IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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遂に一夏達専用機持ちによるタッグマッチトーナメントが開催される日がやってきた。火影と海之は自分達の仕事を行いながら皆にそれぞれ励ましの言葉をかけ、健闘を祈った。

……しかしやはりと言うべきか、ここでもファントム・タスクによる乱入が発生。アラクネ操るオータムがアンジェロやグリフォン達と共に襲来してきたのである。一夏達や観客に被害が出ない様、火影と海之はアリーナの外でこれを撃破する事にした。

※また間を頂きます。


Mission119 兄弟が最も嫌いな事

オータム

「貴様らは私がぶっ殺す!」

 

そう言いつつオータムはグリフォン・アンジェロと共にふたりに襲いかかってきた。

 

火影

「…やれやれ。だがさっきも言った様に今日はのんびり付き合ってやる気はねぇ。速攻で終わらせてもらうぜ」パチンッ!

 

そう言うと指を鳴らす火影。

 

オータム

「ああっ?何の真似」

 

とその時、

 

~~~~~~~~

 

遠くの方から何か音が聞こえてきた。それは徐々に近づいてくる。

 

オータム

「な、何の音……!!」

 

オータムは驚いた。アリーナの外壁面を何かが登ってきたのである。それはよく見ると、

 

 

ドゥルルルルルルルルルルン!!

 

 

オータム

「! バイクだと!?」

 

オータムの言う通りそれはバイクであった。自動操縦なのか誰も乗っていない。そしてそれは壁面を登りきるとこちらに向かって飛んできた。

 

ズガガガガガガガッ

ドガンッ!ドガガンッ!

 

それはまるで空中を走る様に数体のアンジェロをそのタイヤで巻きこみ破壊した後、

 

ガシャガシャンッ!

 

異常な変形でふたつに分離し、火影の両腕にひとつずつ収まった。

 

火影

「へっ、……いやっほぉ!!」

 

ギュイィィィン!

ズガガガガガガガガンッ!

 

火影は重そうなそれを豪快に振り回す。その衝撃で数体のアンジェロが巻き込まれた後、

 

火影

「はっはー!」

 

ズガガガガガガガッ!

 

グリフォン

「グォォォォォ!!」

 

そのままグリフォンの背中に乗り、手に持つそれを食いこませて引きずる。チェーンソーの様になっているのか引きずった部分は大きな傷ができていた。

 

オータム

「バイクが武器になりやがった!?」

火影

「エンジン順調!肩慣らしにはちょうどいいな!」

 

キャバリエーレ

火影(ダンテ)が使っていたバイク型の魔具。通常はバイク状態だがふたつに分割・変形し、タイヤ部が回転鋸の様になって連続的にダメージを与える事ができる。大型武器且つ重量故扱いが難しい。ダンテはこれに跨って悪魔をひいたり、バイクのまま振り回したりしていた。補足情報として前輪と後輪でエンジンは別々。火影と整備士ニコの共同制作である。

 

火影

「見た目えげつねぇから人間相手なら躊躇するとこだが、無人機なら悪魔と同じく遠慮なくブン回せっからな!」

オータム

「貴様何をわけ」ザンッ!「ぐああああああっ!なっ、何!?」

 

突然後ろから強烈な一撃を受け、前のめりになるオータム。後ろを振り返ると海之が斬りかかっていた。

 

海之

「呑気に話している余裕は無いぞ女」

オータム

「…クッソッタレェ~!」

グリフォン

「グオォォォォォッ!」

 

ズギュ――ンッ!

 

するともう一体のグリフォンがレーザーをこちらに向かって撃ってきた。

 

海之

「……」

 

ドゥルルルルンッ!

 

それに対し海之は左手にレッドクイーンを展開、そして、

 

ガガガガガガガガッ……バシュゥッ!

 

海之は閻魔刀とレッドクイーンを交差させてレーザーを受け止め、そして払いのけた。

 

海之

「はっ!」

 

ヴゥンッ!……ドガアァンッ!

 

グリフォン

「グアァァァァァッ!」

 

海之が手に持つ刀と剣をそのまま振り下ろすとX字の衝撃波が発生し、それがグリフォンに命中してこちらも強烈なダメージを与えた。

 

海之

「あいつが見せた技だが俺でも使えるか…」

オータム

(…なんなんだこいつらは!?こんな状況だっつーのに全く怯んでねぇ…!ちっ!まあいい、目的はできるだけこいつらのデータを集める事だ。ぎりぎりになったら下がれば良い!それまでは精々付き合ってもらうぜ!)

 

 

数では圧倒的不利な筈なこの状況。なのに寧ろ楽しんでいる様にさえ見える火影と海之にオータムは動揺していたが、自身の任務を思い出すと更に数体のアンジェロを呼び出し、ふたりに再び襲いかかった。

 

 

…………

 

管制塔

 

その頃、管制塔の千冬と真耶は試合開始の一時中断命令を出し、ふたりの戦いをモニターで伺っていた。

 

真耶

「ななな、なんですか火影くんのあの武器は!?バイクが剣みたいになりましたよ!」

千冬

「先週のHRの後に火影がスメリアから届けてもらう様手配してほしいと言ったのはこのためか」

 

先週ふたりがトーナメントの護衛に回る様依頼されたHRの後、火影はキャバリエーレをスメリアの自宅から送ってもらっても構わないかと依頼していたのである。

 

真耶

「あれも魔具という物でしょうか?」

千冬

「だろうな。あれもあいつが前世で使っていた物なのだろう。……しかし前の臨海学校の時もそうだったが…、数の差等あいつらにとっては問題では無いのか?」

真耶

「あはは…」

 

とその時、

 

~~~~~~~~~~~~~

 

再び警告音が鳴り響いた。

 

千冬

「!どうした!」

真耶

「……!せ、先輩!アリーナに急接近する反応が!」

千冬

「どこからだ!?」

真耶

「……!真下です!」

 

 

…………

 

鈴・シャルロット・セシリア・ラウラのアリーナ

 

試合一時中断の命令が出た事で鈴達は一旦控室に戻っていた。

 

「……」

シャル

「…火影と海之、大丈夫かな?」

ラウラ

「心配無い。私の嫁と弟があんな奴らに負ける訳なかろう?」

セシリア

「それはわかっていますが…いざその時になると心配ですわ」

 

みんなふたりが負ける等とは思っていないがどうしても心配するのは仕方ないと言うべきか。…すると先程から黙っていた鈴が口を開く。

 

「……止めましょ」

シャル

「えっ?」

「止めましょって言ったの。今火影達は私達や生徒達を守るために頑張ってくれてるんだから心配するのは失礼だわ。きっと大丈夫。私達はふたりの頑張りを無駄にしない様に試合に向けて集中すれば良いわよ」

セシリア

「……そうですわね。私達のために御ふたりはこの任務に就いてくださったんですもの。私達が信じなくてはいけませんわね」

ラウラ

「ああそういう事だ」

シャル

「……そうだね。それに火影も海之も、何時も僕達を守ってくれてるもんね♪」

「そう言う事よ♪じゃあ」

 

その時、

 

 

ズドオォォォォォォォォォンッ!

 

 

鈴・シャルロット・セシリア・ラウラ

「「「!!」」」

 

アリーナのフィールドから突然爆音がした。

 

 

…………

 

一夏・箒・簪・楯無サイド

 

一方、一夏達も控室で待機していた。

 

一夏

「…くそ、こうして待っている間もふたりは戦ってくれてるってのに…俺は…」

「一夏、ふたりはきっと大丈夫だ。私達が信じてやらなくてどうする」

一夏

「…ああそれはわかってる。ただ…こんな時に俺はいつも守られ側に立っちまってるのが…悔しいんだ…」

「……」

 

簪は何も言わなかったがその表情は明らかにふたりを心配している顔だ。すると楯無が、

 

楯無

「…簪ちゃん、一夏くん。君達は悔しい?ふたりが心配?……もしそう思うならそれはあのふたりに対して失礼よ?」

一夏・簪

「「えっ?」」

楯無

「火影くんも海之くんも私達のために一生懸命頑張ってくれてるの。そしてふたりが今私達に望んでいるのは悔しいとか心配してほしいとかじゃない。試合を頑張ってほしい、ただそれだけよ。ふたりは大丈夫。私達の心配なんて不要だわ。そんな事してる余裕があったら精神統一でもしてなさい」

一夏

「楯無さん…」

「……」

 

楯無の迷い無いはっきりとした言葉に圧されるふたりだったが、

 

一夏

「…そうですね。俺達が精一杯戦うのがあいつらのためですね」

「うむ。その通りだ」

「…うん、そうだね」

 

楯無の言葉に同意する一夏達。そして簪は前から思っていた事を勇気を持って聞いてみる事にした。

 

「………あの、お姉ちゃん」

楯無

「なに?簪ちゃん」

「…お姉ちゃんは……海之くん達の事」

 

簪が続けようとしたその時、

 

 

ドオォォォォォォォォォォンッ!

 

 

一夏

「な、なんだ!?」

楯無

「会場から…?皆行くわよ!」

 

 

…………

 

一夏達が会場に着くとそこには、

 

ファントム

「「グアァァァァァァァッ!!」」

 

ファントムが会場内に侵入していた。しかもこれまでと違い二体である。

 

一夏

「なっ!あいつは!!」

「ファントムだと!一体どこから!?」

「! ね、ねぇ!アレ!会場の地面に大きな穴があいてるよ!」

 

見ると確かにフィールド中央に巨大な穴が開いていた。先程の音はこの音だったのだろう。

 

楯無

「……どうやら地中を掘り進んできたみたいね!」

 

 

…………

 

管制塔

 

その頃、千冬達もファントムの出現に既に気付いていた。

 

千冬

「ちっ!まさか地面の下を掘り進んでくるとはな!」

真耶

「!先輩!もうひとつのアリーナにもファントムが出現!」

 

~~~~~~~~~

 

その時通信が入った。一夏達からである。

 

一夏

「千冬姉!会場にあの蜘蛛野郎が!」

ラウラ

「こちらにも確認しました!どうやら地中を移動してきた様です」

千冬

「ああわかっている!ちっ!海之と火影がまだ交戦中のこんな時に!止むを得ん私が」

 

千冬は自ら出撃しようとした。すると、

 

一夏

「…千冬姉!俺達が引き受ける!」

真耶

「そんな!危険です!」

「でも先生。火影と海之にはもっと危険な事をさせてるでしょう?」

千冬

「ふたりとお前達は違う!それ位わかるだろう!」

シャル

「…はい。確かに僕達はまだ火影達には程遠いかもしれません。…ううん、間違いなく程遠いです。でも、僕達だって何もしないままここまで来た訳じゃありません!」

セシリア

「その通りですわ!それにこの状況で一番早く動けるのは私達ですから!」

ラウラ

「ファントムとの戦闘は以前も僅かながら経験しています。私達だって戦えます!」

「私達だって日々進歩しているつもりです!大丈夫です!」

一夏

「簪、お前はどうする?何なら下がってても」

「…ううん!私も戦う!みんなを守るために!」

楯無

(……)

一夏

「それじゃあ行くぜ!」

 

すると一夏達は全員通信を切った。

 

千冬

「おい!…くっ、あいつら!」

真耶

「先輩…」

 

 

…………

 

アリーナ上空

 

その頃、こちらはやはり火影と海之のほぼ一方的なペースで進んでいた。先程から続けて増援が出ていたアンジェロはほぼ全滅。グリフォンのダメージは深刻。オータムもSEが残り三分の一を切っていた。

 

火影

「どうした?それまでか?」

オータム

「…ちっくっしょおぉ、これ程までとは…」

 

~~~~~~~~~

 

とその時ふたりに無線が入った。千冬からだ。

 

千冬

「ふたり共聞こえるか!?」

火影

「先生、どうしました?」

千冬

「アリーナ内にファントムが出現した!地下を通ってだ!」

火影・海之

「「!」」

 

その言葉に言葉を詰まらせるふたり。

 

海之

「…先生。それで一夏達は?」

千冬

「ファントムの迎撃に出た。お前達の手を煩わせたく無いと言ってな。…すまない、私がもっと早く気付いていれば」

火影

「織斑先生のせいではありません。俺達が気を配れなかったのが原因です。…了解しました。こちらを片付けたら直ぐに戻ります」ピッ

 

そう言ってふたりは通信を切った。

 

火影・海之

「「……」」

オータム

「…はっは~、侵入されたのがそんなにショックか~?だが生憎だなぁ~そう簡単にてめぇら」

 

とその時、

 

火影

「……おいてめぇ。俺達が最も嫌いな事知ってっか?」

 

火影は低い声でそう言った。

 

オータム

「…あんだと?」

 

オータムが聞き返すと次の瞬間、

 

シュンッ!…シュンッ!

 

グリフォン

「!」

火影

「…チェックメイト」ジャキッ!

 

ズドズドズドズドズドッ!

ボガアァァァァァァンッ!

 

火影はエアトリックでグリフォンに一気に接近すると頭部にコヨーテを連射した。その威力にグリフォンは頭部を破壊され、撃破された。

 

オータム

「なっ!?」

火影

「…ひとつ。下らねぇ事で飯の時間を邪魔される事」

 

ドンッ!

 

すると今度は海之がもう一体のグリフォンに瞬時加速で近づき、

 

シュンッ!

 

グリフォン

「……」

海之

「……」………チンッ!

 

ドガァァァァァァンッ!

 

一瞬だった。海之は今のすれ違いざまに閻魔刀でグリフォン頭部を両断していたのだった。そして刀を収めると同時に頭部は爆発、こちらも破壊された。

 

オータム

「う、嘘だろ!?あんな一瞬でだと!」

海之

「…ふたつ。大切なものを馬鹿にされる事」

火影

「そして…」

オータム

「!」

 

オータムが海之に一瞬目が行っていた内に火影はカリーナを展開。上空からこちらにロックオンしていたのだ。更に、

 

海之1・2・3

「「「みっつめは…」」」

オータム

「!!」

 

先程グリフォンに攻撃する前に展開していたのだろう。海之の残影がオータムのアラクネと残ったアンジェロを囲むように配置されていた。そして、

 

 

火影・海之

「「真面なケンカ(真剣勝負)を邪魔される事だ!!」」

 

 

ドドドドドドドドドドドドッ!

ズガガガガガガガガガガガガッ!

 

オータム

「ぐあああああああああああああっ!!」

 

火影が放ったカリーナの多弾頭ミサイルと海之の次元斬・絶による同時攻撃。残りのアンジェロは木端微塵に破壊され、オータムは凄まじいダメージを受けたのだった。




※キャバリエーレ、武器で初登場です。基本バイクなので機会はあまりないかもしれませんがバイクだけで終わらせるのは惜しい魔具でしたので。
次回は一夏達の戦闘を書きます。

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