IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
一方、またしても航空機の墜落未遂事故が発生!
…と思いきや、その航空機に搭乗していたのは、世界中が血眼になって探しているあの白騎士事件の発端であり、全てのISの生みの親、篠ノ之束だった。
場所は変わってここは先ほど墜落?しかけた飛行機の中。大事故に思えた爆発だったが実はあまり大した被害はなく、簡単な修理で再び飛ぶ事ができた。その理由は後ほど語るとして……、飛行機の中では火影、海之、束、クロエ(あの後名乗った)がいた。しかし何故か先ほどまであんなマシンガンだった束が2人の顔を見てからずっと黙り込んでいた。
「……」
(束様どうしたのでしょう?先ほどまであんなにお元気でしたのに…)
「……おい、どうした?さっきまであんなにひとりマシンガントークを繰り広げて失笑かってたのにさ」
「……えっ」
火影に声をかけられて束はようやく口を開いた。
「やっと声出したな。なんだかこっちが心配になってくるぜ。さっきと態度がまるで違うんだからな。まさか多重人格か?」
「…ち、違うもん!束さんだっていつもあんな調子でいるわけじゃないもん!精々9割9分8厘だもん!」
「…いや限りなく100じゃんか。クロエと言ったか?お前も大変だな」
「そんな事はありませんよ。まあ騒がし過ぎて力尽きて倒れる位ならありますけどね。その度に束様をベッドまでお運びしなければなりませんから」
「クーちゃんゴメン」
~~~~~
なぜかみんなで笑った。
「そういえば自己紹介がまだだったな。僕は」
すると火影が挨拶をする前に束が切り出した。
「……赤い目の君は火影・藤原・エヴァンスくん。青の君は火影くんのお兄さんの海之くんでしょ?」
「「「…?」」」
火影と海之、クロエも何故?という表情だ。
「因みにお父さんはアルティスさんでお母さんは藤原雫(しずく)さんだよね?」
「父さんたちの事まで…」
「……何故知っている?父たちの事もだが、俺たちの事まで知っている理由が思い浮かばない」
火影も同じ意見だ。まさか篠ノ之束が自分たちの事を知っているなんて。
「…簡単だよ。それは昔、私が君たちに会ったことあるからさ。君たちはまだ小さかったから覚えてないみたいだけどね」
「「なんだって(なんだと)?」」
(出会った事がある?いつ?)
当然ながらふたりは困惑する。
「君たち白騎士事件は知ってる?」
「あれを知らないやつがいると思うか?あんたが日本に最大の恐怖を与えたISの御披露目ショーだろう?」
火影は少し皮肉を込めて言った。
「まあね!私の可愛いISを馬鹿にした奴らに目にもの見せてやるために世界中の兵器をハッキングして日本に一斉攻撃してやったの♪誰もが日本壊滅の危機?とそこに颯爽と正義の騎士登場!たったひとりで日本を救った英雄!世界中の人間が興味を抱くであろう!「あの騎士は何か!?」と。そして望むであろう!「あれが欲しい!」と。こうしてISは表舞台に立ち、今や世界を代表する存在となったのであった!いや~あの時の馬鹿共のへこへこ顔は今でも目に浮かぶね♪たかがISコア一個だけに数十億なんて出すし、ざまあって感じだよね~♪」
「束様…」
「「……」」
火影は険しい表情をしていると自覚していた。隠すつもりだったが時には怒りを見せる事もある。海之だったそうだ。
「……ただ」
((…?))
「ただアルティスさんと雫さんの気持ちを裏切ってしまった事だけは、本気で反省してるかな」
((!?))
火影と海之は更に不思議がった。
「あんたと父たちの間に何が?」
海之は尋ねた。
「ああ君たちは知らなかったんだよね。さっきも言ったけど昔束さんがISを世界に発表した時、散々バカにされたんだ。あんなガラクタなんの役にも立たない、宇宙なめんな、遂には束さんが女だからという理由で鼻にもかけない奴もいた。ほんとそんな奴ばっかだった。束さんだけが否定されるならまだいいよ。でもISまで馬鹿にされてまるで自分の子供たちまで無駄だと思われてるみたいだった。ほんとに悔しかったよ。」
((……))
「そんな中で唯一声をかけてくれたのがその時発表会に来ていたアルティスさんと雫さんだったんだ。アルティスさんは天才プログラマーとして、雫さんは特別枠で招待されてたからね。二人は私がISを造った理由を聞いて感動したと、あなたなら絶対に夢を叶えられると言ってくれた。本心からの言葉とわかった。本当に嬉しかった。そんなふたりが手を引いて歩いていたのが、まだ幼かった君たちだよ♪だからさっきバイザーを解除した君たちの顔を一目みて確信したんだ!あの時のあの子達だって。でもあの時の束さんは大人にはなりきれなかった。結果は知っての通りだよ。でも雫さんのご実家がある地域は攻撃対象から外しておいたよ。それだけはどうしてもできなかったんだ。まあそれでもあの人の国を狙った事には変わらないけどね…。さぞ向こうでめちゃ怒られるだろうなぁ…、ガクガクぶるぶる」
「束様…」
火影達は彼女の行動に隠された想いをこの時初めて知った。だから自分達も伝える事にした。
「……いや、それは多分大丈夫だと思う」
「えっ?」
「あの事件の後、父さんと母さんが言ったんだ……」
※詳しくはMission02をご覧ください。
「…」
「父さんと母さんはおそらくあんたの気持ちをわかっていたんだと思う。あんたの無念さや苦しみを。だから決して最後まであんたを責める事はしなかった。まあ仮にあんたが母さんの故郷まで狙っていたとしても問題無い。母さんの家には父さんが提供した特別防衛プログラムがある。ミサイルなんてなんの役にもたたないだろうな」
「……あなた達はどうお思いですか?束様を恨んでますか?」
「そりゃ最初は許せなかったよ。なんてひどい奴だって。でも父さんや母さんの想いを聞いたら少しずつそんな気持ちも薄れてきた。ふたりが許しているのに僕たちが許さないわけにいかないだろ」
「それに恨むといっても俺たち自身は特に何もされていない。こいつの言う通り父や母が既に許しているなら俺たちが許さない道理はない」
火影も海之も正直に伝えた。罪を憎んでなんたらという訳ではないがもうこれ以上この件に関してはどうこうしようとは思っていない。例え事件を起こした張本人が目の前にいるとしても。
「ただもし万一またあんな事件を起こしたなら、全力で阻止させてもらうぜ。例えあんたを殺す事になってもな」
「それについては俺も同意する。ましてや俺たちの大切なものに手を出そうものなら、容赦はしない」
そう言う火影と海之の目はまるで炎が宿ったような輝きと強い意思を表していた。
「…」
「束様?」
「おいどうした?またガソリン抜けか?」
「……う」
「う?」
「うわあああああ!!!」ガシッ!
「「「?!」」」
束は突然大泣きし始め、同時に火影と海之を抱き締めてきた。
「た、束様!?」
「ど、どうした?そんな怖かったか?」
「うわああああ!アルティスさんごめんなさい!!雫さんごめんなさい!!ごめんなさーい!!!」
束はこの時思っていた。自分を応援してくれた思いを裏切り、あんな事件を起こしてしまった。なのにあの人たちは私を責める事もせず、理解してくれていた。しかもあの人たちはIS絡みの自爆テロに巻き込まれて死んだ。直接的ではないがそれも私のせいだ。私があんな事さえしなければあの人たちは今も生きていたのかもしれないのだ。この子たちと幸せに暮らしていただろう。私があの人たちとこの子たちの幸せを奪ってしまったという現実に、束はひたすら謝るしかなかった……。
((……))
そして火影達もこう思っていた。泣きながら、僕たちを抱き締めながらずっと謝罪の言葉を叫んでいる。それは普段ふざけてばかりいる彼女が初めて見せた、本当の想い、素顔だったのかもしれない、と……。
次回、束が二人にある提案をします。
その提案とは?