IS×DMC~赤と青の双子の物語~ 作:storyblade
とりあえず一段落。次はいよいよタッグマッチへと張り切る火影達。そう思った時、千冬がみんなに発表した。
「海之と火影のふたりは今回参加させない事にした」
……どうやらまだまだ一段落という訳にはいかなそうであった。
※今回2話投稿です。次回までまた間を頂きます。
キーンコーンカーンコーン
1ー1
束とクロエがパンドラを届けた翌日の朝。火影達の一組に何時ものメンバーが集まっていた。
一夏
「ふぁ~~あ、なんかあんま休めた気がしねぇな~」
火影
「だから無理に来なくても良いっつったろ。長くなりそうだからって。どうせこれから何時でも見れんだし」
一夏
「だってよー新しい魔具だぜ?折角だからできたて見てぇじゃん?」
鈴
「オーダーメイドの家具じゃないんだから。でも想像以上に凄い物だったわね」
セシリア
「ええ。デビルブレイカーやケルベロスでも十分凄いですのに魔具そのものをISのシステムとするなんて…」
ラウラ
「しかし海之。どうやってあんな物を手にいれたのか…本当に知らないのか?」
海之
「…ああ。気づいた時にはウェルギエルの中に入っていた。だから本当にわからない…」
実際魔具のデータはいつの間にかウェルギエルの中に組み込まれていたので半分は事実である。
箒
「以前も同じ事を話したが…一体お前達のISや魔具を造ったのは誰なのだろうな」
簪
「うん。それになんであんなに似てるんだろう…。海之くんと火影くんが双子っていうのも関係してるのかな?」
シャル
「確かにアリギエルとウェルギエルって細かい所は違うけど双子っていう感じがするよね。待機状態も同じだし」
本音
「それにカッコいいけど変わったデザインしてるもんね~」
アリギエルとウェルギエルはかつてのふたり、ダンテとバージルの真の姿である「魔人」を模した姿であり、その待機状態は彼らが持っていたアミュレットを模したものであった。
火影
「持ってる俺らもなんであんなデザインにしたのかって思ったよ。…造った奴に会えたら聞いてみたいけど……まぁ無理だろな」
海之
「……」
火影と海之はアミュレットを渡し、自分達をこの世界に案内した少女の事を思い出していた。そしてもう会う事はできないであろう事も。
一夏
「…まぁ何時か分かる時がくるだろ。なんでかそんな気がする」
箒
「呑気だなお前は…。まぁ確かに考えすぎてもわからんか」
鈴
「そうね。それよりも今は来週のタッグマッチについて考えましょ。…って思い出した!千冬さん言ってたけどなんで火影と海之が参加できないんだろ?」
ラウラ
「わからんが教官の事だ。おそらく何か考えがあってのことだろう。嫁と組めないのは残念だが」
セシリア
「まぁ放課後のHRで話されるらしいですから今は待ちましょう。……っと、もうこんな時間ですわね」
やがて授業の開始時間になり、皆それぞれのクラスに戻って行った…。
…………
キーンコーンカーンコーン
時間は過ぎ、やがて本日の授業が終わってHRになった。そしてそこには何故か鈴と簪の姿もあった。
一夏
「あれ?なんで鈴と簪がいるんだ?」
鈴
「授業が終わったら来いって言われたのよ。大方タッグマッチの事だと思うけど」
簪
「私もそう。…あっ、先生来たよ」
言う通り千冬と真耶が入ってきた。
千冬
「遅れてすまない。……さて、今日のHRは来週行う専用機持ち限定のタッグトーナメントについてだ。普段の訓練や授業では中々見ることができない専用機持ちの戦いを間近でみられる良い機会だ。皆それをしっかり意識して学んでもらいたい。また参加する専用機持ちは自分達の動きひとつひとつが見ている生徒達に影響を与える物と意識し、恥じない試合をするよう心掛けろ!いいな!」
女子達
「「「はい!」」」
真耶
「頑張ってくださいね、みなさん」
千冬
「……しかし残念な事に今大会は例年に比べ、参加者が非常に少ない。というのもこれも皆知っているとは思うが先のタッグマッチ。そして先日のキャノンボール・ファーストの際に起こった様な謎の襲撃が大きな原因だ。あれで専用機持ちの多くが辞退しているだけでなく、国や企業が生徒の安全を考え、参加を個人の意思に委ねる様にしている」
シャル
「前に火影達が言ってた通りだね…」
箒
「自分達のプライドや面子優先で生徒を万一死なせたりでもしたら洒落にならんからな」
鈴
「…まぁでもそう言いながら本音では出てほしいでしょうね…」
本音
「ほえ?私?」
一夏
「いやのほほんさんじゃねぇって。紛らわしいな」
千冬
「無駄話はよせ!…だがそんな状況でも自ら参加を志願した者達もいる。彼等の気持ちに応える意味も兼ねてしっかり学んでほしい。いいな!」
生徒
「「「はい!」」」
一夏
「!ち、千冬姉が俺達を褒めた!?」
カーンッ!(チョーク)
一夏
「イッテー!」
千冬
「全くお前は…織斑先生と呼べと何度言えばわかるんだ?」
ラウラ
「相変わらずのコントロールだ教官」
カーンッ!
ラウラ
「痛っ!」
千冬
「お前も同罪だボーデヴィッヒ」
ラウラ
「も、申し訳ありません…」
(さ、最近言われなかったから油断してしまった…)
千冬
「…因みに今回の参加者について先に話しておく。一組からは織斑、篠ノ之、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒの5人。二組からは鳳。四組からは更識妹。そして二年の更識姉の合計8人だ」
セシリア
「たった8人…。それも私達だけではないですか…」
本音
「ほんとに少ないね~」
箒
「それだけ例のファントムや機械鳥に危機感を抱いていると言う事だろう。何しろあれ程の存在だからな」
簪
「ロボットだけど姿は殆ど怪物とかモンスターっていう感じだもんね」
みんなが話す中、一夏が例の事で質問してみた。
一夏
「そういえばちふ…織斑先生。火影と海之が出ないのはなんでですか?俺達一緒に申し込みしたんすけど?」
鈴
「そうでした!何故ですかち…織斑先生?」
(危ない危ない…)
一夏や鈴だけでなく、それを知った他の生徒達も疑問の声を上げる。
千冬
「それについては今から説明する。確かにふたりも当初参加する予定だった。だが学園側としてふたりは今回参加させずにある役割に就いてもらう事に決定したのだ」
火影
「…役割?」
海之
「…?」
千冬
「皆も知っての通り、ここ最近の学園のイベントは数多くの問題が発生している。前学期のクラス対抗戦時の黒いIS襲撃から始まり、前タッグマッチ、臨海学校、そして先日のキャノンボール・ファースト。…情けないが我々は幾度も予想外の襲撃を受け続けている。そしてその度にお前達、生徒達を危険な目に合わせてしまっている。……申し訳ない」
真耶
「本当に御免なさいみなさん…」
千冬と真耶は生徒達に頭を下げて謝罪した。
一夏
「先生。謝る必要なんてないっすよ。ここにいる誰ひとり先生達を恨んでなんていませんから」
生徒
「「「はい!」」」
「「「うんうん!」」」
全員一夏の言葉に賛同した。
真耶
「…ありがとう皆さん。皆さんの様な優しい生徒がいて…私は幸せ者です」
千冬
「…感謝する。…話を戻そう。そして考えたくはないがこれ程立て続けになると、今回行われるタッグマッチでも何かしらの問題が発生する可能性がある。本来なら大会の中止も考える所だが…多くの国から大会の実施を望む通達が来ている。大方専用機持ちのデータを少しでも収拾したいという目的だろう。当日は多くの関係者も来るらしいからな」
シャル
「やっぱりそうなんだ…」
ラウラ
「表では心配してそうにしながら裏ではやはり私欲が大事か。…愚かな」
千冬
「お前達の気持ちはわかる。しかし最早実施は避けられん。故に何が起こっても対処できるようできる限りの対策を取っておく必要がある。…そこで」
するとそこに海之が割って入った。
海之
「千冬先生。俺と火影に万一に備え、大会を防衛しろと仰るのですね?」
生徒
「「「!!」」」
火影
「成程な」
一夏
「なっ、なんだって!?本当か千冬姉!」
セシリア
「そ、そんな!なんで火影さん達にそんな事させるんですか!おふたりも一生徒でしょう!」
千冬
「……」
驚いて呼び方が戻っている一夏だが気にしているどころでは無い。そして千冬の沈黙が答えが正解である事を証明していた。
簪
「そんな…。海之くんと火影くんのふたりだけなんて…」
真耶
「勿論ふたりだけにはさせません!教師陣からも警護に回します。…ですがそれでも生徒達や各国の要人を警護するのが精々。しかももし戦いとなった場合不安があります。情けない話ですが…実力で言えば圧倒的にふたりに劣りますから…」
千冬
「……それに万一ファントムや先日のような奴が複数で掛かってくるような事があれば更に不味い。また新たな未知の存在が出てくる可能性も捨てきれん。そうなった時に最も被害が少なく対処できるのは…海之と火影のふたりだけだ」
鈴
「だ、だからって!」
声を荒げる鈴達に火影が代わりに答える。
火影
「落ち着け鈴。先生達だってきっと辛いんだ。……それに良く考えりゃそれが一番最良かもしれねぇ」
鈴
「…えっ?」
本音
「どういう事ひかりん?」
火影
「まず俺達のISは国の所属じゃねぇ。俺達個人の物だ。大会に参加しようがすまいが俺達の自由に使える。おまけに俺らは特別実行委員としてある程度自由に動けるからな。もし仮に俺達自身やISが傷ついてもスメリアには迷惑かからねぇ。学園への批判も最小限で抑えられるだろう」
海之
「それに何か起こるとすれば先生方の言う通り先日の様な謎の襲撃者達による可能性がある。ならばそれらに対抗できる力を持った者が防衛の任に就くのが合理的だ」
火影
「なっ?俺達が一番適任だろ?」
箒
「た、確かにそうだが、それでもやはりふたりに任せるみたいではないか!」
一夏
「千冬姉!せめて俺も火影達と参加させてくれ!」
ラウラ
「私もです教官!私には軍人として民間人を守る義務があります!」
一夏とラウラは自分達も警護に回ると願い出たが、
千冬
「…織斑、お前は駄目だ。白式の企業から是非出てほしいと通達が来ている。…それにボーデヴィッヒ、お前はドイツ政府と軍から通達が来ているだろう。無茶を言うな」
一夏
「マジかよ…」
ラウラ
「…くっ」
悔しそうな表情をするふたり。
火影
「そんな顔すんなふたり共。それに先生が俺達にそんな仕事をさせんのは…多分俺達を思っての事だろうしな」
シャル
「えっ?」
海之
「観客の中には多分俺達の事を調べたいと来る者もいる筈だ。さっき先生も言ったろう?専用機持ちのデータが欲しい奴らが集まると。一応俺達も男子のIS操縦者だからな。欲しい奴なら喉から手が出る程だろう。だが俺達が参加しないちゃんとした理由があればそいつらを諦めさせる事もできる」
火影
「そういうこった。だから一夏も皆も気にすんな。それに第一に絶対何か起こるなんて限らねぇだろ?何も起こらないならそれに越した事はねぇんだから」
火影はいつもの様に余裕ある表情でそう言った。
鈴
「火影…」
簪
「海之くん…」
千冬
「…本当にすまないと思っている。もしもの時は私も出るつもりだが…何分私のISはまだ封印されている身。しかし量産機では十分とは言えん。またふたりの力を…貸してほしい」
海之
「はい」
火影
「勿論です」
ふたりはふたつ返事で了承した。
真耶
「…ありがとうございます。ふたり共」
千冬
「感謝する。当日お前達はもし何かしらの問題が発生した場合それに対処。緊急の場合は特別実行委員として自己の判断で行動してくれて構わん」
火影・海之
「「はい」」
千冬
「…さて、すっかり話が長くなった。とりあえず今日の所はこれで終わりにしよう。織斑!号令!」
何時もより長いHRは終了したのであった。
…………
HRが終わった後、みんなは食堂に来ていた。
一夏
「すまねぇふたり共。せめて俺だけでも手伝えりゃ…。たく国が管理してるってのは結構厄介なもんだな…」
ラウラ
「私も家族の力になれんのが悔しい…」
火影
「しょうがねぇさ。普通はそれが当たり前だ。そういや箒、ひとつ思い出したんだがお前のISは日本の所属になんのかやっぱ?」
箒
「いや。紅椿は機体もコアも姉さんが用意した物だから正確には国の所属ではなく、ふたりの様に私個人の物なんだ」
鈴
「あっ、やっぱそうなんだ。いいな~」
箒
「それを思い出して私も協力できないか聞いてみたのだが…、今大会は人数の問題からこれ以上は無暗に抜けられないらしい」
シャル
「確かに箒が抜けたら七人になっちゃうから中途半端になるもんね…」
火影
「まぁ警備の方は俺達に任せてお前達は試合を頑張んな」
セシリア
「…ええ。ですがこれでタッグの相手を決めるのは少し楽になりましたわね」
本音
「そういえばみんな昨日凄かったね~」
海之
「ひょっとして…まだ誰も決めていないのか?」
簪
「う、うん…」
鈴
「あははは。ついね…」
どうやら多くの者は火影・海之とペアになる事以外考えていなかった様である。
一夏
「そういや楯無さんは誰と組むつもりなのかな?まさか俺と組む訳じゃねぇだろうし…」
箒・セシリア
「「……ハァ」」
ラウラ
「簪や本音は知らないか?」
簪
「!う、ううん。私も…知らない」
本音
「私も知らないよ~?」
鈴
「ってゆうか一夏は誰と組むつもりなのよ?」
一夏
「俺?……う~ん、まだわかんねぇや」
海之
「………」
シャル
「とりあえずタッグの相手は明日から決めようよ。もう今日は遅いし」
本音
「じゃあ今日はとりあえず解散って事で~!おりむ~、号令~!」
一夏
「いや全然似てもかすってもいないって」
こうして今日は解散する事になった…。
…………
海之と簪の部屋
一緒に戻ってきた海之と簪。すると海之が簪に話しかけた。
海之
「……簪。ちょっといいか?」
簪
「え?うん、いいよ。どうしたの?」
海之
「ああ。来週のタッグマッチについてだが、お前はもうパートナーは決めているのか?」
簪
「えっ?う、ううん。私もまだだよ。…本当は海之くんと組みたかったんだけど…」
海之
「…すまない」
簪
「あ、謝らないで!海之くんは何も悪くないから!」
海之
「……助かる。…それで俺からの提案なんだが……、パートナーが決まってないなら…一夏と組まないか?」
簪
「…えっ?……一夏くん?」
簪はその名前が出た事に少し驚く。そして海之は言葉を続ける。
海之
「驚かせたならすまない。ただこれはお前のためになると思ってな」
簪
「…どういう事?」
海之
「以前お前の専用機である打鉄弐式の完成が一夏の白式のせいで中断した、という話を思い出してな…。その影響のためか、実際お前は一夏の話に乗る事はあるもののお前が一夏に話しかける場面をあまり見たことがない。あの春風の件以外。まだお前の中で一夏への意識が完全に溶け切っていないと感じたのだ」
簪
「……」
簪自身も思い当たる事があるのか黙っていた。海之は更に言葉を続ける。
海之
「お前は今度のタッグマッチで自分の可能性を知りたいと言った。そのためには今の自分を見つめ、問題を克服しようという意志が無ければならん。それができてこそ新しい可能性が見えてくる。そして…自らに立ちふさがる壁を乗り越える事もできる」
簪
「……自分を見つめる。…壁を乗り越える……」
簪は海之の言葉を心で反芻していた。そして改めて意識した。壁とは…自分が誰よりも越えたいと思っているひとりの存在である事を。
簪
「………」
海之
「勿論これは俺の勝手な望みだ。無理に聞く必要はない。別に今だけが機会という訳では無いからな」
簪は暫く黙っていたが……やがて、
簪
「………ううん……わかった。私…やるよ、海之くん!一夏くんと組む。そして…、必ず乗り越えてみせるよ。自分の壁を!」
簪はそうはっきり答えた。
海
「…そうか」
海之もその力強い決心に安心したのか、笑みを浮かべて返事するのであった。
それから一時間位経ち、海之が風呂に行く支度を整えていると簪が話しかけてきた。
簪
「海之くん。あの……私もひとつお願いがあるんだけど……聞いてもらって良い?」
海之
「? 俺にできる事ならばな」
簪
「あ、ありがとう。……あのね。海之くん今度の御休み、空いてる?」
海之
「…特にこれといった用事は無い」
それを聞いた簪は恥ずかしそうに話し始める。
簪
「じゃ、じゃあね。…もし、もし海之くんが良かったらなんだけど……、今度の御休み、私と…私と……デ、デートして……ほしい…」
恥ずかしさからか最後はとても小さい声、そして真っ赤になりながら海之にお願いした。
海之
「……」
簪
「……」
返事が無い事に簪はやや不安そうな表情をしている。すると、
海之
「…生憎俺はそういった事に詳しくない。お前が望む様なものになるかわからんが、……それでも良いなら構わん」
簪
「……えっ、ほ、本当!?」
海之
「ああ」
その返事に簪は、
簪
「ありがとう!」
喜びが抑えきれなかったのか、嬉しさのあまり海之に抱きついた。
海之
「……」
簪
「あっ!!ご、御免なさい!私ったら!」
海之
「気にしなくて良い」
海之はそう言うが簪は告白した鈴達に負けない位真っ赤だった。