IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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海之・簪・ラウラの三人によるデートは午後へと続いていた。そんな中海之は出張出店に来ていたスメリアの宝石職人であるブラック・アンジェラ夫妻と偶然再会する。互いに再会を喜んだ後、海之は火影が鈴達に指輪を贈ったのと同じく、簪とラウラ其々にも指輪を贈った。

やがて時刻は夕方。今日のデートの感想の後、海之は簪とラウラに自分がかつてバージルの時に大きな罪を犯している事を暗に話す。しかしふたりは例え海之が何者であっても信じる事、そして海之の事が好きだと告白。それに対して海之もふたりの事を守りたい、好きだと思っている事を打ち明け、彼女達の笑顔を守るために戦うと決意した。

※次回までまた間を頂きます。


第九章 Anomalies that have begun to appear
Mission117 幕開けの前日


キーンコーンカーンコーン

 

 

海之達のデートがあった日曜日の翌日。女子達はみんな既に登校していた。

 

IS学園 1-1

 

本音

「ねぇねぇかんちゃん~。みうみうとのデートはどうだった~?」

「ちょ、ちょっと本音!声が大きいってば!」

「へっ?あんた海之とデートだったの?海之もそういうの言うのね~」

「う、ううん。海之くんじゃなく私から誘ったの。あとラウラも一緒だったよ」

シャル

「簪から?へぇ~意外だね~。そういうの奥手かと思ってたよ~」

セシリア

「…あれ?でもなんでラウラさんもご一緒でしたの?デートと言えばおふたりでやるものかと…」

ラウラ

「あ、ああ。それはだな…」

 

ラウラは自分も参加した成行を説明した。

 

「……本音。そう言うのはむやみやたらに口にするべきでは無いぞ?」

本音

「ご、ごめんなさい~」

「気にしないで本音。それにラウラが一緒にいてくれて良かったと思ってるし」

「? なにかあったの?」

 

簪は昨日のデートであった事を話した。海之が言っていた「大罪」というものについては伏せておきながら…。

 

シャル

「……そっか、ふたりも海之から好きって言ってもらえたんだ。良かったね!」

「…うん!」

ラウラ

「何よりも望んでいた嫁からのプロポーズを聞く事ができた。婚約指輪も貰えたしな」

「いやいやプロポーズとか婚約指輪って飛躍しすぎだってば。…でもふたりも私達みたいに付き合うとかそんな話はしなかったのね」

「…うん、色々あってね。でも慌てなくても良い。海之くんの気持ちは私達も良くわかってるから」

ラウラ

「ああそうだな。今はあの言葉だけで十分だ」

セシリア

「でも本当に羨ましいですわ。…私も何時か一夏さんに…」

「…負けんぞセシリア。しかしそんな危ない状況で子供と仔犬を助けるとは…、流石は海之だな」

「ブラックさん達も来てたのね。知ってたら挨拶行ってたのにな」

本音

「スメリアの時以来だもんね~」

ラウラ

「そういえば鈴達も火影から貰ったそうだな。ブラックさんから聞いたぞ?」

「…うん。私達みんなに買ってくれたの。は、恥ずかしいから他の子には言わないでよ?」

「ふふっ、そうだな。そんな事他の子に知られたらどうなるかわかったもんじゃないし。私達だけの秘密にしておこう。未来のお嫁さん候補達?」

シャル

「!お、お嫁さん!?……火影の…お嫁さんかぁ~」

本音

「……ほわぁ~」

「……火影と…」

 

別の世界に行っているらしい三人。とそこへ、

 

火影

「おはようさん。…ってどうした?」

「ふぇっ!?ひ、火影!」

本音

「な、なんでもないよ~、ただお嫁さんの想像してただけだから~!」

シャル

「いやそこ言っちゃ駄目だって本音!」

火影

「ははは…」

 

とそこに一夏と海之も入ってきた。

 

一夏

「おはよう~」

海之

「おはよう。…簪、ラウラ。ふたり共、昨日はありがとう。礼を言う」

「おはよう。私もありがとう海之くん。凄く楽しかったし、…嬉しかった」

ラウラ

「ああ。…本当に感謝しているぞ、海之」

一夏

「なんだ?昨日何かあったのか三人共?」

「野暮な事聞くもんじゃないぞ一夏」

セシリア

「そうですわ。ふふっ」

一夏

「??」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

一夏の疑問は晴れないまま、今日の授業も始まるのであった。

 

 

…………

 

昼休憩 屋上

 

この日は楯無も合流して皆で昼食を取っていた。

 

火影

「みんな明日はとうとうトーナメントだが、準備は順調か?」

シャル

「問題なくいってるよ。パンドラの勉強もぎりぎりまで頑張ったんだ」

「私も大丈夫よ。ガーベラも龍咆もバッチシだわ」

海之

「そうか。外の事は俺達に任せてお前達は思い切りやると良い」

一夏

「ああわかってる。誰が相手でも負ける気しねぇよ。例え相手が楯無さんでもな!なぁ簪!」

「う、うん!」

「精々甘く見ん事だな一夏?例えお前が相手でも容赦せんぞ」

楯無

「そうね。本気で来なさい♪」

セシリア

「ラウラさん頑張りましょうね!」

ラウラ

「無論だ!」

本音

「みんな頑張ってね~」

 

それぞれがやる気十分な様子だ。するとここで、

 

「…あそうだ!ねぇ火影、海之。優勝したら何かご褒美くれない?頑張れるし、そういうのでモチベーション上げるのも必要じゃない?」

ラウラ

「…そうだな。私も賛成だ」

 

他の女子達も同意見の様だ。

 

海之

「…とは言ってもな…」

火影

「ん~~……あっ、じゃああれなんかちょうど良いんじゃねぇか?」

本音

「なに~ひかりん~?」

 

すると火影が言ったのはみんなを驚かせるものだった。

 

火影

「ほら、この前俺達が黛先輩から貰ったチケットあったろ?優勝したらあれやるよ」

海之以外全員

「「「!?」」」

 

全員その内容に驚きのあまり言葉を失っていた。

 

楯無

「チケットって…もしかして○○○ホテルのディナーペアチケットって奴!?箒ちゃんから聞いたけど!」

海之

「……そうだな。俺もそれで良い」

「ちょ、ちょっと待ってふたり共!あれはふたりが先輩から撮影のお礼として貰った物でしょ!?」

シャル

「そ、そうだよ!それにあれは本当に珍しい物なんだよ!?そんな簡単にあげちゃって良いの!?」

 

みんな遠慮しているが、

 

火影

「良いって良いって。今回の主役はお前らなんだからよ」

海之

「ああ。お前達の役に立つならそれで良い」

 

…という訳で優勝者にはふたりが持つ○○○ホテルのディナーペアチケットが贈られる事になった。そしてそれが決まった時の彼女達の心中はと言うと当然、

 

鈴・シャル・簪・ラウラ

((優勝したら……火影・海之(くん)とディナーデートできる!!))

 

やる気が炎の如く燃えているのであった。そしてこちらも、

 

セシリア

(…もし優勝できましたら…私が一夏さんをお誘いして…!)

一夏

「な、なんかあいつらの様子違くね?」

「あ、ああ。それに気のせいの筈だが…燃えている様に感じる」

楯無

「…本当に気のせいかしらね~」

扇子

(爆熱!)

本音

「でもひかりん~、それじゃあ私がかわいそうだよ~」

火影

「えっ?ああそういや本音は出ないのか。まぁ心配すんなって。今度埋め合わせすっから」

本音

「絶対だよ~?」

 

そんな感じで昼休憩は終わったのであった。

 

 

…………

 

会議室(秘密)

 

その日の放課後、火影と海之は千冬、真耶に例の会議室に呼び出された。

 

火影

「……成程、教職員はアリーナ内にて主に生徒やVIPの警護を担当と言う事ですね」

千冬

「ああ。すまないがそれで手一杯なのが正直なところだ。だからもし以前の様な戦闘となった場合は」

海之

「わかっています。それが俺達の役目ですから」

真耶

「本当に御免なさい。ふたりにばかり手間をかけてしまって…」

火影

「気にしないでください先生」

千冬

「…それから、もし万一必要と感じた場合は私も打鉄で出るつもりだ」

海之

「千冬先生が?」

千冬

「心配するな。これでも元ブリュンヒルデ。お前達には及ばずとも邪魔にはならないつもりだ」

火影

「…邪魔だなんてそんな事は…」

千冬

「ふっ、良いんだ。お前達の戦いを見れば自分の力位わかるさ。それにお前達は年齢こそ子供だが戦闘経験は誰よりも遥かに多い。及ばんのは当り前だ」

火影

「…先生」

海之

「……わかりました。その時はお願いします。ですが忘れないでください。以前もお話しした様に、先生方も俺達が守る対象だという事を」

千冬

「!……ああ、ありがとう海之」

真耶

「ありがとうございます。本当に心強いです」

火影

「ところでアリーナですがシールドの方は問題ないのですね?」

千冬

「ああそれは問題ない。あの時の失敗も踏まえて実は束に強化してもらったのだ。並大抵では乗っ取られる事はないだろう。強度もアップさせている」

 

以前キャノンボール・ファーストの際、アリーナのシールドが乗っ取られた事で一夏達が出られなくなるという事態が発生した。これを重く見た千冬は匿名で束にシールドの強化をお願いしていたのであった。

 

真耶

「…あの、それからひとつ気になる知らせがあるのです」

海之

「? なんですか?」

千冬

「これは極秘なのだが…、今から数週間前、とある国の軍の施設からISコアがひとつ消えたらしい。痕跡も何も残さず突如な」

火影

「ISコアが………!」

 

その言葉を聞いて火影は思い当たる節があった。

 

千冬

「火影。以前お前がファントム・タスクのあの女、オータムと交戦した時、奴は逃げるために自らのアラクネのコアを爆弾として放棄しただろう?コアを失ったISは動かす事はできない」

海之

「…では奴らがそのコアの代わりを奪ったと?」

千冬

「可能性はある。…だがもしそうだとすると、奴らが再び行動を起こす可能性がますます高くなったという事になる。…IS絡みのな」

真耶

「……」

 

千冬と真耶は心配そうな表情をしている。そんなふたりに対して、

 

火影

「……心配いりませんよ、先生」

千冬

「…?」

真耶

「えっ?」

海之

「例え何があったとしても…皆で力を合わせればきっと乗り越えられます。一夏や簪達も日々成長しているのですから」

火影

「そういう事です。それに…人生は刺激があるからこそ楽しいもんです」

 

火影と海之は何時もの余裕ある感じでそう言った。

 

千冬

「……」

真耶

「…ふふふ。何でかわかりませんが…、どんなに深刻な状況でも、ふたりがそう言うと何とかなりそうな気がしてきますね」

千冬

「……やれやれ、全く」

 

真耶は苦笑いをし、千冬は半分呆れている様にも見える。

 

千冬

「……だがそんなお前達だからこそ、数々の戦いを生き抜いて来たのかもしれんな。…ふたり共、明日は改めて宜しく頼むぞ」

火影・海之

「「はい」」

 

こうしてその日の会議は終了となった…。

 

火影

「ああそれから先生。先週お願いしていたアレは?」

千冬

「ああそれなら大丈夫だ。ギリギリになったが明日の開始までには届く。着き次第お前の言う通りアリーナに配置させておこう。…しかしあんな物どうするのだ?」

火影

「まぁそれは明日のお楽しみで。とはいえ使わないのが一番良いですがね…」

 

 

…………

 

……その頃、

 

??? オータムの部屋

 

ウィィィン

 

スコール

「オータム、入るわよ」

オータム

「おおスコール………てめぇも一緒か」

「………」

スコール

「明日への準備は大丈夫?」

オータム

「ああ問題ねぇよ。ってかMの野郎はどうした?」

スコール

「あの子ならゼフィルスの改造の真っ最中よ」

オータム

「ふ~ん。…ところで何か用か?」

スコール

「いえ。用があるのは彼の方よ」

「……明日の件は分かっているだろうな?」

オータム

「…けっ!ああわーってるよ。狙いは織斑一夏ではなくあの妙な赤と青のISなんだろ?」

「そうだ。今回の目的はあの二体のデータ収集だ。忘れるな」

オータム

「へいへい」

スコール

「織斑一夏の白式は良いの?」

「どうにでもなる。…それから…あの赤と青の奴らはお前ごときが敵う相手では無い。例えDNSを用いたとしてもな。くれぐれも馬鹿な真似をしてまたコアを壊してくれるなよ?」

オータム

「……ちっ!!」

 

オータムは悔しさこの上ない表情だが実際そうなので反論できない様だ。

 

スコール

「でも随分あのISをかってるのね?まるで昔の恋人に出会ったみたいじゃない?なんだか妬けちゃうわね♪」

「……」

オータム

「…あんだよ?なんか言えよ」

 

すると男は言った。

 

「…運命…いや…因縁…か。…………我々のな」

スコール

「…? 我々って?」

「……気にするな」

 

暗雲漂う中、物語は翌日のタッグマッチトーナメントへと進む。




おまけ

話し合いの後、海之はそのまま風呂へ。火影は自室に戻ってきた。

本音
「おかえり~。ねぇねぇひかりんちょっといい~?」
火影
「? なんだ?」
本音
「あのね~、この広告見てよ~」

本音が出してきたのは一枚のイベント告知らしい広告。日付は10月31日。この日といえば、

火影
「これは……ハロウィンのイベントか?」
本音
「そうそう~、街の広場でやるんだ~。結構大きいイベントなんだよ~!」
火影
「らしいな。…でこれがどうかしたのか?」

すると本音は言った。

本音
「うん。実は私そのイベントに手伝いで参加するんだけどさ~、ひかりんにも手伝ってほしいんだ。子供達に配るお菓子作ってほしいの~!それがさっき言った埋め合わせ~♪」
火影
「? そんな事で良いなら別に構わねぇけど」
本音
「やったー!ひかりん大好き!」

大喜びする本音。その一方火影はこんな事を考えていた。

火影
(…しかし散々悪魔ぶっ殺してきた俺が、仮装とはいえ悪魔のためにお菓子を作るとは…。本当にわからんものだな)
本音
「なんか言った~?」
火影
「いや気にすんな」

こうして今週末、ハロウィンに参加する事になった火影であった。

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