IS×DMC~赤と青の双子の物語~   作:storyblade

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戦いの末、オータムを撃ち破った火影と海之。すると突然、追いつめられた彼女の耳に謎の声が聞こえ始める。

「力が欲しいか?」

その声に迷いなく力が欲しいと応えるオータム。すると突然黒い炎が彼女とアラクネを覆い尽くし、たちまち異形な怪物の姿に変貌させてしまった。それに反応するかの様に脈動するリべリオンと閻魔刀。火影と海之は嫌な予感を感じながらも再び向かって行くのであった。

その頃、それを見ていたある男は言った。

「あれはDIS、Devils・infinite・stratos(デビルズ・インフィニットストラトス)」と…。


Mission122 転生の魔人VS偽りの悪魔

DIS(オータム)

「グアァァァァァァァッ!」

火影・海之

「「はあぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

異形の怪物となったオータムと、火影と海之は互いに向かっていく。

 

火影

「獣だけあってスピードあるな!来いよ、散歩の時間だ!」

DIS(オータム)

「…ブッコロスッ!」

 

オータムは剛腕とも言えるその太い腕を縦横無尽に振り回してくる。火影はそれをリべリオンで受け止める。

 

ガキンッ!キンッ!ガンッ!

 

火影

「パワーも上がっててやる気たっぷりって感じだな。もっと掛かってこい!」

オータム(DIS)

「ゴアアァァァァッ」ドガァンッ!「ガアァァァッ!?」

 

突然後ろから攻撃を受けて悲鳴を上げるオータム。見ると海之がブルーローズを向けていた。

 

海之

「だが頭の悪さはさらに酷くなった様だな」

 

ザンッ!

 

DIS(オータム)

「ガァァァァァッ!」

 

海之に気を取られた隙に今度は先程まで相対していた火影が後ろから斬りかかった。

 

火影

「筋肉以外にもちゃんと中身は詰まってんのか?」

 

堪らず距離を取るオータム。すると、

 

DIS(オータム)

「……タタキツブス!!」

 

カッ!…ズドドドドドドドドドドドドンッ!

 

突然光輝く翼から無数の光弾がふたりに襲いかかってきた。それはゴスペルが使っていた光の翼であった。

 

火影

「…やっぱあれもあのゴスペルやチキン野郎と同じやつだな!」

海之

「あの翼から予想はできていた。…だが!」

 

その隙間を縫う様にブリンク・イグニッションで接近する海之は閻魔刀からベオウルフに替え、

 

ドガァァァァァンッ!

 

DIS(オータム))

「グアァァァァッ!」

海之

「使い手がそんなではな!」

 

顔面部に月輪脚を食らわせた。痛みのあまり腕を無造作に振り回すオータムから海之は距離を取る。

 

海之

「…そういえばこれは奴の力が具体化したものだったな。自らの力で撃たれるのもいっきょ……!」バッ!

 

すると海之は何故か突然アリーナに向けて手をかざす。

 

DIS(オータム)

「ブッコロスッ!」ドンッ!

 

海之がアリーナに注意を向けている隙を狙って突進して来るオータム。その剛腕で襲いかかろうとしたその時、

 

ガキィィィィィィンッ!

 

イフリートを装備した火影が割って入り、それを間一髪で食い止める。

 

海之

「…お前に助けられるとはな」

火影

「よそ見とはお前らしくねぇな?なんかあったか?」

海之

「お前と同じ少しおせっかいを焼いただけだ。気にする…な!」

 

ドゴォォッ!ドゴォォッ!

 

DIS(オータム)

「ガアァァァァァァァッ!」

 

イフリートの突きとベオウルフの蹴りの同時攻撃がヒットする。

 

DIS(オータム)

「グゴゴゴゴ……グガガガガガアァァァッ!」

 

ドギュゥゥゥンッ!

 

すると今度は目に当たる部分から高出力のビームを撃ってきた。

 

火影

「退屈さしてくれねぇな!」

 

ズドドンッ!

 

それに対してふたりはエボニー&アイボリーとブルーローズのビームを合わせて迎え撃つ。

 

ガガガガガガガガガガッ!……バシュウウウゥゥ……

 

互いのビームが激しく激突し、相殺されて消えた。しかし、

 

ズドドンッ!

ドガァァァァンッ!

 

DIS(オータム)

「グアアァァッ!」

 

オータムは続けざまに飛んできたビームの直撃を受けていた。

 

火影

「消えたからって直ぐまた撃たねぇとは限らねぇぜ?」

 

DIS(オータム)

「…グアァァァァァッ!」

 

しかしそれでも怯まず向かって来る。

 

火影

「しぶとさだけは元の奴譲りだな。…人間が入ってるからか?」

海之

「わからんがアンジェロやファントムとは別物であるのは確かだな」

火影

「やれやれ、ちょっと楽させてほしいんだけどな!」

 

 

…………

 

管制塔

 

その頃、千冬と真耶はその戦いをモニターで伺っていた。ふたりの強さにも改めて驚いたが今は何よりもISがあの様な変化をした事に驚きを隠せないでいた。

 

真耶

「……先輩、一体どういう事なんでしょう…?」

千冬

「…わからない…。感じとしてはファントムやグリフォンに似ている。恐らくあれも海之達が言う悪魔を模したものなのだろう。……ただ今までの奴とは違い、あれは明らかにISだった。しかも有人機。そういう意味では全く違う物と言って良いかもしれん」

真耶

「ISがあんな変化をするなんて…、……まるでVTSみたいです」

 

それを聞いて千冬も心の中で思っていた。

 

千冬

(確かにあの変化した時の様子、以前ボーデヴィッヒがVTSを使用した時と同じだ。…だがあれは本来のそれとは全く異なる変化。…VTSとは違うのか…?)

真耶

「…でも流石火影くんと海之くんですね。あんなもの相手でも全く負けていませんよ」

千冬

「あれもかつてふたりが戦った事があるものなのだろう。だとしたら戦い方も知っているのだろうな。…真耶、ふたりはともかく織斑達はどうなっている?」

真耶

「あっ、はい、そうでした!すいません!つい今しがた鳳さんやオルコットさん達の方は無事解決したと連絡が来ました。救護班へ連絡します」

千冬

「そうしてやれ。…ああそれからふたりが戦っている事はあいつらには伝えるな。また勝手に出て行かれては敵わんからな」

真耶

「は、はい」

 

 

…………

 

アリーナ上空

 

一方、火影・海之とオータムによる戦いは続いていた。とは言えただ力を振り回すだけのオータムに対し、火影と海之はそれに冷静に対処していたため、戦況は相変わらずふたりのペースであった。そして、

 

DIS(オータム)

「オォォォォォォ……」

 

…ダメージが重なっていたのかオータムの声には力が無くなっていた。動きも大分鈍くなっている。

 

海之

「限界の様だな。…では、そろそろ終わらせてもらう」

 

そう言ってふたりは互いにリべリオンと閻魔刀に持ち替え、構えると、

 

火影・海之

「「はっ!!」」ドンッ!ドンッ!

DIS(オータム)

「!!」

 

シュンッ!シュンッ!

 

ふたりとも瞬時加速で高速接近し、正面からすれ違いざまに音も無く斬った。

 

DIS(オータム)

「……グオォォォォォォォォ……」

 

それがとどめとなったのだろう。雄叫びを上げると同時にたちまち獣の身体が崩れて行き、最後にオータムの姿が現れた。気絶しているのか地面に向かって落ちて行く。

 

火影

「おっと!」

 

直ぐに回収に向かおうとする火影と海之。すると、

 

 

ヴゥゥーーーン!

 

 

火影・海之

「「!」」

 

突然オータムの周囲に先程の様な空間の捻じれが発生、同時にオータムを抱き抱える様に一体のISが出現した。全身が金色で巨大な尾の様なものがあるISだ。

 

オータム

「………」

「ふぅ~、間に合って良かった。10分持てば良い方って言ってたけどぎりぎりだったわね」

海之

「…?」

火影

「…誰だ?」

 

バイザーの奥で海之は目を顰め、火影は現れたISに訪ねる。

 

スコール

「あらあら、御免なさい。そういえば貴方達に会うのは初めてだったわね。…私はスコール、スコール・ミューゼル。そしてこの私のISはゴールデン・ドーンよ。覚えておいてね。そちらも自己紹介してくれない?初めて会うのだからそれが筋というものよ?」

 

自らの名前とISを答えたスコールはふたりに質問を返す。

 

火影

「…火影だ。苗字は遠慮願いたい」

海之

「…海之という」

スコール

「火影と海之…。そう…、前にオータムが言ってたのはやっぱり貴方達の事だったのね。アンジェロの群れやファントムをふたりだけで全滅させたっていう。正直ちょっと半信半疑だったけれど…さっきの戦いぶりを見れば確かに納得できるわ。あの人の言う通り、本当に凄まじい強さね」

火影

(…あの人…)

「一応お褒めに預かり光栄っつっておこうか。…で、何しに来たんだアンタ?」

スコール

「もちろん御挨拶に伺ったのよ。あとそれからこの子の迎えにね。この子はうちの大切な戦力だから」

海之

「やはり貴様もファントム・タスクの人間か…」

 

とその時、

 

千冬

「海之!火影!」

 

千冬が打鉄を纏ってやって来た。

 

火影

「織斑先生!」

海之

「何故ここに?」

千冬

「事態が一応収束したので来たのだ。さて…何者だ、貴様?」

スコール

「これはこれは…、貴女が噂高い織斑千冬。伝説のブリュンヒルデとこうしてお会いできるなんて光栄ね」

千冬

「戯言はいい。貴様もファントム・タスクか?」

スコール

「ええそうよ。私はスコール・ミューゼル。以後お見知りおきを、ブリュンヒルデ様?」

千冬

「貴様…ふざけるな!」

 

千冬はふざけた調子のスコールに激高する。

 

海之

「落ち着いてください先生。…スコールと言ったな?貴様がファントム・タスクの人間なら聞きたい事がある」

火影

「まぁそんな簡単に答えてくれるなんて思ってねぇけどな。こういう場合「力づくで聞いてみたら?」とかか?」ジャキッ!

 

そう言いながら火影はエボニーを向ける。それに対しスコールは、

 

スコール

「…そうね、私としても貴方達とは戦ってみたいし本当ならそう言いたい所だけれど…、この子もいるし今は止めておくわ。それに幾ら私でも貴方達ふたりを同時というのは相手が悪すぎるものね。更にブリュンヒルデまで加わっては」

海之

「…素直に話すという事か?」

スコール

「ええ、勝ったのは貴方達だし、ご褒美として特別に答えてあげるわ。但しひとりひとつまで。あと年齢とスリーサイズの質問も駄目よ?」

 

…その言葉に嘘は無いと感じとった火影は銃を降ろす。

 

火影

「そいつより話がわかって助かるぜ。なら是非聞かせてもらいてぇな?…そいつやあのMって奴が言っていた、ファントムやアンジェロを造ったっつう「あいつ」ってのは…誰だ?」

 

火影が聞きたい事は決まっていた。そう、前世で自分達が出会った存在を知っているかもしれないその男についてだ。

 

スコール

「…やっぱりその事ね。以前この子が言っていたわ、随分拘っていたって。…でも貴方には悪いけれど正直私も彼の事は多くは知らないのよね…。あまり自分の事話してくれないし。一応名前はオ―ガスというらしいけれど」

火影

「……オ―ガス?」

海之

「……」

 

火影も海之もその名前には聞き覚えは無かった。

 

スコール

「逆に教えてほしい位よ。貴方達あの人を知っているの?この子が言う限り、少なくともファントム達の事は知っていたみたいだけど?」

海之

「貴様に聞く権利は無い」

スコール

「クールねぇ。でも貴方みたいの嫌いじゃないわよ?」

千冬

「下らん事は良い。そのオ―ガスとやらが例の奴らを造ったのか?」

スコール

「ええ。でも何故あんな物を造れるのかはわからない。私達が彼と知り合った頃から既に知っていたらしいから使わせてもらっているのよ。だって面白いじゃない♪」

千冬

「…外道共が」

 

スコールの答えに千冬は怒っている様だ。

 

海之

「…答えろ。先ほどのそいつの妙な変身はなんだ?何か知っているのではないのか?」

 

海之の質問は先程のオータムのISが変化した事についてだった。

 

スコール

「…ええ。あれも彼が造ったものらしいわよ。といってもあれについては私もさっき知ったばかりで仕組みも殆ど分からないのだけどね。今分かっているのは願えば力となる事。そして呼び方位かしら」

火影

「…呼び方?」

スコール

「彼が言うには…DIS。デビルズ・インフィニットストラトスっていうらしいわよ」

火影

「!…デビルズ・インフィニットストラトス…」

海之

「……悪魔…」

 

悪魔という言葉が出た事にふたりは驚いている様だ。

 

スコール

「まぁあれに関しては私もこれから御勉強が必要ね。…さて、約束も守ったしそれでは私はそろそろ失礼しようかしら。早くこの子を介抱してあげないとね」

千冬

「この状況で逃げられると思っているのか?」

 

スコールはオータムを抱えているので満足には動けない。火影達を無視して逃げ切るのは不可能に見える。が、

 

スコール

「…ええできるわ。では皆さん、ごきげんよう」サッ

 

 

ヴゥゥーーーン!

 

 

スコールが左手を上げると周囲に再び歪みが発生した。

 

海之

「!」

火影

「ちっ!」

 

火影は止めようとしたが瞬時にスコールとオータムの姿は消えてしまった。

 

千冬

「消えただと!?…真耶!周囲に反応は!?」

真耶

「い、いえ…全く反応ありません先輩…。あの時の、キャノンボール・ファーストの時のゼフィルスみたいに…突然消えました」

千冬

「…くっ、迂闊だった」

火影

「おい海之、今のは…」

海之

「ああ間違いない。気になっていたが…あれは転位だ。…考えにくい事だがな」

 

ふたりは目の前で起こった転位に驚いている。無理もない。あれは普通の人間ができる事ではない。転生したふたりにも。火影のエアトリックは瞬間移動できるがそれとは全く別物である。

 

海之

「申し訳ありません先生。俺達がもっと早く気づいていれば」

千冬

「いや、気にするな海之。お前も火影もよくやってくれた。お前達のお陰で観客や生徒達も皆無事で被害も最小限に抑えられた」

火影

「…?何かあったのですか?」

千冬

「ああ…。たて…いや刀奈の奴が簪を庇って負傷したのだ。とはいっても大した傷では無いから心配するな」

海之

「!……そう…ですか」

火影

「…くっそ」

 

ふたりはもっと自分達がしっかりしていればと悔しく思った。

 

千冬

「そんな顔するな。心配ないと言っただろう?気絶とかもしていない。なんなら後で見舞いに行ってやれ。今は医務室で休んでいる。お前達も戻って休め。先程のスコールという奴の話からして今日はもう大丈夫だろう。後始末は私達に任せろ。フィールドに大穴が空いている状況では試合も無理だからな」

火影・海之

「「…わかりました」」

 

三人は取り合えず学園に戻る事にした。こうしてまた新たな謎を残し、タッグマッチトーナメントは思わぬ形で幕を降ろしたのだった…。

 

 

…………

 

???

 

その頃、オータムを回収したスコールは拠点と思われる場所に戻って来ていた。

 

オ―ガスの部屋

 

ウィィィンッ

 

スコール

「ただいま」

「……」

スコール

「あらM。どう?ゼフィルスの改造は上手くいってる?」

「…主も手伝ってくれているのだ、問題ない。…それより良く無事だったものだ」

スコール

「あら、心配してくれたの?ありがと。でもオータムは暫く休息が必要ね。今治療カプセルで寝かせてきたわ」

「…情けない奴だ。自らの力に弄ばれるとはな」

スコール

「そう言わないの。初めての実戦投入だったんだから」

 

ウィィィンッ

 

その時オ―ガスという男が入ってきた。

 

オ―ガス

「…スコールか」

スコール

「ええ、ただいま」

オ―ガス

「良く無事だったな」

スコール

「貴方も心配してくれてたの?みんな優しいわね。…ああコレ、オータムから預かってきたわ」

 

そう言ってスコールが渡したのは先程の戦闘のデータが収められているらしいメモリだった。

 

オ―ガス

「…御苦労。この後お前達の機体にDNSを組み込む。準備をしておけ」

「…了解しました」

スコール

「ありがとう。…ああそれからオ―ガス、彼等と少し話したわよ。随分貴方の事を知りたがっていたわ」

オ―ガス

「…そうか、……ふっ」

 

スコール

「…? じゃあ私は先に行っているわね」

「…失礼します」

 

そう言ってふたりは出て行った。

 

オ―ガス

「……」ピッ

 

オ―ガスは壁にあるディスプレイを起動させる。

 

オ―ガス

「…知りたがっていた、か…。…いいだろう、では次は私が会うとしようか。…土産も添えてな」

(…間に合うのか…?)

オ―ガス

「ええ、コレについては問題ありません。…ですがやはりアレには紛い物でない、アレだけのものが必要ですね」

(…そうか…)

オ―ガス

「…まぁそれについては何れ。今はコレの完成を急ぐとしましょう。くくく…)

 

そう言うオ―ガスが見つめる画面には……ふたつの機体が映っていた…。


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