IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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火影・海之がオータム達と戦闘を続けていた頃、一夏達もアリーナに出現したファントムとの戦闘に入っていた。以前より動きや武装がパワーアップしているらしいファントムに楯無以外はややおされつつある状況の中、外の戦いをほぼ終わらせた火影や海之の幻影剣が一夏達を救う。ふたりのサポートを受けた皆は遂にファントムを撃破。楯無が負傷するというアクシデントはあったものの、なんとかこれで事態は収まりそうな感じであった。

※また時間を頂きます。


Mission121 DNS そして DIS

火影・海之

「「俺達の最も嫌いな事。それは真面なケンカ(真剣勝負)を邪魔される事だ!!」」

 

ドドドドドドドドドドドドッ!

ズガガガガガガガガガガガガッ!

 

オータム

「ぐあああああああああああああっ!!」

 

火影と海之の同時攻撃がオータムを含む敵の全てに襲いかかった。アンジェロ達は全て木端微塵になり、

 

オータム

「…ぐ…ぐぐぐ…」

 

オータムのアラクネは戦闘続行は不可能な程大きなダメージを受けている様だった。

 

火影

「心配すんな。動ける程度に加減してやってるよ…!海之悪い、ちょっと抜けるぜ」シュンッ!

 

火影はエアトリックでどこかに行ってしまった。

 

海之

「…?…まぁいい。どうせこいつはもう何もできん」

オータム

「…ちっくしょおぉ…。こんな、こんなガキに私が二度も…。てめぇら…一体…!?」

海之

「…言っても貴様には理解できん。……それより、先程貴様が言ったあいつという者について聞かせてもらおうか」

オータム

「…てめぇも…あの赤い奴と同じ事言いやがるんだな…!なんなんだおま」

 

ドンッ!

 

海之のブルーローズの弾がオータムを掠めた。

 

オータム

「!」

海之

「貴様に聞く権利は無い。俺は火影の奴と違って甘くはないぞ」

 

シュンッ!

 

その時火影が戻ってきた。

 

海之

「どこに行っていた?」

火影

「まぁちょっとしたおせっかいだ。……おい女、あいつらはこれから真剣にケンカしようとしてたんだ。なのにお前らが余計な事したせいでオジャンになっちまった。…てめぇの罪は重いぜ」

海之

「本来なら斬り捨てる所だが…貴様にはまだ聞きたい事があるのでな。連行させてもらう」

 

火影と海之の見下す様な目。それがオータムの中で更に怒りとなった。

 

オータム

(こいつら…ガキの分際でそんな蔑んだ目で私を見やがって!どこまでもなめ腐りやがって!!…力が欲しい!もっと力が欲しいっ!こいつらをぶっ倒す力が!!)

 

オータムの心に湧く強い力への衆望と憎しみ。

…とその時、

 

 

(………力が欲しいか?)

 

 

オータム

「…だ、誰だ!?」

火影・海之

「「……?」」

 

突然自らを呼ぶ小さな声が聞こえた気がし、オータムは反応する。

 

 

(………力を望むか?)

 

 

その声は力が欲しいかどうかオータムに訪ねてきた。それに対して、

 

オータム

「力だと?……ああ!ああ欲しいとも!力が欲しい!」

火影

「…なんだ?」

海之

「この女、誰と話している…?」

 

火影と海之には謎の声は聞こえていない様だ。

 

オータム

「何でも良い!こいつらをぶっ倒す力をよこせぇ!!」

 

そう言って謎の声に訴えるオータム。すると、

 

 

「………では始めようか」

 

 

オータム

「……え?」

 

オータムは一瞬驚いた。最後のその声は先程までと違い急に耳元で囁かれた様にはっきり聞こえた。そして、

 

 

ーDreadnoughtsystem 起動ー

 

 

……ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

 

突然オータムの足元からどす黒い炎が起こり、アラクネごとあっという間に包み込まれてしまった。

 

火影・海之

「「!!」」

オータム

「あ、あああああああああああああああっ!」

 

炎に焼かれている苦しみか絶叫を上げるオータム。突然の事態に思わず下がる火影と海之。そしてふたりはこれに見覚えがあった。

 

火影

「おい海之…あれは!」

海之

「……あの時のラウラと同じ!」

 

それは以前海之がラウラと戦った時の事。海之によって追い込まれたラウラが突然黒い炎に包まれた事があった。今起こっている事象は正にそれと同じものであったのだ。

※Mission45をご覧ください。

 

オータム

「ぐああああああああああああああっ!」

火影

「…つぅ事はまさか…」

海之

「……」

 

嫌な予感がするふたり。……とその時

 

 

「「………ドクンッ」」

 

 

火影・海之

「「!!」」

 

その時ふたりは感じた。ほんの一瞬だったがはっきりと、リべリオンと閻魔刀の脈動を。声は低いものの以前経験した海之と違い、火影はかなり驚いている。

 

火影

「……マジかよ」

海之

「…この件は後だ。もしあの時のラウラと同じならこの後」

 

 

……カッ!!

 

 

突然オータムを覆っていた黒い炎が吹き飛び、強い光が放たれた。こちらもあの時のラウラと同じである。……そして光が弱まってそこにいたのは、

 

火影

「!…ちっ」

海之

「……」

 

それはファントムやグリフォンと同じく機械ではあるが光り輝く4枚の翼、そして鋭いかぎ爪がある手足と尻尾を持っていた。全身黒く、その表面をうっすら光が走っている。頭部はまるで禍々しい獣の様。身体の大きさも倍以上になっている。

 

オータム?

「…コロス……コロス…」

 

声はオータムではあったが理性を失っているのか会話は不可能そうだった。

 

海之

「……どうやら自己を保てていない様だな。愚かな、力に飲み込まれたか」

火影

「ここもラウラの時と同じってわけか。おいお譲ちゃん、仮装コンクールに出てみたら?優勝間違い無しだろうぜ」

海之

「ふざけている場合ではない。閻魔刀達の脈動といい、こいつは最早只事では済まなくなった」

火影

「……わかってるよ」

 

ふざけた口調だが火影の目は真剣だった。

 

~~~~~~~

 

とその時千冬から通信が入った。

 

千冬

「ふたり共何が起こっている!?なんだそいつは!?」

火影

「…先生、事情は後で説明します。今はこいつを排除するのが先決ですから」

千冬

「しかしそいつはアラクネよりも遥かに強力な反応だ!」

海之

「大丈夫です。己の力に飲み込まれる様な者等に負けません」

千冬

「海之…」

火影

「こいつの言う通り、直ぐに終わらせます」

 

ふたりのこれまでと変わらぬ強い返事に千冬は、

 

千冬

「……わかった。……ふたり共気をつけて」

火影・海之

「「はい」」

 

それだけ言うと千冬は通信を切った。

 

火影

「よけい心配させちまったかな?」

海之

「…さっさと終わらせるぞ。一夏や簪達も戦っているんだ」

火影

「おっとそうだった。わからねぇ事は今は後だ」

 

そう言ってふたりは再び目の前の存在に相対する。

 

オータム?

「…コロス…コロス!」

海之

「どのような仕掛けか知らんが制御しきれなければ意味は無い」

火影

「今のあいつに口で言ったって多分駄目だぜ?」

 

そう言いながら火影はリべリオンを前方に構え、

 

火影

「身体で分からせなきゃな!」

海之

「……ふん!」

 

ガキンッ!

 

海之は閻魔刀を振り上げ、リべリオンと交差させた。それが戦闘の合図になった。

 

火影・海之

「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

ふたりは異形の姿と化したオータムに向かって突進していった。

 

 

…………

 

???

 

同時刻、この様子を見ていた者達がいた。

 

「…起動したか…」

スコール

「初めて見たけど確かに凄いわね。…あれが、貴方が言っていた」

「…DNS。…Dreadnoughtsystem(ドレッドノートシステム)だ。前も言ったが心から願えば力となるだろう」

スコール

「…あれもISなの?」

「安心しろ。確かに異形ではあるがISには違いない。…そうだな、DIS(ディス)、とでも呼べ」

スコール

「DIS?」

「…DIS、Devils・Infinite・Stratos(デビルズ・インフィニットストラトス)」

スコール

「…Devil…悪魔。…成程、それでDISね。確かに見た目も悪魔っぽいわ。……でもあの子大丈夫なの?なんか苦しんでいたみたいだけど?」

「痛みはほんの一瞬に過ぎん。…最も死んだ方がマシと思う程辛いがな。力を得るにはそれなりの代償が必要という事だ。オータムの奴は得るどころか振り回されている様だがな。…それに」

スコール

「……それに?」

「例えDNSを用いたとしてもオータムはあれには勝てん。絶対にな。精々10分もてば上出来だ。それ程までにあの二体は強敵なのだ」

スコール

「………」

「怖いか?」

スコール

「……いいえ全然。面白くなりそうだわ。それとDNSだけど是非私にも使わせて頂戴♪」

 

スコールは本気で楽しそうだ。

 

「…良いだろう。精々オータムの様に振り回されない様気をつける事だな」

スコール

「あら?心配してくれるの?優しいのね♪…じゃあ私はあの子の迎えの準備に行くわ。貴方の話ではそうのんびりする時間も無さそうだしね」

 

そう言ってスコールは部屋を出て行った。部屋に残ったのは今まで話していた男ひとりだけ…。

 

「………」

 

すると、

 

(…あの女、暴走しているようだな)

「元から期待等しておりません。まぁもう少し改良は加えましょうか。使う者全てがオータムの様に暴走してしまえば騒々しいですので。くくく…」

(……好きにするが良い)

「さあオータム、精々良いデータを取ってくれ。……くくく」

 

自分以外誰もいなくなった部屋で男は一人ほくそ笑んでいた…。




※アラクネが変化した姿、分かる方には分かると思います。

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