達も困惑している。

 

バチチチチチッ

 

暫くすると今度はそこに電流が走った。…そしてよく見るとその中に何かが見える。

 

「ね、ねぇ。中になにか見えない?」

ラウラ

「……翼?」

「…まさか!!」

シャル

「ど、どうしたの!?」

海之

「簪も気づいたか。……間違いない。あれは…ISの展開だ!」

「ISだと!?じゃ、じゃああれは!」

 

…徐々に中にいるものの姿が見えてくる。そして、

 

火影

「! みんな下がれ!」

 

…ボォォォォンッ!!

 

それは突然小規模の爆発をおこし、白煙に包まれた。その様子に観客の一部は驚き、VIP等の中には既に避難している者もいる。

 

シャル

「び、吃驚した…」

ラウラ

「な、なんだ一体…?」

 

そして煙が徐々に晴れてくると……それは姿を表した。

 

一夏達

「「「!!」」」

火影

「……てめぇもか」

海之

「……」

 

全体的に茶色い装甲。先端部がビームでできた身体の半分以上を占める大きな翼。奥にレーザーの発射口が見える口と大きなクチバシ。機械的なかぎづめと角。それは先のファントムと同じ位見る者をぞっとさせる存在。機械ではあるが凶つ鳥、凶鳥というに相応しいものであった。

 

「グアァァァァァァァァッ!!」

一夏

「な、なんだこいつは!?」

「と、鳥の化け物!?あれもISだっていうの!?」

ラウラ

「こいつ…どことなく造りがあのファントムという奴に似ている。…まさか!?」

火影・海之

「「……」」

 

そして先のアンジェロやファントムに続き、目の前に現れたそれも火影と海之は見覚えがあった。

 

「グアァァァァァッ!!」

 

するとそれはこちらに向けて口を開いた。

 

一夏

「! みんな避けろ!」

 

ドギューンッ!……ドオォォォンッ!

 

謎のISの口から電流を纏ったレーザーが射出された。そのビームによる衝撃が地面を削り取る。

 

「あ、危なかった…」

セシリア

「い、いきなり何しますの!」

 

バチチチチチッ!

 

すると今度はそれの角らしきものに電流がチャージされる。そして

 

バババババババババッ!……ドドドドドンッ!

 

角から広い範囲に電流が放たれ、それによってフィールドの地面が再び削られる。幸い観客席までは届いていなかった。

 

シャル

「くっ!あのファントムって奴と同じだ。急に襲いかかって来た」

「のんきに話してる場合では無いぞ!このままこいつを放っておいたら周りにも被害が!」

 

とその時、

 

ビュンッ!…ドスッ!

 

「グオォォッ!」

一夏達

「「「!!」」」

 

一夏達は驚いた。見ると謎のISに火影のカリーナから飛び出したナイフが刺さっていた。

 

火影

「先生!」

 

火影がそう言うと会場の上部シールドが展開し、空が見えた。

 

火影

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

火影は高速で旋回し、ナイフが刺さったままのそれを勢いよく振り回す。そして、

 

ブンッ!!!

 

ハンマー投げの様に火影は謎のISを上部シールド隙間から外に放り投げた。遥か上空にまでそれは飛ばされていく。

 

火影

「海之!」

海之

「ああ!」

 

ドンッ!ドンッ!

 

一夏

「火影!海之!」

 

火影と海之もそれを追いかける。その後直ぐシールドは元に戻った…。

 

 

…………

 

会場内のとある場所

 

「…ちっ、「グリフォン」の奴が外に出されたのは計算外だったが…まぁいい、データは取れる。それに私の目的の障害は引き付けたからな。…さぁ、それでは始めようか…」

 

ある声が静かに響いていた…。

 

 

…………

 

数分後 会場遥か上空

 

グリフォンと呼ばれた存在

「グアァァァァァァァッ!!」

※以降グリフォンと呼びます。

火影・海之

「「……」」

 

火影と海之はグリフォンを視認していた。向こうはまだこちらに気づいていない。

 

火影

「…やれやれ、鎧野郎に蜘蛛野郎。そして更にチキン野郎か…。まさかとは思ったが…、やっぱり出てきたな…」

海之

「これまでと同じく模造品だがな…。だがどうやら間違いない様だな…」

火影

「…まぁその話は後にしようぜ?ここなら地上に被害は出ねぇし。さて、先手必勝と行くか」

 

そして火影が背中のリべリオンに手をかけた時、

 

「火影ー!」

「海之くーん!」

火影・海之

「「!」」

 

ふたりが見ると下から鈴、シャルロット、簪、ラウラの四人が上がってきた。

 

シャル

「やっと追い付いた!」

ラウラ

「あの短時間でここまで登っているとはな」

海之

「お前達…何故」

「海之くんごめんなさい…。でも心配で」

火影

「だけどシールドは閉じた筈じゃ…?」

「千冬さんに頼みこんで開けてもらったのよ!」

火影

「…なんで」

シャル

「…ねぇ火影。僕達前に言ったでしょ?どこに行くにも付いて行くって。役に立てるかもわからないけど…、それでも付いて行くって!」

火影

「シャル…」

海之

「しかしお前達は…」

ラウラ

「海之。先ほど箒も言っていたろう?私達とて日に日に成長している。お前達に心配されすぎる程弱くはないつもりだ。それに…私も以前どこへにも連れて行けと言った筈だ。異議は認めんともな」

「お願い海之くん。私達も一緒にいさせて!」

海之

「…お前達」

「……」

火影

「…鈴、そういや約束したんだったな、連れていくって。…シャルも悪かった」

シャル

「…うん」

「…覚えてんなら…、もう二度と…勝手に行ったりしないで…」

 

そう言いながら鈴とシャルは火影の手をとった。…そしてそうこう話している間に気づいたのか、グリフォンはこちらを向いて補足した様な声を上げた。

 

グリフォン

「グアァァァァァァァ!!」

海之

「…気付いた様だな。お前達、無茶はするなよ」

「私達は大丈夫よ!」

火影

「よし、そうと決まったら……? そういや一夏達はどうした?」

シャル

「……えっ?あれ?」

「箒とセシリアもいない…?」

ラウラ

「後にしろ!来るぞ!」

 

六人は戦闘に突入した。




アンジェロ、ファントムに続き、グリフォン登場の回でした。
一夏達が何故いないのかは後日明らかになります。

※次回までまた間を頂きます。次回は一週間前後になる予定です。

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